山村智美の「ぼくらとゲームの」
連載第17回
「キングスグレイブFFXV」ワールドプレミアでCGと綾野剛さんと忽那汐里さんの凄さを堪能した話
2016年7月6日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
いよいよ今週末の7月9日より全国の劇場で上映開始となるフルCG長編映像作品「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」。
そのワールドプレミアに行ってきました。
イベントレポート記事はこちらになりますので、ぜひご覧ください。
さてさて、「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」は、ゲーム「ファイナルファンタジーXV」には描かれていない“もうひとつの物語”を描いた長編のフルCG映像作品です。
ディレクターである野末武志氏へのインタビューでも伺ったところですが、「キングスグレイブ」は父・レギス王の物語、ゲーム「FFXV」は子・ノクトことノクティスの物語となっています。
ノクトたちが旅に出発したその裏で、祖国であるルシスでは一体何が起きていたのか?「キングスグレイブ」でその全てが明かされます。「FFXV」という作品全体でも父と子の絆がテーマにあり、ゲーム本編と双璧を成す重要な物語というわけですね。
もちろん、映像作品もゲーム本編もそれぞれ単独で楽しめるものになっていますが、両方を楽しむ事で全体の世界観や、あの世界に何が起きていったのかが、より深く掴めます。
というわけでワールドプレミアですが、試写の前にはニックスを演じた俳優の綾野剛さんとルナフレーナ役の忽那汐里さん、野末武志ディレクターによるトークイベントが行なわれました。
まぁ、綾野剛さんのかっこよさがすごい。
親しみやすい物腰柔らかなたたずまいでありつつも、キレのあるかっこよさも併せ持っておられます。“光と闇が融合して最強”みたいな勢いですよ。すごい。
忽那汐里さんは顔がとてつもなく小さい!
まさしく「お人形さんみたい」っていう言葉がぴったりな驚愕のかわいらしさでした。
トーク内容については詳しくは上にも書いているレポート記事をご覧頂きたいですが、綾野さんの“FF好きっぷり”はかなりのもので、MCを務められていた荘口アナもその熱量に圧倒されているかのようでした。
さてさて、「キングスグレイブ」を観ての感想ですが……
まぁ、すごいですよ。
ポイントはなんといっても“表情の作り込み”ですね。
CGの世界における「フェイシャルリグ(顔の動きのコントロール)」ですが、
近年のフェイシャルリグの進化は凄まじく。
かつて、CGキャラクターは無表情クールガイイケメンが適していた(表情を作るのが難しかったため、逆に表情を見せない性格付けのキャラクターが見栄えもよく扱いやすかった)という時代がありましたが、そこから完全に脱却して、
くだけた柔らかな笑顔
複雑な心の葛藤
怒りや悲しみ
そういう感情や胸の内が、表情から伝わってくるようになっています。
人間味の魅力を表現できる領域に、ついに入ったわけですね。
特に眼の動きがポイント。眼をきょろきょろと泳がせたり、細めたり、うるんだり。
頬の動きとともに眼やまぶたが動くことで、CGキャラクターに一気に命が宿っていきます。
「キングスグレイブ」を観ると誰もが、
「あぁ、CGの世界ってここまで来たんだ……!」
と感じるのではないでしょうか。
ストーリー的なところはさすがに観てのお楽しみというわけで触れませんが、「キングスグレイブ」を観ることで、これまで情報や一部のトレーラーといった断片的なもののみだった「FFXV」の世界が、いよいよ“実体”をともなって感じられるようになっていきます。
「こういう世界なんだ」というのがスッと入ってくるので、ゲーム本編への期待も現実味を帯びて膨れあがっていきますよ。
ちなみに、ひとつちょっと変わった見所をお伝えすると、E3 2016では田畑ディレクターがファンから寄せられた「FFXV」の質問に答えるという放送がありました。
そのなかで「E3トレーラーのラストシーンはストーリーの終盤。ノクト達は“王の剣の服”を着ている」というお話があったんですね。
「キングスグレイブ」はその“王の剣”に所属するニックスたちの物語でもあります。王の剣というものがどういう存在なのか、それをノクトたちが着るということが“いかなる意味を持つ”のか。
そうした観点でも捉えると、また一段とゲーム本編をプレイしたときに味わい深く楽しめるかもしれません。
なお、「キングスグレイブ」は、正直なところ映像の激しさ、めまぐるしさに、1度観ただけでは把握しきれないところもあるかもしれないので、まずは劇場で日本語吹き替え版を楽しみ、後々には家でじっくりと英語字幕版でも観るというのがオススメ。まずは劇場へ。
ではでは、今回はこのへんで。また来週。