★PCハードウェアレビュー★

Core i7-3960X EE搭載のハイエンドゲーミングPC
最新3Dゲームを快適にプレイできるPCを探している人にオススメ

「MASTERPIECE i1540PA1-Liquid」


 マウスコンピューターは、開発コードネーム「Sandy Bridge-E」でおなじみの、インテルのハイエンド向けCore-i7を採用した、ハイエンドゲーミングPC「MASTERPIECE i1540」シリーズを発表し、11月14日より販売を開始した。今回、「MASTERPIECE i1540」シリーズの中で、Sandy Bridge-Eの最上位モデルとなる「Core i7-3960X Extreme Edition」を採用した上位モデル「MASTERPIECE i1540PA1-Liquid」を試用する機会を得たので、ハード面の仕様や、どの程度のパフォーマンスが発揮されるのか見ていきたいと思う。



■ Core i7-3960X Extreme Edition搭載のハイエンド仕様

 マウスコンピューターが発売したゲーミングPC「G-Tune」シリーズの中で、フラッグシップシリーズとして位置付けられている「MASTERPIECE」シリーズ。その、MASTERPIECEシリーズの最新モデルは、11月14日に発表されたインテルのコンシューマ向けハイエンドCPU最新モデルである、「Core i7-3960X Extreme Edition」(以下、Core i7-3960X)および「Core i7-3930K」が搭載されている。

 双方とも6個の物理コアを内蔵するとともに、ハイパー・スレッディング・テクノロジーに対応し、同時に12スレッドの処理が可能。L2キャッシュ容量はコアあたり256KB、L3キャッシュは全コア共用でi7-3960Xが15MB、i7-3930Kが12MBとなる。CPU内にPC3-12800 DDR3 SDRAMをサポートする4チャネルのメモリコントローラを搭載し、非常に高速なメモリ帯域幅を確保。また、PCI Express 3.0に対応する40レーンのPCI Expressインターフェイスも内蔵。PCI Express x16を2本とPCI Express x8を1本や、PCI Express x16を1本とPCI Express x8を3本を確保できるようになり、NVIDIA SLIやATI CrossFireXといったマルチGPU環境も容易に構築できるようになった。常に最高のパフォーマンスが要求されるハイエンドゲーミングPC向けとして、最適の仕様を備えるCPUと言っていいだろう。

 そして、今回取り上げる「MASTERPIECE i1540PA1-Liquid」(以下、i1540PA1-Liquid)では、Sandy Bridge-Eの上位モデルとなるCore i7-3960Xが搭載されている。動作クロックは定格で3.3GHz、ターボ・ブースト時には最大3.9GHz(1~2コア動作時、4コア動作時は最大3.6GHz)まで動作クロックが上昇する。また、動作クロックの倍率設定はロックされていない。強力な冷却システムを用意する必要はあるが、ユーザーが設定を変更してさらなる高クロック動作も目指せる点も嬉しい。

 マザーボードは、MSI製の「X79A-SD40」を採用。チップセットは、Sandy Bridge-E用の最新チップセットであるIntel X79 Expressを搭載。メモリスロットは4本用意され、最大64GBまで搭載可能。拡張スロットは、PCI Express x16を3本とPCI Express x1を4本用意。SATAインターフェイスは、SATA 6Gbpsが2個とSATA 3Gbpsが4個。オンボード機能は、7.1チャンネルHDオーディオやギガビットイーサネット、USB 3.0×2ポートなど。MSI独自の高品質電源フェーズ「DrMOS II」に加え、固体コンデンサやSFC(スーパー・フェライト・チョーク)などを採用することで、高い安定性や耐久性が実現されている点も特徴で、高負荷での長時間動作が多くなるハイエンドゲーミング用途でも安定した動作が期待できる。

CPUは、Sandy Bridge-Eの上位モデルとなる、Core i7-3960X Extreme Editionを採用背面のポート類は、USB 3.0×2ポート、USB 2.0×6ポート、ギガビットイーサネット、ギガビットイーサネット、7.1チャンネルサウンド、デジタルサウンド出力などを備えている



