PS3/Xbox 360ゲームレビュー

こだわりのバトルシステムを搭載した意欲作
「End of Eternity」

  • ジャンル:RPG
  • 発売元:株式会社セガ
  • 開発元:株式会社トライエース
  • 価格:7,980円
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
  • 発売日:発売中(1月28日発売)
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:B(12才以上対象)


 1月28日、株式会社セガから銃撃多重奏RPG「End of Eternity(エンド オブ エタニティ)」が発売された。開発元は「スターオーシャン」や「ヴァルキリープロファイル」と代表作を持ち、RPG開発を得意とする株式会社トライエースだ。

 本作には、これまでのRPGにはない独特のシステムが多く搭載されている。特にバトルシステムは理解するまでに多少時間がかかるかもしれないが、戦略性が高く、噛めば噛むほど味の出るものに仕上がっている。

 早速、本作の魅力を紹介していこう。なお、本稿の作成にあたってはXbox 360版をプレイしたので、操作方法などもXbox 360をベースに、カッコ内にPS3の表記を併記させていただくことをご了承いただきたい。



■ 何者かが作った小さな世界「バーゼル」を舞台にした人と機械の物語

 遠い未来の地球。その理由は定かではないが、世界は壊滅の危機にあった。毒された大気は地上に沈殿し、捻じ曲がった地軸は地上から時間の概念を奪っていった。生態系は狂い、人類はその環境変化に対応できずに滅びつつあった。残された人々は環境を正常化する為に巨大な装置「バーゼル」を地球に埋め込んだ。バーゼルが目指す正常化には生物の在り方までもが含まれていた。生死のローテーションを機械にゆだねるところまで、人類は種として疲弊しきっていた。人々は、バーゼル周辺に群がり、暮らしだす。やがてはその内部に入り込み、住居を構え、街を作った。しかし、その事により、バーゼルは徐々に蝕まれその機能を低下させていった。人々は何者かが作った小さな世界に引きこもり、太古の過ちを繰り返していた……。

人類存続のために作られた機械「バーゼル」。人々はここで生活を営んでいる

 RPGによくある広大な世界ではなく、バーゼルという限定された世界で物語は進んでいく。バーゼルとは、滅びつつある人類が自らの存続のために地球に埋め込んだ独特の形状を持つ巨大な装置である。

 上層部には宗教施設や富裕層の生活する居住区域があり、下層に行くに従って貧しく、治安が悪くなる。

 ストーリーをかみ締めてプレイしたいなら、コントローラーを手放して、2種類のオープニングムービーを見ておくことをオススメする。このオープニングムービーには、ストーリーに関わる重要なシーンが収録されている。

上層はシャンデリアと呼ばれ、バーゼルの指導者であるカーディナルなどが暮らしている4階層には主人公たちのアジトがある街エベル・シティがある。ここから物語は始まる10階層にある街アルボナ。4階層のエベル・シティと比べると貧富の差が伺える

 主人公はリーンベル、ゼファー、ヴァシュロンの3人。彼らは元軍人や傭兵などが技術と経験を生かして様々な仕事を行なうPMF(Private Military Firms)として活動している。PMFの業務は、警備、戦闘、物探しなど多岐にわたる。

 謎に包まれた彼らの過去についてはゲームを進めることで明らかになっていく。どんな過去を持っているのかはゲームをプレイして確認してみてほしい。

リーンベル CV:遠藤 綾
運命を克服する女 21歳 女
「夢は、叶えられない人達が作り出すもの?」
ゼファー、ヴァシュロンと共に暮らす女性。駆け出しのPMF。ある出来事で命を落としそうになっている時にゼファーと知り合い、PMFとなる。仕事の時は普段はしない化粧をして着替えるのは、これまでの自分を変えようと背伸びをしているためである
ゼファー CV:下野 紘
運命に抗う少年 17歳 男
「俺が生きていること自体が神様の否定さ」
幼いころから施設で育った少年。数年まえにある事件を起こし、依頼を受けて制圧に来たヴァシュロンと出会う。その際にヴァシュロンから致命傷を負うほどの銃撃を受けたのだが、なぜかかすり傷ひとつ負わなかった。現在は、ヴァシュロンとともに暮らし、“PMF”として生活している
ヴァシュロン CV:成田 剣
運命を受け入れた男 26歳 男
「俺は肯定も否定もしない。大事なのは自分の感情、だろ?」
ゼファーと暮らす元軍人。“PMF”を生業としている。“暴れている少年を制圧してほしい”という依頼を受け、向かった現場でゼファーと出会う。大規模戦闘によって壊滅したカーディナル配下の戦闘部隊の生き残りだが、過去については多くを語らない

