スクエニ、「ファイナルファンタジーXIV」ディレクター/プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(後編)

新生「FFXIV」はストーリー、ゲームプレイ、グラフィックスの3本柱でリローンチに挑む!


6月5~7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 E3期間中に実施された「ファイナルファンタジーXIV」ディレクター/プロデューサー吉田直樹氏インタビュー。インタビュー前編では、インタビュー中にサプライズで見せてくれた実機デモの模様をお届けしたが、インタビュー後編では、QAをたっぷりお届けしていきたい。



■ トレーラー公開見送りについて「“もっと『FF』的な”素材が貯まってから公開した方がいいのではないかと思った」

「ファイナルファンタジーXIV」ディレクター/プロデューサー吉田直樹氏
「Agni's Philosophy -- FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO 」より

――今回事前に約束していた最新トレーラーの公開を見送ったわけですが、吉田さんがユーザーさんに対して約束を守らなかったことについて、私は結構シリアスに捉えています。実際どういった経緯で公開を見送ったのか、そのあたりからお聞かせください。

吉田直樹氏:トレーラーが完成している状態でギリギリ直前まで迷っていたのですが、僕がプレーヤーに約束している最終目標は、今の何十倍ものプレーヤーを獲得してこなければいけないということだと思っています。今回、後程「2.0」をご覧に入れる機会も作っていますが、今僕らはとにかく早く新生「XIV」をお届けしたいと思って、αとβにスケジュールの主眼を置いて開発を進めています。いわゆるファーストローンチではなく、セカンドローンチになり、しかも、約2年運営してきたアセットが大量にある中で、特に序盤のコンバートを優先しています。最初のローンチで不評だったユーザーインターフェイスや、ゲーム序盤の導線のなさ、コンテンツの足りなさなどで非常に大きなダメージを受けたので、現段階の開発はαテストとβテストの序盤に特に力を入れているんです。

 このE3という会場の中で、しかもコンソールのゲームがたくさんでてきて、おそらく「ハリウッドスタイルの演出を徹底したFPSタイトル」が大量に投下されると推測される中で、「新生 XIV」の新エンジンでのウォークスルーや単発のバトルデモを出すこともできます。確かにそれは、「FFXIV」を知っている既存のプレーヤーの皆さんにはものすごく魅力的に映ると思うのですね。他のゲームと比較もできますし。しかしより多くのプレーヤーにとっては「ああ、ウォークスルーだよね。綺麗だけど派手なシーンはないよね。もっと燃えられないの?」というネガティブを生む可能性もあります。

 それは、MMORPGのプロモーションの難しさでもあると思うのですが、そう考えた時に、いわゆる「FF」的な素材がもっともっと貯まってから一気に公開したほうが、新規のプレーヤーに対してインパクトがものすごく強いだろうと言うのが、僕が最後まで悩んで懸念して今回公開するのを1回取りやめようと言う結論に至った理由です。新生「FFXIV」をメジャーにする。たくさんのお客様を含め、既存のプレーヤーの皆さんが、誇りを持ってプレイできるゲームになること、それが吉田のもっとも重要な責任だと思ったからです。

 例えば間に合わないとか、自信がないと言うわけではなくて、MMORPGのプロモーションの難しさということと、特に開発が既存のプレーヤーに早く新生を届けてあげると言うことを大前提にしているがゆえに、例えば派手な素材を作ることは、αやβに関係のないところを作っていかなくてはならず、ある意味無駄な作業になってしまうので、それで開発にスケジュールダメージがあるくらいなら、そういった素材が潤沢にそろったタイミングで実直にPRを始めた方が誰にとっても幸せな結果になるのではないかという判断をしました。

 プレーヤーの皆さんに対して、ロードマップを公開して、これまでずっと約束を守りながらやってきました。今僕が一時的に批難されることを回避して、無理やりE3にトレイラーを出したとしても、それが「XIV」と今のプレーヤーにとって幸せな結果になるのかというと、僕はそうではないと思うのです。今、僕が約束を守れなかったことで非難されたとしても、最後は最高のゲーム体験と最高のストーリーと、最高のグラフィックスをお届けできて、多くのプレーヤーが新生「FFXIV」を楽しんでもらえるなら、それが一番良いと考えたつもりでいます。

――その代わりといってはなんですが、大量のスクリーンショットが公開されました。中にはかなり興味深いものも出てきましたね。これは盛ってない絵と考えていいのですか?

吉田氏:もちろんです。しかもまだ若干グラフィックスに関しては向上の余地があるので、あそこから15%くらいは磨いていきます。昨日「AGNI'S PHILOSOPHY-FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」をご覧になりましたか? あのエンバイロメントを調節しているスタッフが、このあとアセットのパラメータについて数値調整に参加してくれるので、彼らの数値調整が入ると、エンバイロメントは特にもう一段上がると思います。

【Agni's Philosophy -- FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO】


――今は「AGNI'S PHILOSOPHY」のテクノロジーはこの中に入っていないのですか?

