「Call of Duty: Warzone Mobile」開発者インタビュー。リアルなグラフィックとゲームプレイは業界最高峰

　Activision Blizzardが3月21日に全世界でローンチするAndroid/iOS用FPS「Call of Duty: Warzone Mobile」。PCやコンソールの「Call of Duty」をベースにバトルロイヤル体験ができるゲームとしてPCやコンソールでリリースされている「Call of Duty: Warzone」をモバイル端末に落とし込んだ作品だ。

　今回はローンチに先駆け、本作の開発を手がけるSolid State StudiosのデザインディレクターであるTom Hess氏にインタビューをすることができた。

　本作の開発で重要視した内容や、独自のコンテンツ、今後の展開や、コラボレーションまで、ファンとして気になる内容について様々な情報を伺うことができたので、ぜひチェックしてほしい。

Solid State Studios/Activisionのエグゼクティブ・プロデューサー兼デザイン・ディレクターのTome Hess氏

いつでもどこでも「CoD」を。PC/コンソール版の体験をモバイルに落とし込む

――「Call of Duty」らしさはどういうもので、それをモバイル版に落とし込むにあたり重要視したことは何ですか？

Hess氏：「Call of Duty」らしさとしては、「Warzone」で体験できる要素を大事にしていることです。「Warzone」の体験はユニークなので、モバイルゲームにはないその体験をモバイル版に落とし込むことが重要でした。

　「Call of Duty」の素晴らしい要素はたくさんありますが、モバイルの画面やタッチスクリーンに最適化するのが難しかったです。プレイ時間もPC版やコンソール版のプレーヤーとは異なるため、「Call of Duty」らしさを維持しつつ、モバイルユーザーのプレイ時間に合わせることが調整のポイントでした。

――「Warzoneモバイル」では、PC版やコンソール版のコンテンツをモバイルに落とし込んだイメージですが、モバイル独自のコンテンツはありますか？

Hess氏：モバイル専用のコンテンツについても検討しています。例えば、モバイルの方がプレイ時間が短いことを考慮し、モバイル用のゲームモードを用意しています。また、既存の「Warzone」になかった新しいゲームモードも考案中です。PC版やコンソール版になかった新しい仕様もモバイル版で試しており、うまくいったものはPC版やコンソール版に導入することも検討しています。モバイルならではのゲーム体験を提供するため、新しい挑戦を続けていきます。

――他のモバイルバトルロイヤルゲームと比べた際の、本作の強みは何ですか？

Hess氏：最大の強みは、PC版やコンソール版の良い点をすべてモバイルに持ち込んでいることです。リアルなグラフィックとゲームプレイは業界最高峰と言えますし、20年間培ってきた多くのコンテンツや武器、そしてそれらの調整ノウハウを活かし、ファンが好きな要素を全て詰め込んでいます。

――「Call of Duty: Mobile」にもバトルロイヤルモードがありますが、本作との違いは何ですか？

Hess氏：本作はバトルロイヤルに特化しており、全ての開発リソースをバトルロイヤルに集中させています。「Call of Duty」のエンジンをそのまま使用することで、これまでのモバイルになかった高いクオリティのバトルロイヤルを提供できます。そのため、PC/コンソール版と同様の感覚や味わいを、モバイルでも楽しむことができ、その点で差別化を図っています。

――クロスプログレッションを実現しようと考えたきっかけと、実現する上で大変だったことは何ですか？

Hess氏：最初から全プラットフォームでのクロスプログレッションを考えていました。それは、「Call of Duty」を遊んでいたプレイヤーがどのプラットフォームでも遊べるようにしたいという思いと、モバイルユーザーにも「Call of Duty」の素晴らしさを知ってほしいという思いがあったためです。

　これにより、いつでもどこでも「Call of Duty」が遊べるようになりました。モバイルでしか遊ばない人にとっては新しく素晴らしい体験ができ、PC版やコンソール版を遊んでいる人にとっては、その体験をいつでもどこでも持ち運べる。プレイヤーがPCから離席したときにも、手軽に遊べるようにするのが一番の目的でした。

――PC版やコンソール版とモバイル版では操作性が大きく異なりますが、操作性に対してどのような工夫を行いましたか？

Hess氏：モバイル特有の操作性が重要だと考え、専用の設定メニューを用意しました。また、「Call of Duty」の武器のロードアウト設定のように、操作性のロードアウトも用意しており、プレーヤーは好みに合わせて設定し、保存することができます。また、自動化機能も多数用意しているため、初めてのFPSで操作が難しいと感じるプレイヤーにはアシスト機能も提供します。さらに、Bluetoothコントローラーにも対応しているので、コントローラーでのプレイを好むプレイヤーはそちらを使っていただければと思います。

