★ PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
さらに自由度とスケールアップ!
これぞ最強のクライム“バカゲー”アクション
「 セインツロウ ザ・サード」
ジャンル:
  • クライムアクション
発売元:
  • THQジャパン
開発元:
  • Volition
プラットフォーム:
  • PS3
  • Xbox 360
価格:
発売日:
2011年11月17日
プレイ人数:
1人(オンライン最大2人)
レーティング:
CERO:Z(18歳以上のみ対象)

 セインツが帰ってきた! 「セインツロウ ザ・サード」は人の迷惑顧みず、街中で大暴れするストリートギャング「セインツ」の活躍を描くシリーズ最新作だ。前作までのノリは健在、さらに派手なアクティビティ、より細かいカスタマイズ、近未来兵器の登場と様々なポイントがパワーアップしている。

 今作でのセインツは既に人々に認知され、序盤から力を持った存在として描かれている。対抗する敵も派手だ。大きくなったスケールと共に、ゲームとして“洗練”されたところにも注目してもらいたい。何よりも始まったらいきなり銀行強盗、飛行機に連れ去られ、高度数千メートルから落下しながらの空中戦だ。前作同様当たり屋やストリーキングは当たり前、未来戦闘機でレーザー砲もぶっ放せる凄まじいパワーとノリの超バカゲーだ。


■ より激しく、よりお馬鹿になってセインツが帰ってきた!

個性的な新メンバーを加えて、よりスケールアップした戦いが始まる
マップ画面。アクティビティをクリアし、抗争ポイントをダッシュして支配地域を広げていく
今作では走ってる車を奪うことすら可能に

 「セインツロウ ザ・サード」はド派手なシーンから始まる。いきなりの銀行強盗、待ち伏せていた特殊部隊との戦闘、ヘリで金庫を持ち上げて逃走を図るシーンでは金庫がビルをガリガリと削り、その演出の面白さと技術の高さにのっけから感心させられる。そして大げさでお馬鹿なノリ。セインツ達は銀行強盗の最中でも記念写真を迫られるし、どこから湧いたんだと突っ込まざるを得ない特殊部隊の激しい攻撃など、随所から「これが『セインツロウ』だ!」というスタッフの主張を感じる。

 さらに派手なシーンは続く。セインツ達を罠にはめたのは世界的な規模のシンジケートのボス「フィリップ・ローレン」だった。彼は捕らえた主人公とセインツの幹部を飛行機に乗せ、そこで全ての資産を渡すように迫る。ブチ切れた主人公達は暴れ回り、そのまま機外に飛び出す。地上数千メートルでの落下しながらの空中戦が展開する。そして降り立ったのが、シンジケートが支配する街「スティールポート」だ。「俺達に刃向かったものはただじゃおかねえ。こうなればシンジケートをたたき出し、この街も俺達のものにしてやる!」。こうしてセインツの新たな戦いが幕を開けるのだ。

 「セインツロウ ザ・サード」は街を3Dグラフィックスで再現したサンドボックスタイプのアクションアドベンチャーだ。プレーヤーはセインツのリーダーとしてスティールポートを支配しているギャングに戦いを挑み支配地域を広げていく。ゲームでは「リスペクト」というパラメーターを上げていくことでキャラクターや武器、配下のギャングや車両などのパワーアップが可能になる。

 パワーアップには資金が必要で、“ミッション”と“アクティビティ”をプレイしてゲームを進行させ資金を稼いでいく。ミッションはスティールポートのギャング達と戦うストーリー要素の濃いもので、新たなセインツが登場したり、様々なシチュエーションが楽しめる。アクティビティは要するにミニゲームだ。「セインツロウ」シリーズのアクティビティは無茶苦茶なものが多く、虎を助手席に乗せてエスコートしたり、弾数無限の武器で街中を破壊したりとド派手で破天荒なものが数多く用意されている。

 「セインツロウ」シリーズが、「Grand Theft Auto」シリーズを筆頭としたフリーローミングスタイルのゲームと一線を画すのはその“バカゲー”っぷりである。フリーローミングスタイルのゲームは圧倒的に自由度が高いため、どのゲームでも少なからず馬鹿っぽい遊び方はできるものだが、「セインツロウ」はそれが桁外れだ、というより積極的に狙っているのだ。ミッションやアクティビティはもちろん、街の中もどこかおかしい。住人達の中に何の説明もなく着ぐるみの人間やボンデージ姿の住人が歩いているし、ド派手な「成人向けのお店」がある。チェックしていくと首をかしげたり笑ってしまう要素が盛りだくさんなのだ。

