ガマニア、「Dream Drops」運営ディレクター武内友希氏インタビュー

OBTは10月9日より開始。白雪姫になれる「白雪コレクション」などの新規コンテンツや運営方針などを聞いた


10月中旬オープンβテスト開始予定



 ガマニアの新作MMORPG「Dream Drops」が、9月13日~20日までのクローズドβテストを終え、現在、来るオープンβテストと正式サービスに向けて準備が進められている。気になるオープンβテストは10月9日15時にスタートし、その後、予定通りにいけば、そこからあまり間を置かずに正式サービスに移行する見込み。OBT以降のゲーム内容については、東京ゲームショウ期間中に実施された開発者インタビューで詳しく紹介しているのでそちらを参照いただきたい。

なんとアリスのコスプレ姿で説明に来てくれた「Dream Drops」運営ディレクターの武内友希氏(左)。右はPR担当の大原絵理香氏

 さて、TGS終了後の10月2日、「Dream Drops」運営ディレクターの武内友希氏が、メディアキャラバンを実施し、オープンβテスト以降の日本サービスについて説明を行なってくれた。本稿ではその説明と、その後に行なわれたインタビューの模様をお届けしたい。

 まず武内氏が説明してくれたのは、CBTの感想と、OBTでの修正点について。OBTでは、CBTで発生した不具合を修正した上で実施することを考えていて、具体的には以下の部分を修正するという。


・キャラクターの移動速度の高速化
・振りの大きい走り方をコンパクトに修正(モーション修正)
・童話人形劇団の表示のオンオフを可能に(自分とパーティーメンバー以外の童話人形劇団を非表示に)
・インスタンスダンジョンにおける一部ボスの強さの調整(ピノキオの詠唱時間を長く)
・インスタンスダンジョンでの適正レベル範囲の緩和(10から15に)

 正式サービス後の大まかな予定については、正式サービス後の翌週を目処にアップデートを実施し、レベルキャップの解放とクエストの追加を行ない、12月を目処に大型アップデートを実施するという。具体的な内容については「資料が来ていないのでわからない」ということだったが、新しいエリアや童話、インスタンスダンジョンの追加などが計画されているようだ。

 インタビューでは主にOBT以降の話について質問してみたが、武内氏はもともと「ルーセントハート」女子部部長を務めていただけあって、話していると女性ユーザーの視点に立った運営ディレクターというよりは、あたかも女性ユーザーそのものと話しているような、そういう錯覚にしばしば陥った。武内氏は、ディレクターとして素人臭さを残す一方で、それがユーザーにとっての吸引力に繋がっており、「Dream Drops」ではいまだかつてないユニークな運営が期待できそうだ。


■ “ガマニア初の女性ディレクター”として望んだCBTの感想について

「Dream Drops」運営ディレクターの武内友希氏
CBTの様子。中央にいるのが武内氏のキャラクター

――“ガマニア初の女性ディレクター”として望んだCBTですが、いかがでしたか?

武内氏: 何かをつくりだすのは難しいということですね。こうしたらいいという理想のモノが、自分にもあるんですが、それをプレーヤーが求めてるわけではないんですね。会社が求めてるものと、ユーザーが求めているものの間に挟まれているような状態で、そのちょうど真ん中ぐらいになればいいと思うのですが、調整が大変です(笑)。やりがいはあるんですけど、本当に大変です。この業界に女性が少ない理由もわかったような気がします(笑)。

――女性が少ない理由とは?

武内氏: プレーヤーさん、要するに人を相手にして、何をしたら楽しめるのかとか、どういうことをされたら嬉しいと感じて貰えるのか、ここを修正すべきではないかといろいろ考えていると、時間がどんどん経ってしまって(笑)。あとは男性だから女性だからというわけではないんですが、純粋に深夜まで残って仕事したり、頭を使ったりして、精神力も削られることですね。とにかく仕事一色になっちゃうところが女性には合わないんじゃないかと思います(笑)。

――CBT期間中、ユーザー側の動きで嬉しかったことや悲しかったことはありますか?

武内氏: たくさんあります。まず嬉しかったことは、ゲーム内に直接ログインしたら、要望以外にも、色んな言葉をいただいたことですね。世界観が綺麗だとか、可愛らしいとか、良いものを作っていってくださいとか。私は以前「ルーセントハート」の女子部の部長をやっていたんですが、そのオフラインイベントに来てくれた方が、「Dream Drops」に駆けつけてくれたり。そういうところが凄く嬉しかったです。

 悲しかったことは、運営の面で、思うようにいかなかった部分があったことです。ゲームイベントの部分では、とても難しいところで、もともと負荷テストが目的だったのですが、ロイヤルハート城に、「パペット」というモンスターを配置して、それを倒すというイベントを実施したのですが、「迷惑!」と言われてしまったことです(笑)。

――その理由は?

