ガマニア、「Dream Drops」開発者インタビュー

白雪姫シナリオ、トランプ大演習など新要素が明らかに


9月収録



 株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントで今秋サービス開始予定のWindows用ファンタジーMMORPG「Dream Drops」。今回、開発元PLAYCOOの開発スタッフ来日に合わせ、インタビューを行なった。

 「Dream Drops」のクローズドβテストは9月20日まで実施され、オープンβテスト、正式サービス時期は未定となっている。今回は、開発元PLAYCOO「Dream Drops」プロジェクトマネージャーのKen Cheng氏と、「Dream Drops」企画長のDennis Chen氏にオープンβテストに実装されるコンテンツを中心に話を聞いた。





■ OBTで白雪姫が登場。現代的な“強い女”に注目

PLAYCOO「Dream Drops」プロジェクトマネージャーのKen Cheng氏
「Dream Drops」企画長のDennis Chen氏

 最初に聞いたのは、「Dream Drops」で9月13日~20日まで実施されたクローズドβテストについて。Cheng氏は「レベルアップ、スピードのテンポを上げて欲しいという声がありましたね」と語った。その他のバランスに関してもユーザーの反応を元にバランスを確認しているところだという。

 「Dream Drops」は最初に4月から香港でサービスし、2番目が日本で、台湾は来年になるという。香港では童話という題材が評価されており、日本でのバージョンは香港版からさらに手を入れたものになっているという。

 なぜ童話を題材にしたのか? Cheng氏は「みんなが共有しているテーマだからです。白雪姫やシンデレラ、裸の王様などは皆子供の頃に触れている。そしてそこにオリジナル要素を盛りこみ、ユニークなアレンジにしました」と答えた。アレンジの方向性に関して、Chen氏は各スタッフが提案し、そこから様々な意見を取り入れていった。

 「Dream Drops」は実は開発スタッフの半分が女性だという。PLAYCOOのタイトルは女性向けを意識しているが、本作はさらにその方向性を強めている。ストーリーのアレンジなどだけでなく、インターフェイスなども女性としての視点を活かし、制作を進めている。

 スタッフをまとめるCheng氏は開発を進める上で、女性スタッフとのコミュニケーションは少し時間がかかったという。特にキャラクターに関しては“内面”へのこだわりに驚かされ、キャラクターは、外見だけにとどまらない性格付けが行なわれている。本作ではフック船長は子供になってしまうが、これまでの戦いで受けてしまった傷は残っているのだという。ぱっと見では目立たないが、彼の凄絶な人生は子供に姿が変わっても刻まれたままだ。このような設定なども女性スタッフからのアイディアだった。

 キャラクターに関してはCheng氏は「裸の王様」がお気に入りとのこと。裸で立っているその姿がユーモラスで好きだという。Chen氏がお気に入りなのは「白雪姫」。ただのお姫様でなく、ファッションブランドのカリスマであり、現代の強い女性として描いているという。白雪姫は、オープンβテストでのメインクエストで活躍するキャラクターとなる。

 オープンβテストでは、白雪姫以外にも「ウィークリークエスト」、「白雪姫のダンジョン」といった要素が追加される。「ウィークリークエスト」は曜日に合わせたキャラクターからクエストがもらえ、クリアすると報酬がもらえる。裸の王様やアーサー王など様々なキャラクターがクエストを依頼してくる。

 「白雪姫のダンジョン」では、白雪姫の姿になってプレーヤーが戦うことができる。姿が変わると、白雪姫専用スキルが使えるようになる。初期のダンジョンなのでソロプレイでもできるが、パーティーで全員が白雪姫になってダンジョンを攻略することもできる。このダンジョンでは裸の王様のストーリーも絡んでいく。メインのボスの他、中ボスもいる激しい戦いが体験できるものになるとのこと。

 さらに1日1回「トランプ大演習」というイベントが行なわれる。レベル45から参加できるイベントで、プレーヤーは「不思議の国のアリス」の赤と黒のトランプの兵隊となって戦う。レベルが高い方が有利となるが、実力差が縮まるようなバフがかかるという。ちなみに、オープンβテストのレベルキャップは55となり、その後も様々な要素が追加されていくとのこと。