 物語を彩るサブキャラクター達も個性豊かだ。ストーリー上、特に重要となるのがカーディナルと呼ばれるバーゼルで信仰されている宗教「リデール教」の指導者階級のメンバー。

 カーディナルの中でも、見た目や言動と声のギャップがものすごいペーター(CV:檜山修之)、額縁を通してモノを見る癖があるアート志向の強いガリジャーノン(CV:若本規夫)は印象的であり、ファンになる人も多いのではないだろうか。


■ 一見アクションゲームのようにも見える練り込まれたバトル「t・A・B」

 本作ではパーティーメンバー3人の操作を切り替えながら、シンプルな操作で爽快感のある派手なバトル「t・A・B(トライ・アタック・バトル)」が楽しめる。バトルはワールドマップ上でのエンカウントやダンジョンの中で敵と遭遇すると始まる。基本的な流れとしては、「操作キャラクター選択→移動・行動の決定」を繰り返し、敵の全滅 or 敵リーダーの撃破で戦闘終了となる。なお、敵リーダーは必ずいるわけではなく、1体とは限らない。

 見た目から、スピーディーな入力を要求されると勘違いしてしまいそうな「t・A・B」だが、コマンド選択中に敵は行動しないため、実際はゆっくり考えながらバトルを進められるので、アクションが苦手な人でも安心してほしい。もちろん、素早い操作をすることで少しだけ戦闘が有利に進められる場面も一部あり、バトルの腕が上達していくのが実感できる。

まるでアクションゲームのようにも見える「t・A・B」。だが、アクション性はほとんどなく、簡単な操作で爽快な戦闘が楽しめる練り込まれたバトルシステムのため、すぐに理解するのは難しいかもしれないが、わかってくると戦闘することが楽しくなってくる敵を吹き飛ばし、空中に浮いている状態で次の行動が回ってきた場合などでは素早く入力することで大ダメージが狙える

 使用武器の選択、行動順、行動後の3人の立ち位置など、考えることが多い戦略性が高いバトルになっているため、バトルシステムを熟知することは本作をプレイする上で必須となる。序盤はある程度把握していれば問題なく進められるが、しっかりバトルシステムを理解しておかなければいつか壁にぶつかるだろう。また、バトルシステムを理解することで本作の本当の面白さが実感できるともいえる。

 戦闘が始まったら、まず敵の数やレベルなどの情報を探ることが重要だ。ターゲットを切り替えれば、敵の名前やレベルが画面左上に表示されるので、どの敵から攻撃すべきかを決めていこう。

・ノーマル・アタックはチャージに注目

 攻撃対象を決め、A(○)ボタンを押すことでチャージが開始され、ゲージが増えていく、1回以上チャージして、さらにA(○)ボタンを押すとノーマル・アタックが出る。チャージ中は無防備であり、攻撃を受けるとチャージが中断されてしまう。チャージできる周回数はレベルに応じて、チャージ速度・加速度はターゲットとの距離・武器の性能に応じて変化する。特にターゲットとの距離は重要。あまりに遠いとチャージが1回もできず、攻撃できないことがあるほどだ。チャージに使える時間は行動力ゲージに依存する。つまり、ターゲット決定後に見ておくべき主な情報は、チャージ状況、行動力ゲージ残量、敵の行動の3つとなる。チャージ周回数に応じてスキルが発動するため、中断されないように状況を見ながら、なるべく多くチャージしたい。