武内氏: サーバーに負荷が掛かってゲームが重くなったからです(笑)。負荷テストだから、イベントだからといって何でも楽しんでくれるわけではないんだなということと、あとはロイヤルハート城は、冒険の拠点となる街だったので、狩りに集中したい人にとっては邪魔以外の何者でもなかったなと(笑)。失敗ではないが、配慮が足りないところがあったなと思ってます。やってみて初めて気づいたのでいい勉強になりました。

【パペットラッシュイベント】
武内氏が悲しかったこととして挙げたのが「パペットラッシュイベント」の失敗。多くのユーザーが参加してくれた反面、サーバーに負荷が掛かり重くなってしまったという

――「ルーセントハート」や「DIVINA」とはゲーム性の面で近い部分がありますが、これらとの差別化についてはどのように考えていますか?

武内氏: システム自体は変わらないのは事実ですよね。インスタンスダンジョンがあって、フィールドにモンスターがいて、ギルドやクランがあって、「ルーセントハート」の場合は“ほしとも”などもあります。「ドリームドロップス」にも似たようなシステムがあったりするのですけど(笑)、大きな違いとしては細かいギミックが用意されているところや、イベントスケジュールの中にPvPイベントが組まれているところですね。PvPイベントも1種類だけではなくて、いくつもあって、ギミックも入ってる。ゲームとしてかなりひねって作られているところが違うかと思います。

――実際、CBTではユーザー層は他の2タイトルと被ってるところは感じましたか?

武内氏: CBTだけではなんとも判断ができませんが、もちろん「ルーセントハート」、「DIVINA」のユーザーも遊びに来ていましたが、「Dream Drops」は童話がモチーフということもあって、童話が好きな人が集まっていた印象がありますね。「童話」をモチーフにしたゲームをしていたって人も多かったです。あとは、童話の中でずばぬけて人気の高い「不思議の国のアリス」のファンも多いようです。ですので、アリスを前面に出して売り出しているところもあります。

――ユーザー層はいかがでしたか?

武内氏: 男女比でいえば、男性7で、女性が3ぐらいです。ただ、CBTは女性の参加率は低くなる傾向があるので、OBT以降はもっと女性比率が上がると思います。というのも、弊社で運営を行なっている「ルーセントハート」では、男女比率が6対4ぐらいで、オフラインイベントに限っては5対5ぐらいまで上がるからです。やっぱり見た目が可愛いというのが女性プレーヤーさんに対する強みになっているので、OBTが始まったらぜひ多くの女性プレーヤーさんに来ていただきたいですね。



■ 実はPvPが大好き。「パティシエにもPvPが楽しめるように調整したい」

白雪コレクションの入り口の様子

――OBTに向けての抱負を教えて下さい。

武内氏: まずは先ほどお話しした不具合の修正です。プレイしていて感じるような部分はできるだけ直した状態で開始しますし、後はアイテム関連の問題なども解消します。あとは細かいところでは、キャラクターメイキングのムービーのフォントがズレていた問題や、スキルを使うと動けなくなるバグなども直します。

 それから2つコンテンツについて追加があります。1つはウィークリークエストの追加です。もうひとつは白雪姫のダンジョンで、「白雪コレクション」という名前のレベル10から入れるインスタンスダンジョンです。ここでギミックが入っています。「白雪コレクション」に関わる6つのクエストがあるのですが、その1つにプレーヤーキャラクターが白雪姫の姿に変身して、白雪キャラになって進めるというものです。単に白雪姫になるだけではなくて、独自スキルも使えます。

 「Dream Drops」の白雪姫の設定はファッションブランドの社長で、熱狂的なファンがいるんです(笑)。白雪姫に会いたいがために、熱狂的なファンが会いに来ているというイメージで、ファンがモンスターということになります(笑)。男性キャラ、女性キャラのどちらを使っていても、同じ白雪姫のキャラクターになります。一応変装という設定です(笑)。

【白雪姫】
中央にいるのが一定の条件を満たすことで変更可能になるという白雪姫。独自スキルが使用できるという

――これまでに実装した童話の数と、今後実装予定の童話は?

武内氏: 30ぐらいですね。序盤から登場するポピュラーな童話としては、「ピーターパン」、「白雪姫」、「シンデレラ」、「不思議の国のアリス」、「人魚姫」、「マッチ売りの少女」、「裸の王様」あたりですね。今後入る予定の童話としては、「オズの魔法使い」と「赤頭巾ちゃん」があります。これらがどのような解釈で実装されるかは私もまだ聞いていませんが、これらは年内の大型アップデートのタイミングで実装されると聞いています。

――日本独自の要素はどのようなものがありますか?