吉田氏:入っていないです。これあまり言うと橋本に怒られるんですが(笑)、「AGNI'S PHILOSOPHY」のリアルタイムシェーダーなんかは、次世代の技術になってくるので、そのあたりは実装してしまうと動かなくなってしまうので入っていません。ただ、リアルタイムライティングだったり、シャドウというのは、テクノロジー推進部のグラフィックススタッフが今回のエンジンに参加しているので、そういう意味では現世代の兄弟エンジンと言えるでしょうか。

 ただ、この「XIV」の新エンジンに関してはMMORPG専用で、「XIV」に特化して僕が設計のベースとして、達成して欲しいという項目を全部あげた上で生み出されたエンジンになっているので、そういう意味ではいわゆるリアルタイムレンダリングに特化したエンジンとはまた少し毛色が違うのですね。ただ、作っているスタッフはテクノロジー推進部からの協力スタッフですし、姉妹作という言い方ができると思います。橋本は「XIV」のテクニカルディレクターでもありますし。

――先日、橋本さんに直接聞いたら、「直接は入ってないけれど、DNAくらいは入っているかも」と言ってました。

吉田氏:いい表現ですね(笑)。だから兄弟と言っていいのか、親子と言っていいのかというところです。

衛星ダラガブ

――SSの細かい話に入る前に確認したいのですが、「FFXIV」のロゴが変化していますよね。これは今後使用していくオフィシャルロゴデザインと考えていいのですか?

吉田氏:今後は少しグローバルに見て「ファイナルファンタジーXIV」とシンプルに謳っていく時にはこのロゴを使っていこうかなと思っています。

――この「I」を大きくしていますが、これはどういった意味があるのですか?

吉田氏:そこまで強力にこだわりがあるわけではないのですが(笑)、「ファイナルファンタジー」も「XIV」も変っていきますという証ですね。

――色々なカットシーンが公開されていましたけれど、球体の「衛星ダラガブ」はどのような存在なのですか?

吉田氏:あれは現行版ではもうどこにいても目前まで落下してきているのがわかるくらいに進んでいて、この秋に向けて現行版が第七霊災のフィナーレを迎えるので、そこに通じるものだと思っていただければ。ただこれは新生以降もキーワードになってきます。

――これが落ちて終わりと言うわけではなくて、ずっと浮かんでいるのですか?

吉田氏:まだ落ちるかどうかも、僕にはなんとも言えないですけどね(笑)。

――「ダラガブ」はどういった存在なのですか?

吉田氏:いま「メテオ計画」という計画が現在の「XIV」で進行中で、その究極目的がこの「ダラガブ」を使った“何か”です。ちょうどE3開けにはパッチ1.22bがリリースされて、その後1.22cがリリースされた後、1.23がリリースされるのですが、1.23でいよいよ第七霊災のフィナーレになってくるので、現行版の物語のクライマックスでこれが重要な役割を果たします。本当にもう二度と味わえないようなことをやっていますので、いわゆる「FF」のラスボスらしいラスボス戦というものも1.23で楽しんでいただけると思います。現行版もぜひお楽しみにという感じではあります。

――これは現行版で登場するだけではなく、新生版でも何らかの役割があるのですか?

吉田氏:新生版の2.0にローンチするメインストーリーの中で、エオルゼアという世界を強力に侵略しようとしているガレマール帝国との戦いに、1回ちゃんと決着をつけたいと思っています。その中に今回神として登場している召喚獣とのバトルも、もう1本のストーリーラインとして存在していて、この2つは密接に絡んできます。ここが「ファイナルファンタジー」シリーズとしてのメインストーリーになります。その横軸に長くにわたって、「第七霊災とは果たして何だったのか?」というサイドストーリーが走っていて、その中でこの衛星ダラガブが結構大きな位置を占めていますね。


■ 目を見張る美しい“新生”グラフィックス。まだ85%の出来、今後さらに磨き込みを

実機そのままの映像であることを解説する吉田氏
まさに「FF」らしい竜騎士のジャンプ攻撃のシーン。「FFXI」と異なり、滞空シーンを描いているのが大きな特徴となる

――今回公開された素材の中で特に目を引いたのは、実機で撮影したというSSです。個人的には竜騎士の大ジャンプにシビれました(笑)。これは繰り返しますが、盛ってないのですよね?

吉田氏:盛ってないですよ(笑)。盛っていたら、あのエフェクトの右側の汚いところは潰してます。

――これはどのくらいのスペックで動かしているのですか?

吉田氏:今はまだ最適化が15%しか進んでいない状態ですけれど、すでに現行の「XIV」よりは低スペックのPCで動きます。

――それでは今の「XIV」の推奨PCでこれはプレイできるのですか?

吉田氏:それは間違いないです。

――このSSを見たら、さらに重くなっているのではないかという感じがしたのですが。

吉田氏:逆ですね。もし現行がハイクオリティだと認識しているのなら、グラフィックスエンジンを作り直していません。現行版のグラフィックスエンジンは、無駄が多すぎて非効率に重いのです。特に地面のシェーダーとか。とにかく今はシェーダーを貼りすぎていて、それと物理が原因でめちゃくちゃ重くなっているのです。もっと軽く組むことができますし、新生ではシェーダーだけではなく、アンビエントオクルージョンだったり、スカイビジビリティだったり新旧の技術を含めて絵を作っていっています。

――絵作りの方向性としては、エフェクトを頑張っていこうという印象を受けました。

吉田氏:やはりポストエフェクトとポストプロセスですね。環境設定と数値です。頂点に対しての情報量だったり、後はきっちりLOD(Level of Detail)を搭載はしていく必要があるので、もちろんハイスペックPCになれば、常にハイモデルの状態でプレイすることも可能ですし、逆に使っている環境が低いとか、例えば大規模にPvPをやろうという時には、グラフィックスを落としてでもいいから快適に動かしたいという思想で、グラフィックスオプションをどんどん切ってもらえればいい。それが今回の設計思想です。

――グラフィックスの完成度は今で何%くらいなのですか?

