インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

βフェーズ3について。最大の見所はズバリ「ストーリー」

βフェーズ3について。最大の見所はズバリ「ストーリー」

ストーリーについて語る吉田氏
新たなプロローグシーン。内容はまだ伏せられている
オープニングシーンの新たなワンカット。第七霊災から5年が経過していることがわかる

――次に、βフェーズ3についてですが、まず開始時期について6月14日と発表されましたが、当初は6月上旬としていましたが、ちょっと遅れたのですか?

吉田氏: 7日を目標にはしてたのですが。

――そうですよね。それくらいのイメージでした。もうE3が始まったときにはフェーズ3で遊べてて、ブースでもログインできるみたいな。

吉田氏: ただですよ、メディアの皆さんにE3まで情報を待ってくださいと言っておきながらβを始めてしまうのはどうかというのと、最後にまだ調整、ギリギリのギリギリまではやっているので。

――では、7日スタートはあきらめてない?

吉田氏: いえ、14日は確定です。決めないと開発がしんどくなってしまうので。どこが着地点か分からないと、どこで馬力をかけるのか、精神力の限界というのもあるので。

――日本で14日というと、E3最終日に当たりますね。

吉田氏: ええ、なので僕が現地から徹夜で対応に当たります。リモートで。

――それは大変ですね。当然PC版とPS3版が同時スタート?

吉田氏: はい。その予定です。よほどのことがなければ。

――クライアントのダウンロードはいつから?

吉田氏: まあ何日か前には始めたいですね。E3開催中のタイミングではダウンロードできるようになっているはずです。

――βフェーズ3の気になる中身についてですが、プロデューサーレターでも書かれてましたが、βフェーズ3は遊び所、見所がたくさんありすぎて説明しきれないという話でしたけれど、改めて注目して欲しい部分を教えて下さい。

吉田氏: ストーリーですね。レベル20まではストーリーが全部入っているので。

――いよいよ「新生FFXIV」のメインクエストが入るということですよね。

吉田氏: 先ほどE3トレーラーで見ていただきましたが、イフリートを倒すところまでは全部シナリオが入ってますので、序盤の3国でそれぞれで立身出世をして、各地の冒険者たちが1つの本流に集まって来て、いよいよ世界に必要とされて大きな敵と戦い始めるという、いわゆる序章が全部入ってます。まあβテストという意味ではちょっとおかしいんですが(苦笑)。

――ええ。それを知って「βにストーリー入れちゃうのか」と驚いたのですが、クローズドβテストでメインストーリーを走らせる意図は何ですか?

吉田氏: うーーーん。これ、言い方が難しいのですけれども、今回ストーリーをかなり王道というかベタにしたので。もちろんクリスタル、光の戦士、過去視というテーマやキーワードがあったりするので、クラシックなFFの部分を見ていただきたいところではあったりします。

――なるほど。ウォークスルートレーラーを見ていたら、後半、明るいリゾート地みたいなエリアがあって、BGMも明るかったりして、私はもっと荒廃したギスギスした世界だと思っていたのに、結構平和な風景もあって、ちょっと印象が変わりました。そうした意外性のある部分も含めて、ちょっとずつ先出ししたいという意図ですか?

吉田氏: そうですね。あの場所も、実はあの遠方というか、崖の向こうに帝国基地がバーンとそびえたりしているので、つかの間のオアシスだったりするわけです(笑)。今回は本当に色んな要素を入れたので、そこはちょっとプレイしていただいて、「続きが気になるわー!」と感じていただければと思っています。

 βテストは、普通のMMOだと一般的に最初の1日か2日プレイするともうログインしないということが多いです。データがワイプされる前提ですし。だからこそ、たくさんアカウントを撒いて、負荷をかけるためにテストをするのですが、今回「旧FFXIV」のプレーヤーの皆さんを中心に、遊べることを楽しみにしていらっしゃることもあって、序盤は出そうと。でも、本当に出しすぎだったので、僕ギリギリになっていくつかマスクしました(笑)。

――なるほど。ストーリーに自信があるから、ちょっと遊んでみてよというところですか?