敵の攻撃タイミングは敵のゲージの色や画面右下の自キャラクター左にあるマークから推測できるA(○)ボタンでチャージスタート。攻撃するには最低1回以上のチャージが必要だチャージできたら再度A(○)ボタンで攻撃が出る。チャージ速度は武器や敵との距離により異なる

・「インビンシブル・アクション」が戦闘の基本

 最初にノーマル・アタックを紹介したものの、本作ではノーマル・アタックを使う機会はあまり多くない。敵の行動を中断させるために使うなど、上級者向けの攻撃手段なのである。最も多く使うことになるのが次に紹介する「インビンシブル・アクション」だ。

 インビンシブル・アクション(以下、IA)は、「I.S.ゲージ」(後述)を消費するものの、敵の攻撃を受けずに走りながら攻撃できる強力なもの。X(□)ボタンでアンカーを出し、移動ルート・目的地を決め、再度X(□)ボタンを押すことで走り始める。

 注意したいのは、X(□)ボタンでアンカーを出した後、A(○)ボタンを押すとノーマル・アタックが出ることだ。筆者はA(○)ボタンで決定という概念が定着してしまっていたため、X(□)→A(○)と押してしまうことがあり、ノーマル・アタックを出してしまうことがあった。IAを出すにはX(□)→X(□)である。これは慣れの問題であり、各ボタンにアサインされた行動が整理された結果であろう。慣れてしまえば、このアサインは納得であり、IAをキャンセルしてノーマル・アタックを出したい場合などにすぐ出せるため、使い勝手がいい。

 IA発動後、移動を開始したら、A(○)ボタンで攻撃、X(□)ボタンでジャンプ、B(×)ボタンで停止する。攻撃を選ぶと、走りながらノーマル・アタックのようにチャージが始まり、再度A(○)ボタンで攻撃する。IAはアンカーで指定したルートに沿って走るため、直線上に障害物がある場合にはジャンプすることで回避できる。目的地までどれだけ距離があろうとも、1度ジャンプすれば、目的地まで着地しない。もちろんジャンプ中にも攻撃が可能。地上を走りながらの攻撃は自分のキャラクターが向いている方向にのみ攻撃することに対して、ジャンプ中の攻撃は本体または部位(後述)にランダムで当たる。また、IA中にターゲットの変更もできる。敵が障害物の死角に入ってしまった場合や、1度のIA中に複数の敵を攻撃したい場合に使うといい。

X(□)ボタンでアンカーを出し、移動ルート・目的地を決める。さらにX(□)ボタンを押せばIAが発動し、走り始めるターゲットに対してカメラが向くため、目的地までに行動できる時間は画面右下の黄色のバーで確認するといい進行方向に障害物がある場合にはジャンプで回避しよう。ジャンプしないと障害物にぶつかり、IAが中断されてしまう

・「レゾナンス・アタック」で連続攻撃

 IAで仲間2人の間を通るとレゾナンス・ポイント(以下、RP)が1ポイント追加される。蓄積したRPとI.S.ゲージを消費することで「レゾナンス・アタック」(以下、RA)という3人同時のIAによる強力な連続攻撃が実行できる。3人の間に引かれたライン上をRPの回数だけ続けて走り、攻撃を実行するとチャージが完了しているキャラクターたちが連続で攻撃する。RPをためればためるほど長時間RAが可能なので、I.S.ゲージ残量、敵との位置関係などを考えながら、多くのRPをためてRAを実行したい。

 RA中は、IAと同様の行動が可能なので、ターゲットに応じた行動を選択し、確実に敵にダメージを与えていこう。

仲間2人の間を通る場合にはアンカーは青色に。間を通らない場合だと赤色になる画面右下のRPを示す表示が「1 RESONANCE」に。強敵相手であれば、多くのRPをためておきたいRPをためるなら、次に操作する仲間の位置を考えてIAをしておかないと、次に行動する仲間がIAで選べる範囲が狭まってしまう