吉田氏:クオリティで言えば85%。最適化がまだ15%という感じです。ただここから絵の品質を向上させていきながら、もっと快適に動くようにというのが今後課題です。

――ちなみにこの竜騎士のバトルシーンは、どういったシーンなのでしょうか?

吉田氏:これは単純に竜騎士のドラゴンダイブというウエポンスキルを発動した瞬間です。

――新生ではこういったシーンが当たり前のように見られるのですか?

吉田氏:はい。今回意識しているのは「ファイナルファンタジー」シリーズの最新作と言うことで、見た目的にも感覚的にも通常のコンソールの「ファイナルファンタジー」をプレイしているくらいのグラフィックスのクオリティだったり感触を大事にしています。

――これはちなみにぴょーんと飛んで、ざくっと敵を刺すのですか?

吉田氏:そうですね。

――それが周囲の全ユーザーに見えるのですか?

吉田氏:そうです。

――となると処理系は「XI」とはかなり違うのですね。

吉田氏:違いますね。

――「XI」はジャンプと、落下のモーションしか描かれませんよね。新生「FFXIV」では竜騎士が上空に上がるところまで全部描くのですか?

吉田氏:そうです。ただ、もちろんそれを描くことでその演出の時間分ストレスになるのを避けるために、ものによっては瞬間移動させてアタックさせて戻るというのもありますけど、実際今の現行の「XIV」の中でもモンクのウェポンスキルの中に瞬間移動してアタックするものがあります。

――ちなみにこれはPS3でちゃんと動くのですか?

吉田氏:もちろんです。今回は絶対にPC版とPS3版は同時発売しますので。ただ、テクスチャー解像度とMIPMAPのサイズに関しては若干落ちます。これは間違いないです。このまま動くと言ったら詐欺になってしまうので。ただ、当然、馴染ませる算段は、今ちゃんと並行で開発していますので、後はLODの距離というのがPCのハイスペックに比べると近くはなります。ハイモデル・ミドルモデル・ローモデルの切り替わりが。ただこれもかなりスムーズにじっくり見ていないと切り替わりが分からないレベルまで調整しています。ですから例えばスクリーンショットを撮るために近くに寄せて、このくらいのキャラ数で出すとたぶんPS3もPCもわからないですね。

――そこまでいきますか。ちなみにPS3の開発はどのくらい進んでいるのですか?

吉田氏:絵作りだと、エンジンは全く同じなので、残るは最適化だけです。後はチューニングレベルで、PS3のチューニングレベルはここ、PCのハイエンドのチューニングレベルはここと決めてやっているだけなので、PCのグラフィックスチューニングが今85%だとすると、PS3は今55%くらいではないでしょうかね。

――では今もう動くものはあるのですか?

吉田氏:もちろんあります。開発はAのモニターにPC版、BのモニターにPS3版を映しながら作業しています。PC版ばかり作って動かなくなっては意味がないので。ただ、たいていPC版の方でグラフィックスを盛るとPS3版の方で悲鳴が上がって(笑)、「待って待って、ちょっと最適化するから」というのをずっと繰り返している状態です。

ミコッテ男ナイトのバトルシーン

――今回はこの竜騎士といい、ミコッテのナイトといい、ジョブが前面に押し出されていますが、MMORPGとしてジョブベースのゲームになると考えていいのですか?

吉田氏:うーん、でも必ずクラスがベースにあって、その上にジョブという選択があるという風には変わらずデザインされています。ただ、今回僕らがこのスクリーンショットの中でジョブを選んだのは、ゲームプレイを推すというより「ファイナルファンタジー」ですよというところを強く出したかったのです。

――それは成功していますよね。私もまずそう思いましたし。

吉田氏:やっぱり「1.0」の時に「ファイナルファンタジー」らしくないという声をたくさん頂戴したので、今回のプロモーションの中ではより「ファイナルファンタジー」らしさというものを特にPS3のプレーヤーに向けて出して安心して「FF」シリーズの最新作だねと思っていただけるように、と考えています。

――PS3版はPS3を買えばちゃんと動くということですが、PCに関しては最終的にどのくらいのスペックを考えているのですか? 下が知りたいですね。上はまあまあわかるという話ですが。Ivy Bridgeのオンボードで動くくらい?

吉田氏:まだ言えないことも多いのですが……、αの詳細発表をするタイミングでおそらく同時に出すので、そこまでもう少し待っていただけますか? ただ、想像されているよりはこんな環境で動くの? という感じだとは思います。

――最近、驚いたのが、1つ前の世代のSundy BridgeのノートPCで「Diablo III」が動いたことですね。ここまで最適化を図るかと。

吉田氏:あれはBlizzardの思想ですね。世界中で特にアジア圏、中国圏のどこででも動くスペックのものであること。本当にそうなのですよ。中国のネットカフェで動かなければ市場が取れないのをわかっているからですよね。そこを僕が話せるということは、僕もそういった点をある程度見ているからです。

――では現行世代のオンボードのノートPCで動くことが目標?

