佐藤カフジのVR GAMING TODAY!

E3 2016で注目すべきVR関連トピックを総ざらいする

PlayStation VRを筆頭に多数のコンテンツが登場見込み

E3 2016

 米国時間の6月12日から16日にかけて開催される、世界最大のゲーム見本市E3 2016。多数のプラットフォーマーやゲームメーカーが新製品を発表する場であるだけに、VRゲームファンにとっても見逃せないイベントだ。

 今年のE3が昨年までと異なるのは、市場にはすでにOculus RiftやHTC Viveといった第一線の消費者向けVRシステムが発売済みであることだ。まだ見ぬハードウェアへの関心が中心であったこれまでのE3とは違って、コンテンツへの関心が高まる形になることは間違いない。

 10月の発売が予定されているPlayStation VRについても事情は同じだ。3月に開催されたGDCで発売時期・価格(44,980円)が発表され、VRシステムとしてのスペック詳細も出揃った。あとはこのシステムでどういったコンテンツが楽しめるのか、ゲームファンの関心はそこだ。

 また、すでにハードウェアが出揃っていることで、プラットフォーマーではなく各ゲームメーカーからのVRコンテンツ出展が普通に見られることも期待される。事前情報からわかる範囲で、今年のE3で期待されるVR関連のトピックを予習してみよう。

注目の筆頭はPlayStation VR。Microsoftはどう出る?

PlayStation VR

 世界累計4,000万台を突破し勢いに乗るSony Interactive Entertainment(以下「SIE」)のプレイステーション 4。その成功を背景に、専用のVRシステムであるPlayStation VR(以下『PSVR』)も大きな成功が期待されている。

 エキスポ会場のウェストホールに設けられるSIEの大規模ブースでは、数十タイトルのPS4向けゲームに加えて、現時点でわかっている限りで10タイトルのPSVR対応ゲームのプレイアブル出展が行なわれる見込みだ。

【E3 2016で期待されるVRタイトル一覧】
「EVE: Valkyrie」/CCP Games
「Harmonix Music VR」/Harmonix
「Headmaster」/Frame Interactive Studio
「Rez Infinite」/Enhance Games
「Super Hypercube」/Kokoromi/Polytron
「Thumper」/Drool
「Wayward Sky」/Uber Entertainment
「100ft Robot Golf」/No Goblin
「Battlezone」/Rebellion Interactive
「Psychonauts in the Rhombus of Ruin」/Double Fine Productions

 このリストのうち大半は3月のGDCやそれ以前のイベントでも出展されたタイトルだが、「Harmonix Music VR」、「100ft Robot Golf」、「Psychonauts in the Rhombus of Ruin」あたりは初めてのプレイアブル出展となる。

 その他にも、PSVR対応がアナウンス済みの「GT SPORT」、「エースコンバット7」といった注目タイトルが何らかの形でプレイアブル出展されるかどうか、期待したい。

 そのあたりが明らかになるのは、日本時間6月14日午前10時より開催されるSIEのプレスカンファレンスでのことになる。プレスカンファレンスではPSVR向け新タイトルの発表もかならずや行なわれるはずだ。

 ちなみに、昨年からまことしやかに噂されていたPS4の新型バージョン(『PS 4.5』などと言われていた)は、コードネームNeoとしてすでにその存在をSIEが認めているものの、このE3でのお披露目は行なわれない見込みとなっている。

Xbox Oneに関する噂

Xbox One
VR向けデバイスである3DRudder
それが何故かXbox Oneカテゴリの中にある

 新型PS4と同様に、噂が先行しているのがXbox Oneの新バージョンだ。複数の海外メディアの報道(例えばPolygonの記事)によれば、Microsoftでは大幅に性能を強化した上位版Xbox One、コードネームScorpioを2017年に投入するつもりであり、その新型Xbox OneでもってOculus Riftに対応するのではないか?……などといった不確かな情報が飛び交っている形だ。

 VR対応の噂について薄弱な根拠となっているのが、E3 2016公式サイトの出展カテゴリーの分類ページ。Xbox Oneカテゴリーの下に、VR用の移動デバイスである「3DRudder」が入っているのだ。ぶっちゃけていうとこれしかXbox OneとVRを結びつけるような情報がない上に、単なる分類データ上のミスであることもありうるので、可能性としてはとても低い。

