山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第26回

「No Man's Sky」をプレイするなら映画「インターステラー」や「オデッセイ」、マンガ「火の鳥」もオススメしたい話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

僕は今週ずっと宇宙を放浪していました。でも、気がついたら密猟者みたいになってました。

先週にPS4の日本語版が発売されたSFアクション・アドベンチャーゲーム「No Man's Sky」を今週はがっつりプレイしていたんですけど、

まぁ、素敵なゲームですよ。

どこまでも広がる宇宙
サイケデリックな色彩をした未知の惑星
その星に棲息するわけのわからない生物
飛び交う宇宙船や奇妙な取引を持ちかける異星人たち
古代に超文明を誇ったらしい異星人の遺物
などなど……。

広大な宇宙と数多の惑星と、そこを旅するための宇宙船を用意したので、君は宇宙を旅してもいいし、別にしなくてもいい……みたいな放り出され感も、僕は好きです。

ファミコン世代からのゲーム好きの人なら、

「きっと未来の『スターラスター』はこんなゲームになっているはずだ!」

と妄想したことがあると思うのですが、

というかそんな人はあんまりいないかもしれませんが、話が続かなくなるので。みんなそういう妄想をしていたとして、まさに今風にとんでもない規模に進化した「スターラスター」っていう感じでもあります。

宇宙も惑星も、全てシームレスに読み込みなしで行き来できちゃうオープンワールドになっているのが「No Man's Sky」の特徴で、惑星は大きさが様々ありますが、大きめの星だと1周ぐるっと歩いてまわるのに実時間で何10時間もかかってしまうぐらい。

そんな大きな惑星でも、ひとたび宇宙船に乗って宇宙に飛び出してどんどん離れていけば、次第に小さな丸い球体になって最後には消えていきます。そして、ふと周りを見渡せば、他にもまだ降り立ったことのないの惑星の影がたくさんたくさん見えてくる。

「No Man's Sky」の宇宙に存在する惑星の数は

18,446,744,073,709,551,616個。

約1,800京個(京は兆の上の単位)。

もうどうにでもなーれ的な数の惑星を好きに探索すればいいじゃないみたいなゲームであり、惑星をてくてく歩いての等身大のスケールから、銀河をひとっ飛びに駆けていく大きなスケールまでが繋がっていて、そのスケール感にたまにクラクラするような世界です。

もはや“オープンワールド”というよりも“オープンギャラクシー”。

みんな大好き初回購入特典でもらえる宇宙船「どまにし」。長い探索の末になんとか帰って来れたときは、「どまにし!どまにしぃぃ!会いたかったよ!」って気分になります
宇宙空間も惑星もシームレスに繋がっていて行き来できちゃうので、惑星探索感はかなりのものです

先週にこの連載に書きましたが、“どこまでも遠くまで行きたい願望”のある僕にとっては、とても満足度の高い1本です。

ですが、前評判どおり「No Man's Sky」は誰にでもオススメできるゲームというわけでは、やっぱりないですねー。

スケールこそとんでもなく壮大なゲームですが、そのひとつひとつが緻密に作り込まれているわけではなく、ストーリー的な要素もほぼなく「宇宙の中心を目指すと良いっぽい」ぐらいの感じです。用意されている楽しみ方はかなり少ないです。

僕にとっては逆にそれぐらいの“ちょろっと置いてある”ぐらいに控えめなのが嬉しかったりもするのですが、よりゲーム的なものが用意されていたり、受け身で楽しめるものが良いという人には、あまり向かないかもしれません。

宇宙物の作品全般が大好物で、近年だと映画「ゼロ・グラビティ」、「インターステラー」、「オデッセイ」、小説「火星の人(オデッセイの原作小説)」がとても気に入っていて、そもそもは子供時代に手塚治虫先生の「火の鳥」(特に女王ロミが地球を目指す「望郷編」あたり)を読んで頭をクラクラさせていた僕みたいな人は、「No Man's Sky」がかなりオススメです。

逆に、「No Man's Sky」を気に入っていて、上に書いた作品を知らないという人は、そちらもぜひ見て欲しいですね。相乗効果でより「No Man's Sky」が楽しくなるはず。

……「火の鳥 宇宙編」に出てくる流刑星みたいな惑星とか、

……地球にそっくりなぐらい美しいのに、実は放射線や毒まみれで、美しい星ほど迂闊に立ち寄ると危ない的な体験もできますよ。

で、そんな気分は牧村隊員(火の鳥の登場人物)みたいなプレイをしていた僕ですが、今は新しい宇宙船を買ったり、より装備を充実させるために、希少価値の高いパールを回収しては宇宙警察的な機械兵器「センチネル」に追いかけ回されてまして。「なんか密猟者みたいな気分だ」と思いつつ稼いでおります。

緑豊かで海も広がっていたキレイな星だったのですが、降りてみたら猛烈な毒素まみれの星でした
ある星で見かけた植物……手塚治虫先生の「火の鳥(宇宙編)」を読んだことのある人なら、身震いせずにはいられない

まぁ、そんなわけでして「No Man's Sky」を僕は全力で楽しめてはいるんですけど、お仕事的な目線でちゃんと批評すると“ゲームの土台部分だけで遊んでいる”みたいな飾りっ気やゲームっ気の薄さでございまして。自分で味付けして食べている感じですね。想像力や妄想力で、自分で味付けできる人向けです。

でも逆に言えば、アップデートやDLCなどでそういう飾りっ気やゲームっ気が増えていったり、それこそ続編等でよりパワーアップしてくれたら、いずれ新世代を代表するようなタイトルのひとつになるかもしれない……ような気もしてくるゲームです。

こういうエッジの効いた方向性のゲームは今どき、特に家庭用機にはとても珍しいので。

オススメはあまりしませんけど、ちょっと変わったゲームを求めている猛者な人、もしくは宇宙が好きすぎる人は、ぜひどうぞ。

他にも「バトルフィールド1」のβテストが始まったり、遅ればせながら3DS「世界樹の迷宮V 長き神話の果て」をプレイし始めたりと、遊ぶ時間が全然足りない日々を過ごしております。皆さんも遊びすぎにご注意を。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。

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