Windows 10 ゲームマラソン

「Ori and the Blind Forest」 光と影の表現がとにかく美しいファンタジーアクション

光を奪われた森を救う「オリ」の過酷な冒険を描く

【Ori and the Blind Forest】

2015年3月11日発売

価格:1,980円(Steamダウンロード)

 「Ori and the Blind Forest」(邦題:「オリとくらやみの森」、以下「Ori」)は、インディペンデントデベロッパーのMoon Studiosが開発し、Microsoft Studiosが3月11日に発売した2Dスタイルのアクションアドベンチャー。光を失った森を救うため、親なき少年「オリ」が困難な冒険の旅に出る。本日の「Windows 10ゲームマラソン」は「Ori」を紹介しよう。

Windows 10への対応状況(8月24日現在)
動作状況★★★★(快適に動作)
メーカー対応未対応
Windows 10独自機能Xbox App、Game Bar、GameDVR
不具合報告特になし
サポート情報Steam公式ページ

少しずつ世界が広がるオーソドックスなアクションアドベンチャー

ほのかに光る「オリ」を操作するアクションアドベンチャー

 本作はサイドビューのアクションゲームで、グラフィックスは3Dだがプレイ感は2D的なものになっている。操作はキーボードでも可能だが、ゲームパッドの使用が推奨されている。

 主人公の「オリ」は妖精のようにも見える小さな生き物。プレーヤーは「オリ」を操作し、フィールドにある様々な仕掛けを乗り越えながら奥へと進んでいく。「オリ」は最初、左右の移動とジャンプしかできないが、ある程度進むと新たなスキルを身につけられる。攻撃が可能になったり、壁をよじ登れるようになったりして、それによって行ける場所が広がっていく。

 「オリ」はスキルの他に、敵を倒すなどして入手できる「精霊の光」を集めることで、自身の能力を開放できる。攻撃力が上がったり、マップ上に未取得のアイテムを表示したりと様々なものがあり、冒険の手助けになる。道中にいる敵は何度でも復活するので、繰り返し倒して「精霊の光」を集めれば、攻略が難しい場所も突破しやすくなる。

 障害物を動かしたり、敵の攻撃を使って物を壊したりと、頭を使うギミックがあちこちにある。アクションも素早い動きが求められるものが多く、一筋縄ではいかない。「オリ」の可愛らしい外見に反して、アクションはなかなかシビアで本格的なものになっている。

 敵や罠に触れてライフが0になるとゲームオーバーになり、最後のセーブ地点から再開される。ただし「ソウルリンク」という能力を使うことで、任意の場所でセーブが可能になる。少し進んだらセーブして挑戦するというのがこのゲームの基本で、難所を何度もリトライして超えていくタイプのゲームになっている。

【スクリーンショット】
マップ上にある様々な仕掛けを突破して進んでいく
新たなスキルを身につけることで、先のマップに進めるようになる
新たな能力を身につければ、冒険を楽に進められる
どこでもセーブできる「ソウルリンク」がとても重宝する

光と闇の対比による美しいビジュアルと、劇的に展開するストーリーが魅力

「ナル」とともに森で生活する日々。1つ1つのシーンがとても美しい

 アクションゲームとしての魅力も十分な本作だが、プレイした人が最初に印象付けられるのは、アーティスティックなビジュアルだろう。ゲーム開始直後、うっそうとした森の中で眠る「オリ」に月明かりが差し込むシーンは、実に印象的で美しい。そして森の暗さと輝いて見える「オリ」の対比からは、彼が背負う過酷な運命すらも感じ取れる。

 ゲーム中のフィールドも、とにかく光の表現が美しい。洞窟の中にまばらに入り込む優しい日の光、攻撃の瞬間に輝くエフェクト、そしてほのかに光る「オリ」自身の体。光と闇の対比が常に美しく、「オリ」や周囲のオブジェクトを繊細に映し出す。背景のモデルも元々が非常に細かく描かれており、あらゆるものが強い実体感を放っている。

 本作においてはもう1つ、ストーリーも注目の要素だ。孤児の「オリ」は最初、森で出会った「ナル」に拾われ、素朴ながら楽しい生活を送っていた。しかし森はある出来事をきっかけに光を失ってしまう。「オリ」は森を見守ってきた精霊樹に選ばれ、森を救う唯一の希望として、森に何が起こったのかを調べる旅に出る。

 あまり詳しいことは書かないでおくが、物語は序盤から劇的に流れ、遊び始めてすぐに目が離せなくなる。ストーリーはビジュアル面での演出をうまく用いて、最小限のテキストで語られていく。キャラクターは人間ではないが、表情もしっかりと描かれており、作品世界にどんどん引き込まれていく。

 アクションゲームファンはもちろん、美しいビジュアルのゲームを探している人や、ファンタジックなストーリーを楽しみたい人にも、それぞれに楽しめる。とにかくあらゆる面で印象的な作品だし、毎日少しずつでも遊べる設計になっているので、ぜひ気軽に遊んでみていただきたい。ちなみに本作はXbox Oneでも配信中で、Xbox 360でも配信予定。さらに今年のホリデーシーズンには、完全版となる「Ori and the Blind Forest Definitive Edition」も発売予定となっている。

 今のところWindows 10には正式対応はしていないが、インストールからゲームプレイまで特に問題はなかった。推奨環境は、CPUがCore i5-2300以上、メインメモリは4GB以上、GPUはGeForce GTX 550 TiまたはRadeon HD 6770以上となっている。筆者はGPUにRadeon HD 7870を使用しているが、常に60fpsでプレイできている。最近のゲーミングPCであれば、性能的に支障が出ることはないだろう。

【スクリーンショット】
冒険の中の何気ないワンシーンが、どれも美しく表現されている
物語は僅かなテキストと上手いビジュアル演出で展開される

(石田賀津男)