 ただ、皆が期待を持つことには理由がある。Microsoftでは昨年よりOculusとのパートナーシップを結びPC向けVRの展開で協力していることと、Windows 10を核とするOne Windows戦略にXbox Oneも組み込みつつあるという事情だ。Xbox One+Oculus Riftで、Windows 10のアドバンテージをコンシューマー機の世界にも持ち込むというのは、プラットフォーム戦略としては大ありである。それがどのような時期に、どのような形で実現されるか。

 少なくとも今回のE3で確実視されているのは、Xbox Oneのスリム版がMicrosoftのプレスカンファレンスでアナウンスされるであろうということだ。いずれにしても全ての真相は、日本時間で6月15日1:30から開催されるMicrosoftのプレスカンファレンスでハッキリするはずだ。

Oculusは引き続き大規模ブース出展も、デバイス系企業は激減

Oculus Rift
Oculus Touch
Contact CIが出展する謎のVRグローブ。開発者向けっぽい雰囲気

 さて、PC用VRシステムの雄であるOculusは、昨年に引き続きウェストホールに大規模ブースを出展する。出展内容については明らかにされていないが、今年後半のリリースを予定しているOculus Touchを用いたVRコンテンツのデモを中心に、多数のコンテンツをプレイアブル出展することが期待される。

 Oculus Touchが発売されれば機能的にはHTC Viveに並び、ハンドモーションを用いたフルスペックのVRゲームを楽しめるようになるだけに、Oculus Riftオーナーのみならずゲームデベロッパーからの期待も大きい。

 これに対して、HTC Viveを展開するHTCとValveはエキスポ会場への出展はなく、ビジネスミーティングルームのみの展開だ。いまはまだデベロッパーと話をすればいいという割り切りか。E3開催期間中に様子を見に行ってみたい。

 昨年のE3に比べて大きな違いとして出ているのは、HMDや操作デバイス等のVR関連ハードウェアの出展が激減していることだ。全出展社のうち、VRカテゴリに含まれるのはハード・ソフト合わせて23社が挙げられているが、そのうちのほとんどがAndroid/iOS用のVRキット(例えばCarl Zeiss)か、小規模なコンテンツメーカーである。唯一気になるのはContact CIという企業が出展するグローブ型デバイスくらいで、E3に出てくるようなVR関連ハードはかなりの勢いで淘汰が進んでいる感じがある。

 例えば昨年のE3 ではOculusブースの近隣にデモブースを出展していたVR歩行デバイスの「Virtuix Omni」や「Cyberith Virtualizer」、あるいはVRグローブ「Manus」といったデバイス系企業が今年は出展無し。また、昨年のE3で大きな注目を集めた超高解像度・超高視野角のHMD「StarVR」を手掛けるStarbreeze Studiosは、今回はミーティングルームのみの展開、日本のスタートアップが手掛ける「FOVE」や中国製VRHMDの「AntVR」は参加せず、といった形だ。

各ゲームメーカーからのVRタイトル出展

 大手ゲームメーカーの中で、最もVRコンテンツの出展に力を入れているのはUbisoftだ。3月のGDCで出展/発表された「Eagle Flight」、「Warewolves Within」に加えて、今回のE3では新たに2つのVR専用タイトルをプレイアブル出展する見込みである。

Eagle Flight
Warewolves Within

 また筆者が個人的に気になったのは、出店社情報のVirtual Reality/Onlineカテゴリーに、老舗のFPSデベロッパーであるSplash Damageが含まれていることだ。Splash Damageは近年では「Brink」や「Dirty Bomb」といったオリジナルタイトルを手がけてきている開発力の高いデベロッパーであるため、もしVRでオンラインプレイ対応のFPSを開発中といった情報が出てくれば、ゲーマー的に興奮に値する。

 その他のメーカーからもE3 2016の開幕に合わせて新たなVRゲームのアナウンスが見られるか否か。こちらも楽しみにしておこう。