インタビュー

「リネージュ2」統括プロデューサーの新井友和氏インタビュー

初となるサーバー改編には大きな手応え。"分岐"を迎えるクラシックサービスなどのアップデート情報も

6月7日配信

 エヌシージャパンは、PC用MMORPG「リネージュ2」において、大規模なサーバー改編を5月23日に実施した。続く6月7日にはライブサービス、クラシックサービス共に多くのアップデートを予定している。

 そこで今回は「リネージュ2」初となるサーバー改編の狙いや、現在の状況、そして6月7日のアップデート情報について統括プロデューサーの新井友和氏にインタビューすることができたので、その内容をお伝えしたい。

痛みを伴ったサーバー改編の背景と現状について

「リネージュ2」統括プロデューサー新井友和氏

――本日はよろしくおねがいします。まずは5月23日に実施されたライブサービスのサーバー改編についてお教えいただけますか?

新井氏:既存のサーバーのプレーヤーさんに新サーバーに移動してもらうという形で、12サーバーから3サーバーに改編いたしました。これは「リネージュ2」の14年に渡るサービスのなかで初めてのことです。

 経緯としては。2017年の大型アップデートでライブサービスの最後のボスが登場したのですが、パーティーのマッチング数の減少など人数的な問題で不便を感じる状況が発生していました。

 プレーヤーさんからも改編を望む多くの声をいただいていて、会社としては2014年位から検討していました。当初はメガサーバー化を検討していたのですが「リネージュ2」はチャンネル化などを前提とした設計ではなく、技術的に難しい部分もありましたので、今回のサーバー改編という結論に至りました。

――その結論に至るまでにはかなり悩まれましたか?

新井氏:当然プレーヤーさんは痛みを伴うことになりますので、私としては苦渋の決断でした。ただ、サーバー改編から1週間程度が経過した現段階(編注:6月1日時点)では、接続者数が1.5から1.8倍くらいに増えています。これは休眠されていたプレーヤーさんも帰ってきてくれているということで、今のところサーバー改編は成功していると言えるのではないかなと思います。

 また、サーバー改編は大変でしたし若干のトラブルもありましたが、開始時刻も含めて事前に告知させていただいた通りのサービスを提供することができました。実は改編に関しての全責任を負う代わりに作業を私の裁量で実施できたので、お約束を守れるように全力を尽くしました(笑)。

――キャラクターの名前は移動ではなく新規取得という形でしたよね。この形式についてプレーヤーからの反応はいかがでしたか?

新井氏:やはりプレーヤーさんがサーバー改編に当たって1番気にされていたのは、愛着のあるキャラクターの名前です。悩ましいところだったのですが、ここは平等に取得は""早い者勝ち"にしました。告知通り10時にオープンしましたので不公平感も軽減できたかと思いますし、実際大きなクレームなどもありませんでした。

 また、早いもの勝ちということで焦って誤った名前を登録してしまった方もいらっしゃると思いますので、アフターケアとしてキャラクターの名前の変更も受付けております。

――新サーバーではすぐにレベル85になれる「ヴァルタス騎士団」が無いようなのですが、これはなぜですか?

新井氏:今回はプレーヤー間でコミュニケーションを楽しんでいただくという目的で、Lv1からスタートする仕組みを導入させていただきました。

 社内では「高レベルにジャンプアップする仕組みを入れたほうが良いんじゃないか」という討論もありましたが、私の判断でそれは絶対入れないという方針で進めました。レベルを上げるというのもMMORPGの1つの楽しみですので、そこを楽しんでもらいたかったのです。

 意外だったのが新サーバー登場直後よりも、改編の1週間後くらいからプレーヤーが増えてきたんですね。熟練のプレーヤーさんは最初は狩場が混雑していることをよくご存じなので、あえて外してきたのかもしれません(笑)。実際1日、2日のズレは誤差ですし、現時点でも右肩上がりで人が増えている状況ですので、このまま推移していけばと思います。7月31日までは無料でプレイできますので、この機会にぜひ古き良きMMORPGを楽しんでいただきたいと思います。

――無料期間が終わる7月31日が1つの大きな山になりそうですね。

新井氏:そうですね、ただ基本プレイ無料にするのはとても難しくて、1度基本プレイ無料にしてしまうともう有料には戻れないという事情もあります。ただ、バランス調整などやアップデートなども継続して行なっておりますし、逆にある意味月額2,000円さえ払えば遊べるという安心感はあるのかなと思います。