 RAはY(△)ボタンで3人が走るラインが表示される。RA決定前に気にしておきたいことがいくつかある。まずはライン上に障害物がないかどうかだ。RAはIAと同様に障害物にぶつかると止まってしまうからだ。また、互いの距離が近すぎるなどの要因により、仲間とぶつかって止まってしまう可能性もあるので、RA発動時の3人の位置関係を考えてIAを使うといい。この位置関係を考えたIAの使用は戦術上重要となってくるので覚えておいてほしい。これも本作の戦闘を面白くしている要因のひとつともいえる。

 次に気にかけておきたいのは行動順。RA中にも操作キャラを切り替えることは可能だが、事前にキャラクター武器に応じた行動順を決めておいた方が安心だろう。また、操作キャラを切り替えて適切な武器に持ち替えさせるのもいい。

 最後はターゲットとの位置関係。前述の通り、ターゲットとの距離によりチャージ速度が変化するため、遠くのターゲットに対してだと、有効な攻撃ができない。I.S.ゲージ残量が許すなら、IAを使ってRPをためながらターゲットに近寄ろう。

 RPはフリーランでの移動、ノーマル・アタック、行動選択前にB(×)ボタンを押してキャラクターの行動を中断することなどで減ってしまう(LB/RB[L1/R1]での操作キャラ切り替えでは減らない)。RPをためたいなら、これらの行動は控えなければならない。また、余ったRPを次の戦闘に持ち越すことはできず、戦闘開始時にはRPが0から始まる。

Y(△)ボタンを押せばRAで走るラインが黄色で表示される。攻撃する敵との距離を考慮にいれてRAを使うタイミングを決めたい仲間同士の距離が近すぎると接触してRAが中断されてしまうことも。もっと狭くても構わないが、上の写真程度の距離があれば仲間同士の接触による中断はまず起きない誤ってA(○)ボタンを押してノーマル・アタックとなり、せっかくためたRPを減らしてしまわないように。IAならX(□)→X(□)、RAならY(△)→X(□)だ

・「ダイレクト・ダメージ」と「スクラッチ・ダメージ」を理解しておこう

 次に本作の戦闘で欠かせない2種類のダメージ、ダイレクト・ダメージ(以下、DD)とスクラッチ・ダメージ(SD)について説明したい。DDは通常のダメージで、DDを与えることでのみ敵を倒すことができる。SDは時間経過で回復し、HPが0になっても戦闘不能にはならないが、DDを与えることでSDがDDに変化する。例えば、SDを100与えた状態でDDを50与えれば、150のDDとなる。基本的にDDのみで与えられるダメージは低いため、SDを与えて、DDでHPを減らすという流れになる。

 これらのダメージは武器種により決定される。本作での武器種はハンドガン系、マシンガン系、投擲系の3種類。DDはハンドガン系と投擲系、SDはマシンガン系だ。つまり、マシンガン系でSDを与え、ハンドガン系か投擲系でダメージを確定させて倒すことになる。

マシンガン系でSDを与えて、ハンドガン系や投擲系でDDを与えるというのが基本の流れ。ゲーム終盤は武器が増えてくるので、プレイスタイルに応じて変えていこう投擲系は投げるごとにアイテムを消費してしまうが爆発の範囲にいる全てにダメージを与えられる(味方にもダメージが入る)

・多数の要素を兼ねる「I.Sゲージ」も重要

 IA、RAといった行動に必要なI.S.ゲージはHPにも関わる重要なものだ。I.S.ゲージがある間は、受けるダメージが全てSDになり、SDでHPが0になるとI.S.ゲージを消費してHPが回復する。I.S.ゲージ1つあたりHPが1,000回復し、SD分のHPが全回復するまでI.S.ゲージを消費し、消費した分のI.S.ベセルは周囲に飛び散ってしまう。飛び散ったI.S.べセルはその場所まで移動することで回収が可能だが、あくまで空の消費された状態のI.S.べセルであり、回収することで回復するわけではないことに注意してほしい。また、飛び散ったI.S.べセルは敵が拾うこともある。

