インタビュー

「FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏パッチ3.4インタビュー

今回の零式装備はノーマルよりやや豪華

完結編となる「機工城アレキサンダー:天動編」 は、外側から頭部分を目指す

――「機工城アレキサンダー:天動編」への入場条件はどうなりますか?

吉田氏: ノーマルの「律動編」さえクリアしていれば、ノーマルの「天動編」でそのままストーリーの続きが楽しめます。ノーマル「天動編」をクリアすると零式に挑戦できるようになります。

――零式とノーマルでストーリーに差をつけて欲しいという声がありますが、今回なにか演出の差はありますか?

吉田氏: 前回、ブルートジャスティスの最終形態である翼が生えた姿は零式だけにしましたが、やれたとしてもあの程度です。今回はストーリーと密接に絡んだバトルがあるのですが、それはノーマルでも零式でも変わりません。今回はストーリーが完結する大団円でもあるので、差がつけにくいのです。ただ、報酬装備は、できるだけコストをかけて、零式装備のほうが少し豪華になるようにしてあるので、今回はそちらで勘弁してください。

 「大迷宮バハムート」も、クライマックスに向けてシナリオが盛り上がっていったと思います。「機工城アレキサンダー」は時間を使ったストーリーなので、これまでは伏線が多く歯切れが悪かった部分があったと思うのですが、「天動編」では歯車がかみ合うようにストーリーがわかっていくので、設定好きの方には面白いと思います。時間を扱っているだけに結構複雑なので、完全に理解できた方は、ぜひ分からないという方に解説をしてあげて欲しいです。かなり大仕掛けで、それがちゃんとコンテンツにも反映されています。

――それは過去や、未来を垣間見たりといったことですか?

吉田氏: 時間と言うキーワードから連想しておいてください(笑)。

――今までのストーリーの流れでは、かなり悲しい話でしたが、ハッピーエンドになる可能性もあるということですか?

吉田氏: バッドエンドではないです。いろいろ感じていただけるかなと思います。

――ボスもまた変形したりしていましたね。プラモが出そうな雰囲気で。

吉田氏: 冷静に考えるとMMOで何やってるんだろうっていう(苦笑)。前回はジャスティス合体したので、今回は変形してフライングモードだ! と担当者が考えたようです。変形する演出を見るだけでは体験にならない、ということで乗る必然性が加わっています。あれもクリアに必要なギミックの1つです。

【機工城アレキサンダー:天動編】

――そうなんですか? 確かにトレーラーでは乗っていましたね。

吉田氏: サーバークライアント型のゲームの限界に挑戦している感じですね。敢えてトレーラーには出していませんが、もう1つ、ストーリーと絡んだ大仕掛けなものもあったりするので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

――零式については、レイドファインダー(RF)が入って、実装前には、実装後の様子を見て調整するということでしたが、実際に数カ月稼働してみてどうでしょうか?

吉田氏: 練習フェーズの前半、中盤、後半と3つのフェーズに分けていたのですが、中盤の利用率がそんなに高くないのと、中盤に積む人がマッチング待機がかなり長くなり、結局前半も中盤もマッチング速度が落ちているところがみえたので、パッチ3.4で中盤はなくしてしまいます。

――前半と後半のみになるのですか?

吉田氏: そういう分け方にしました。あとは今回から極蛮神の「ナイツオブラウンド」以降をレイド対応しました。コンテンツファインダー側からはメニューを削除して、RFで行ってもらうようにしました。条件設定していけるようになるので、少しはクリア率が上がるのかなと思っています。

――レイドファインダーが入って、クリア率は高くなっていますか?

吉田氏: 1層と2層はすごく高いです。3層以降は2層を突破した人で、その週クリアしていない人の母数が少ないので、3層と4層に関してはマッチングに時間が掛かる傾向にはありますね。3層をクリアした人たちの、4層レイドファインダーでのクリア率は結構高いです。パッチ3.5で実装する予定のワールド間パーティ募集までは、十分に機能を果たしてくれているかなとは思いますが、やはり待機時間が長いのがネックですね。

――私がプレイしているデータセンターでは、タンクは揃いやすいのですが、ヒーラーとDPS、多分詩人か機工士辺りかと思いますが、そこが揃わなくて待たされることが結構多いのです。以前に、DPSをもうひと枠ワイルドカードにするかもしれないと言われていましたが、そこはどうですか?

