Wii Uゲームレビュー
スーパーマリオ 3Dワールド
3Dアクションに2Dのテンポの良さが合体! 3Dマリオシリーズ屈指の良作!
- ジャンル:
- 3Dアクション
- 発売元:
- プラットフォーム:
- Wii U
- 価格:
- 5,985円
- 発売日:
- 2013年11月21日
- プレイ人数:
- 1~4人
- レーティング:
- CERO:A(全年齢対象)
(2013/12/3 13:33)
ニンテンドー3DSで発売され好評を博した「スーパーマリオ 3Dランド」が、今度は「スーパーマリオ3Dワールド」にパワーアップしてWii Uで登場! 「スーパーマリオ」シリーズは、携帯機では「ランド」、据え置き機は「ワールド」という、ゲームボーイ、スーパーファミコン以来の名称スタイルを継承している。
本作は、“誰でも遊べる2Dマリオの良さを活かした3Dマリオ”をコンセプトとする3Dマリオ作品の最新作だ。ネコマリオをはじめ新ギミックも満載、さらに4人同時プレイも実現した、“全部入りの3Dマリオ”になっている。その魅力をお伝えしていこう。
なお、本作はWii U GamePad、Wiiリモコン、Wii U PROコントローラー、Wiiリモコン+ヌンチャク、クラシックコントローラPROと、様々なコントローラーに対応している。
今度の冒険は「ようせいの国」! 3Dコースながら2Dマリオのテンポ、気持ち良さが魅力
今度の冒険の舞台は「ようせいの国」。クッパに捕まってしまった7人のようせい姫を助けるため、マリオ、ルイージ、ピーチ、キノピオが、不思議な世界を冒険していく。本作は面クリア型のゲームになっていて、ワールドマップからコースを選択し、クリアすることで新しい道が延び、次のワールドへと続いていく。スタンダードな方式だ。
コースの特徴はなんと言っても、コースが“3D空間”であること。奥にも手前にもルートが広がっている。だが、それでいながら進行方向ははっきりしている。3D空間というと“どの方向にも行けていろんなところに仕掛けが待っている”ようなスタイルが多いが、本作はゴールへと進んでいく方向がはっきりとしていてわかりやすい。
そして、進んでいく方向にテンポよく敵がいたり、ジャンプポイントがあったりと、アクションの構成がしっかり作り込まれている。本作では、各コースで密度が高く、1画面に収まるぐらいの道幅が基本。密度が濃く、間延びしたエアポケット的な瞬間がない。気持ちいいプレイを連鎖させたままゴールへと突き進んでいける。そのテンポの良さがまさに2Dマリオ的なのだ。
こうした“2Dマリオの良さ”というコンセプトが、まさしく本作の魅力であり重要なキーワード。例えば、本作では右方向へと進んでいく横スクロール的な場面も多い。とは言っても3Dらしく奥行きがあって、3Dらしいアクションとジャンプコントロールをしつつ、2Dのテンポで進んでいける。見せ方やアクションはまさに3Dだが、その手触りにはどこか2Dらしさを感じさせるという、独特な作品に仕上がっている。
3D表現のゲームというと、右アナログスティックでの「視点操作が快適か?」という点もついてまわる話題だが、本作は視点操作がほぼ必要ない。進行方向がはっきりしているし、それに合わせてカメラの視点は適度適正に変化するので、プレーヤーが操作する必要がないのだ。これもどこか2Dっぽさを感じさせる理由のひとつだろう。視点操作をすることなくボタン操作に集中できるから、ジャンプアクションのテンポの良さが途切れないというわけだ。
もちろん、3D表現ならではのギミックも満載だ。奥方向へと進んでいったり、四方に広がる広い場所を駆け回ったり、敵が奥から手前へと動きまわっていたり、追ってくるマグナムキラーから手前へと走って逃げていったり。立体的な仕掛けも非常に豊富で、その詰め込まれたアイデアの多さ、そしてオリジナリティの高さに驚かされる。
