【特集】

たった1,200円で50時間溶ける!? 「デイヴ・ザ・ダイバー」新DLCで過酷なジャングルへ飛び込め!【夏休み特集】

未開の森でダイビング&夜は「バンチョグリル」で大忙し

【デイヴ・ザ・ダイバー イン・ザ・ジャングル】
6月18日 配信
価格:1,200円(Nintendo Switch版)
※価格はストアによって異なる

 猛暑が続く今年の夏、皆さんはどうお過ごしだろうか。筆者は北海道住まいだが、最早北海道でもクーラーは必須の時代。そのため連日クーラーをガンガンに効かせた部屋に猫2匹と共に引きこもり、冷たい麦茶を片手にコントローラーを握りしめる、ある意味で最高に贅沢な日々を送っている。

 もし今、この夏休みのあり余る時間をそっくりそのまま捧げられるほどの、圧倒的な熱量とボリュームを持ったゲームを探しているのなら、絶対にプレイしてほしい傑作がある。

 昼は美しい海に潜って多種多様な魚を獲り、夜は海辺の寿司屋で接客と経営に奔走する。海洋探索アクションと店舗運営シミュレーションという、本来であれば交わるはずのない二つのジャンルを見事に融合させた奇跡のゲーム「デイヴ・ザ・ダイバー」だ。

 世界中のゲーマーを熱狂の渦に巻き込んだ本作に、待望の超大型DLC「デイヴ・ザ・ダイバー イン・ザ・ジャングル」が突如として6月に投下された。

 本DLCは、これまでの心地よい海洋探索から一転、弱肉強食の大自然へと舞台を移した、開発陣の並々ならぬ野心が詰まった意欲作である。このDLCが放つ本物の熱気と恐るべき時間泥棒っぷりについて、いちゲーマーとしての魂の言葉で徹底的にレビューしていきたい。

いちばん左端にいるのが主人公のデイヴだ

時間がいくらあっても足りない! 完璧に計算された海と寿司の黄金ループ

 まずは、まだあのブルーホールの魅力に取り憑かれていない未来のダイバーたちのために、本編がなぜこれほどまでに世界中で神ゲーと讃えられているのか、その基本構造と恐るべき中毒性について紐解いていこう。

 本作の主人公は、ぽっこり出たお腹と愛嬌たっぷりの髭面がトレードマークのダイバー、デイヴである。彼は、どこか胡散臭い友人コブラの甘い言葉に乗せられ、潜るたびに地形や生態系が変化するという謎多き海域「ブルーホール」へ飛び込むことになる。

 そして夜になれば、職人気質で無口な寿司職人バンチョが切り盛りする「バンチョ寿司」のホールスタッフとして、身を粉にして働く日々が幕を開けるのだ。

 昼の海洋探索パートの面白さは、単なるアクションゲームの枠には収まらない。モリや水中銃を駆使して小さな熱帯魚から巨大なサメまでを狩っていくのだが、プレイヤーは常に酸素残量と持ち帰れるアイテムの重量という、二つのシビアな制限と戦うことになる。

 欲張って深く潜りすぎれば酸素が尽きて獲物をすべて失う危険があり、かといって安全圏ばかりを泳いでいては店の売り上げは伸びない。この、どこまでリスクを取るかというリソース管理のジレンマが、探索に極上のスパイスを与えている。

昼間はダイビング

 一方、夜の店舗営業パートでは、昼間に命がけで仕留めた新鮮な魚たちをメニューに並べ、客を迎え入れる。次々と入る注文を捌き、バンチョが握った寿司を運び、お茶を注ぎ、ワサビをすりおろす。

 稼いだ利益で店内のインテリアを豪華にし、個性豊かなスタッフを雇って教育し、さらに店を大きくしていく。この経営シミュレーション要素だけでも、一本の独立したゲームとして成立するほどの完成度と奥深さを持っているのだ。

夜は寿司屋

 「あと1回潜れば、新しい武器が作れる」「今夜の売り上げでボンベを強化すれば、明日はもっと深いエリアを探索できる」。

 この、プレイヤーの欲求を絶え間なく刺激し続ける黄金のゲームループこそが、本作最大の魔力である。驚くべきはその圧倒的なコンテンツ量だ。本編のメインストーリー自体は約35時間ほどのボリュームだが、農場での野菜栽培、魚の養殖、タツノオトシゴを使ったレースなど、次から次へと新しい遊びが解放されていく。