■ GeForce GTX 580を2枚搭載するなど、スペック面も充実

 「i1540PA1-Liquid」には、標準でGeForce GTX 580搭載グラフィックカードが2枚搭載され、NVIDIA SLI動作が実現されている。GeForce GTX 580は、NVIDIAのシングルGPU最上位モデル。単体でも優れた3D描画能力を発揮するが、それを2枚搭載し、NVIDIA SLIによるマルチGPU動作を実現することにより、単体時よりも大幅に3D描画能力が向上する。

 実際に搭載されているビデオカードは、2スロット占有タイプの、GeForce GTX 580搭載カードとして標準的なものだ。このカードを2枚搭載するため、拡張スロットは4本分が占有されることになる。ただ、他の必要な機能はマザーボードにオンボード搭載されているので、特に問題とはならないはずだ。

 メインメモリは、標準でPC3-12800準拠の4GB DDR3 SDRAMモジュールが4枚、計16GBが標準搭載される。これだけの容量があれば、最新3Dゲームのプレイはもちろん、その他の用途でも不足を感じることはほぼないはずだ。

 ストレージのスペックも、ハイエンドゲーミングPCらしく非常に贅沢なものとなっている。まず、システム用として、インテル製の高性能SSDである「Intel SSD 320」シリーズの120GBモデル「SSDSA2CW120G310」を2台搭載し、RAID 0構成として確保。ゲームの起動はもちろん、プレイ中のデータ読み出しも非常に高速で、ロード待ち時間が短縮され、快適なゲームプレイが実現される。また、データドライブとして、日立製の2TB 7,200rpm 3.5インチHDD「HDS723020BLA642」も搭載しており、大容量データの保存も安心だ。光学式ドライブには、ブルーレイドライブ(LG製BH12NS38)が搭載されており、ゲームだけでなくAV用途にも活用できる点は嬉しい。

 さらに、Sandy Bridge-EやGeForce GTX 580×2枚のSLI動作などのハイエンドスペックを安定して稼働できるよう、1,200Wの大容量電源ユニットも標準搭載。80PLUS認定を取得した高品質電源ユニットで、消費電力も抑えられる点も嬉しい。

 ちなみに、「i1540PA1-Liquid」の上位モデルで、MASTERPIECE i1540シリーズのフラッグシップモデルとして位置付けられている「MASTERPIECE i1540PA1-SP-Liquid」では、メインメモリを32GB、SSDを「Intel SSD 510」シリーズの120GB×2台に強化するとともに、東プレとのコラボレーションによるゲーミングキーボード「Realforce108B-MP」が付属する。「i1540PA1-Liquid」も十分に最強スペックと言えるが、さらに上を目指したいならそちらもオススメだ。

グラフィックカードは、標準でGeForce GTX 580カードを2枚搭載し、NVIDIA SLI構成を実現しているストレージデバイスは、Intel SSD 320シリーズの120GBモデルを2台搭載しRAID 0構成を実現

データドライブとして2TBのHDDも標準搭載する光学式ドライブは、ブルーレイドライブを標準搭載1,200Wの大容量電源ユニットを搭載。80PLUS認証を取得した電源ユニットで、省電力性や静音性にも優れる

【MASTERPIECE i1540PA1-Liquidのスペック一覧】
CPUCore i7-3960X Extreme Edition
チップセットIntel X79 Express
マザーボードMSI X79A-SD40
ビデオカードGeForce GTX 580×2
メモリPC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB(sammax SMD-4G68HP-16KZ)×4
SSD120GB(Intel 320 SSDSA2CW120G310)×2、RAID 0構成
HDD2TB 7,200rpm(Hitachi HDS723020BLA642)
ドライブBlu-rayドライブ(LG BH12NS38)
CPUクーラー水冷クーラー(Asetek 550LC)
電源ユニット1200W 80PLUS認証取得(HEC-K12TB-2LX)
OSWindows 7 Professional SP1 64bit