吉田氏: ええ。ある程度ストーリーがないと、そうじゃないとテストとして続かないんじゃないかと。特に今回PS3版のお客様がいるので、「ちょっと触ってみたけど、なんかよくわかんなかったよ」となるのは良くないと思っています。PS3のお客様はやはりテストというよりは、“体験版”だと思ってプレイされる方がすごく多いと思うのです。「旧FFXIV」がなければ、たぶん僕もっとマスクしてたと思うのですが、「なんか触ってみたけどバトルだけだった」とか、「よくわかんなかったね」とはしたくないので、序盤に関しては、ほぼすべて遊べるようにしました。

――PS3版は“体験版”だと思われてしまうから、本来は入れないストーリーまで入れるというのはユニークですね。

吉田氏: そうですね。僕が「体験版ではなくβテストです」といっても、テスターの方が「体験版にしては遊べないなー」と発信されたコメント1つ1つに、「そうじゃないんです」と言って回れるわけではないので。特に今SNSを中心にコミュニティの力ってすごく強いので、そこを気にしてるってところはありますね。

――先ほどのE3トレーラーでは、様々な大物声優の方が喋りまくってました。やはりボイスが入るとゲームとして一気に雰囲気が出てきますよね。ただ、フェーズ3ではボイスは入らないのですよね?

吉田氏: 入らないです。テスト中は権利の問題とかもいろいろとあるので。

――E3トレーラーを見て「おお、あの声優さんだ!」と思っても、βフェーズ3ではまだ入ってないってのはちょっと残念なところですね。

吉田氏: ええ、そこは事前にちゃんと説明させていただこうかなと思っています。

――E3トレーラーではガルーダと戦うシーンもありましたけど、フェーズ3で戦えますか?

吉田氏: 戦えません。ガルーダはシナリオ上まだずっと先ですね。

――フェーズ3では、イフリートとのバトルまで楽しめるというわけですか?

吉田氏: はい。ストーリー上のイフリートとは戦うことができます。

――イフリートは、いわゆる蛮神バトルまでチャレンジできるのですか?

吉田氏: 「旧FFXIV」をプレイされている方はご存知なのですが、シナリオ上で出てくる蛮神と、その後いわゆるエンド側にあるコンテンツとして「討滅戦」というチャレンジコンテンツとは性質がちょっと違っていて、“蛮神バトル”と呼んでいるのは後者の方で、さっき見ていただいたようなシーンは、いわゆるストーリーの中で登場するシーンです。β3でプレイできるのはストーリーに沿ったイフリートとの戦いですね。

――なるほど。エンドコンテンツとしての蛮神とはまだ戦えないわけですね。

吉田氏: はい。高難易度コンテンツですので。ただ、討滅戦という蛮神バトルは、シナリオで戦った蛮神のハードモードだと思っていただければいいので、シナリオで戦ったイフリートがレベル50になった。さてどうなるかという感じですね。

――ちなみに、このフェーズ3からユーザーに対する情報規制は解禁されるんですよね?

吉田氏: そうですね。ただ、動画の公開だけは引き続き禁止とさせていただきます。

――動画はいつから可能になるのですか?

吉田氏: 動画については正式サービスの時にちゃんとアナウンスを出そうと思っています。

――日本ではまだオフィシャルで動画配信を認める例というのはあまりありませんが、「新生FFXIV」では吉田さんの意向で特別に認めるということですよね?

吉田氏: そうですね。通常ならプレーヤーの皆さんが撮影した動画は、インターネット上に公開してはいけません。権利問題があるからです。そこで今回は各声優さん、事務所様に意図をお伝えして、ご了承をいただけたので、公式にプレーヤー動画をサポートしていくということをやっていきたいなと。プレイ動画を見るのは楽しいですし、動画を作る方も多くの人に見て貰えるから、モチベーションも高まりますし、もうそういう時代だと思っています。

――生放送はいかがですか? 今だとTwitchやUstreamでプレイ中の映像を垂れ流すという遊び方が、結構北米で増えてきていますが、その辺りはどうなのですか?

吉田氏: 別に問題ないと思います。

――それでは実況生放送みたいなことも?

吉田氏: 問題ないと思います。ただ、レギュレーションは決めます。例えばその放送中に他社の音楽を使わないでくださいとか。やはり権利関係の問題がありますから。「FFXIV」の素材だけでやっていただく分に関しては大丈夫なので、その辺りのレギュレーションをちゃんと発表したら、そのルールにのっとってやってくださいというアナウンスをしようと思っています。

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(中村聖司)