 さて、消費してしまう一方に感じられるI.Sゲージだが、敵を倒したり、ゲージ・クラックで分割したところまでDDでHPを減らすことで1つ回復する。ゲージ・クラックとは、DDを与えることで一定の確率で発生し、敵の本体や部位のHPゲージを分割するもの。つまり、I.S.ゲージ残量を考える必要はあるものの、攻撃的な行動によりI.S.ゲージは回復するため、IA、RAをどんどん使って、I.S.ゲージを回復しながらの戦闘が可能となる。ノーマル・アタックを一切使わずにIA、RAだけで戦闘が終了することがほとんどと言えよう。消費してしまったI.S.ゲージは、戦闘に勝利することで全回復する。ただし、戦闘から逃走すると、その戦闘で失った分のI.S.ベセルは戻らず、アジトで休むなどをしないと回復しない。

画面下に表示されているのがI.S.ゲージ。行動とHPに関わるもので、常に残量を気にかけておく必要がある敵の撃破やゲージ・クラックした場所までDDでHPを減らすことでI.S.ゲージは回復するI.S.ゲージがなくなるとピンチが訪れる。うまく立ち回ってI.Sゲージを回復するか、戦闘から逃げるかしよう

・大ダメージを狙える「吹き飛ばし」。「追撃」、「撃ち落とし」を狙え

 地上から攻撃した際、武器の吹き飛ばし力に応じて敵を空中に吹き飛ばすことができる。吹き飛ばし中は、追撃、撃ち落としという強力な攻撃が可能になる。

 吹き飛ばされている敵に対して、地上からIAで攻撃すると一定の確率で追撃のチャンスが発生する。追撃のチャンスが発生すると追撃リングが表示され、追撃カーソルを追撃リングの黄色部分に停止させられれば追撃成功となる。追撃成功時はチャージが高速になり、敵が落ちるまでの間レベル以上のチャージが可能な上、行動力ゲージを消費せず、敵からの攻撃を気にせずチャージができる。さらに、追撃は大ダメージを与えられるチャンスがあるだけでなく、敵がアイテムを落とすことがあったりと嬉しいことづくめだ。

 追撃で大ダメージを与えるには、ノーマル・アタックと同様にどれだけチャージできるかが重要になる。追撃可能なタイミングは、敵がワンバウンドした直後までなので、ワンバウンド直後までしっかりチャージして追撃しよう。もちろん、ワンバウンドするまえに限界までチャージが完了していれば、迷わず追撃するべきだ。追撃成功の鍵を握る追撃リングの黄色の部分は吹き飛ばした相手への攻撃を重ねることで増えていく。

 IA中にジャンプして、吹き飛ばされている敵より高い位置から攻撃すると、敵を地面に叩きつける撃ち落しが発動する。撃ち落しは敵本体と全ての部位に追加のダメージを与え、アイテムや所持しているI.S.べセルを放出させられる。1度のIA中に複数回撃ち落しをすることも可能だ。

敵を吹き飛ばし、追撃リングが出たら追撃のチャンス。うまく追撃カーソルが黄色部分に合えば追撃成功となる。限界までチャージして追撃しよう。無理にためすぎて追撃に失敗してしまわないよう注意したい

・「部位破壊」について

 敵は本体とは別に複数の部位を持っていることがある。部位のHPゲージがある方向から攻撃するとその部位に命中し、ダメージを与えられる。部位破壊により、敵の攻撃手段を奪えたり、アイテムを落とすことがある。

 本体のHPを0にすれば、部位のHPが残っていても敵を倒すことができるが、周囲全てに部位を持つ敵の場合は部位を破壊してからでないと本体への攻撃は難しいだろう。しかし、前述の通り、IA中のジャンプ攻撃は本体または部位にランダムにダメージを与えられるため、うまく隙間を見つけられれば周囲全てに部位を持つ敵が相手でも一気に本体のHPを削ることができる。すぐさま敵を倒したい場面では、トライする価値のある戦法といえるが、本体を完全に部位で覆われている場合はこの限りではない。

 また、ステージには様々な物がある。うまく使えば敵からの攻撃を回避できるが、逆に敵が隠れていると攻撃できない。IAのアンカーで目的地が敵からの死角になるようにすれば攻撃を受けずに済むなど、ステージに配置されたものをいかに把握するかで戦闘は有利にも不利にもなる。中にはトーチカという隠れながら攻撃できる壁や攻撃すると爆発して周囲にダメージを与えるものも存在する。


