山村智美の「ぼくらとゲームの」
連載第22回
「ポケモンGO」はブームのあとに定着し、果てしない底なしコンテンツになるんだろうなと思えている話
2016年8月3日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
「ポケモンGO」が国内で配信開始となってから
もうすぐ約2週間というところですが、
どうですか皆さん、ボール投げてますか?
レベルが上がるにつれて、次第にポッポやコラッタにまで何度もボールから逃げられるようになって「イラッ」としたりしてますか?
バスに乗っている時に「近くにいるポケモン」にハクリューのシルエットが出て、全然予定にないところなのに降りて近隣を探し回り、あげく全く見つからなくて、汗だくのままうなだれたりしてますか?(実話)
……ハクリューのシルエットが出たらバス降りるよね?ね?
まぁ、それはさておき。
「ポケモンGO」は、まだまだ連日話題が尽きない様子で。
アプリは世界1億ダウンロードを突破、課金額も一日1,000万ドル(約10億円)を維持しているのだとか。
ものすごい勢いです。
一方で「どれぐらいで飽きるのか、飽きられるのか?」という
話題もネット上ではそこそこ見受けられるようになりました。
ですが、個人的な意見を書くと、
ブームというのは「飽きる、飽きない」という個人差のある感覚よりも、
一時的な熱がある程度冷めてきたあとに
「消えるのか、定着するのか」がポイントではないかなと思います。
まぁどんなものだってやり過ぎれば飽きますしね。
一時的な熱狂は、いずれ冷めるのも必然です。
飽きてきた先が本当の始まりであり、大事かなーと。
で、「ポケモンGO」はと言えば……ここまでくるとパッタリ消えるっていうことは考えられないですし、既に“新たな遊びを定着させた”と言っていいレベルだとも思います。
定着後には、アップデートで新要素を入れていくのが重要になるわけですが、ポケモンほど追加要素の資産に恵まれているコンテンツは世界を見渡しても滅多にありません。
本家シリーズの積み重ねがたっぷりがっつりありますから。
ポケモン収集コンテンツと捉えれば、その時点で実装されているものをコンプする、もしくはコンプする間際ぐらいで「もういいかな」という時期がくるわけですが、そういう楽しみ方の人なら追加ポケモンが実装されるごとに盛り上がれます。
それに、ポケモンは収集するだけのコンテンツではないんですよね。
もともと、そこからのポケモンバトル用育成が、果てしなく、奥深く、恐ろしいコンテンツです。
現在でも「ポケモンGO」をヘビーにやりこんでレベル20を越えているぐらいの人なら、
すでに以下のことに着手しているはず。
・個体値チェック
(同じポケモンでもHP・こうげき・ぼうぎょがどこまで成長するかが異なる)
・技の厳選
(同じポケモンでも修得している技が異なる)
僕もここ数日でやっとこさレベル20を越えて「そろそろ意識してみようか」と、捕まえたポケモンの個体値を調べるようになりましたし、幸運にも突然出現したところを捕まえたギャラドスの必殺技が「たつまき」だったのにうなだれたりしてますが、
そのあたり意識するようになったことで、
「ポケモンGOってとんでもない底なし沼みたいなアプリだぞ、これ」
って思うようになってきました。
(ちなみに僕は「ポケモンGO図鑑 151」さんの個体値チェッカーを使わせて頂いております)
開発を手がけるナイアンティックのCEOジョン・ハンケ氏からは以前「Comic-Con(コミコン)」にて、今後のアップデートでは「ポケモンのトレード機能」、「新ポケモンの追加」、「ポケモンの繁殖」、「ポケストップの機能拡張(様々な効果を持つルアーを導入?)」などが構想にあると語られていますが、
仮に、身近な人との「ポケモンバトル」が可能になったりすると、
それだけでも果てしなく遊びこめる度合いが高まること間違いなし。
現時点でも結構、果てしないやり込み要素のあるアプリに思えていますが、
今後、予定されているという新要素や、本家シリーズから入ってきそうな要素を想像すると……手軽に楽しめる一方で、奥深さは底なしのアプリになりそうで、恐ろしいばかりです。
本家シリーズよろしく、かわいい見た目とは裏腹にゲーム性がっつりですよ。
今年はPlayStation VRをはじめとしたVRデバイスによる「VR元年」だ!