武内氏: 最初に説明したモーションの変更や、童話人形劇団のオンオフ機能。これらは日本独自です。日本のユーザーさんからのご意見ということで開発に伝えたところ修正された要素です。日本のユーザーさんは細かいところまで見てくれるので、その意見をどんどん取り入れてプレイしやすい環境を作って行きたいですね。

――日本独自の童話の実装予定は? 「一寸法師」とか「三年寝太郎」、「ほら吹きほういち」とか日本全国に無数にありますが。

武内氏: 個人的には「かぐや姫」とかいいなと思ってますが、具体的な計画はまだ立てていません。今のところそういう熱心な要望も上がっていないので。

――「Dream Drops」の今後の注目点を教えて下さい。

武内氏: キャラクターメイキングで、新しいフェイスや髪型が追加されるのでぜひ試してみてもらいたいのと、ウィークリークエストや新しいインスタンスダンジョンの「白雪コレクション」を楽しんで貰いたいです。10月末から11月頭にはハロウィンイベントも期間限定で実施します。クエストを受けてアイテムを集めることで、NPCから報酬アイテムとなるアバターアイテムが手に入るという内容です。ハロウィンそのものもクエストが結構あって4つ以上あったと思います。報酬は、女性用はかぼちゃのカチューシャ、男性用はカボチャのかぶり物です。

【ハロウィンイベント】
ハロウィンイベントで獲得できるアイテム

――“ガマニア初の女性ディレクター”という位置づけを今後どう運営に活かしていくつもりか?

武内氏: 女性らしい要素を入れていくというべきなんでしょうが、結構私は男性的な性格をしてて、PvPが好きですし、かわいい系よりはバトルが好きです。可愛いゲームなのにPvPなんていらないんじゃないかとか、日本人はPvPを好まないとか色んな意見をいただいていますが、私としてはPvPイベントをいかに取っつきやすくしていくか、たとえば名前だったり、キャッチだったり、可愛らしいページ作りとかで工夫して、「あ、これ誰でも参加できるんだ」と思わせたいですね。

――女性による女性向けのPvPへのアプローチを頑張っていきたい?

武内氏: そうですね。敷居が高くないよということを伝えていきたいですね。「ルーセントハート」女子部部長の頃は、「ニコニコ生放送」とかではツンツンキャラだったのですが、実はゲーム内では「あなたはしょうがないんだからぁ」と言われるようなタイプというか、誤字とかして、あまり頼りない感じなので(笑)。

――PvPが好きということですが、「Dream Drops」のバトルは今後どう進化させていくつもりですか?

武内氏: 今後、トランプの騎士になって、2チームに分かれて戦うという「トランプ大演習」というPvPイベントが実装されます。ただ、みんな同じトランプに変身しても職業間の能力差はそのままなので、パティシエなどの支援職は参加しづらいので、そのあたりを是正していけたらいいなと考えています。

 私の中で考えているのは、パティシエは支援職で攻撃は不得意、トイソルジャーはタンクでHPも高い。この両者が戦ったらどうしてもパティシエが不利になります。しかも「お宝争奪戦」は最大200人で戦うバトルロイヤル形式なので、パティシエは勝てない。私も実際にパティシエでやってみましたが、まあ勝てない(笑)。だから、1度中に入ったら、キャラクターの能力が調整されたり、パティシエ専用の攻撃スキルとかを使えるようになればいいなと思ってます。「パティシエだから参加できないや」ではなくて、パティシエでもPvPを楽しんで貰いたいので。たぶん、OBTが始まって、みんな遊べるようになったらそういう要望がたくさんくると思います(笑)。

――正式サービスのアイテムモールはどのような品揃えになりますか?

武内氏: 回復アイテムや復活アイテムとかオーソドックスなものは一通り用意します。独自のものとしては、童話人形劇団があります。ずっと人形を出していると時間の経過によって、砂時計が減っていってゼロになると戦ってくれなくなります。それを回復するアイテムとかですね。

――ユーザーさんに向けてコメントを。

武内氏: とにかく皆さんからの要望を頂きたいです。見ていてどうしても気づきにくいところがありますが、公式ツイッターだったり、問い合わせでも構わないので意見をくれると吸収しやすいです。どんな意見でもどんどんいただけると嬉しいです。


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(C) 2012 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.

(2012年 10月 5日)

[Reported by 中村聖司]