■ 戦闘に欠かせない装備、スキル、銃のカスタマイズ

 前述の通り、本作にはハンドガン系、マシンガン系、投擲系の3種類の武器種が存在する。ここからは装備、スキル、銃のカスタマイズについて紹介していこう。

 行動に関わる装備2種類、アクセサリー2種類の計4つが装備できる。行動に関わる装備としてカテゴライズされるものには、ハンドガン系、マシンガン系、投擲系を使うためのグレネードボックス、特殊弾を撃つためのマガジンケース、各種アイテムを使うためのファーストエイドキットが存在する。それぞれの装備には重量が設定されており、キャラクターが持てる重量を超えて装備することはできない。序盤は重量を気にして装備を決めることもあるが、後半になると重量を気にせず好きな装備ができるようになる。

 ハンドガン系はDDを与えられる武器で2丁同時装備が可能。マシンガン系はSDを与えられる唯一の武器で、こちらも2丁同時装備ができる。ハンドガン系と比べて、マシンガン系は装弾数が多い。

 銃に応じて、HP分割率、チャージ速度、速射速度などの性能が異なる。また、銃はカスタマイズが可能で、カスタマイズにより全く異なった性能を持つことになる。基本的にそれぞれの銃には長所があるため、初期から持っている銃を最後まで使い続けることも普通にあるだろう。

 マガジンケースは敵の性質に合わせて切り替えることで活躍する特殊弾を使うための装備。特殊弾は、生物や柔軟な部位に高ダメージを与えるハンター弾、機械や硬い部位に高ダメージを与えるメタルコート弾、炎に弱い敵や部位に高ダメージを与えるバーン弾など多彩。中には2つの特性を持つものや、敵を貫通して射線上の敵にダメージを与えられるものもある。

 投擲系はハンドガン同様にDDを与えられる攻撃手段でグレネードボックスを装備することでのみ使うことができる。ハンドガンと異なるのは爆発の範囲内にいる全員を同時に攻撃できることと、延焼状態にすることがある火炎瓶など状態異常を与えられることだ。

 状態異常は強力なものばかりなので、把握しておいたほうがいいだろう。状態異常を与えて、逃げ回るのも戦法の1つだ。下記が状態異常の種類となる。

【状態異常の種類】
延焼1秒毎にスクラッチ・ダメージを受ける
凍結行動不能になる
感電チャージ速度が遅くなる
1秒毎にダイレクト・ダメージを受ける
オイル移動速度低下、炎属性攻撃の被ダメージ増加

 ファーストエイドキットを装備すれば、回復や特殊なアイテムが使用できる。中でもエスケープ・ヘキサというワールドマップに戻るアイテムは重宝する。これがないとダンジョンから脱出するのに、敵と戦いながら来た道を引き返さなければならないからだ。ダンジョンへ入ると装備は変更できないので注意してほしい。

 これら特殊弾や投擲系などは、ハンドガン系・マシンガン系と異なり、アイテムを消費してしまうことから使用を嫌がる人もいるだろう。だが、本作ではキャラクターのレベル=ハンドガン系+マシンガン系+投擲系のレベルとなるため、ある程度はレベルを上げておきたい。ただ、マシンガン系のレベルさえ高ければ、ハンドガン系や投擲系といったDDを与える武器のレベル上げはさほど難しくない。なぜなら、多くのSDを与えた後、DDを与えれば、SD+DDがダメージとなり、多くの熟練度が獲得できるからだ。序盤では各武器種1つずつしか所持していないため、各キャラクターの武器を持ち替えて使うことになる。

 アクセサリーは被ダメージ軽減に役立つものが多い。本作では防御力に関するパラメーターが存在しないため、被ダメージを減らすにはアクセサリーを用いることになる。被ダメージ軽減以外に、アイテムドロップ率が上がるものや低確率で敵の部位に対して最大HP分のダメージを与えられるものなどもある。