吉田氏: ワイルドカードを増やすと、クリア率がガクッと下がると思うので、今のところは予定していないです。新しいレイドが入らないタイミングなら入れてもいいと思うのですが。つまり、律動編に対してはみんなILが十分高いから、2枠をワイルドカードにして詩人や機工士がいなくてもマッチングすればクリアできると思うのですが、新しいレイドが始まるので、それをやってしまうと多分クリアできないマッチングをひたすら繰り返すことになってしまうと思うのです。特に序盤には、皆さん低いILで行くはずなので、そうなると全然クリアできないということになってしまいます。

――練習でマッチングしても、すぐにギブアップ投票が始まってしまうことも多いですが、これに関しては?

吉田氏: 1人がギブアップ投票を始めたとしても、それが通るということはみんなダメだと思っているということなので、どうにもならないですね……。

――みんな、そこそこの時間をかけてマッチングしたはずなのに、結構あっさり諦めるのですよね。

吉田氏: マッチングして20分なり30分はギブアップが押せないようにしたとしても、今度は退出してしまうかもしれないし、却ってあまりよくないのではないかと思います。多数決になっているので、可決されるということはみんな内心もう無理だと思っているということなので。

――ちなみに天動編では、難易度が少し下がるんですよね?

吉田氏: はい。ただ、誤解のないようにお話ししておくと、零式は高難易度レイドです。上位1%のトップ層なら別ですが、1週間で楽々クリアという難易度にはなりません。週に1、2回くらい、仲のいい友達とキチンと練習を積んで進んでいくような人たちでも2カ月くらいはかかると思います。

 「律動編」では、4層クリアまでにかかる時間が長すぎて、結果、4層をクリアする頃には、もう次のレイドが実装される。例えばパッチ3.37で伝承武器が強化可能になって、あそこからかなり4層のクリア者が増えているのですが、もう次のパッチまで8週間もないので、多分欲しい武器が取れる人と取れない人がいて、ふりまわせる期間も少ないので、そこが良くないと思っています。もう少し早くクリアできるようにしたいと考えています。

――パッチ3.4の期間内くらいでクリアできる位ですか?

吉田氏: レイドが好きでやっている方なら、それくらいのタイミングでクリアできるところに落としたいなとは思っています。あとは「律動編」でDPSチェックを下げたのですが、あれだけ動かされると、プレーヤースキル差でDPSが出る人と出ない人の差が大きくて……。「起動編」での皆さんの平均DPSを参考に、クリアラインをガンと下げたのですが、ギミックで動かされることが多くなると、その想定値も出ていなくて、本当に60のスキル回しが難しいんだなと思っています。今回は、その経験を前提に値を付けてギミックの数を決めました。まだ最終調整中で、来週いっぱいかかると思います。ギリギリまでやって、なんとか歯ごたえがありつつ、一歩ずつ進んでクリアできるようなところに落としたいと考えています。相対的に見れば起動編や律動編よりは簡単にしていますが、十分歯ごたえのある難易度だと思います。

 今回は極女神ソフィアもRF対応していますし、天道編:零式も同じく対応しています。ただし、RFから天動編:零式へ参加する際の、必要最低平均アイテムレベルは少し高めですので、RFを活用される方は、しっかり装備を整えてください。そうしなければ、「様子を見てみようかな」という軽い気持ちの方で、マッチングした後がギクシャクしてしまいそうなので、モチベーションが高い=装備をしっかり整えている、という想定でアイテムレベルを設定しています。事前に8人でパーティを組んで突入する場合には、これまでと同じく自由なILで挑戦できるようになっています。

――「起動編」はすでにCFに入っていますが、超える力がついていても、即死ギミックもありますし、CFで超えるには難易度が高いと思うのです。RFに入れる可能性はないのでしょうか?

吉田氏: 今のところはないです。「律動編」も今回はRF対応にしていません。入れられるコンテンツの数に限界があるので、今回は極蛮神側を優先しています。そちらの方が遊ぼうとする人が多いので、これで様子を見たいと思っています。

――ニーズが高ければ追加も考えるのですか?

吉田氏: 対応を考えたいと思っています。ただ、パッチ3.5でワールド間のパーティ募集がきたら状況が変わると思いますので悩ましいですね。今コストをかけすぎても、3.5の実装が遅れるだけになってしまうので。

――ワールド間募集はRFのエンドコンテンツだけなのですか?

吉田氏: パーティ募集を立てられるもの全部です。

――今、ワールド内で見ているようなパーティ募集を、データセンター単位で行なえるようになるのですか?