吉田氏:ははは、中村さんうまいですねやっぱり(笑)。これはもう本当にグーグルで検索していただければいいと思います。「PS3 比較 PC」で検索すると、大体PS3と同格のPCが出てきますので、なるほどこのあたりで動くのかと思っていただければいいと思います。それが現世代のオンボードになったときに、ニアリーイコールはどれなのと見たときに、必然的にある程度見えるかなと思います。


■ 新生で新たに変わるインターフェイス、マップ、そして“ジャンプ”! 拡張パック構想も披露

メニューについて説明する吉田氏
印象的な新生「FFXIV」の会話シーン。これも「FF」らしさの演出の一環ということだ
左下のウィンドウがチャットメッセージ用のダイアログ
今回はビジュアルログはダメージだけだが、誰が何をしたのかがわかるテキストも表示可能だという
左サイドのパーティーウィンドウUIの左端に小さく表示されているのがヘイトメーター
ララフェルのジャンプ。笑顔が可愛らしい

――会話のシーンが1点だけありましたが、ダイアログが変化していますね。透過表示でもなくデザインも「FF」的というかかわいい感じですが、新生のダイアログはこれになるのですか?

吉田氏:僕は今回、PS3版を考えた時、MMO過ぎてもダメだと思っていいて、あとはやっぱり「FF」なので、特にNPCとの会話に関しては、こういうダイアログ形式でこれはゲームの世界との対話ですよ、ということを明確にしたかったんですね。ちなみに透過はできますよ。

――チャットメッセージなどはまた別のところに出すのですね。

吉田氏:そうです。この左下のウィンドウがそうですね。今回公開させていただいたスクリーンショットにも、ちゃんとそれが確認できるシーンも入れてあります。

――チャットやシステムメッセージはシンプルで機能的な今までどおりのままで行くということですね。

吉田氏:ただ、ここもカスタマイズ性をかなり盛っていますので、必要ではないメッセージはがんがん切っても構いません。

――広くしたり、複数にしたり?

吉田氏:はい。後はバトルだと例えば今ダメージ表示が出ていますが、あそこに誰が何をしたというのはある程度「ビジュアルログ」として表示しますので、あまりログウィンドウを見ていなくても大丈夫です。

――数字以外に何か表示されるのですか?

吉田氏:例えば誰が何のスキルを使っていくつのダメージをというのを簡易にビジュアルとして見えるようにしています。

――それはアイコンの形で見えるのですか?

吉田氏:いや、普通にテキストラインですよ。エフェクトっぽく出ますけど。なぜ今回それを入れていないかと言うとですね、「やっぱりMMOは情報量が多いね(汗)」となるのを避けたかったのです。だからかなりシンプルなUI構成にしています。

――実際は出したほうが便利ですよね?

吉田氏:当然出した方が便利ですが、カジュアルに遊ぶなら必要はないですね。

――これは被ダメージを受けたときにも表示されますか?

吉田氏:出ます。カラーが違うので、自分のダメージなのか敵に与えたダメージなのかはすぐにわかります。

――ヘイトコントロールも非常にやりやすくなりそうですね。

吉田氏:わかりやすくなりますね。パーティーウィンドウUIの左側に表示されているのがヘイトメーターなので、次に誰がもっともヘイトをとっているかわかります。このバーの一番長いキャラクターがヘイトトップですね。だからヒーラーはそこを見ていたり、キャスターも自分が今何位なのかを見て、今術を打っても大丈夫かなというのがわかるようになります。

――へえー。これはすごく情報量が多いですね。

吉田氏:MMOのヘビーゲーマーって、最後はこのバトルログを画面の真ん中らへんに持ってくるんですね。ログを見ながら戦って、グラフィックスは見ていない。だけど、それでは既存の現世代のプレーヤーがMMOに慣れるわけがないので、やはりここにある程度表示してあげる。PvPをやりたくて仕方がない人は、より詳細が知りたいだろうからログを見たほうがいいよという感じです。

――次にララフェルがジャンプしているカット。これは本当にジャンプなのですか? カットシーンでそう見えているのではなく?

吉田氏:ジャンプです。

――任意でジャンプできるのですか?

吉田氏:できます。全種族できます。普通のジャンプです。

――ちょっとしたところだったらジャンプで上れたりも?

吉田氏:できます。

――それはもうゲームの行動様式が変わりますね。

吉田氏:それが狙いです。それ前提にマップを全部作り直していますので。

――今はちょっとした凹凸でもすごく遠回りしなくちゃいけないじゃないですか。

吉田氏:そういったことはまったくないです。ただ、角度で上れるかどうかを判定していますので、見た目60度以上の場所は登れません、とか。それの実験風景なんかも今後プロモーションサイトで開発の進捗にあわせて公開していこうかなと思っています。

――今後は崖をバーッと降りられる?

吉田氏:はい。グラフィックスが壊れない限界までは大丈夫です。道がなければ歩けないということはないですね、もう。ただ、あまりに高いところは、複雑骨折させるわけにはいかないので(笑)、落ちないように柵などを設けるかもしれません。

――自由な上り下りという点では逆にキャラクターのスタックが怖いですね。

吉田氏:すみません、そこはもうデジョンかレポートしてくださいという(笑)。もちろん、きっちりデバッグは行なった上での極論ではありますが、それでも僕はその怖さより自由度の方がゲームは大切だと思っています。

――このジャンプや飛び降りによって新しいゲーム性は何か加わるのですか?

