最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

Wiiゲームファーストインプレッション

ファンが待ち望んでいた理想のJRPGがやっと現われたのか?
「ゼノブレイド」



 RPGファンだけでなく、SFファンの間でも話題を呼んだ「ゼノギアス」と「ゼノサーガ」シリーズ。メーカーやプラットフォームはバラバラだが、この2つのシリーズには大きな共通点があった。その裏にいるクリエイター、高橋哲哉氏だ。RPGというジャンルには、毎回、あっと驚かせるような新しいものを取り入れてきた天才ゲームクリエーター。そして、今回は高橋氏が総監督として満を持して取り組んだタイトル。その新作には、高橋氏のトレードマークでもある「ゼノ」という2文字が付いている。タイトルは……「ゼノブレイド」。

 過去の作品とは一切関連がないが、高橋ワールドはもちろん健在。今回も、魅力的なキャラクター達と奥深いストーリーで、ユーザーの目と耳は最後の最後までテレビに釘付け状態になることは間違いなし。前代未聞の世界、自由度の高い探索パート、テンポの速い戦闘システム。ヒットするような要素は数えきれない。今回は、本作をゲットしてのファーストインプレッションをお届けしたい。最後までじっくり読んで欲しい。



■ 神様の巨体が舞台の、前代未聞の世界

 人間がまだ存在しなかった海と空だけの世界。2体の巨人が刃を交えている。名前は巨神と機神。何かのために必死に闘っている。巨神の表面は緑に溢れている。機神は金属でできている。自然、対、技術の闘いかと思うと、2人の神様の動きが急に止まった。そして、ずっと、ずっと、その体勢のまま、そこにそびえ立っている。

 時代は過ぎていく。人間に当たるホムスという生き物が、巨神の体の表面で生活を営んでいる。そう。神様の巨体が舞台なのだ。ホムスが、コロニー9と呼ばれた大きな居住地に住んでいる。しかし、常時、平和があるとは限らない。なぜなら、機神の世界から正体不明のロボット達が襲ってくる。ホムスを食らうために……

 機神兵に対抗する手段は1つしかない。それは、モナドという特殊な剣だ。1年前の機神兵との決戦で、モナドを扱えたダンバンが、体の一部と引き換えにホムスの安全を守ることに成功した。モナドの特別な力を借りて、機神兵の大群を退けることができた。ダンバンは英雄になったが、片腕がモナドの力に蝕まれて、今、療養の毎日を送っている。

 コロニー9に平和が戻ったと思われた。主人公のシュルクは平凡な金髪の少年。防衛隊のラインと幼馴染のフィオルンと楽しい日々を過ごしている。時々、空から機神兵の欠片が降ってくるが、1年前の戦争の恐ろしさは少しずつ心から消えていった。しかし、平和はそう長くは続かなかった……

 突然、空から大群の機神兵が降りてきた。コロニー9は思いも寄らなかった襲撃を受ける。住人達は戸惑う。逃げ遅れる。食われる。防衛隊の任務から戻ってきたシュルクとラインとフィオルンは機神兵に立ち向かおうとするが、普通の武器は全く効かない。

「モナド」。

 モナドさえあれば、機神兵に太刀打ちできる。モナドを手にしたシュルクは未来が垣間見える“ビジョン”という超能力を得る。機神兵の動きを予知できるようになって、攻撃を瞬時にかわせるようになる。まさに完璧な戦闘の機械のように。モナドはシュルクの運命を大きく変えることになる。シュルクはホムスの未来を守るために、そして、機神兵の正体を暴くために、敵の行方を追うことを決意する。驚きとハプニング満載の旅が、始まろうとしている……。

コロニー9の周辺で任務中のシュルク達は突然、空から近付いてくる怪しい音が聞こえる 機神界から来た機神兵がコロニー9への奇襲を始めたようだ! 対空砲で反撃を試みるが、機神兵には全く効かないようだ
顔を持った機神兵も現われる。その話し方は機械的ではなく、人間の感情を持ったかのような自然なものだ。果たして、その正体とは? シュルク達は機神兵に対抗するための手段を必死に探している シュルクとラインはフィオルンと行動を別々にすることを決意する。果たして、それは正しい選択肢だったのか?