 ダイビングと寿司経営の底なしの魅力にハマってしまえば、100時間はあっという間に溶けてしまうという、凄まじい密度を誇る。しかも、これだけ遊び倒せる本編の価格が2,400円程度というのだから、もはや価格破壊を通り越して開発陣の正気を疑うレベルのコストパフォーマンスである。

 しかし、今回のDLCは、その限界すらも軽々と突破して見せたのだ。

1回のダイビングで1時間15分近く潜っていたこともある。これを繰り返していれば、そりゃあ100時間もあっという間に溶けるわけなのだ

チャプター3到達で即ダイブ可能!「1,200円で50時間以上」という前代未聞の特大ボリューム

 今回リリースされた超大型DLCについて、筆者がまず声を大にして世界中のゲーマーに伝えたい、絶妙なアクセス条件がある。それは、「本編をクリアしていなくとも、いきなりDLCのコンテンツにアクセスして遊べる」という、極めてユーザーフレンドリーな設計だ。

 通常、この手の超大型拡張コンテンツといえば、「本編の最終ボスを倒した後のエンドコンテンツ」として設定されているのがゲーム業界の暗黙の了解である。しかし、本作はその常識をあっさりと捨て去った。

 「夏休みだから、話題の新しいジャングルを探検したい」という新規プレイヤーも、本編をクリアしていなくても、すぐにこの未知の世界へと足を踏み入れることができるのだ。「本編は途中までしかやっていないけれど、DLCの新しい要素をすぐ触ってみたい」という復帰勢にとっても、非常にありがたい仕様である。

 もちろん、本編のブルーホール探索を進めているセーブデータとシームレスに行き来することも可能であり、「今日は海に潜って、明日はジャングルを探検する」といった、プレイヤーの気分に合わせた自由気ままなプレイスタイルが許容されている。

いきなりDLCからプレイした場合は、本編をクリアした状態からスタートとなる

 そして、最も筆者を驚愕させたのが、その価格設定と中身のボリュームの異常な釣り合わなさである。この特大DLCの価格は、なんと1,200円。本編を別途購入する必要があるとはいえ、両方合わせても4,000円弱に収まるというお財布への優しさは、学生の夏休みにもぴったりだ。

 それでいて、この1,200円の追加コンテンツの中には、メインとなる追加ストーリーだけでも公式発表で約10時間、さらに新たな舞台でのダイビングや新店舗の経営を極めようとすれば50時間以上は余裕で遊べるという、規格外のボリュームがぎっしりと詰め込まれているのだ。

たった1,200円で50時間以上のプレイ体験が約束されているという、もはや利益度外視とも思える極上のエンターテインメント体験が、ここには用意されている

獰猛な大自然が牙を剥く。過酷なジャングルでの極限サバイバル

 今回のDLCにおける最大の目玉は、青く澄み渡る海から一転、むせ返るような緑が生い茂り、じっとりとした湿度すら画面越しに伝わってくる未開のジャングルへと舞台を大きく移した点にある。

 ここでプレイヤーを待ち受けているのは、大自然の掟が支配するサバイバル生活だ。本編のブルーホールでの探索が、どこか神秘的で心地よい浮遊感を伴い、一種のリラクゼーション効果すら感じるものだったのに対し、イン・ザ・ジャングルでの探索は、常に危険と隣り合わせのヒリヒリとした緊張感に包み込まれている。

 鬱蒼と生い茂る木々の影や、足元を覆う深い茂みから、突如として襲いかかってくる未知の猛獣たち。一歩足を踏み外すと厄介な自然の罠や毒を持つ植物、そして突発的なスコールや視界を遮る濃霧といった急激な天候の変化。海とは全く異なる物理法則と環境要因が、ダイバースーツを着たままのデイヴに容赦なく牙を剥く。

 ここでは、単に水中銃やモリを力任せに振り回すだけでは、到底生き残ることはできない。周囲の環境を注意深く観察して利用し、木材やツル、石などの新たな素材を集めてクラフトを行い、安全を確保するためのキャンプを構築していく必要がある。ジャングルならではの自然を相手に知恵を絞るという、本編とは手触りの全く異なるサバイバルアクションの醍醐味が存分に味わえるのだ。