吉田氏:僕は、そこは逆にアクション性はあまり持たせるべきではないと思っているので、やはり表現だったり、移動の1つの方法として使っていただければそれでいいかなと思っています。僕は地面に縛り付けられている感じが本当に嫌なので、町の中を走っている時に、楽しいからずっとジャンプをしていてもぜんぜんいいんじゃないのと思っています。

――例えばチョコボもジャンプできるのですか?

吉田氏:そこはまだ意見が分かれています(笑)。さすがにチョコボのランディング中に、かなりアニメーションを複雑に作っているので、あれで飛ばすと足がばたつくから嫌だと言ってるんですけど、海外のMMOをやってきている連中は「チョコボに乗っていても飛びたい!」と言っていて、それがカートゥーンテイストで、デフォルメ化されたキャラクターなら許せても、「XIV」のこのリアルなグラフィックスではしんどくないかなという(笑)。もちろん技術的には飛ばすことは可能です。

「FFXI」の拡張ディスク第1弾「ジラートの幻影」で実装された最終目的地「トゥー・リア」。天空の城を求めて多くの冒険者がミッションにチャレンジした。新生「FFXIV」でもこの流れが生み出せるのだろうか?
新生「FFXIV」のチョコボは乗るだけでなく共に戦うこともできる
2011年10月に新生「FFXIV」を正式発表した際に公開されたSS。チョコボが共に戦っているのがわかる

――チョコボというと、「FF」の過去のシリーズでは空を飛べるものもありましたけど、空飛ぶチョコボをはじめ、空に対するアクセスはどうなんでしょうか?

吉田氏:僕は次は水にいくか、空に行くかというのを、次の拡張パックのコンセプトはどっちにしようかという考えを持っていたりします。だからその辺は2.0よりももう少し先の話ですね。

――それは2.5とかではなく、2.0の拡張パック?

吉田氏:まあ、エクスパンションですね。海か空かの2つで迷っていたりします。まあフォーラムでも以前にそこに関しては触れています。飛空艇でいくか、海の底でいくか、ですよね。

――「XI」でいうところのトゥー・リアやアルタユを彷彿とさせますね。

吉田氏:チョコボに関しては2.0のタイミングで、育成が入ってくるのと、装備チェンジが入ってきます。

――何の装備ですか?

吉田氏:チョコボ専用の装備です。タンク、ヒーラー、キャスター、アタッカーと4タイプのチョコボをどう育てるかというのを導入します。実際に一番最初に公開したスクリーンショットのように一緒に連れて戦わせることができます。

――わざわざ1回降りて戦うことになるのですか?

吉田氏:そうです。乗りながらではないです。今は呼んだらすぐに乗ってしまいますけれど、今後は呼んだ時に乗るのか連れて歩くのかを選べるようになります。ただ移動をするときには乗って目的地まで行って、戦うときには降りて戦うというイメージですね。

――乗ったまま戦うことは?

吉田氏:それは関しては将来的に別に専用のコンテンツを考えています。

――将来的には実現するのですか?

吉田氏:やりたいとは思いますが、四六時中チョコボで戦うのは、例えばさっきの竜騎士のドラゴンダイブをしたとき、じゃあチョコボに乗った状態からどうするんだというのがあるじゃないですか。そこまで絵を崩すつもりはないですし、やはり「FF」なので。だからそれはあくまでチョコボに乗ったまま戦う騎兵戦コンテンツのようなものを新たに用意した方がいいという話はしています。

――チョコボが戦うことに関しては、「XI」のフェローのようなイメージを考えていいのですか?

吉田氏:そうです。そう思っていただいていいと思います。僕らは「バディ」と呼んでいます。

――園芸師や甲冑師といった職業もイメージイラストで新たなイメージが表現されていましたが、あれは生産系に対するアピールですか?

吉田氏:園芸師と甲冑師はもともとある生産系のクラスなのですが、1.0では彼らの専用コスチュームが一切なかったので、今回全部きっちり作っているということです。「わりとクラフターやギャザラーって置いてけぼりだよね」という話をよくされているので、いや、ちゃんと見てますよと。

――それでは今後もしっかり生産系はアップデートされていく?

吉田氏:もちろんです。新しいシステムにもなりますし。

――モンスターのイラストの中にケット・シーがありましたが、今回はモンスターという扱いなのですか?

吉田氏:そこはまだお話できません。これからです。ただ登場しますよということだけです。

――後はティアマットのようなHNMクラスのモンスターも色々と出ていますが、今後こういったものも出てくるのですか?

吉田氏:現在もやっていますが、いわゆるインスタンスレイドのように超大型の高レベルコンテンツあたりのボスになると覚えていただければ。

――これは何人くらいで戦うことを想定しているのですか?

吉田氏:まだお答えできないですが、最低でも8人ではありますね。ただどう倒すかというのはコンテンツの腕の見せ所でもあります。例えば直接殴るだけが能じゃないですから。

――この規模のモンスターで8人はいささか少ない気もしますが……。

吉田氏:う~ん、まだ「アライアンス」向けのコンテンツボスの可能性もありますし。

――まだ迷っているということですか?

