iOSゲームレビュー

ぷよぷよクエスト

ぷよキャラ、連鎖の魅力を活かしたお手軽にもディープにも楽しめるパズルRPG

ジャンル:
  • パズル
  • パズルRPG
発売元:
開発元:
  • セガネットワークス
  • セガ
プラットフォーム:
  • iPhone/iPod touch
  • iPad
価格:
無料
(0)
基本無料(アイテム課金)
(!!)
発売日:
2013年4月24日
プレイ人数:
1人

 スマホゲームアプリを席巻している“パズルRPG”のジャンルに「ぷよぷよ」が登場した。「ぷよぷよ」自体が落ちモノパズルとして“同じ色のぷよを繋げて消す”というゲームであり、「ぷよぷよ」世界のキャラクター同士が対戦するというものだったが、それがそのまましっくりと、パズルRPGのスタイルに収まった感がある。どんなゲームなのかをレビューしていこう。

【iOS版「ぷよぷよ!!クエスト」プロモーションムービー】

連鎖でバトル! 育ててクエスト! 人気ジャンル「パズルRPG」にぷよぷよが参戦!!

「ぷよつかい」がパズルでバトル! タッチで消して列を崩して連鎖を起こす「ぷよぷよ」を上手く活かしたパズルRPG

 同じ色が4つ以上つながると消えるという不思議な生き物「ぷよ」。このぷよが消える時のパワーで不思議な力を生み出す「ぷよつかい」が大勢いるのが、本作の舞台「プワープアイランド」だ。プレーヤーは、このプワープアイランドを冒険し、カード(キャラクター)を獲得して自分のチームを作り上げ、より強力な相手とバトルしていく。

 メインになるのは、冒険して行く先々の相手を倒し、カードやアイテムなどをゲットしていく「クエスト」と、他のプレーヤーと戦う「バトル」の2つ。それぞれ時間回復する“やるき”と“まりょく”を消費して遊ぶ、いわゆるソーシャルゲームスタイルになっている。

 クエストでは、3~10戦ほどのバトルが待っていて、最後に「ぷよぷよ」シリーズでお馴染みのキャラクターなどがボスとして登場する。これを撃破できれば報酬獲得、クエストクリアとなる。

 戦闘はパズルで戦うターン制バトル。元々の落ちモノパズルだった「ぷよぷよ」ではリアルタイムに上から降ってくるぷよを積み、つなげて消していくが、「ぷよぷよ!!クエスト」は時間制限なしで、いかに上手く連鎖を起こすかを考えるスタイルだ。

 画面の下に並んでいる6×8=48個の色とりどりのぷよの中から必要ないものを指でなぞって消し、列を崩して同じ色のぷよを4つ以上つなげて連鎖を起こす。指でなぞって1ターンに消せるのは隣接した5個までで、横縦、さらに斜めでも可能だが、斜めはコツを掴むまでが多少難しいのと、1度なぞった場合、取り消すことはできないので、考えながら指を動かしてしまうクセのある方はお気をつけいただきたい。

 この連鎖のパワーで、プレーヤー側のチームキャラクターが攻撃して相手にダメージを与える。これで1ターン終了という流れだ。キャラクターにはそれぞれ属性があり、ぷよの色と連動する。例えば、黄色ぷよを連鎖で消せば、黄色属性のキャラが攻撃する。

 敵チームのキャラが複数いる場合は、優先して攻撃する相手をタッチして「ロックオン」できる。攻撃までの残りターンが少ない相手に攻撃を集中するといったように、RPGらしい戦術も取れる。ロックオンは攻撃がスタートするまで切り替えられるので、連鎖で攻撃が思ったキャラにいかない場合(属性ごとに相性があるため)など、とっさに切り替えることもできる。

 「ぷよぷよ」と言えばやはり連鎖や同時消しが醍醐味だが、もちろん本作でも連鎖を狙うのがポイント。ぷよを消したスペースには上から下へと他のぷよが流れてくるし、画面外からも追加のぷよが補充されて、それが新たな連鎖を生むことも起こる。(なぞって消して)列を崩して連鎖を起こす部分は「ぷよぷよ」シリーズそのものだ。また、画面外の上にあるネクストぷよが各列1個だけ見えているので、それを考えての連鎖も狙える。

 また、大きな連鎖を決めるほど、そのターンでの仲間の攻撃が強力になっていく。与えたダメージで相手の体力がなくなれば撃破で、相手チームが全滅すればバトル勝利だ。もちろん相手チームの攻撃もある。相手チームのアイコンには数字のカウントがついていて、ターン経過ごとに(なぞってぷよを消すごとに)減っていく。カウントが0になれば相手の攻撃になる。ぷよを消して攻撃で1ターン消費、カウント0になれば相手の攻撃、という流れだ。