こうしたアクションゲームでは、「このコースは良かった」とか「このコースはちょっとイマイチ」といったような、当たり外れが多少なりとも出てくるものだが、本作はどのコースもとてもよく出来ている。コースごとのバラエティ感もたっぷりで、見せ方にしても斜め方向だったり横だったり、奥だったりとコースや場面によって進行方向をガラッと変えてくる。縛りをなくして自由な発想を詰め込んだのがわかるゲームになっていて、いずれも2Dマリオな密度とテンポの良さで楽しめるようになっている。1コースあたりの長さも2Dマリオサイズな小気味よくクリアしていける適度な長さになっているので、中だるみすることなく次へ次へと進んでいける。
ネコ最強!? ネコマリオをはじめ、たくさんの変身やかぶり物、アクションが楽しめる
「スーパーマリオ」シリーズといえば、作品ごとに登場する新しい“マリオの変身”も見所だが、今度のマリオは「ネコマリオ」。スーパーベルを取ると、ネコの着ぐるみを着たような姿に変身する。ネコマリオは爪でひっかくネコパンチ的な攻撃ができるし、壁を登ったり、ジャンプ中には敵に飛びかかるような急降下攻撃もでき、はっきり言ってかなり強力。4本の脚で駆けていく姿も、壁を登り切れず爪あとをギーッと残しながらずり落ちる姿のかわいさも、そしてその性能も。さすがはネコというべきか、反則的な強さだ。
ネコマリオで壁を登ると、他のマリオでは行けない別のルートが用意されていることも多く、3Dマリオならではな広がりもある。ネコマリオの性能の良さが加わると、本作の突き進んでいけるテンポの良さもさらにパワーアップするところがある。積極的にネコで進んでいきたいところだ。
もちろん他のパワーアップも豊富。お馴染み「スーパーキノコ」や「ファイアフラワー」、タヌキマリオになれる「スーパーこのは」、ブーメランで敵を攻撃したり、アイテムをキャッチできる「ブーメランフラワー」、さらには超巨大なマリオになってブロックも土管も壊しまくれる「巨大キノコ」もある。
なかでもユニークだったのはマリオが分身する「ダブルチェリー」。取るとマリオが2人に増え、同じ動きをしてくれる。ファイアマリオやブーメランマリオで分身し、ファイアボールやブーメランを投げまくったり、分身で2つのスイッチを同時に押したり、敷き詰められたコインを一気に取っていったりと、1人で複数のキャラの同時操作的な面白さが味わえる。最大で5人にまで分身できる。
この他にも、いろんなボックスを頭から被ったり、ボールや雪玉を投げたり、お馴染みノコノコのコウラは、蹴るだけでなく手に持ってから中に入って高速移動もできる。クリボーのハリボテを被って他のクリボーに仲間だと思わせるなんていうユニークなものもある。
肝心のマリオそのものの操作性も良好だ。ダッシュ、ジャンプの基本アクションだけでも充分に楽しめるし、上達してきたらZL/ZRボタンを組み合わせた、ころがり、幅跳び、しゃがみジャンプといったアクションを使うと、さらにテンポの良さに気持ち良さを加えていける。
こうした3Dジャンプアクションものだと、「ジャンプの着地地点が掴みづらい」という点がネックになりがちだが、それもほとんど気にならなかった。影で着地点を把握させるよう表現も工夫されているし、感覚的にも掴みやすい。ただし、本作ではマリオ以外にルイージ、ピーチ、キノピオが使用可能で、ルイージはジャンプ力があるかわりに滑りやすいという特徴になっている。そのぶん、ルイージのジャンプコントロールはちょっと難しいかもしれない。
ちょっと気になったのは、走り始めのジャンプが思ったよりも伸びなかったことがちらほらあったところ。例えば、狭い足場から次の足場へとジャンプすると、思ったよりも伸びなくて届かず、落下ということが起きてしまう。そういう場面そのものがほとんどないコース構成になってはいるのだが、ダッシュし始めのジャンプはもう少し大きくても良かったかもしれない。
3Dマリオで4人同時マルチプレイが実現!