――トータルで見ると現状はサーバー改編は非常に良い傾向にあるということですね。

新井氏:そうですね。サーバー毎に文化や血盟同士の関係があるので、そこが上手くいくかどうか1番気にしていた部分だったのですが、元々敵同士だった血盟が新サーバーで和解したり、サーバー改変前に勢力的な意味で事前に根回ししたりといった様子も見られました(笑)。サーバー改編によって新しい出会いなども待っているかと思いますので、お休みされていた方も、ぜひこの機会に戻ってきていただければと思います。

 また、サーバー改編にあわせて「オリンピアード」と「攻城戦」という2つのサービスを一時休止していたのですが、オリンピアードについては6月1日、攻城戦はアップデート後にオープンする予定となっております。

6月7日にライブサービス、クラシックサービス共にアップデートを実施

――6月7日に実施されるアップデートについてもお教えいただけますか。

新井氏:まずはライブサービスの方のアップデートについてご紹介します。

 今回のアップデートは「GATHERING of WORLDHEROES 光明のリオナ」という名前で、前回のアップデート名にサブタイトルで「光明のリオナ」が追加された形になります。「エピソードクエスト」がメインとなっておりまして、前回の大型アップデートで実装された「エティス バン エティナ」に関連するクエストや、インスタントダンジョンがアップデートされる内容となっております。

 また既存のインスタントダンジョンの極限版として、レイドボスのリニューアルなどが実施されました。

――クラシックサーバーについてもお教えいただけますか。

新井氏:こちらのアップデートでは「Aden Crossroad」というアップデート名で、"Crossroad"は"分かれ道"という意味になります。ライブサービスとクラシックサービスは違った形で進化していくのですが、今回のアップデートが分岐点になります。

 クラシックサービスのみに実装されるコンテンツとして「属性システム」を導入します。属性には水、火、風、地という4つがあり、それが「キャラクター」に強さを付加していく仕組みになっています。実はライブサービスにも属性システムはあるのですが、こちらは「装備」に属性があり有効な敵に攻撃をすると少し大きなダメージが与えられるといったシステムですので、今回の属性システムはそれをさらに進化させたものになります。4属性それぞれに属性経験値というものがあり、専用のマップで狩りをしたり、そこでドロップしたアイテムを使うことで成長させることができます。

 また、今回は属性システムの導入とともに、属性を強化していく上で挑むことになる「四大精霊王」というレイドボスも登場します。これはいきなりアタックして倒せるような強さではないので、しっかりと属性を強化してから挑戦していただければと思います。属性システムは先行して実装された韓国の「リネージュ2」でもご好評をいただいておりまして、日本のプレーヤーの方にも楽しんで頂きたいと思います。

 今回の「クラシックサービス」のアップデートはかなりボリュームの大きなものになっておりまして、他にも武器に付与する特別なルーンをドロップする「アナキム」と「リリス」というワールドボスや、連合でチャレンジする「ザケン」のインスタントダンジョンも実装されます。また、高レベルキャラクター向けの狩場として「ゴダード領地」が開放され、4つの狩場が追加されます。

 最後に各クラスのスキルバランスの調整も行ないます。中でもサモナー系のスキルで新規召喚獣が追加されたのが1つの大きなポイントですが、内容は全て強化などの上方修正となりますのでどのキャラクターも何かしらの恩恵が得られる状況になっております。

【属性システム】
キャラクター毎に属性が付与される。属性能力値は属性狩場で狩りすることやドロップアイテムで成長させることができ、属性ごとのレイドボスも登場するので、有利となる属性を強化して挑むことが重要になるという
【新規ボス】
クラシックサービスにも「リリス」や「ザケン」といったボスが追加される

――今後のロードマップについてお話いただけることは何かありますか?

新井氏:7、8月に向けて様々な施策が動いているのですが、現時点でお伝えできる内容としては、今後「オリンピアード」関係で何か動きがあるとだけ申し上げます。

――それでは最後に読者へのメッセージをお願いします。

新井氏:今後「リネージュ2」は新たな進化を遂げていきます。今後も楽しんでいただけるように様々な施策を準備しておりますので、ぜひお楽しみいただければと思います。

――本日はありがとうございました。