■ 隈なく探索できる、広大なフィールド

 主人公のシュルクがモナドを手にするまでの冒頭パートはコロニー9とその周辺を舞台にしている。他のJRPGとの大きな違いは、最初から探索できるフィールドが広いところだ。びっくりするほど、コロニー9は広大で、そして最初からできることは山ほどある。

 ゲームを始めて10分ほど経ったところ、既に住人からのクエストが楽しめるし、コロニーの周辺にある渓谷や洞窟などを自由に探索できる。

 広大さと自由さを恐れるユーザーも戸惑うことなく本作を楽しめるというところもすごい。画面の上部には常にメインストーリーを進めるための目的地の方角が矢印として表示されている。つまり、サブクエストなどのやり込み要素というものに興味のないゲーマーはずっと矢印の方向を辿ればいいということだ。これこそが、僕が待ち望んでいた、2つのプレイスタイルを提供するRPGだ。やり込み派がすぐ最初からメインストーリーからそれて、「ゼノブレイド」の世界の深さを堪能できるし、ストーリーだけを楽しみたいプレーヤーはサブクエストを完全に無視して、矢印に従えば物語を進行させることができる。万人のニーズに応えた絶好の作りだ。

最初から、コロニー9の周辺にこういう強敵も見つけることができる ジャンプを使って柵を飛び越えたりすると、秘密の場所に辿りつけることもある
コロニー9の一般の通りだけでなく、対空砲を支える巨大な建築物の上も歩くことが可能。最初から自由度はかなり高い コロニー9周辺の洞窟の中にも強いモンスターが潜んでいる。こちらから攻撃しない限り襲ってこない敵が殆んどなので、心配は無用

 あえていうなら、最初の街をこんなに大きくする必要がなかったのかもしれない。最近、他のRPGでも大きな街が見かけられるが、話せる住人や入れる建物が非常に少ないため、長距離を無駄に歩いている感覚を受けてしまう。実際にインタラクトできる場所や物を増やすと同時に、街をもっとコンパクトなものにするべきだと思う。そのほうが、プレーヤーはゲームの世界に馴染みやすくなるし、街での探索を、ストレスを感じることなく楽しめるのではないだろうか。

 「ゼノブレイド」の広大なフィールドでの移動を楽にするために、ある機能が導入された。「ワープ」機能。既に行ったことのある場所であれば、一瞬で移動することができる。正確に言うと、シュルク達は新たなロケーションを発見するたびにランドマークというアイコンがマップに現われる。その後、ランドマークをマップから選択すると、目的地に“瞬間移動”が可能になる。しかも、ロードを体感させることなく。これほどスムーズに冒険が楽しめるのは「ゼノブレイド」だけだと確信している。

マップを開くと、画面の左側にランドマーク(発見したロケーション)のリストが表示される ランドマークを選択して決定ボタンを押せば、一瞬で好きな目的地に移動することができる
新しいランドマークを発見すると、キャラクター達はいくらかの経験値を獲得するというご褒美も 例えば、ダンジョンのボスに挑む前に装備を強くしたい場合、ワープ機能を使えばコロニー9のショップに瞬間移動できる。そして、購入後、またワープを使えば、ダンジョンに一瞬で戻れる。夢のような機能だ

メインメニューの時間設定画面に移ると時計の針を自由に戻したり進めたりすることができる

 「ゼノブレイド」の深さは“スペース”によるものだけではい。時間も大きな役割を果たしている。そう。巨神世界では時計の針がリアルに進んでいく。朝から夜へと、実際の世界と同じように街や景色の姿が変化していく。もちろん、見た目の変化だけではない。時間帯によっては住人の会話やイベントが変化して、街の様々な顔に出会うことができる。訪れる時間によって受けられるサブクエストも違うので、やり込み派にとっては本当にたまらない内容になっていると思う。しかも、「ゼノブレイド」では時間への“ワープ”もできる。時間が自然に過ぎるのを待ちたくない場合、メニューの専用項目を選んで、時計の針を進めることが可能だ。これも、「ゼノブレイド」が提供する“遊びやすさ”の1つ。