 スティールポートの最古参スカウト「ズィーモス」を助けるミッションではSMクラブに突撃して、囚われたズィーモスを探すのだが、「ズィーモスはどこだよ?」、「背中に“Z”って書いてあったりな」と言う会話の後、本当にZと書かれた鞍をつけ拘束具をはめられたズィーモスを発見する。彼はシンジケートに逆らったため“馬”として扱われていたらしい。助ける前にまず脱出と言うことで、なんと助けたズィーモスを馬そのもののようにこき使い、彼に引かせた人力車で脱出する。敵も何故か同じように馬役の男の引く人力車で追いかけてくる。その絵の“ヒドさ”はブラックな笑いをもたらす。これこそが、本作のウリなのである。

 良識で考えるといろいろヒドいゲームだ。しかしこのタガの外れたブラックユーモアこそが本作の魅力であり、シリーズを通じて練り上げられパワーアップしている要素なのだ。ノリだけでなく、プレイ感が大きく向上し、遊びやすいゲームとなっているところも注目してもらいたい。前作はストーリーを進めるためにアクティビティを進めなくてはならなかったり展開としてもたつくところがあったが、本作はよりプレイしやすく間口の広いゲームとなった。「セインツロウ ザ・サード」はこのノリを解する人にオススメできる作品である。


銀行強盗中に記念写真をねだられるようなブランドとなったセインツ。しかしシンジケートの罠にはまってしまう。ビルがボロボロと崩れたり演出が楽しい
高度数千メートルでの戦い。航空機のコクピットを撃ち抜き再び機内をくぐり抜ける驚きのシーンも
立ちはだかるボス達。フィリップ・ローレン、マット・ミラー、キルベイン
ズィーモス救出ミッション……のはずなのに、彼を馬代わりに銃撃戦


■ 容姿、武器、車、特殊能力……全てがカスタマイズ可能

細かい項目でカスタマイズ可能。理想を追求するのも楽しい
お気に入りの車をとことん強化することも

 前作「セインツロウ2」で高く評価されたキャラクターカスタマイズは、今作でさらにパワーアップしている。特に顔形はものすごく細かく作れるため、理想のキャラクターを追求できる。またデフォルトのキャラクターが美人なのもポイントが高い。まずはデフォルトのキャラクターをアレンジすることから感触をつかんでいける。

 キャラクターは「美容整形」することでいつでも人種から性別まで全て変更できる。声も複数用意されている。今作は日本語字幕によるローカライズだが、人種によってちゃんと英語になまりがあるのも楽しい。台詞の字幕も性別で変化する。体も筋肉から脂肪、さらに胸の大きさも変えられる。“胸揺れ”もありグラマーにした女性キャラクターにセクシーな服を着せるとそのインパクトは大きい。思わず目が胸に吸い寄せられてしまう。

 衣装も多彩だ。カジュアルなストリートファッションからスーツ、ドレス、着ぐるみと多彩な衣装が揃っている。色も選べるので自分なりのヒーロー/ヒロイン像が追求できるだろう。ゲームを進めていくことで衣装は増えていく。ボンデージにハイヒールの女王様ファッション、着ぐるみ、どちらも武器を持ったときのシュールな雰囲気が楽しい。

 そして武器のカスタマイズは今作で取り入れられた新要素である。「セインツロウ ザ・サード」では強力な武器に買い換えていくのではなく、パワーアップさせていく。レベルを上げると装弾数や威力がアップし、最高のレベル4で特殊な能力がつく。サブマシンガンの「テック Z10」は燃焼効果を持つ弾になりあたった敵が火だるまになる。他にも敵に電撃ダメージを与えたり、装甲を貫通できるなど武器によって能力が異なる。レベルアップさせるためにはかなりのお金が必要だが、戦力の充実を実感できる。