吉田氏:これだけの大仕掛けモンスターになると、最終的なレベルデザイン案がでてきてからFIXさせようと思っています。とにかく「XIV」はこのグラフィックスクオリティですから、既存のMMOよりモンスターの発注から完成までものすごく時間がかかるのです。だから使いかが決まってから発注したら間に合わないので、先行してどんどん作っていっているのです。で、最後の調整だけ残して、コンテンツの企画とマッチさせてから、完成させるという形をとっています。

――最後のほうに家屋のイラストもありましたが、あれは何なのかというのが1つと、あとはハウジングの計画についても、現在どうなっているのか教えてください。

吉田氏:ハウジングは進行中です。このイラストはハウジングではありません。これはグリダニアの新しい拠点になる場所です。色々な場所に拠点が増えるので。今は「集落」と呼んでいます。

――町のような存在と考えていいのですか?

吉田氏:うーん、町と呼べるかどうか。町といっても人によって印象が違うでしょうから。

――いくつくらいできるのですか?

吉田氏:各リージョンに結構ありますよ。5つ、6つくらいは平均的にあるのではないでしょうか。拠点は結構ありますよ。NPCがいて、クエストをたくさん持っています。その1つがここになります。今まではエーテライトがおいてあって、ちょっと柵があっただけだったと思います。

――他にはどんな機能があるのですか?

吉田氏:基本的には町にある機能の大部分。簡易の宿屋も入ってきますし、レストボーナスが首都に帰らなければ入らないわけではないので。しばらくこのレベル帯だったらここを拠点にして、クエストやってモンスターを狩って、ダンジョンに行ってログアウトして、レベルが上がったら次の拠点に移動してという感じです。

――ハウジングについてですが、どういったイメージでいま進められているのですか?

吉田氏:今最終的にアセットの物量を洗い出しているところで、コンセプトアートはほぼ完成しています。βのころには色々情報が出せるのではないかと思います。

――現時点ではまだお話できない?

吉田氏:そうですね。基本的にはかなりカスタム性が高いハウジングシステムにしています。

――ハウジングは「ウルティマオンライン」みたいなフィジカルな家屋を土地とどんと建てるようなイメージなのですか? それとも「XI」のアパートメントタイプ?

吉田氏:フィジカルです。庭もありますので、色々想像していただけたらと思います。

――それは楽しみですね。用地はどうなるのですか?

吉田氏:土地は専用のインスタンスゾーンを作ります。増えてきたらインスタンスして増やしますし、土地争いが起きないようにはしています。


(吉田氏のデモンストレーションへ)


【イメージイラスト(装備/モンスター)】

【イメージイラスト(フィールド/建物)】



■ デモンストレーションを終えて。サーバーサイドのルート判断は新たにナビゲーションメッシュを採用

戦士が活躍するプリレンダームービー
黒衣森にたたずむ男ミコッテ。これだけリッチな環境であるにもかかわらず、動作は驚くほど軽い!
デモで見た画面もこれとほぼ同じインターフェイスだった
奥に見えるのが新生「FFXIV」で新たな冒険の拠点となる「集落」

――今回見たデモは、E3会場ということもあってオフライン版ということですが、現行の「FFXIV」はサーバーのレスポンスはあまり良くありませんが、新生ではこの辺はどのようになりそうですか?

吉田氏:まず、そのサーバーのレスポンスの悪さというのが、ちょっと誤解を受けているところがあって、既存の「FFXIV」はアニメーションが1つ完了しないと次のアニメーションが再生できないというアニメーションエンジンの問題もあるのです。ですから、サーバーレスポンスはきていても、アニメーションが終わっていないから動けないとか、次のアクションにいけないというのが、よく“もっさり”という言われ方をしている状態です。

 実際どのMMOもそうですが、クライアントはサーバーのレスポンスを待たなくても動きます。今がそうであるように、どのMMOも移動する時、一々サーバーのレスポンスを待って移動しているわけではないのです。だからよく言われる“もっさり”はサーバーレスポンスではなく、アニメーションエンジンの問題なのです。ここのアニメーションの問題ではなく。今回はそこも全部作り直しています。エフェクトエンジンもですね。

――サーバーに関しては三宅さんが、AI、アルゴリズムいろいろなところを含めて最適化を図っているということですが、具体的にどのようなことをやっているのでしょうか?

吉田氏:今回は、いわゆる昔ながらのゲームの作り方のパスという概念ではなくて、ナビゲーションメッシュというポリゴンから生成したメッシュでAIのルート判断をしていたりしているので、そういう意味では現世代。よくFPSでやっているようなAIになります。それをさらに先鋭化して軽いAIにしてもらっているので、そのあたりでもサーバーレスポンスの向上はかなり図れますね。

――インターフェイスはほぼ完成と見ていいのですか?

吉田氏:MMORPGのインターフェイスって限りがないくらいに多いので基本的に完成はないのですが、これはまだ入れようと思っていた仕様が100%は入ってないですね。基本セットはもう動いているのですが、サービスをより快適に遊んでもらうために、まだ仕様を盛っている最中です。例えば大きな機能として入ってくるのが「フリーカンパニー」というコミュニティーをより強力にするもので、他のMMOでいう所謂ギルドですね。そこに関してのUIも相当量あります。ギルドでアタックするコンテンツもありますし、専用の成長軸もあります。

――非常に美しいグラフィックスでしたが、グラフィックスエンジンは仕様としてはもうほぼ完成していると考えていいのですか?