今作では、3Dマリオながら「最大4人マルチプレイ」ができるのも大きな魅力。プレーヤーはマリオだけでなく、ルイージ、ピーチ、キノピオが使えるようになっていて、ルイージはジャンプが高く、ピーチはゆっくり下降していくふわふわジャンプが使えて、キノピオはダッシュが速いという違いがある。ピーチは初心者でも扱いやすく、マリオはバランスの良い基本となるキャラ、ルイージとキノピオはよりハイテンポなプレイが可能な上級者向けになってくるだろうか。能力の違い以外の基本アクションやアイテムを取っての変身は全キャラ同じだ。
2~4人での同時プレイの面白さはもはや言うまでもないところがあるが、3Dマリオでの同時プレイは、一緒に遊んでいる人が奥に手前にと好きに動きまわりつつ、ゴールへと向かっていくような、3D空間ならではのコミカルさがある。四方八方へと広がっているような構成だと、1画面での同時プレイは成立しにくいことだろう。ある程度好きに動けつつも、何も言わずとも自然に進行方向を理解できる作りはとてもよく出来ている。
アイテムを譲り合ったり奪い合ったり。てんやわんやな楽しさは2Dでも3Dでも変わらない。コレクション要素であり特定のコース開放条件にもなっている「グリーンスター」の取り方をみんなで話しつつ、見事に獲得できた時には、「やったね」と喜びの声も自然にあがる。全員ネコ状態で駆けぬけているだけでも、マリオやピーチが4本の脚で走っている姿のコミカルさに思わず笑ってしまう。
マルチプレイ時には、かぶった状態でゴールするとスコアボーナスがもらえる「王冠」がひとつだけ出現。かぶっているプレーヤーを踏みつけたりすると、王冠が外れて奪い取れるようになっているので、スコア競争を始めると“コースを攻略しつつ熾烈な王冠の奪いあい”に発展することも。「マリオブラザーズ」的な邪魔しあいは白熱すること間違いなしだ。
誰でもスムーズに楽しめる間口の広さはさすがの一言。アクションゲームが得意な人同士なら、競争するようにしてアクションのテンポの良さを楽しみながら進んでいけるし、あまりゲームが得意でない人でも、助け合いつつスムーズに楽しめる。3Dマリオというと、2Dマリオよりも少し敷居が高めなところがこれまではあったかもしれないが、本作はそれを見事に解消している。老若男女問わず、誰もが楽しめる。
インターネット接続を使った機能もユニークだ。まずはコース内に隠されている「ハンコ」がたくさんあって、これを使ってMiiverseへメッセージを投稿できるようになっている。ハンコをポンポン押すだけで簡単にコミカルな絵が作れるというわけで、早速どのコースにもユニークな投稿が溢れていた。手軽に見栄えのいい投稿ができるということで、投稿の後押しにもなっているのだろう。面白い工夫だ。「ハンコ」そのものも簡単に取れるものもあれば、隠されているレアなものもあり、コレクション要素にもなっている。
もうひとつの機能は「ゴーストMii」というもので、他の人がコースをクリアした時のプレイと同じ動きをするMiiと、一緒にプレイできる。同時プレイっぽくもなるので1人で遊んでいる時にもわいわい感が出るし、「ゴーストMii」の進んでいった道から、隠されたアイテムやルートなど新しい発見をするなんていうことも。直接的なオンラインプレイではなく、ストレスや緊張感のないゆるい繋がり方にしているのも任天堂らしさを感じさせる。
3Dマリオながら、2D的なテンポの良さ、アクションの気持ち良さと密度を持った、屈指の良作!
3Dマリオながら2Dマリオ的なテンポの良さ、コースの密度、アクションゲームとしての構成を持った本作は、非常に不思議な感覚に襲われるゲームだ。外観も作りもしっかり今風っぽい3Dグラフィックスのジャンプアクションなのに、どこか手触りにはファミコン・スーパーファミコン時代のドット絵2Dゲームの気持ち良さを感じさせる。「こういう進化ができるのか……」と驚かされるものがあった。
それでいて、3Dワールドならではのギミックは満載されている。それらは凝ったアイデアばかりなのにも関わらず、説明不要で直感的に理解できる。コインブロックを連続ジャンプで叩きまくることひとつとっても気持ちいいリズム感になっていて、凝ったギミックもどれも気持ち良さが重視されていた。そうしたコースばかりなので、1度クリアしたコースを再プレイするのも楽しくできるし、上達にあわせてより気持ちよくプレイでき、そして新たな発見をすることだってある。
4人同時のマルチプレイもできるようになって、一緒に遊べる良さもしっかり身につけた。昨今では同時プレイで誰でもすんなりと楽しめるタイトルというのは稀有な存在となったが、本作は誰とでも楽しめるゲームとして圧倒的に優れている。楽しさと気持ち良さ、それを一緒に遊べる良さ。求められるものが全て揃ったと言っていいだろう。新鮮な刺激の中に、2D的な気持ち良さと密度を持った「3Dワールド」は、シリーズ屈指の良作だ。
(C)Nintendo