 武器は拳銃や、サブマシンガン、アサルトライフル、RPG以外にも空から爆撃を行なう「リーパードローン」、撃った乗り物の操縦を奪う「リモコンガン」、空爆を要請する「SA-3」といった武器も用意されており、より強大な力を振るうことができる。これらもパワーアップ可能で、使用回数を増やせる。

 また、車もカスタマイズできる。車はトルクやタイヤの強度、装甲などをパワーアップ可能で、最高まで上げれば強力な車になる。車を入手するのは街中で盗み、拠点のガレージまで持ってくればいい。ゲーム序盤からスーパーカーや高級車を入手できる上、ガレージに記録すれば、その後は壊しても乗り捨ててもガレージから何度も引っ張り出せる。強化した車は頼もしい「相棒」として、移動手段だけでなく、ギャングに対する“武器”として抗争でも活用できる。

 容姿や武器、車両のカスタマイズに加えて、キャラクター自身のパワーアップも様々な要素がある。銃弾や落下ダメージの軽減、体力の最大値の増加、走る距離の増加、2丁拳銃などに加え、部下となる配下のパワーアップや、カスタマイズした車両の呼び出し、連れ歩ける仲間の数の増加など項目は多彩だ。プレーヤーがどこに注力していくかでゲームの展開は変わってくるだろう。

 「セインツロウ ザ・サード」ではこのように本当にたくさんの方向でのパワーアップが可能だ。これらのパワーアップは全て資金を使って行なわれるため、プレーヤーは常に金欠気味であり、お金を稼ぐために積極的にアクティビティに挑戦していく。せっかく貯まった金をぱーっと使って手元にいつもほとんど残らないというのは、ある意味ギャングらしいかもしれない。


人種、体型、服装、多彩なカスタマイズが「セインツロウ」シリーズのセールスポイントだ。メイクやタトゥーなども
武器のカスタマイズ。当たった敵を燃焼させる能力も
能力のアップグレードも多彩だ。どの能力を強化していくか目移りしてしまう


■ 驚きの展開が連続する凝ったミッション

フィリップの居城だったビルを爆破。このミッションを皮切りに、新セインツが多数登場する
新メンバーの1人キンジー、かなりエキセントリックなキャラクターだ

 メインのミッションは派手で展開が凝っているものが多い。特に前半の山場となるフィリップのいるビルへの殴り込みは他のゲームの最終ステージのような派手さだ。何発撃っても死なない巨漢のギャングが出てくるが、実はこいつは仲間となる「オレグ」のクローンなのだ。このミッションの後オレグは仲間となる。火炎放射器を使う巨漢まで出てきて、困難な道を仲間と共にフィリップ目指して進んでいく。フィリップとの対決、そして彼の城であったビルの爆発と派手なシーンが連続する。

 さらにこのミッションは元FBIのオタク女「キンジー」の救出や、前述のズィーモス救出まで連続ミッションで繋がっていく。敵としてはプロレス界の覇者「キルベイン」や、サイバー犯罪の天才ハッカー「マット・ミラー」が登場し、彼らとの戦いは激しくなっていく。ここからが本当の「セインツロウ ザ・サード」の始まりだと言えるだろう。

 ミッションはアクティビティのチュートリアルであることも多いが、間のデモで味方と敵の演出が楽しい。キンジーは常にコンピューターをいじってるオタクで敵を警戒するあまり、待ち合わせ場所のカフェでテーブルの下に潜り込んで出てこない。キンジーの自宅は巨大なコンピューターとガラクタはあるが、生活用品はベットすらない。彼女に言わせれば「睡眠は不要」と言うことだが、どんな生活をしているか想像もつかない。ズィーモスはハーレムのように女を常にはべらしていて、怪しさ満点である。彼らと力を合わせ、時には敵の施設を奪い取り、時には資産を増やすため犯罪に手を染めていくのだ。

 ヘリでのバトルあり、車での逃走劇あり、展開は多彩だ。マット・ミラーとの戦いは“サイバー空間”でのバトルとなる。敵のセキュリティを突破していくのだが、「テキストアドベンチャー」形式のゲートもあって、ゲームマニアをニヤリとさせる。このテキストアドベンチャーは正解以外は即死という、超クソゲーである。またサイバー空間でのプレーヤーの武器が「ロックマン」のロックバスターそっくりだったりする。