ハンドガン系やマシンガン系の武器を2丁持てるようになったら、さっそく2丁持ちの威力を試してみよう。これまでとは一線を画する破壊力が堪能できる仲間全員がマシンガンを装備し、SDしか与えられない状態では敵を倒せず、戦闘にならない。バランスを考えて装備を決定すべきだキャラクターのレベル=ハンドガン系+マシンガン系+投擲系のため、全ての武器種を持たせてレベルを上げたい

 次にスキルについて紹介したい。スキルはハンドガン、マシンガン、投擲の3種類に対して存在する。スキル発動条件はチャージ周回数に依存する。例えば、リーンベルのハンドガンスキルだと、チャージ4回で、部位貫通:発生率5(一定の確率で、部位に与えたダメージが本体にも伝わる)となる。各武器種ごとのスキルを一部紹介する。

【ハンドガンスキル】
ダメージUP×2一定の確率で、与えるダメージが2倍になる
吹き飛ばし力UP×2一定の確率で、吹き飛ばし力が2倍になる
部位貫通一定の確率で、部位に与えたダメージが本体にも伝わる
【マシンガンスキル】
フル・スクラッチ一定の確率で、攻撃が当たった部位や本体のスクラッチが満タンになる
吹き飛ばし力UP×2一定の確率で、吹き飛ばし力が2倍になる
スタン一定の確率で、気絶させる
【投擲スキル】
チャージ・キャンセル一定の確率で、チャージをキャンセルする
ステータス確率UP×2一定の確率で、ステータス異常の確率が2倍になる
超発破一定の確率で、全部位と本体にダメージを与える

 ここからは銃のカスタマイズについて紹介していこう。銃のカスタマイズは9×9マスの配置図上で行なう。武器やパーツには接続可能な場所が○や×といった形で表示されている。それぞれの接続形状にあったパーツを配置図内に収まるように組み立てていく。接続形状さえ一致すれば武器とパーツだけでなく、パーツ同士を繋げることも可能だ。

 銃のカスタマイズにより強化可能な能力値は、攻撃力、ゲージ・クラック性能、吹き飛ばし力、チャージ速度、チャージ加速度、連射速度、集弾性能、装弾数の8つ。パーツには重量があり、繋げたパーツの分、銃の重量が増えていく。

 カスタマイズはかなり楽しく悩めるものになっている。重量を気にしなくていいゲーム終盤では、いかに目的に沿った性能を持たせられるかの勝負になる。カスタマイズをしていると、まるでパズルゲームをプレイしているような気分にすらなるほどで、あっという間に時間が過ぎていく。とにかく強化したいのであれば、配置図の空白がなるべくなくなるように価値の高いパーツを配置するといいだろう。

カスタマイズに必要なパーツ獲得手段は、購入、合成などと様々。ミッション報酬で強力なパーツが獲得できることも銃によって、銃自体が必要とするマスが異なる。銃のベースとなる性能を元にパーツを付けてもいいし、付けたいパーツを元にカスタマイズする銃を選んでもいいだろう空白のマスがないようにカスタマイズした例。これでもまだ配置図に多くの空白があり、まだまだ甘いカスタマイズだ


■ エナジー・エキサを用いたワールドマップの開拓

 ワールドマップはマスで構成されており、通行できないマスが存在する。通行できないマスにエナジー・エキサというアイテムを使用することで通行が可能になる。本作ではこのようにワールドマップを開拓し、行動範囲を増やしていく。

 エナジー・ヘキサは、通行できるマスに重なるか隣接していない場合やマスがない場所にはみ出して使用することはできないため、様々な形状を持つエナジー・ヘキサを回転させて、マスに沿ってパズルのように使用する。使用した場所によっては宝箱が出現し、I.S.ベゼルの欠片や衣装など様々なアイテムが入手できることもある。これらエナジー・ヘキサはイベントや敵からのドロップにより入手できる。

 ワールドマップの色つきのマスも存在する。色つきのマスは同色のエナジー・ヘキサを使用することで通行が可能となる。また、色つきのエナジー・ヘキサはギルド(後述)でエナジー・ステーションというセーブや体力回復が可能な特殊アイテムと交換できる。階層全てのマスを埋めることで、エナジー・ステーションに「アジトに戻る」機能が追加される。深い階層から戻る場合に重宝するだろう。