■ 高品質Abee製オリジナルケースや水冷式CPUクーラーを採用

 ハイエンドCPUやハイエンドグラフィックカードを2枚搭載していることから、安定動作にはこれらパーツから発生する熱の処理も重要となる。しかし、「i1540PA1-Liquid」はその点も抜かりがない。

 まず、CPUの冷却には、標準で水冷式のCPUクーラーを採用している。採用されているのは、Asetek製の「550LC」というオールインワン水冷クーラーだ。冷却ヘッド、ラジエータ、ポンプなどが一体となった、メンテナンスフリー構成となっている。ラジエータは、ケース背面の12cm排気ファンを取り付ける場所に固定されており、ラジエータに取り付けられた12cmファンにより、ケース内の排気およびラジエータの冷却を同時に行なうようになっている。水冷式CPUクーラーの採用により、一般的な空冷式CPUクーラーより安定してCPUの冷却が行なえるため、高負荷でも安定した動作が可能。もちろん、オーバークロック動作も十分視野に入れられる。

 また、採用しているケースも、フラッグシップシリーズらしい高品質なものとなっている。このケースは、国内の高品質アルミケースメーカーとしておなじみの「Abee」とのコラボレーションで製作されたオリジナルケースだ。このケースは、品質が優れているのはもちろん、冷却性に優れている点も大きな特徴。まず、ケース前方には3.5インチHDDベイの前方に12cmの吸気ファンを備えるとともに、拡張スロット前方にも可動式の12cm冷却ファンを備え、ケース前方から安定した外気を吸入。ケース後方には、水冷式CPUクーラーの12cmファンに加え、ケース底面の電源ユニットの冷却ファンと、GeForce GTX 580が備える外部排気式の冷却システムにより、安定した排気を実現。また、ケース前面や側面には、安定した吸気が行なえるようメッシュ構造の吸気口を用意。これにより、前方から後方に向かって安定したエアフローが確保され、ケース内を強力に冷却するようになっている。

 さらに、ケースの内部構造も充実。マザーボード搭載部は大きく空間が確保され、拡張カードやメインメモリの取付なども容易。ドライブベイは、5インチベイが3個と3.5インチオープンベイが1個、HDD搭載用の3.5インチシャドウベイが4個、SSD搭載用の2.5インチシャドウベイが2個と非常に豊富。特に3.5インチシャドウベイは横向きに用意され、HDDを容易に交換・搭載できる点は大きな魅力だ。

 仕様面だけでなく、デザイン性に優れる点も、このケースの大きな特徴だ。ケース素材はアルミニウムで、比較的軽量ながら優れた強度を確保。また、前面パネルはヘアライン処理を施すとともに、側面部がレッド塗装でいいアクセントとなっており、高級感の中にも個性が感じられる、非常に洗練されたデザインとなっている。ゲーミングPCでは、どちらかというと奇抜なデザインを採用するものも少なくないが、このような洗練されたデザインなら、書斎からリビングルームまで、置き場所を選ばないはずだ。

高品質ケースメーカーとしておなじみのAbeeとのコラボで製作されたオリジナルケースを採用。スタイリッシュで洗練されたデザインが特徴だ本体サイズは、219×471×499mm(幅×奥行き×高さ)と、フルタワーケースに近いサイズとなっている左側面には、吸気用の大きなメッシュが見える
前面下部にも、吸気用のメッシュ構造が用意されている左側面パネルを開けた様子。マザーボード部分は大きな空間が確保され、メンテナンスもやりやすいCPUクーラーとして、オールインワン水冷クーラーを採用。高負荷時の発熱も余裕を持って冷却でき、安定動作が期待できる
5インチベイが3個、3.5インチオープンベイが1個、2.5インチシャドウベイが2個用意されているHDD用の3.5インチシャドウベイは4個用意され、横向きに搭載されているHDDベイ前方に12cm吸気ファンが、HDDベイ上部にも拡張スロット冷却用の可動式12cmファンを搭載



■ 「Battlefield 3」など最新3Dゲームを快適にプレイできるPCを探している人にオススメ

 では、パフォーマンスをチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a」と「3DMark 11 1.0.2.0」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a」に加え、「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】」、「ロストプラネット2ベンチマーク」、「Tom Clancy's H.A.W.X.2 Benchmark」、「Heaven DX11 Benchmark 2.5」の7種類だ。