吉田氏:あともう少し、まだウォーターシェーダーも、最終的なファーシェーダーも入っていないので、それを今作っている最中です。

――「XIV」の水もかなり綺麗でしたけど、また変わるわけですか?

吉田氏:はい。何でもシェーダーで解決しようとしすぎているのが、現在のエンジンの悪いところなので。

――この劇的な変化は、後日、ビフォアアフターみたいに比較可能な形で公開されるのですか?

吉田氏:さすがにそれはカッコ悪いかなと思います(苦笑)。やらなくても、きっとプレーヤーの皆さんがやると思うのです。こだわりの範疇になるのですが、今まで単なるインスタンスの繰り返しではできなかった拠点に近づいて人間の生活圏がある石畳があって、抜けるとその印象が消えていってというあたりなんかは、新生エンジンで本当に1つ1つこだわっています。

――フィールドマップにアクティブなオブジェクトは何かあるのですか?

吉田氏:宝箱以外にということですか? もちろんものによっては、動いているものもありますよ。

――例えばどういったものがあるのですか?

吉田氏:それも言えないですね。せっかくなのでものを見て驚いてもらいたいです。

――設定だと、壊れたエーテライトはゆらゆらゆれているとありますね。

吉田氏:そういったものはもちろんあります。後はウルダハ近郊の資源を掘っている巨大なオブジェクトが動いていたり。

――線路もありましたが、列車が走ったりするのですか?

吉田氏:内緒です(笑)。

――集落にはエーテライトが見当たりませんでしたが、なくなるのですか?

吉田氏:もちろん実際にはあります。現在、最新版の方で調整をしているからです。オブジェクトはまだ調整しているので、1回はずしているのです。

――実際にはNPCもいて、PCもいて、賑わうわけですね?

吉田氏:そうですね。



■ 新生「FFXIV」はストーリー、ゲームプレイ、グラフィックスの3本柱

正式サービスに関しては焦っていないという吉田氏。ビジネス的に今期中はマストのはずだが、βテスト期間を可能な限り長く取る可能性は非常に高そうだ
最新のロードマップ。実はβテストの開始時期は明示してあっても、正式サービスの開始時期は明示していない

――新生「FF XIV」はどのようなMMORPGにしたいと考えていますか?

吉田氏:すごくざっくりとした説明になりますが、3本の柱を考えています。「FFXIV」は MMORPGである前に「FF」の最新作なので、1つが最高のストーリー、もう1つが最高のゲームプレイをプレーヤーに届けたい。3つめがその2つをできるだけ長く、しかも常に最新かのように没入感を持って遊べるようなグラフィックスです。

 「1.0」の時にはグラフィックスは美しいと言ってもらえた。ただ、ストーリーとゲームプレイが足りなかったというか、2本の柱が折れていた。MMORPGなので、この3つの柱の上にコミュニティが乗って、初めて「XIV」が完成すると思っています。今現行版はずっとこの足りない2本の足をなんとか修正してパッチをあて、なんとかバランスが取れるように努力していますが、まだちょっといびつです。例えばグラフィックスエンジンだって、まっすぐ1本立っていてくれたら作り直す必要はなかったと思うのです。でもその上にもコミュニティがあって、逆に僕らを支えてくれている状態だった。それを、僕らが提供するこの3つの柱の上にコミュニティが安心して乗っかれるようにするのが、僕が目指している「FF」の姿です。

 僕がこだわっているのは、召還獣ひとつとってもそうですし、チョコボもモーグリもそうですが、全世代が「ファイナルファンタジー」ってこれだよねと思えるような、さっきジョブの話もしましたが、安心してああ「FF」だと思ってもらえることが一番かと思っています。

――このゲームの最大の魅力は「FF」であることですか?

吉田氏:はい。そこを忘れるのであれば、僕は「ファイナルファンタジー」である必要はないと思っていますので。

――ちょうど姉妹作の「XI」も10周年を迎えます。「XI」との連携を求めている人も多いと思うのですが、そこはどうなのでしょうか?

吉田氏:まずは「XI」という10年の歴史があって、非常に安定したコミュニティがあって、ゲームシステムも安定しているところに「XIV」が並ぶことが先かなと思っているのです。その上で連携してより相乗効果を出せばいいと。ようは、「FFXIV」が「FFXI」に助けてもらうような関係だと、足を引っ張ってしまう可能性があるので、僕はまず2.0で3つの柱の上にしっかりとコミュニティが形成されて、「FFXI」のように安定したサービスの状態を作るべきかなと思っています。その上で連携した方が、より相乗効果は大きいですよね。

――繰り返しになりますが、PS3版について、サービススケジュールの遅延はまったくないのですか?

吉田氏:ありません。

――全体のサービススケジュールも順調に進んでいますか?

吉田氏:今、ぎりぎりのスケジュールです(笑)。

――外から見ていると少し遅れているのかなという心配もあったのですが。

吉田氏:綱渡りですが、今はまだ大丈夫ですね。現行版のパッチも一時期遅れましたが、なんとかスケジュール的には挽回できましたし。

――なるほど、しかし、パッチ1.22は予定よりかなり長く引っ張ってますよね。それはなぜなのですか?