 そして、物語は後半に大きくスケールアップする。街でのギャングの抗争の激化に対ギャング特殊部隊「STAG」が登場、レーザー砲や垂直離着陸戦闘機など、近未来兵器に身を固め、街を戒厳令下に置くのだ。ギャング達との戦いは、そしてセインツ達はこの強大な敵にどう立ち向かうのか。しかもさらに驚きの展開が待っているのだ。



シンジケートの拠点を奪ってアジトにしたり、フィリップのいるビルに殴り込んだりやりたい放題。右のルチャドールは新メンバーの「エンジェル」。演じるのは日本でも有名なプロレスラー、ハルク・ホーガンだ
ミッションは派手なシーンが目白押しだ。人身売買のオークションで「商品」として潜入するというようなめちゃくちゃな展開も
サイバー空間での戦い。間にミニゲームが入るのだが、テキストアドベンチャーの出来は最低。テキストアドベンチャーが流行った頃の粗製濫造を皮肉ったパロディである
後半に登場する対ギャング特殊部隊「STAG」。近未来武器でセインツに戦いを挑んでくる

スティールポートは場所や時間で様々な表情を見せてくれる


■ これこそが「セインツロウ」! 派手で過激なアクティビティ

虎を乗せる「エスコート」。虎の機嫌が悪いと食べられてしまう
今作でもデバージョンでストリーキング可能。胸はニップレス着用だ

 アクティビティは「セインツロウ」シリーズの大きな楽しさである。アクティビティはマップ上に点在しており、そのポイントに行くことで挑戦できる。今作では12種類のアクティビティが用意されていて、それぞれに「イージー」、「ミディアム」、「ハード」の難易度が設定されている。

 アクティビティは前作から引き続くものも多いが、新作の中で特に楽しいのが「天才ゲンキ博士の超絶有頂天倫理委員会」だ。日本のテレビ番組「風雲たけし城」からもヒントを得たというこのアクティビティはトラップが仕掛けられた迷路を走破していくというものだ。

 明るい原色に塗られた迷路、登場するのは着ぐるみのキャラクターと、基本要素は明るいのに、迷路は薄暗いし、壁は弾痕だらけ、着ぐるみ達はこちらを本気で殺す気満々で、トラップは電撃に火炎放射とこちらも凶悪だ。プレーヤーはこのトラップを超え、各所にあるボーナスをゲットし、一定の得点を獲得すると開く出口に制限時間内で飛びこむ事でクリアだ。

 敵を倒すとコンボゲージが現われ、このゲージが消えるまでに次の敵を倒すとコンボ成立となる。高得点を獲得するとプレゼントが与えられゲームが有利になる。敵を以下にタイミング良く倒すか、ボーナスを撃ちもらさないかで、スコアアタックも熱いアクティビティだ。

 「エスコート」は従来の人間相手のものに加え、何故か「虎」を乗せる羽目になるアクティビティも登場した。虎は気まぐれでこちらをひっかいてくる。引っかかれると大きくハンドルが狂わされる。虎は速度を上げていればご機嫌なのだが、虎の不機嫌メーターが貯まりすぎると食われてしまう。メーターはうまい運転をしたり、ドリフトを決めると機嫌が良くなると言うのも面白い。また人間相手のエスコートもあり、こちらはパパラッチがしつこくまとわりつく中、「ドリフトを決めろ」、「ホテルへ寄れ」等の要求に応えねばならない。「あいつをひき殺せ」なんていう無茶な要求までしてくる。

 この他、サイバー空間を走破する「ファイアーレース」も新要素だ。映画「トロン」のようなちょっとレトロなサイバースペースが楽しい。この他前作でも好評だったアクティビティで、敵対組織で働かされている“エステティシャン”をこちらの店に引き抜く「スカウト」や、ひたすら街をぶっ壊して目標の被害額を目指す「メイヘム」、戦車で破壊行為をする「タンクメイヘム」なども登場する。仲間を囮に近付く敵をぶっ飛ばす「ヘリアサルト」も楽しい。