コロニー9が一望できる高台。朝、夕方、深夜によって周囲の雰囲気が大きく変わる
フィールドでは天候も変わることがある。雨が降る時は、特別なモンスターに遭遇する場合もある カメラを回して景色が変化するのを見つめるのも1つの楽しみ方だ プレーヤーの設定した時間帯はイベントシーンにも反映される

屋内ロケーション(ダンジョン)も、非常に深い。見下ろしてみると、底が見えないぐらい深いのだ

 故郷のコロニー9を後にしたシュルク達は巨神界の巨大な体の表面を探索し始めることに。矢印は次の目的地を丁寧に教えてくれるが、冒険好きなプレーヤーはいつでも1本の道から離れることができる。背景にある山は単なる背景ではない。画面に見える(ほぼ)全ての場所に辿りつくことができる。そう。「ゼノブレイド」の世界は平坦な世界ではない。起伏に富んだ垂直の世界なのだ。眼下に広がる湖にはジャンプすれば飛びこめる。そびえ立つ山には、岸壁をよじ登れば到達が可能だ。正真正銘のバーチャルな世界。最後の最後まで探索できる世界。秘密の洞窟を発見した時の驚き。その奥に隠された宝を見つけた時の喜び。この素敵な気持ちに浸らせてくれるのが、「ゼノブレイド」の深い世界なのだ。

コロニー9が一望できる高台から眼下の湖に飛び込んでみた。ちなみに、着地の場所が地面の場合、落下した距離によるダメージを受けてしまう。場合によっては致命的な怪我を負うことも 秘密の洞窟を見つけるために湖を泳いで探索することに。最初から全ての場所にアクセスできるが、自分のレベルと合わない強力な敵もいるため、油断は禁物! 上下の矢印アイコンの付いた壁をよじ登ることが可能だ
巨神の脚という場所に辿りつくと、自由度の高さはさらに増す。言葉を失なうほどフィールドは広大だ 泳いだり、ジャンプしたり、壁をよじ登ったりすることで、画面に広がる(ほぼ)全ての場所に辿りつける 垂直に移動する為にはエレベーターなどの装置も使うことがある


■ 敵との位置取りがカギの、戦略性の高い戦闘システム

 もちろん、フィールドの探索にはモンスターとの戦闘が付き物だ。「ゼノブレイド」のフィールドでは、あらゆる大きさと種類のモンスターが徘徊している。大ざっぱに分けると、巨神界に属する生物系のモンスターと、機神界から侵入してきた機械系の敵。どのモンスターも独特な行動を持っており、シュルクが近くにいても何の反応を見せない生物もいれば、音に反応して襲いかかってくるモンスターも存在する。プレーヤーはL/Rボタン(クラシックコントローラ操作の場合)で目の前のモンスターがどういうタイプか、どういうレベルかあらかじめ調べることができるため、自分から攻撃するべきかどうか判断することができる。自分より明らかにレベルが高い場合、そのモンスターから離れて別の方向に進んだほうがいいということになる。

新しい敵を発見する度、まずRボタンを押してその特徴を調べてみよう 一般と違う大きなモンスターも潜んでいたりする。強力な場合が多いので、まずそのプロフィールをチェックしてみよう 巨神界に住むモンスターは生物系だが、侵入してきた機神兵と戦う場合もある

 モンスターへの攻撃を決めた場合、Aボタンを押せば剣を出して戦闘を始める。バトルはMMORPGのようにシームレスに探索パートから展開する。戦闘では、予めスロットに設定しておいたアーツ(他のゲームで言う技や魔法など)を使いつつ、モンスターにダメージ、または様々な効果が与えられる。ちなみに、アーツを1度使用した後、ゲージが溜まるまで使えなくなるので、アーツを使うタイミングも大事だといえる。タイミングだけでなく、「ゼノブレイド」の戦闘で大切なのは、敵との位置取りを考えた上で適切なアーツを選ぶことだ。例えば、背面から○○アーツを使用するとダメージが倍増したり、横から○○アーツを実行すると特効(特殊効果)が表われたりするなど、いつも敵との位置関係を考えて行動しなければならないので、とても戦略性の高い戦闘が楽しめる。

