インタビュー

「ハースストーン」、“使用の制限”から生まれるデザインの幅

「仁義なきガジェッツァン」実装の狙いをエグゼクティブプロデューサーに聞く

11月4日、5日 開催

場所:Anaheim Convention Center

「ハースストーン」エグゼクティブプロデューサーのHamilton Chu氏

 「BlizzCon 2016」で発表されたデジタルカードゲーム「ハースストーン」の新カードパック「仁義なきガジェッツァン」。発表されると同時に日本語サイトも更新され、特設サイトのほか、公式ブログではカードパック名にちなんで広島弁風の語り口調で文章を構成するなど、遊び心も含めて楽しみな発表となった。

 今回「BlizzCon 2016」の会場では「ハースストーン」エグゼクティブプロデューサーのHamilton Chu氏に「仁義なきガジェッツァン」を含めた「ハースストーン」の近況を伺うことができたので、こちらをお伝えしたい。

呪文を作れる「カザカス」が第1の注目カード!

ファミリーのイメージビジュアル。こちらは「グライミー・グーンズ」
「翡翠蓮」イメージ
「カバール」イメージ

――日本語版の「ハースストーン」はもうすぐ約1年を迎えます。これまでの手応えはいかがでしょうか?

Chu氏: 良い感じです。日本の方がプレイしているのを見るのも好きですし、e-Sports大会で活躍する選手もいて、楽しく見せてもらっています。日本語版を配信する前から日本人のプレーヤーはいましたが、日本語版配信後はプレイする人が段々増えていて、日本のe-Sportsシーンもとても成長していると聞いています。その点も嬉しいと思っています。

――「仁義なきガジェッツァン」が発表されたとき、すぐに日本語サイトも更新されていて、日本のいち「ハースストーン」ファンとしてとても嬉しかったです。

Chu氏: それは良かったです。ローカライズチームは非常に優秀で、日本語に訳す時にカルチャーや言葉が上手く伝わるように、懸命に取り組んでいます。

――ではその「仁義なきガジェッツァン」についてですが、制作の経緯を聞かせていただけますか?

Chu氏: 常に考えるのは、ベースとなっている「World of Warcraft」の世界観ですが、新しいものを入れたいということです。今回は「World of Warcraft」に登場する街「ガジェッツァン」をベースに、オリジナルの要素をたくさん加えています。もちろん、「WoW」をプレイしておらず、初めて触れる人にも自然に感じられるようにしています。

 制作に関しては、3つのファミリーとクラスが結びついているというアイディアがありました。まずファミリーの1つ「グライミー・グーンズ」を作ってみて、その動きが良い感じだったので、次のファミリーを作り、それにはどのクラスが適するかを考えて……といったように順番に作っていきました。

――今回、「グライミー・グーンズ」ならハンター、パラディン、ウォリアーだけが使えるといったように、中立カードにも使用が制限されるものが登場します。ここはこれまでとは違う要素ですが、なぜ導入したのでしょうか?

Chu氏: 使用を制限することで、カードのデザインに幅が生まれるからです。例えば「翡翠蓮」に属する「蓮華凶手(5マナ:5/5、隠れ身。他のミニオンを倒すたびに隠れ身を獲得する)」は強力なカードで、完全な中立だと危険なのですが、「翡翠蓮」に限定するからこそ導入できます。

――メタゲームへの影響については何か期待することはありますか?

Chu氏: 多くのメタが変わるだろうと思います。正直に言うと、何がどう影響するかは完璧にわからないので、楽しみにしています。確実に変化は起きるはずです。

――ちなみに気に入っているカードは?

Chu氏: 第1には、「カザカス(4マナ:3/3、雄叫び:自分のデッキに重複するカードがない場合、即興呪文を1つ作成する)」ですね。プレゼンテーションでも紹介しましたが、10マナの呪文は強いですし、自分で呪文を作るというのが楽しいですよね。

【「カザカス」プレイ動画】

 ただ、これは誰でもそうだと思うので、答えとしては簡単すぎます。そこで2つ目ですが、「ピラニアランチャー(5マナ:武器2/4、自分のヒーローが攻撃した後、1/1のピラニアを1体召喚する)」も気に入っています。攻撃するたびにピラニアが召喚されるので、楽しいですよ。

【ピラニアランチャーとピラニア】

――「オーバーウォッチ」では、プロリーグの「Overwatch League」設立が発表されました。プロリーグについて、「ハースストーン」ではいかがでしょうか?

Chu氏: できたらいいですね。ただ「ハースストーン」はコミュニティから自然に発生するトーナメントを大事にしていますし、特に強く持っているモデルはないんです。何かをするにしても、コミュニティと一緒に作っていきたいと思います。

――少し話は変わるのですが、現行のエキスパンションにおいて、「希望の終焉 ヨグ=サロン」は運要素が大きく絡むカードとして非常に大きなインパクトを持っています。こうした運要素の絡むカードについて、運営としてはどのような方針でいるのでしょうか。

Chu氏: 「ヨグ=サロン」は認識にもよりますが、プレイするのも楽しいし、見るのも楽しいカードだと考えています。カードがすごい瞬間を作り出すことで、「今日『ヨグ=サロン』を使ったらこんなことがあった」と人に語りたくなるようなストーリーを作り出すことができます。そうしたストーリーを作るようなカードは今後も作り続けていきたいと思います。

――現状ある課題があれば教えてください。

Chu氏: プレーヤーのみなさんが言ったり、書いたりした要望はすべて目を通していて、できる限り活かすようにしています。

 その一例として「カザカス」が挙げられるのですが、それひとつでデッキの構成がかわるようなものの先例として「レノ・ジャクソン」がありました。バラエティに富んだカードは色々ありますが、リリースされたあとの評判が良ければ、同じ傾向を持つデザインに挑戦する可能性が生まれるのです。

――ありがとうございました。

【日本語版新カード】
発表時の記事に掲載したカードの日本語版が公開されていたので、ここに改めて掲載