吉田氏:単純にやりたいことが多すぎるからです(苦笑)。大人数のスタッフが新生のチームに移行していく中で、人数が少ないのにあれもやりたい、これもやりたいといって。あれだけの物量をちょっと信じられないくらい少ない人数でやってくれています。「FFXIV」のスタッフは、特に現行プレーヤーに支えられているという意識がものすごく強いので、少しでも良いものを、少しでも遊べるものを、例え新生で捨てることになってもいいからという思いがすごく強い。僕は作り手としてその思いを止めたくないのです。でもそれを全部盛ってしまうと、パッチリリースまで3カ月かかるよというのは、さすがにプレーヤーの皆さんも待てないだろうと思います。1.22からはでき次第だそうということで、ワークフローを修正して、最終局面に向けて、とにかく「楽しんで貰おう」が方針になりました。

――今後、最後のアップデートとなるパッチ1.23の実装が予定されていますが、その後は一度サーバーダウンしてβテストに移行する予定ですか?

吉田氏:そこに関しては、まずは新生版のαテストを9月末くらいに行ないたいと思っています。それはサーバー負荷試験ですね。その後、βに入りますけれど、フィードバックを徹底的にいただいて、βの期間中にどんどんゲームの比率を上げていこうと思っているのですね。で、そこが、ファーストインプレッションでどのくらいの量がきて、どのくらいクリティカルかということによって、現行版をどこまで引っ張るかというのが変わってくると思います。

――1.23とαテストは同時進行という形でいいのですか?

吉田氏:リリースは1.23の方が早いです。ただ今と同じように1.23aとかbとかいうものが予定はされています。

――1度完全にサーバーを閉じてから新生に変わるのですか?

吉田氏:いや、αテストは現行版と並行すると思います。

――公式トレーラーの最初の公開は8月ということを宣言されましたけれど、8月にはどのようなプロモーションを予定されているのでしょうか?

吉田氏:そこはもう少し時間をください。トレーラーだけでなく、インゲームの情報もそうですし、PS3の情報も出していきたいと思っています。

――8月にはgamescomがありますよね。そこでプレイアブルを出す可能性はあるのですか?

吉田氏:一般のプレーヤーに向けてのプレイアブルという意味で言うと、まだ何も決めてないです。ただ、これは僕の個人的な主観だと思っていただいて構わないですが、どのイベントでどのMMOをやっても、短い時間でのプレイアブルって、お客さんがついてすごく楽しそうにやっているのを見たことがないのですね。中村さんがご存知のようにMMOの序盤をプレイしたからといって、そのゲームの良さがわかりますかという話で。じゃあ、エンドコンテンツのものすごく派手なものを用意して、パーティープレイをしてくださいと言っても、素人で始めてプレイした人では、回復役なのにボスを殴りにいって、すぐに即全滅すると思うのですね。

――確かにそうですね。

吉田氏:僕はそこはやはり「FF」らしさを推して、インゲームの素材というものをちゃんとPRする方がいいのではないかと思っています。だからといってそれをやるというわけではないですよ。ただ僕はこれまで何度かE3に来ている時に、MMOがプレイアブルで置いてあるのを見たときに、実際に自分でも遊んでみて「う~ん」と(笑)。特にMMORPG経験のないプレーヤーの方には、むしろマイナスだなあ、と。

――サービススケジュールに関しては、以前に発表されたロードマップと同じですか?

吉田氏:今のところあまり変化はないですね。できるだけあれを達成すべく動いてます。

――正式サービス開始時期は?

吉田氏:日付は入れていないと思います。線だけ引いてあるだけで。でも「今年の冬には」という言い方を今回させていただいています。冬には色々な方がつながっている状態になるのではないかと思います。

――正式サービスをいつ始めるかは、あまり焦ってない感じですね。

吉田氏:僕は焦っていないです。今回はゲームの品質がすべてだと思っているので。僕はさっき言った3つの柱の特に最後のゲームプレイがダメだと、いかに高品質なグラフィックスとストーリーがあっても誰もプレイしないと思うので。あとはやはりユーザーインターフェイスですね。

――先ほど、拡張パックという表現がありましたが、これに関してはもうコミットする形で開発が進んでいるのですか?

吉田氏:まずは「2.0」です。その目処が立ったらチームを分けるなりすると思います。

――少なくとも「XIV」では拡張パックビジネスを展開していく?

吉田氏:それはわからないです。拡張パックという言い方をするかどうかも。このビジネスモデルは、そろそろ古いなと思っていたりはするので。

――それでは追加の有料コンテンツを配信したりという形もあったりするのでしょうか?

吉田氏:市場の反応を見て決めますが、必ずしも画一的な拡張パックがいいかどうかはわからないですね。

――最後に日本のユーザーさん、グローバルのユーザーさんに向けてメッセージをお願いします。

吉田氏:今回「ファイナルファンタジーXIV Version2.0」という言い方をして全面的に作り直してリローンチを迎えようとしていますが、改めて「ファイナルファンタジー」シリーズの正統最新作として、ストーリーもグラフィックスもゲームプレイも最高のものをお届けするために僕ら突っ走り続けています。今回のスクリーンショットを皮切りに、これから情報公開が始まります。ぜひそこを見ていただきながら、楽しみに待っていただけるとうれしいかなと思います。

――頑張って下さい。ありがとうございました。


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(2012年 6月 9日)

[Reported by 中村聖司]