と言われておりますが、「ポケモンGO」によって一気に「AR元年」とも言える様相になりました。
(AR技術を使ったアプリなりは以前からありましたが、一般化したという点で「ポケモンGO」の影響は計り知れないです)
実在感を得られるほどのデジタル世界を構築する「VR(仮想現実)」、
現実の世界にデジタル情報を追加して新しい体験を生む「AR(拡張現実)」。
先週の土曜日には、「ポケモンの巣」と呼ばれる各地の公園に出現するポケモンがガラッと変わったので、入れ替わり前の情報を載せていた各ゲームメディアの担当さんは悲鳴を上げたのではと思いますが。あれもすごいことですよね。
ポケモンの巣情報によって、おそらく国内だけでも何千人という単位のユーザーさんが足を運んだり別の巣へと移動したりしたのではないでしょうか。
これまで静かだった公園が賑わって周辺の自販機やコンビニの売り上げが急に伸び、かと思えば次の週にはそうでもなくなったりして。商品の仕入担当の人も大変でしょう。いや、ほんとに。
(自分の出したゴミは絶対に持って帰りましょうね)
そういう現象がアプリの位置情報によって、出現の設定次第で起きているというのは前代未聞というか。神の領域じみたものを感じさせるところがあり。
むしろ拡張されたデジタル情報によって現実のほうが動いてますよっていう感じです。
「ポケモンGO」のこれからも楽しみですが、こういう事例を目の当たりにして、また新しいコンテンツやエンターテイメントが誕生してくるような予感もあり。そちらも楽しみにしたいところ。
「ポケモンGO」はいろんなことが変わっていくきっかけになるかもしれませんね。
ちなみに先週の例で言えば、おそらく今週もまた棲息ポケモンがガラッと変わっていくのではないでしょうか。それもまた楽しみだったり。
僕はこのコラムを書く直前の8月2日には、東京港区の竹芝に行ってきました。
どうも「ロコン」がよく出現する巣になっているらしいということで。
行ってみると、いましたいました。
他で全く見ることのなかったロコンが出てきてくれました。
ゆりかもめの「竹芝駅」を降りて数分の埠頭の方へと歩くと、見つかります。
とは言ってもロコン自体は1時間に3~4匹出るぐらいのペースなのですが、
他にも大量のコイキングやコダック、たまにミニリュウとかゼニガメあたりの水ポケモンが出現するので、なかなかホクホクです。
なにより、目の前が海で気持ちいいですしね。明日も行きたいぐらいです。多分、行きます。あと数匹でロコンを進化させられるし。
実はこれまで竹芝埠頭にまともに行ったことってなかったんですけど、
「いいところだなぁ~、気持ちいいなぁ~!」なんて満喫してしまいました。
なにしろロコンや水ポケモンが出たからね!
ポケモン目当てとは言え、そういう言ったことのない場所、土地の良さを知るきっかけになっているというのが、また良いところ。
念のためもう1回書いておきますが、出現するポケモンは数日か週単位で変わっていく可能性が非常に高いので。その点はご注意ください。
褒めるばかりじゃアレなんで。
「近くにいるポケモン」の表示にはいろいろ思うところはあるんですよ。
アップデートによって足跡表示などもなくなり、
現状だと出現していることしかわからないので。
まぁ、それでも探す醍醐味があるし見つかった時の嬉しさもあるから、
いいと言えばいいんですけど。
あの機能を視覚的に充実させると、
どう考えても「歩きスマホ」が増えるんですよね。
そのあたりも考慮してのアップデートによる変化なのでは、と思います。
できれば、「近くにいるポケモン」からお目当てをタップすると、
そこからは振動や音でそのポケモンに近づいているか知らせてくれる……みたいな。
歩きスマホせずに活用できる感じになってくれると嬉しいなあ、なんて思ってます。
ではでは、今回はこのへんで。また来週。