 そうしたお馬鹿なアクティビティの中でも「保険金詐欺」はとりわけ「セインツロウ」シリーズを象徴するものだといえるだろう。このアクティビティをプレイ中は主人公は交通事故では死ななくなり、ダメージに応じてお金が入る。ゲームの内容は、わざと交通量の多い場所で走ってくる車に身を投げ出すのだ。一定のダメージを喰らうと「アドレナリンモード」が発動し、車に当たると空高く舞い上がるようになる。かなりブラックなアクティビティだが、連続で轢かれることに挑戦するなど、ネジの外れたノリがある。

 この他、携帯端末から参照できる「セインツブック」で暗殺や特定の車を盗むミッションが受けられたり、片輪走行やウイリー、スカイダイビングなど様々なアクションに応じて目標が設定されている「デバージョン」という要素があったりする。突然依頼され、一定時間的敵の攻撃をしのぐ「サバイバル」というミニゲームもある。

 さらに支配地域を広げるために抗争したり、街の物件を買うことも必要となる。アクティビティに挑戦したり、抗争や物件購入で支配地域を広げることで多くのリスペクトと資金を得て、キャラクター、武器、メンバーそして乗り物を強化していく。ヘリを使えば抗争で勝つのが簡単になったりと、強力になると有利になる要素も多い。そしてメインストーリーであるミッションを進めていくのだ。


「天才ゲンキ博士の超絶有頂天倫理委員会」。陰惨なゲームなのにアナウンスはノリノリ、音楽は脳天気とあらゆる点で狂ってる
戦車で町を破壊する「タンクメイヘム」、サイバー空間での「ファイアーレース」、仲間を囮に敵を攻撃する「ヘリアサルト」
手持ち向きで大破壊の「メイヘム」、自分から車に轢かれる「保険金詐欺」、ぶつかったものを爆破する「ファイアーレース」。名前が同じでも内容が違うアクティビティがある
エステティシャンを敵対組織から奪う「スカウト」、味方をヘリで守る「ガーディアンエンジェル」
「セインツ・ブック」では暗殺や車の盗難にも挑戦できる


■ 2人での協力プレイが可能。様々なシチュエーションで戦う「千人切りモード」も

「千人切りモード」でのシチュエーションは本編以上にとんでもない

 「セインツロウ ザ・サード」はメインとなるキャンペーンに加え、CO-OPプレイが可能だ。前作のような画面分割はなくLANかインターネットを通じたプレイなので、先行体験会でほんの短い時間プレイしたのみなのだが、2人で戦うのは楽しく、もっともっとプレイしたいと思った。

 本作にキャンペーンだけでなく、敵が波状攻撃をしてくる「千人切りモード」という新しいゲームモードもある。こちらはステージごとに凝っている。敵が巨大だったり、小さかったり意表をつくものがあって、こちらが戦車に乗って一方的に倒しまくったり、ステージごとに大きくシチュエーションが違う。遊びごたえがあるモードだが、やはりシングルプレイではいまいち盛り上がれない。友人と遊んでみたいモードだ。


 今回「セインツロウ ザ・サード」をプレイしてみて、そのパワーアップしたノリをたっぷり楽しむことができた。特にキャンペーン中盤からはこちらの戦力が充実してきて、まさにやりたい放題で楽しめた。後半のスケールアップも予想を大きく上回っており、開発スタッフの勢いに圧倒された。

 一方で、ミッションがアクティビティのチュートリアルという感じになっているものが多く、敵の印象が薄くなってしまっていると感じた。キルベインとマット・ミラーはそれぞれ見せ場が用意されているが、もっともっと濃く表現しても良かったと思う。

 また、街中に汚水を振りまく「正義の汚水」や、インチキ警官になって無茶苦茶な番組を作る「治安密着24時」といった、前作にあった濃いアクティビティがなくなっているのは「ちょっと洗練されすぎてしまっているかなあ」という印象を受けた。ゲームとして間違いなくプレイしやすくなってるのだが、もっと派手に、もっとお馬鹿にはじけて欲しかった。

 「セインツロウ2」はDLCが大変好調だったという。「セインツロウ ザ・サード」でのDLCはまだ発表されていないが、立ち上がって拍手したくなるような派手で、イカれていて、イカしたDLCを期待したい。今後の発表が楽しみである。



巨大化した敵や、縮小化した敵……武器も様々でプレーヤーは瞬時に戦い方を判断し、立ち向かっていかねばならない

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(2011年 11月 16日)

[Reported by 勝田哲也 ]