攻撃を開始させるには「戦う」アイコンを選択して決定ボタンを押すだけというシンプルさ 敵が強すぎると感じたら、「逃げる」アイコンを選択しよう
例えばシュルクの「バックスラッシュ」は背面から的中すると大ダメージを伴う特効が表われる 倒した敵からは必ず宝箱が現われる。その中には貴重な素材や武器が入っている場合もある

イラストも使った丁寧なチュートリアルは戦闘のやり方や各アーツの効果について説明してくれる

 コンピューターに操作されるパートナーとの連係プレイも大切だ。例えば、シュルクでモンスターの防御を崩すタレントアーツを使用した後、パートナーは自動的に“崩し”に繋がる“転倒”アーツを実行してくれる。この連係プレイで一般的なモンスターは転倒し、しばらくの間攻撃できなくなるし、受けるダメージ量も一気に増える。つまり、とどめをさすのに絶好のチャンスになるわけだ。

 注目して欲しいゲージがもう1つある。画面の左上に表示されたパーティーゲージ。その名称が示す通り、パーティーの3人に共通しているゲージだ。クリティカルヒットを出したり、タレントアーツの特効を発生させることでゲージが3つ目まで溜まっていく。全部溜まってきたら、パーティーの3人は力を合わせてチェインというスペシャルコマンドを使用できる。そうすると、普通の攻撃と違って時間が止まり、プレーヤーは自分の操作しているキャラクターのアーツだけでなく、他の2人のアーツも選択するチャンスを与えられる。同じ色のアーツを繋げることによって長いチェインを作り出し、敵に一気に膨大なダメージを与えられるようになる。

 「ゼノブレイド」の戦闘で生き残るための常識はまだある。それは、機神兵との対抗の仕方。普通のモンスターと違って、機神兵は一般の武器に高い耐久力を持っている。大きなダメージを与えられる唯一の手段はシュルクのモナドだ。モナドアーツという特殊なアーツを使って、機神兵に対抗できるようになる。それだけでなく、モナドの獲得によってシュルクは未来視(ビジョン)という超能力を得た。特に強力なボスとの戦いではこのビジョンが勝敗を分ける。ボスがどんな必殺技を仕掛けてくるのか何秒か先の展開を垣間見ることで、予めそれに対抗するための作戦を練られる。例えば、シュルクが1発で倒されるビジョンを視た場合、モナドアーツの盾を発動させて、ボスの強力なアタックを完全に防御できるようになる。ただし、ビジョンが見えた瞬間と、ビジョンの出来事が起きるまでの間が10秒ぐらいしかないので、いつもプレーヤーの瞬時な判断が要求される。練習が必要なシステムだが、慣れてくると、本作の独特な戦闘のトリコになるに違いない。

冒頭パートではシュルクはまだモナドを持っていないので、機神兵にダメージを与えるためには別のテクニックを使う。それを「崩し」という 「崩し」とは機神兵の防御を崩す効果を持つアーツのことを指している。例えば、シュルクの「ターンストライク」がその1つだ
敵を“崩した”後、ラインが得意の“転倒アーツ”で機神兵を転倒させよう。これこそが、チームワーク 中盤から圧倒的に増える機神兵と対抗するにはモナドアーツの使用が必要不可欠になる


■ プレーヤーの数だけ可能性を持った成長システム

 本作の成長システムはオーソドックスでありながら、柔軟性にも優れていると感じた。キャラクター達は戦闘で経験値を積み、レベルアップすると新たなスキルやタレントアーツを獲得することがある。そして、集めたAPを割り振って、タレントアーツのレベルを上げることも可能だ。ここでは新しいアーツが自動的に獲得されていくので、冒険がテンポ良く感じられる。アーツが決まっているおかげでキャラクターの個性も増し、そして役割分担という要素が大きく戦闘に影響してくるといえる。