命が巡る環境メカニクスと、デイヴの限界突破した対人スキル

 この過酷なジャングルを、単なる陸上版の高難易度エリアで終わらせていないのが、本作の開発陣の変態的とも言える作り込みの凄まじさである。

 今回のDLCでは、動植物に関係する、全く新しい環境メカニクスがシステムとして導入されている。ジャングルに生息する動植物たちは、単に倒すべき敵キャラクターや背景の飾りのオブジェクトとして配置されているわけではない。彼らはそれぞれが独自の生態系ピラミッドを形成し、相互に影響を与え合いながら生きているのだ。

 特定の植物が特定の昆虫を引き寄せる性質をトラップとして利用したり、プレイヤーの介入や天候の変化によって環境全体がダイナミックに変化していく様は、見ているだけでも飽きることがない。

夏らしさを感じさせる虫同士を戦わせるミニゲームなどもある

 そして何より特筆すべきは、この複雑に絡み合う大自然のシステムの中で、主人公デイヴのコミュニケーション能力が、限界を突破して発揮されるという点である。

 海の世界では、迫り来る魚たちを黙々と狩ることに特化していたデイヴ。しかしジャングルでは、そこに暮らす様々な原住民の部族や、時には独自の意思を持つ知的な動物たちとの深い交流が描かれるのだ。

 言葉の全く通じない未知の部族や、警戒心剥き出しの動物たちに対しても、デイヴはあの愛嬌たっぷりのボディランゲージと、持ち前のお人好しっぷりを遺憾なく発揮する。部族の困りごとを解決してあげたり、動物に好物の木の実を分け与えたりすることで、次々とフラグを打ち立てていく。

 誰とでも打ち解けてしまう彼の卓越したコミュニケーション能力によって、最初は敵対していた部族と強固な協力関係を築き、新たなジャングル料理の秘伝のレシピを教わったり、さらには動物を味方につけて探索の頼もしいオトモにしたりといった関係性の変化が、しっかりとシステムとして組み込まれているのだ。

村の成人式のお祭りで、いきなり太鼓を叩いてみろという無茶ぶりなどもされる
どこかのリズムゲームのようなミニゲームが始まり……
一定レベルに達するとクリア!

 さらに本作の恐ろしいところは、この村人たちとの交流がかつてない忙しさを生み出す点にある。彼らからは次から次へと多種多様なお願い(クエスト)が舞い込んでくるのだが、それを叶えていくことで、なんと村人たちが夜の「バンチョグリル」の常連客になってくれるのだ。

 ただでさえ過酷なジャングル探索に加え、矢継ぎ早に襲いかかってくるお使いの数々。本編以上にやることが次々と押し寄せるため文字通り息をつく暇もないが、そこには「プレイヤーを絶対に飽きさせない」という開発陣の執念にも似た工夫がぎっしりと詰め込まれている。

 アクションの歯ごたえだけでなく、デイヴというキャラクターの最大の武器である人間的魅力を、単なるシナリオの演出に留めずゲームシステムレベルで昇華させている手腕には、ただただ感嘆するほかない。

「バンチョグリル」の常連客を増やすことで、収入もどんどん上がっていく。まずは村人との交流を深めることを頑張ろう

夜は「バンチョグリル」開店! 寿司の枠を超えた新境地と極上のサウンド

 過酷なジャングルでのサバイバルと素材集めを終えれば、夜はもちろんお待ちかねの店舗経営パートが待っている。しかし、今回のDLCで経営するのはいつもの海辺の「バンチョ寿司」だけではない。ジャングルの集落に間借りした、全く新しい新店舗「バンチョグリル」の切り盛りが可能になるのだ。

「バンチョグリル」の運営は基本的に寿司屋の運営とそこまで変わらないが、デイヴは串焼きの担当をすることになる

 ここでは、ジャングルで仕留めた獣の肉や、採取した珍しいキノコ、色鮮やかなトロピカルフルーツを使った豪快な新レシピが次々と登場する。バンチョの神業的な包丁さばき(そして今回は見事な火入れ技術も!)は海産物以外でも健在であり、ジャングル特有のスパイスを効かせた絶品のグリル料理の数々が、美しいドット絵の飯テロとしてプレイヤーの胃袋を激しく刺激してくる。