――モバイル版でグラフィックの高い品質を維持するために、どのような工夫や苦労がありましたか？ また、モバイルでも快適に動作させるための工夫を教えてください。

Hess氏：長年培ってきた技術の進歩により、高品質なグラフィックをモバイルでも再現することができました。アセットを最適化し、モバイルでも快適に動作するようにしています。ここまで上手くいったのは、多大な努力の賜物です。最適化に成功した後は、フレームレートや滑らかなアニメーションを実現するための微調整に時間を費やすことができました。また、デバイスメーカーも本作に興味を示し、協力的だったことも開発を後押ししました。私たちにとっても良い経験となり、現時点では本当にユーザーの手に届けたい完成度の高い作品ができあがっていると自負しています。

――一部の地域で実施されたソフトローンチでは、どのようなフィードバックがあり、それをグローバルローンチにどのように活かしましたか？

Hess氏：ソフトローンチでの反応は非常に良好で、プレーヤーからのフィードバックもポジティブなものが多数寄せられています。ソフトローンチは、私たちが理想とする状態でゲームをリリースするための試金石となりました。期間中は継続的に改善を重ね、ゲームはかなり良い状態になっていると感じています。

　グローバルローンチに向けては、新コンテンツも用意しており、ワクワクするような企画を準備しています。ゲームプレイは目標としていたレベルに到達し、武器のチューニングなども入念に行われています。このタイミングで何千というバグも修正できたので、ローンチ時には完成度の高い体験を提供できると確信しています。

――武器やマップのバランス調整はどのような頻度で実施される予定ですか？

Hess氏：武器やマップのバランス調整は、PC版やコンソール版と同様の方針で行われます。特定の武器が強すぎるのは好ましくないため、武器間の公平性を保つことが重要だと考えています。新シーズンで新武器が登場する際には、シーズン開始時にバランス調整を実施しますし、ゲームの状況を常に監視し、バランスに問題がある場合には適宜調整を行います。

――PC版やコンソール版では対戦以外にも、マップ内の探索やイースターエッグ、隠しイベントを見つける楽しみがあります。本作でも、そのような独自のコンテンツを用意する予定はありますか？

Hess氏：現時点では、本作専用のイースターエッグは用意していません。ただし、今後ユーザーが楽しめるようなコンテンツを追加する可能性はあります。具体的な内容については現在のところお伝えできませんが、プレイヤーに楽しんでいただけるような企画を検討中です。

――モバイル版では操作感の違いから、PC版やコンソール版とは異なるメタが形成されると予想されます。武器のバランス調整はモバイル版独自に行われるのでしょうか？

Hess氏：現在はPC/コンソール版の武器チューニングに準拠することを目指しています。PC版やコンソール版のデータを基に調整を行いつつ、モバイル版特有のプレイ傾向の違いも考慮に入れていく予定です。必要に応じてモバイル専用のチューニングを行うことも視野に入れていますが、現時点では武器のバランスは良好で、PC/コンソール版の調整がモバイルでもうまく機能していると考えています。

　武器チューニングは「Call of Duty」とほかのゲームを差別化する要素の1つだと認識しているため、その体験をモバイル版でも提供することを重視しています。まずは既存のメタをモバイルに持ち込み、プレイヤーの行動パターンを分析した上で、必要ならばモバイル専用の調整を行う方針です。

――ほかのゲームとのコラボレーションなど、ゲームを盛り上げるための施策は予定されていますか？

Hess氏：コラボレーションには積極的に取り組んでいく予定です。現在ソフトローンチ中の版ではすでに「ウォーキング・デッド」とのコラボレーションコンテンツを楽しめます。また、今後も他の「Call of Duty」フランチャイズとのコラボレーションを実施する予定です。

　モバイル専用のコラボレーションコンテンツの提供も検討しており、新シーズンごとに新たなパートナーシップを築いていければと考えています。グローバルローンチに合わせて大規模なコラボレーションも用意しているので、ぜひ楽しみにしていてください。

――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

Hess氏：このゲームの開発は本当に愛に溢れた作業でした。ゲームの開発を進める中で、私自身もモバイル版でのプレイを心待ちにしています。日本のプレイヤーの皆さんにも存分に楽しんでいただけると確信しています。ゴールデンウィーク頃にはサプライズをご用意しているので、ご期待ください。本作には大ヒットの可能性が充分にあると感じています。世界中でのローンチを楽しみにしていますし、日本のユーザーの皆さんにも喜んでいただけるはずです。ぜひ発売をお待ちいただければと思います。

――ありがとうございました。