吉田氏: そうです。ただ、「アクアポリス行こうぜ」というパーティを組んでも、インスタンスコンテンツではないものではワールドを超えてまでは会えませんので、そこは注意してください。

――インスタンスコンテンツのみなのですね。フィールドの遊びでは、ワールド移動してしまうことになりますものね。

吉田氏: そうです。それはさすがもう一段レベルの高いサーバー処理が必要になります。

――新しい三闘神戦ですが、「極女神ソフィア討滅戦」は、トレーラーを見ると天秤を使った演出が多用されていますね。どういった設定のボスなのですか?

吉田氏: 設定については、ぜひシナリオを見ていただきたいと思います。かなり変則的なオリジナルなボスです。一番気を使って再現したのは、天秤の部分です。もともとの三闘神の女神が、天秤をすごく象徴的に持っているキャラクターだったので、天秤という概念をどう「FFXIV」で面白く感じてもらえるかということを、シナリオもそうだし、ギミックも中心に考えられています。我々としては、また新しいチャレンジにはなっていますね。コンセプトは、セフィロトの時には大縄跳びという話をしたのですが、今回は「脳トレ」です。

【女神ソフィア討滅戦】

――頭を使わないといけないのですか? 計算したりパズル的なものですか?

吉田氏: 脳トレなので、解けてしまえば動けるというコンセプトです。パーティ内の誰かが解ければいいという作りになっています。今回は、失敗したせいでみんな死ぬというギミックをあえて入れていないバトルなので、個人個人の能力が試されるようなものになっています。

――乱数によってランダムな謎が提示されるようなイメージですか?

吉田氏: 解答はきっちりあるが、それを導き出せるかどうかという戦闘です。最初は本当に訳が分からないと思います。脱出ゲームでもそうですが、一度ひらめくと一気に謎が解けていく感じにできているので、もしかしたら極ニーズよりも簡単という人もいるかもしれないです。

――報酬は武器ですか? ILは?

吉田氏: 武器です。ILは秘密です。先ほどもお話ししましたが、最初からRFでマッチングが可能です。コンテンツファインダーのリストには「極」が記載されていませんので、その点はご注意下さい。RF対応されているものはすべてそうなります。極ナイツ、極セフィロト、極ニーズヘッグも同様です。

男性キャラ用のバニースーツも製作進行中!

――今回、「アラガントームストーン:聖典」が追加されて、装備も刷新されますね。

吉田氏: はい、聖典はシャーレアン風の装備ですね。ですので、アルフィノとかアリゼーとか、ヤ・シュトラとかが来ている装備のエッセンスが組み込まれています。

――装備が増えてきて、装備だけで倉庫がパンパンになっている人も多そうですが、なにか装備だけを管理するような手帳とかいったものは考えてはいないのでしょうか?

吉田氏: アーマリーチェストやかばんの枠増加作業は既に始まっていますが、それらが実装されるまでは、いらないものを捨ててくださいとしか……(苦笑)。お気持ちはわかります……僕も気に入ったアタイアはずっとカバンの中にいれているし、倉庫はパンパンです。でも際限がなくなってしまうので、どうしてもとっておきたいものはリテイナーでいいのではないかと。あとは捨てるなり、軍票にするなりしていただければ。取得物管理人が季節イベントのものを持ってくれたりするので、ぜひ年末くらいに一度リテイナー大掃除をやっていただければなと思います。

――装備といえば、ディープダンジョンでエッダが来ている装備もプレーヤーに開放される予定があるそうですね。

吉田氏: 反響が大きかったので取り掛かろうと思っています。あれはエッダのモデルにしか対応していないので、全種族に対応させなければならないのです。

――ディープダンジョン200階の報酬で入るかと期待してしまいました。

吉田氏: さすがに期間が短くて間に合わないのです。1つの装備で、デザインから始めて全種族対応をした場合には、開発に基本6カ月はかかります。

――かなりの時間がかかるのですね。

吉田氏: あのクオリティで破たんなく各種族に着せようと思ったら、どうしても掛かってしまいますね。

――エッダ装備は男性も着られるのですか?

吉田氏: いや、あれはさすがに男性には……。

――男性には別に何か入るのですか?

吉田氏: 入れないです。その公平さを常にポリシーにしてしまうと、ユニセックスなデザインばかりになってしまいますし、さらに開発に時間が掛かり、装備の種類が減ってしまいます。今は、先に要望が多かったバニースーツの性別性を外すことをやっています。

――男女どちらでも着られるようになるのですか?

吉田氏: はい、バニーは北米からの要望がすごかったので、やってみようかと。うちの女性スタッフが気合いを入れて作っています。

――それは3.4で入るのですか?

吉田氏: ほかに優先したものがあったため、3.4ではありませんが、作業はしています。

バニースーツの男性版は絶賛製作中