 さらに、海で獲れた魚とジャングルの幸を掛け合わせた究極のフュージョン料理を開発することも可能となり、メニュー構築の奥深さは本編の比ではない。

バンチョの新料理開発ムービー。これがなんだかよくわからなくて毎回面白い
深く考えないで、「デイヴ・ザ・ダイバー」とはこういうゲームなんだと受け入れたほうがシンプルに楽しめる

 そして、この熱狂のゲームプレイを根底から支え、プレイヤーの感情を大きく揺さぶってくるのが、本作の音楽の存在である。ジャングルでの緊迫したサバイバルを盛り上げる、トライバルなパーカッションのビート。鬱蒼とした森の奥深くで流れる、神秘的でどこか不安を煽る環境音。夜の「バンチョグリル」での、パチパチと燃える焚き火の音と混ざり合う、賑やかでどこかノスタルジックなアレンジBGMなど、シチュエーションに応じた楽曲の没入感は異常なほど高い。

 特に筆者が心を震わせたのは、デイヴを取り巻く個性豊かなキャラクターたちの背景が語られるシーンの楽曲群だ。

 キャラクターのバックボーンを彩る専用BGMや、そのアレンジの数々があまりにも美しく、プレイ中に思わず手を止めて聴き入ってしまったほどだ。まるでコンポーザーを捕まえて、キャラクターごとの楽曲アレンジの意図や制作秘話についてたっぷりロングインタビューを敢行したくなるほどの凄まじい熱量とこだわりが、各トラックからビシビシと伝わってくる。

 アクションや経営の裏側で、この素晴らしい音楽たちがジャングルの過酷さとキャラクターたちのドラマを完璧に彩り、50時間という長大なプレイ時間を一瞬のように感じさせてくれるのである。

個人的にはダイビングしているときの音楽がいちばん好きだ。前述の通り1時間以上潜っていたりもするので、聴き飽きない音楽になっている

この夏を捧げるにふさわしい、終わらない究極のバカンスへ

 「デイヴ・ザ・ダイバー」という作品は、海洋アクション、店舗経営シミュレーション、さらに心温まる人間ドラマといった、本来であれば全く異なるベクトルの要素を極上のエンターテインメントとして一つの鍋で煮詰めた、奇跡のようなゲームである。

 今回追加された「イン・ザ・ジャングル」は、ただでさえ100時間溶ける本編に、ストーリー10時間・総プレイ50時間以上という規格外なボリュームを容赦なく叩きつけてきた。

 わずか1,200円を支払うだけで、これほどの未知なるサバイバルへ没入できてしまうのだから、開発陣はもはや利益を度外視しているとしか思えない。今年リリースされたあらゆるタイトルを見渡しても、これほどまでにプレイヤーの度肝を抜く大盤振る舞いを見せた作品は他に存在しないだろう。

突如RPGのようなものが始まったりもする
もはや何のゲームをしているのだかわからないのだが、これが楽しい

 昼は過酷なジャングルでシビアな大自然の掟を生き抜き、卓越したコミュニケーション能力で新たな環境メカニクスの謎を切り拓く。夜はお客さんの笑顔のために、「バンチョグリル」で最高のジャングル料理を振る舞い続ける。

 そしてそのすべてを緻密に作り込まれた極上のBGMが包み込み、プレイヤーの心を癒やしてくれる。気がつけば時間を忘れ、現実の暑さも忘れ、デイヴたちと共に終わらない大冒険に没頭してしまっていることだろう。

 本編をプレイしていなくても即座に飛び込めるこの懐の深さは、長期休暇に腰を据えて遊ぶのにこれ以上ない条件だ。まだプレイしたことのない新規プレイヤーも、かつてブルーホールを極めたベテランダイバーたちも、ぜひこの夏休みにコントローラーを握ってほしい。

 過酷で、美味しくて、そして最高にエキサイティングな未知のジャングルが、あなたを終わらない究極のバカンスへと誘ってくれるはずだ。今年の夏は、デイヴと共に果てしない大自然へダイブしよう。

村人の笑顔のために、デイヴたちは今日も奔走する