アーツは少しずつ増えていくので、練習できる時間が沢山あり、誰でも簡単にマスターできる アーツのレベルを上げると、ダメージ量だけでなく、詠唱に必要な時間が短くなるケースもある
街のショップでは各キャラクターのアーツレベルを解放させる特殊な本を売っていることもある スキルツリーというシステムもあり、キャラクターの性格を設定することで様々な自動効果が発揮される

キャラクター達の強さは装備品によっても大きく左右される。コロニーの店や道中の行商人が多種多様な武具や武器を売っている。同じアイテムの複数のバージョンが存在するため、買い物をする時は、キャラクター能力値の増加・減少を分析する必要もある。昨今のRPGではよく簡略化されるパートだが、やはり正真正銘のRPGはこの大切なパートを持つべきだと思う。さらに、特定の武具にはスロットがある場合もある。複数もあるスロットにジェムを取り付けることで装備品のパラメーターがさらに上昇する。

買い物をする時は、装備品に付いた文字に注目して欲しい。「S」はスロットの存在を表している ラインが装備している「バイルバンカー」という武器に「筋力アップI」というジェムを付けた。そのおかげで攻撃力が増加した

コロニー9に店を構えるジェム爺に話しかけると、ジェムクラフトが開始される

 ジェムは攻撃力や防御力に影響を与えるものなど、多種類が存在する。ちなみにフィールドではジェムの作成に必要な素材(結晶)を手に入れられる。その結晶をコロニー9のジェムクラフト屋さんに持っていくと、素材の合成ができる。店の特殊な機械を利用して結晶を合成させ、装備品に装着するジェムを作り出せる。このパートをやらなくてもゲームは進められるが、最強の装備で最強の敵に挑みたい人は、やはりこのジェムのやり込みパートに長時間を費やすべき。ちなみに筆者は本編を忘れたくなるほど、このジェムクラフトにハマってしまった。

まず、これまで集めた結晶の特徴を考えながら、合成に使う素材を選ぼう。なお、1回のクラフトで使用できる結晶の最大数は8つだ クラフトする仲間を選択する必要もある。シューターとエンジニアの2つの役割がある。もちろん組み合わせによってはクラフトの結果が違ってくる
クラフト実行中、結晶の純度と、それによって追加される効果が確認できる ジェムクラフトに必要な結晶はダンジョンやフィールドにある「エーテル鉱床」から手に入れることができる

 さらに装備について特筆すべきは、武具によってキャラクター達のルックスが変わること。もちろん、会話シーンでも身に着けた装備品の種類が反映される。他のRPGでも見られた特徴だが、「ゼノブレイド」はそれを次のステップに持っていった。例えば、キャラクター達は同じ鎧を買ったとしても、それぞれ専用のルックスが用意されている。つまり、“戦隊もの”的な、パーティーの皆が同じに見えるという問題が解決された。この選択で開発者の作業量は増えたが、得られた結果は本当に素晴らしいと思った。


■ 街の変化や住人とのキズナが楽しめるサブクエスト

 「ゼノブレイド」はやり込み派ユーザーにとっても最高レベルの深さを持っている。一旦、サブクエストをやり始めると、その豊富さとバラエティーさに完全に圧倒されてしまい、やめられなくなる。ちなみに僕は2時間毎にストーリーを止めて、1時間ほどサブクエストに没頭するというプレイスタイルで遊ばせてもらった。サブクエストは行商人の妨げになる特定のモンスター討伐から、住人が無くしたペンダントの捜索まで、ジャンルと難易度は様々だ。住人から請け負った任務を無事に遂行すると、約束されたお金とアイテムをご褒美として手渡される。

サブクエストは「!」が付いた住人から引き受けることができる ちょっと変わったクエストも発生することがある。マーシャというお婆さんに孫へクッキーを届けるようにお願いされた。引き受けてみる?
ときどきシュルクは未来に起きるクエストに関してのビジョンが視えることがある。その内容を忘れないように…… クエストログではクエストの内容や進捗状況などをいつでも確認できる。なお、時間が経つとクリアできなくなるクエストもあるので、注意が必要だ

