山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第21回

桐生一馬の最終章「龍が如く6 命の詩。」に“そんなこと言わないでくれよ”って言っていく話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

始まりがあれば終わりがある……とは言いますが、
「龍が如く」の看板、桐生一馬のラストエピソードが訪れるのは、
もっと先な気がしていました。

でも、それは今年の12月8日にやってくるのです。

「龍が如く6 命の詩。」の発表会に行ってきました。

名越稔洋総合監督はこの発表会で、

「1作目が発売された12月8日と同じ日に(桐生一馬としての)1つのドラマの節目となるこの作品を発売します」

と、「龍が如く6 命の詩。」が桐生一馬の最終章であることを明かしました。
サブタイトルの最後に「。」がついているのも、
今作がシリーズのひとつの区切りになることを示しています。

僕はこの発表がかなり衝撃的で。

「龍が如く」は非常に安定感と定番感のあるシリーズであり、
桐生一馬を中心としたドラマは、
かつての「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」といった国民的映画シリーズのように、
はたまた、それこそサザエさん方式に
末永く、いつまでも続いていってくれるものと。
どこかそんな風に思っていたところがあったんです。

そりゃ、シリーズごとに桐生さんたちの年齢は進んでいたんですけど。

それでも、毎年1作品ぐらいのペースで、たまにリメイクもはさみつつ、
20年でも30年でも続けて欲しいぐらいで。
そういうゲームがあっていいし、むしろ必要なんじゃないかなって思えていて。

僕は結構、ゲーム界隈の仕事をする友人や知人にそんな風に「龍が如く」のことを話してきました。

でも、少なくとも桐生一馬という「龍が如く」のドラマは次が最終章となるのです。

ここで、発表会後に行なわれた名越稔洋総合監督への囲み取材から、「龍が如く6」を桐生一馬の最終章としたことについてのインタビューをお読みください。

――――――

――今回、桐生一馬の最終章ということで、ファンにとっては衝撃的だったと思います。11年目の「龍が如く」で桐生一馬の物語に一区切りをつけようとした理由を教えてください

名越氏:まぁ、中身がそれを物語るのですが……、このゲームは、本作で言うと2016年の12月8日の発売と同じ日からゲーム内の物語がスタートしていきます。ナンバリング作品は常にそうしてきたんです。

やはり、僕も年をとるし、黒田崇矢さん(桐生一馬を演じる声優)も年をとるし、桐生一馬も年をとるし、遙ちゃんも年をとる。そういうなかで、僕は「どこかでひとつの終わりは来るんだろう」とは感じていました。はじめの段階では気にしなかったですけどね。そもそもシリーズが続くかどうかも考えてなくて、夢中で作り始めましたから。でも、そのうちに、そう思うようになりました。

「龍が如く」はドラマ性の高いコンテンツですから……僕はドラマのあるものにこそ“物語には終わりがあるべきだ”というポリシーを持っています。

なんの区切りもつけずに、言い方は悪いですけどダラダラと続けていくというのは……緊張感がないように思えて。僕はあまり好きじゃないというか。

もちろん商売ですから、いきなり年齢の進みが止まるということもできなくはないし、若返えらせちゃうこともできなくはないですけど(苦笑)。

ただ、ファンの皆さんは、キャラクターたちが年をとっていく様子を見届けながら一緒についてきてくださったわけで。急にルールを変えるというのは……やはり裏切りですし、それは良くない。

でも、“それは良くない”とした場合は、どこかでなにか、ケジメをつけなければいけなくなるんですよね。桐生一馬というドラマは、そういう時期が来たんだと解釈して頂ければと思います。

「龍が如く」というコンテンツがどうなるかについては、それはまた別の話なので。でも、次のことを考えないで作るほうが大体いいものができるので、そこは期待してください(笑)。

――――――

……というわけで、名越さんのなかにも、ずっと続けていくという考えもあったのかなという様子が伺えます。

ですが、物語には終わりがあるべきというポリシーと、途中でルールを変えるのはファンに対しての裏切りになる、という考えのもと、桐生一馬の最終章としたということです。

ストレートに言えば寂しいという気持ちがありますが、
この日の囲みインタビューの最後に名越さんはこう締めくくられています。

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――最後に、PS4専用として初になる「龍が如く」へ期待しているファンの皆さんにメッセージをお願いします

名越氏:いいキャスト、いい舞台、いいシナリオが揃ったと思います。技術的にも毎回小さい課題を持っていて、「表情をもっとこうしたい」とか、「語らずとも表情だけでわかるようにしたい」とかですね。

僕らはゲームで日本人向けの現代劇のドラマを作っていますが、一方で1人の消費者として見た場合、海外のCG映画とかって優れたものがいっぱいあるし、あそこに近づきたい、超えたいという気持ちが常にあるんですよね。それを叶えていくというのは今回もやっています。

本作はPS4なので、PS3よりパフォーマンスは当然いいものになっています。僕はパフォーマンスがいいというのは、単純に人の数や建物が増えただけではなく、どちらかと言えば質が上がっていくことに繋げていきたい。今回はその“質の向上”に焦点をあてて開発することができました。

まぁ、本作を“桐生一馬、最終章”としましたし、それにウソはないのですが……心の中には「そんなこと言わないでくれよ」といっぱい言ってほしいなという気持ちもちょっとあったり。そんなジレンマもあるのが今の心境ですね。

――――――

……「そんなこと言わないでくれよ」って早速言っちゃいます。

とはいえ、桐生一馬以降の「龍が如く」がどのようになっていくのか、
そもそも桐生一馬の最終章がどのような物語になっているのか。
どんな終わりを迎えて、それをプレイし終えたときに、どんな気持ちになるのか。

そちらにも興味は尽きないところ。

“終わりのあるものにしか描けないことがある”というところもあり、
登場キャラが年をとっていくシリーズ作品だからこそ描けるもの、テーマがあり、
受け手である自分自身も年をとりながら、
物語のキャラクターたちの歩みを楽しんでいく。
そういう魅力のカタチもあるでしょう。

それもすごく理解できるところなので、
最終作で48歳となった桐生一馬さん(1968年6月17日生まれ)の生き様を見届けたく思います。

……でも、せっかくだからもう1回書いておきましょうか。

「そんなこと言わないでくれよ」

話は変わりますけど、最後に「ポケモンGO」のことも書いておきます。

先日、アメリカ・サンディエゴで開催されたイベント「Comic-Con(コミコン)」にて、ナイアンティックのCEO、ジョン・ハンケ氏が「ポケモンGO」の今後について語りました。

それによれば、
「今後はさらにレアなポケモンが登場する」
「トレード機能もいずれ進めたい」
「ポケモンセンターのような新拠点も将来的に」
「イーブイの進化先を指定するような隠し要素は他にもある」
とのこと。

なお、現在は世界的な反響の大きさからも、安定したサービス提供にリソースを集中させているということですが、その後に追加要素を導入、継続的に新要素を入れていくということです。

上にもある「イーブイ」の進化先を指定するというものですが、
イーブイのニックネームを、

シャワーズ(みず)に進化させたい場合は「Rainer」か「ミズキ」
サンダース(でんき)に進化させたい場合は「Sparky」か「ライゾウ」
ブースター(ほのお)に進化させたい場合は「Pyro」か「アツシ」

に変更してから進化させれば、指定通りに進化してくれるというもの。
取り急ぎ3種類を無駄なく揃えたいという人はぜひ。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。