 一部の特殊バトルを除いてターンの時間制限はないので、詰め将棋的に連鎖の狙える手を考えて遊べるようになっているのがポイント。ルールやシステムこそ大幅に異なるものの、連鎖を狙う時の考え方は「ぷよぷよ」そのもので、考え抜いて狙い澄ましたプレイもできる一方で、追加で降ってきたぷよが偶然に大連鎖を起こしてくれるのを期待するような、良い意味での適当プレイでも充分に楽しめる。ライトにもヘビーにも遊べる、うまいバランスだ。

【チームを作ってクエストへ】
メインになるのは「クエスト」と「バトル」の2つ。まずはクエストで「ぷよつかい」とバトルし、カードを獲得してチームを強くしていこう。曜日限定クエストや、時間制限バトルの緊急チャンスボスも出現する
【タッチで消して連鎖を狙え!!】
ぷよをなぞって消すと1ターン消費。消すことで列が崩れ、連鎖が起きていく。画像では、中央の下にある緑ぷよを消し、黄色ぷよ、赤ぷよが連鎖で消えて2連鎖に。空いたスペースには青、緑、赤ぷよが降ってくるのがわかるが、それによってまた連鎖が増えることも
【雑魚を蹴散らしボスと対戦!】
クエストの流れは3戦~長いもので10戦程度のバトルがあり、最後に「ぷよぷよ」キャラクターなどとのボスバトルというもの。出現時にちょっとクセのあるセリフを放つなど、「ぷよぷよ」らしさをしっかり活かしている

 連鎖数をさらに増やせる特殊なぷよもある。「チャンスぷよ」という光っているぷよがそれで、6連鎖以上を起こすか、16個以上のぷよをまとめて消せば出現。これを消すと画面が変わり、「ぷよぷよフィーバー」を思い起こす“全消しが狙える連鎖課題”のようなものが出現する。これは“上手くぷよを消すと全消しできる積み方”がされているので、10秒以内に答えを見つけるというもの。うまく連鎖できれば、元の連鎖数にチャンスぷよ分の連鎖数も加わるので、10連鎖以上もバリバリ狙える。

 このチャンスぷよは、強力なだけに「ボス戦に備えて温存しておこう」といった考え方も自然と生まれてくる。すると、ボス戦前にチャンスぷよを誤って消してしまわないように考えるプレイになり、ボス前の戦闘では“単純に連鎖を狙えばいい”とはならない。チャンスぷよは使いどころを考えるべき効果があるので、プレイにメリハリをつけてくれていると感じられた。

 RPGのバトルらしく回復の要素もある。ハートマークのブロックが回復要素になっていて、隣接しているぷよを消せば回復が発動する。こちらも無駄に使わないように、消し方を考える要素になっている。チームメンバー候補のキャラクターには様々な特徴があって、回復得意なキャラクターももちろんいる。そうしたキャラも上手く組み込み、バランスよく戦えるように仕上げるのもポイントだ。

【チャンスぷよで全消し連鎖数アップ!】
光っているぷよを消したら大連鎖チャンス! 課題に沿った消し方を10秒以内にできれば、必ず全消しになるというもので、直前の連鎖数に全消し分の加わった大ダメージの攻撃を放てる

 チームには、スタメン5人(最初から戦闘に出るメンバー)、控え4人(スタメンが倒されると戦闘参加するメンバー)の最大9枚のカードを組み込める。ただし、キャラにはそれぞれコストがあって、チームに入れられるコストの限界もプレーヤーランクごとに決まっている。レア度が高くて初期レベルでも強力なキャラは当然コストも高いので、この辺りは試行錯誤が必要だ。

 デッキの組み方も色々。似たようなカードを3枚以上並べておくと、「コンビネーションボーナス」という、ある能力値が一時的に高まるステータスブースト効果が得られることがある。一方で、攻撃は連鎖したぷよと同じ色のキャラクターが攻撃するという仕組みがあるので、チームに多く入れている属性のぷよを消した時はいいが、それ以外は攻撃できないターンも出てくる。それもメンバーの組み方とプレイ次第でメリットを活かせるかどうかが変わってくる。

 キャラクターによっては、特殊な「スキル」も使用できる。スキルを使うにはそのカードの属性の色のぷよを40個消すというような条件がある(スキルのないものもある)が、全体攻撃や全体回復、チャンスぷよを出現させるなど、効果は絶大。スキル使用準備の整ったカードが光るので、タッチすればターンを消費せずに発動できる。ここぞという時の切り札的な存在だ。

 カードの育成要素もある。カード同士を合成させて「パワーアップ合成」でレベルアップできるほか、カードのレベルが最大になると、別のカードに変身させる「へんしん合成」というものもある。RPGらしく、この育成によるレベルでも相当に戦力が変わっていく。パズル要素とRPG要素、どちらもしっかりと考えられているという印象だ。