 サブクエストをクリアすると、もう1つの良い効果が待っている。住人と住人の関係が変わったり、良くなったりする。そう。「ゼノブレイド」の街に住んでいる人々は単なるエキストラではなく、皆、お互い何らかの形で繋がっている。友達だったり、夫婦だったり、恋人だったり、または、ライバルだったりする。そして、誰かさんに受けたサブクエストをクリアすると、その誰かさんに関係した住人の行動にも変化が表われる。

 例えば、夫に妻の無くしたペンダントを探してこいと託されたとしよう。ペンダントを見つけて夫に渡したら、彼が喜ぶだけでなく、妻も喜んで、そして2人の仲が良くなる。この変化で、受けられるサブクエストも増えるし、そして筆者がまだわからないようなサプライズも待っているのかもしれない。

「キズナグラム」は、街の住人の関係を調べることができるマップ それぞれの住人は活動する時間が違うため、特定の時間でないと会えないということになる。その場合は時間設定機能を積極的に使おう
住人とは物々交換も楽しめる。Yボタンを押すと専用の画面に移る 相手の持つ品物と同価値のアイテムを選ぶと交換が成功する



■ 皆が待ち望んでいたJRPGの最高傑作が、やっと現われた!

 これはJRPGを愛してきたユーザーの素直な気持ちだ。プレイするために早く仕事が終わって家に帰りたいと思ったのは、少なくとも10年ぶりだ。この感覚は本物だ。そして、「ゼノブレイド」は世界中のRPGファン達が待ち望んでいた、伝統と進化を1つにした理想のJRPGだと確信している。

 もちろん、全てが完璧なわけではない。本音を言うと、グラフィックスの解像度がそれほど高くないし、キャラクターのモデルとアニメーションも少し粗くて表情豊かさに欠けている。会話シーンのお芝居もハイデフのライバル作品には敵わない。が、このゲームには沢山のメーカーが昨今忘れかけているRPGの魂がこもっている。サプライズ満載の広大なフィールド。優れたゲームデザインを持ったダンジョン。遊びやすさと深さを合わせ持った戦闘システム。このゲームにはJRPGというジャンルに必要な全ての要素が見事に揃っていると思う。

 ストーリーのほうも非常に面白い。世界のプレーヤー達を震撼させた、あの高橋哲哉氏が、今回も衝撃的な物語を考え出してくれた。哲学、宗教、機械、人間の誕生、社会問題……高橋氏ならではのアダルトなテーマが、この作品にも登場している。キャラクターの喋るセリフも興味深い。SF系の造語もときどき出てくるが、それでもストーリーはわかりやすいので、「ゼノサーガ」のような文章の難しさを消化できなかったユーザーには安心して頂きたい。

 音楽についても一言触れておきたい。光田康典氏を始めとした作曲達は、どのパートをも盛り上がらせるような最高のサウンドトラックを用意してくれた。ボス戦闘の緊張感を高めるハードロック系の曲から、フィールドでの探索にパーフェクトにマッチした西部劇系の曲まで。音楽がRPGというジャンルにどれほど大切か、このゲームでは再認識させられた。

 最後にインプレッションをまとめてみよう。なお、今回の感想記事を書くために20時間ほど遊ばせてもらった。全てを見たわけではないが、この20時間で確実に言えることがある。「ゼノブレイド」はゲームの歴史に稀に出る貴重な宝石だ。Wiiがハイデフのライバルゲーム機ほど強力ではないことは紛れもない事実だが、ゲームデザインの面においてはハイデフ機をも凌ぐ奇跡のゲームができ上がったと思う。このゲームは本当に信じられないほど深い。このディスクの中には“地球”が入っていると思って欲しい。省略されたワールドではない。1歩1歩、歩ける世界。アメリカ出身のオープンワールドRPGにJRPGならではの魅力を足した感じだ。しかも、ロードなしでどこへでもワープできる機能のお陰で、同じ長距離を何度も歩くことから生じるストレスが、一切なくなる。すごい。すごい。すごい。このゲームをプレイしないのは、あまりにももったいない!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:33歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜〜金曜 18時30分〜19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること

(C) 2010 Nintendo / MONOLITHSOFT

(2010年7月20日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]