 Cheng氏のオススメのコンテンツは「ダンジョン」。「Dream Drops」のダンジョンは様々なコンテンツを盛り込んでいて、攻略法もそれぞれ異なる。様々な方法でより有効な方法を考えていって欲しいという。Chen氏は「童話ノート」というシステムを楽しんで欲しいという。ストーリーの番外編を集め、それに関連するドールを集めていくシステムだ。メインストーリーで語れなかったキャラクターの他のストーリーをこの童話ノートを通じて体験できるようになり、プレーヤーを助けるドールを入手できる。

 「『Dream Drops』では現在30の童話をモチーフにして盛り込んでいます。ボツになったものも多くあり、今回の30の童話は全てこだわって開発しました。ぜひ楽しんで下さい」とCheng氏は語った。

ロイヤルハート城にたくさんのパペットが襲いかかってきた、パペットラッシュイベント




■ 現在の時事風俗で変化する童話の世界。今後は戦闘システムもパワーアップ

みんなで一緒にギルドを作ろう!という目的で開催された、「ギルド設立ツアー」
「みんなでお宝争奪作戦&武内ディレクターと座談会イベント」

 オープンβテスト以降のコンテンツはどのようなものになるのだろうか。Cheng氏は現在はアンデルセンの童話や、グリム童話が中心だが、今後はさらに世界の童話を積極的に取り入れたいと語った。

 例えば、台湾にはどんな童話があるだろうか? 台湾には元々住んでいる人達と、中国から来た人達がいるが、台湾に元々いる人達の民話は言うことを聞かない子供達に、「悪い子は恐い怪物が食べてしまうぞ」といったことをいう。この怪物は台湾の子供達がみんな知ってるという。

 台湾の民話は、恐い怪物と、神様が登場し、人間の間で関係を取り持つという。勧善懲悪ではなく、道徳的な雰囲気が強い。怪物も神様も様々な種類がある多神教的なもので、中国の道教の影響が強いのではないかとのこと。台湾はそれ以外にも他の宗教の影響を受けている。

 また1人の人間が神様となっていく有名な話がある。漁師の娘が主人公で、彼女は漁に出たまま帰ってこなくなってしまった父親のため、毎晩浜で光を灯すようになった。父はついに帰ってこなかったが、彼女の明かりは他の多くの漁師の目印となり、彼女が死んだ後、彼女は「漁の守り神」として漁師の信仰の対象となっていったという。こういったストーリーも盛り込んでいくのも面白いかもしれない。

 民話の話で盛り上がったのだが、Chen氏は「『Dream Drops』で強調したいのは、ただの昔話を紹介する作品ではない、ということです。童話や民話をモチーフとしながら、現代風の視点も盛り込んでいく。このアレンジこそが開発の方向性です」と語った。

 「Dream Drops」は現代の視点、時事風俗を積極的に盛り込んでいく。何故かと言えば、「Dream Drops」の世界は昔の童話のまま固まってしまった世界ではなく、現代の我々と同じように時間を進めていく、現実世界とは異なるが、確実に存在している「もう1つの現実」だからだ。このため、現実世界の我々の影響も色濃く受けていくという。

 一方、ゲーム方向からのチャレンジとしては、「コミュニティ機能の強化」、「ストーリーと密接に関連したゲームシステム」、「現在のコンテンツのブラッシュアップ」という3つの視点でコンテンツを作り込んでいく。この方向性の中で、実現タイミングが早いものは、「戦闘システムの改善」だ。戦いのテンポを上げ、さらに戦略的に、ユーザーが様々な選択肢をもてるような戦闘を実現できるシステムを企画しているという。

 「『Dream Drops』の最大の特徴は、童話のアレンジです。ユーザーの意見を取り入れ、様々な変革を行なっていくことが、我々の開発方針です。日本のユーザー、そしてガマニアジャパンと積極的にコミュニケーションを取っていきたいと思っています」とCheng氏は語った。ストーリーの見せ方や、演出なども今後さらに力を入れていくとのこと。

 最後にユーザーへのメッセージとしてCheng氏は、「おなじみの童話がどのようにアレンジされているか、ぜひ触って確かめて下さい。オープンβテストでは様々な新しい内容が詰め込まれているので、楽しみにして下さい」と語った。


(C) 2012 PlayCoo Corporation
(C) 2012 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.

(2012年 9月 28日)

[Reported by 勝田哲也]