【ランクを上げてチームをさらに強く】
チームは、スタメン5人控え4人の最大9キャラを入れられるが、コスト制限がある。ランクが上がればコスト最大量も増えていくので、より強いチームを作れるようになる。また、カードキャラは属性のほか、スキルや能力値の違いなど個性があるので、それを上手く使っていくのがポイントだ
【カード合成でレベルアップ】
使わないカードはどんどん合成! 合成元のカードをレベルアップしていく

 ソーシャル要素もしっかり作られている。他のプレーヤーとギルドを運営できるのが、ギルドでは「タワー」という建造物を協力して作っていく。タワーのフロア建設には、「妖精」をささげることでポイントを貯める必要がある。このタワーを高くすることによって、自分のチームの能力にボーナスを与えてくれるのだが、タワーには10階ごとに強力なボスも出現する。このボスはいわゆるレイドボスで、ギルドメンバーで次々に挑んで協力して倒すというものだ。

 この他、通常のクエストでもギルドメンバーをサポートとして借りる(召喚)こともできて、その威力は絶大。サポートを使うほどに召喚ポイントというポイントがもらえて、それで専用のガチャも引けるようになっている。また、ギルドメンバーに「エール」を贈ると、贈った相手の「まりょく」が回復するなど、ギルドの要素はメリット盛りだくさんなので、気後れせずに立ちあげたり参加したりするのがオススメだ。

【ギルドメンバーとタワーを建設】
ギルドを結成すると、メンバーと共にタワーを建設できる。クエストクリアでたまに手に入る妖精をささげて建設していくのだが、10階ごとにレイドボスが出現! ギルドメンバーと力を合わせて撃破していく

 遊んでいると、勝てるかどうかギリギリの勝負になった時の面白さが光る。チームメンバーがバタバタと倒され、あと1ターンで相手が攻撃してくるという時。どうすればうまく連鎖できるかを画面とにらめっこし、ここだというところを消して連鎖スタート。追加で降ってきたぷよも偶然にうまく連鎖が続いてくれて、見事に勝利! なんていうシチュエーションはたまらないものがある。そうした面白さを結構頻繁に味わえる良さがあった。

 時間回復制の「やるき」と「まりょく」によるプレイ制限も、1回消費しきるまでで充分に楽しめるし、プレイしていると手に入る魔導石で回復することもできる。多少気になったところとしては、召喚ではもう少し、毎回見た事のないカードが出てくるぐらいに種類を増やして欲しいなと感じたところはあったが、ここは今後に期待したいところだ。

【他プレーヤーのチームとバトル!】
「バトル」では、他プレーヤーのチームとバトル! 勝利するともらえるBP(バトルポイント)は、妖精と交換できる。妖精は1セット揃えるとレアカードがもらえたり、ギルドのタワー建設にも使用する。ばんばんバトルしよう
【ガチャで新カードゲット!】
カードはクエスト以外にもガチャで獲得。サポートメンバーを召喚するor自分が召喚されるともらえる召喚ポイントや、プレイすると時々もらえる魔導石でガチャが引ける。プレイしていればわりと頻繁にどちらのガチャも引けるという印象だ。また、課金要素もあるが、それほど意識せずとも充分に楽しめるバランスになっている

「ぷよぷよ」らしさを上手く活かしたバランス良好のパズルRPG

「ぷよぷよ」らしさを上手く活かしたパズルRPGで、特に“タッチして消し連鎖を起こす”という感覚は落ちモノパズルからの良さ。要素もリリース直後ながらも豊富で、しっかりと楽しめる

 実際にプレイしていくと、リリース直後ながらもクエスト、対戦、ギルドによるレイドバトルと、基本的な遊び方は一通り押さえられていて、それぞれの出来もいいと感じた。先行して提供されている他のパズルRPG作品と比較しても引けを取らない内容だ。それでいて、複雑過ぎるというものにはなっていないところも好印象。インターフェイスもわかりやすく、上手く作り込まれている。

 「ぷよぷよ」らしさ、という点も秀逸だ。パズルでは「ぷよぷよ」の連鎖ルールを使っているので馴染みやすく、大連鎖の爽快感も手軽に楽しめる。かわいらしいキャラクターの魅力や、バトル前に入るボスとのちょっと変な会話など、「ぷよぷよ」の魅力も存分に使っていて、そのあたりの良さもバッチリ。独特な良さをちゃんと得ていると思えた。

 アプリらしく手軽に楽しめるという良さにおいても、バランス良く作られている。ある程度までは本当にサクサクで、たっぷりプレイが馴染んでから、育成や戦法を少しずつ考えるようになっていく。要素が多彩でも、それを無理にプレーヤーに強いるようなものではなく、自然に遊びこめるようになっているのが好印象だ。課金においても、課金せずとも充分に楽しめて、必要と感じる人が購入するというラインを保っている。

 今後にはさらに独自の方向性やゲームモードを伸ばしていって欲しいと思うが、まずはリリース直後の今、早速手を出してみるのをオススメしたい。パズルRPG経験者、未体験者を問わず、オススメできるアプリだ。

(山村智美)