 結果を見ると、ハイエンドモデルらしい、非常に優れた結果が得られていることがわかる。Futuremarkの総合ベンチマークテストは、全てシングルGPU動作での計測だったが、それでも非常に優れた結果が得られており、さすが最強スペックといった印象だ。

 また、ゲーム系ベンチマークテストでは、シングルGPU動作に加えてSLI動作でのテストも行なった。シングルGPU動作でも十分に好結果となっているが、やはりSLI動作時には圧倒的な快適性が実現されていることがわかる。今回のテストでは、8xや4xのアンチエイリアシングを設定し、すべてフルHD解像度と、なるべく高負荷となるようにしているが、それでもこれだけの結果が得られている。3Dゲームを快適にプレイするには、平均のフレームレートで60fpsを確保できるかどうかという点がひとつの指標となるが、これだけのパフォーマンスがあれば、最新3DゲームもフルHD解像度で60fpsを余裕でクリアするフレームレートを確保してプレイできるはずだ。この冬最大の話題作である「Battlefield 3」も、高画質設定で快適にプレイできると言っていいだろう。

 ちなみに、高負荷時の動作音は、さすがにやや大きい。特に、ビデオカードの冷却ファンの音がかなり大きくなるという印象だ。それでも、爆音というほどではなく、これだけのハイスペックを詰め込んだハイエンドゲーミングPCとしては、思ったほどどうるさくないという印象だった。これなら、動作音に関しても十分満足できるだろう。

 「i1540PA1-Liquid」は、直販価格が329,700円と、さすがにスペック相応に高価格となっている。とはいえ、細かなパーツやケースなどの仕様を見ると、ほぼ同じスペックで自作するよりも安価なのは間違いなく、十分に納得できる家格でも価格設定ではある。もちろん、より安価に購入できる仕様のモデルも用意されているし、スペック面も自由にカスタマイズ可能なので、自分の用途に合ったモデルを選択すればいいと思うが、「Battlefield 3」などの最新3Dゲームを快適にプレイするという点を最優先するのであれば、やはり「i1540PA1-Liquid」の購入がベストだ。また、ケースのデザイン性から、ゲーミング用途以外の高性能PCを探している人にもオススメしたい。

【PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a】
PCMark Suite19974
Memories Suite13821
TV and Movies Suite8329
Gaming Suite20064
Music Suite17407
Communications Suite17716
Productivity Suite23121
HDD Test Suite40361
【3DMark 11 1.0.2.0 Performance(1,280×720ドット)】
3DMark Score6629
GPU Score6113
Physics Score11746
Combined Score6502
【3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1,280×1,024ドット】
3DMark Score30462
GPU Score25252
CPU Score79953
【Windows エクスペリエンスインデックス】
プロセッサ7.8
メモリ7.9
グラフィックス7.9
ゲーム用グラフィックス7.9
プライマリハードディスク7.9
GeForce GTX580×2枚 SLIオフオン
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】
1,920×1,080ドット1569415762
ロストプラネット2ベンチマーク DX11
(アンチエイリアス:CSAA8XQ、モーションブラー:on、影品質:HIGH、テクスチャ品質:HIGH、演出レベル:HIGH、DirectX 11 Feature:HIGH)
1,920×1,080ドットテストタイプA62.0111.8
テストタイプB50.482.7
Tom Clancy's H.A.W.X.2 Benchmark
(アンチエイリアス:4x、View distance:High、Environment:High、Texture quality:High、Postprocessing:ON、Depth Of Field:ON、Particles density:High、Shadows:ON、演出レベル:HIG)
1,920×1,080ドットMaximum FPS336460
Average FPS232243
Heaven DX11 Benchmark 2.5
(Shaders:High、Tessellation:extreme、Anisotroty:4、Anti-aliasing:8x)
1,920×1,080ドットFPS29.958.1
Score7541463

(2011年 11月 18日)

[Reported by 平澤寿康 ]