 ワールドマップにはターミナルという施設がある。各ターミナルにはアイテム取得率1.5倍やスクラッチ回復速度減少といった効果があり、ターミナルに色つきエナジー・ヘキサを使用し、効果発動に必要な分のエナジーヘキサを繋げることで効果が得られる。これらの効果は有用なものが多く、ダンジョンに繋げることでダンジョン全体にも効果を発揮する。また、階層をまたぐリフトの上下に同じ色のエナジーを発生させると階層をまたいで蓄積される。

エナジー・ヘキサを使ってワールドマップを開拓。これも本作ならではのシステムだエナジー・ステーションではセーブや回復が可能。階層のマスを全て埋めればアジトへのワープ機能が追加される色つきエナジー・ヘキサの所持数が許す限り、ターミナルの効果を発揮させ、その恩恵を受けたいものだ


■ バリエーション豊かな衣装が用意されたコスチュームチェンジ

 キャラクター性能には一切関係ないものの、主人公たちの見た目が変更できるコスチュームチェンジも本作の魅力の1つ。変更したコスチュームがバトルやイベントシーンなどで反映されるのも嬉しいところだ。

 衣装・髪の色、アクセサリーなどは、ショップでの購入、ミッション報酬、マップの開拓などで獲得でき、相当数用意されている。他のゲームと比べても衣装はデザイン性が高く、コスチュームチェンジをするのが楽しい。

 初期は各キャラクター1パターンのベースコスチュームだが、ストーリーを進めることで2パターンに増え、さらに個性的なコスチュームチェンジが楽しめるようになる。

 コスチュームチェンジで変更できるのは5~6カ所。キャラクターのベースバリエーションによって異なる。

主人公たちを個性的にカスタマイズできる。自分好みのコスチュームにしてゲームを楽みたい。


■ PMFの仕事に関わるギルド、バトルのチュートリアルも受けられる闘技場など、主人公たちを支える多くの施設

 街にあるギルドでは、PMFや施設の説明、ミッションが掲示された掲示板の閲覧、色つきエナジー・ヘキサとステーション・ヘキサの交換、エネミーライブラリの閲覧ができる。ミッションをもらさずプレイしたければ、なるべく多くギルドに足を運んで掲示板をチェックしておこう。掲示板に複数のミッションがある場合、閲覧するだけで自動的に全てのミッションが登録されるのがありがたい。なお、ミッションはチャプター間で持ち越しできないため、受けたミッションは次のチャプターに進む前にクリアしておこう。

 街にあるショップも冒険には欠かせない。各種消費アイテム、パーツ、アクセサリー、銃などが購入できる。お金を獲得するために敵からドロップしたシルバーチップやゴールドチップといった換金専用アイテムの売却にも活用することになる。また、合成屋では投擲武器、特殊弾、パーツ、アクセサリが合成でき、分解屋ではアイテムを分解して各種素材が入手できる。ショップや合成屋の品揃えはストーリーが進行するごとに増えていく。他にもエベル・シティには主人公たちの衣装の購入、コスチュームチェンジができるブティックがある。

 主人公たちが住んでいるアジトはエベル・シティの中にある。セーブ、休む(回復)、コスチュームチェンジ、エネミーライブラリの閲覧が可能。主人公たちの部屋もあり、彼らがどんな生活をしているかが伺えるのが楽しい。彼らの部屋で思いもよらないアイテムが入手できることも。

 闘技場はアジトのあるエベル・シティの側にある。ゲーム開始後、バトルシステムを理解したいなら、まず闘技場内にある訓練所に行くといいだろう。訓練所ではバトルに関する訓練が受けられ、プレイしながらバトルシステムを学ぶことができる。闘技場という名前が付いていることからもわかる通り、バトルチャレンジというバトルに挑戦できる。バトルはランク制で、各ランクで規定数勝利することで次のランクに挑戦できる仕組みだ。参加費を支払って参加し、勝利すると倍率に応じた賞金とバトルコインが獲得できる。獲得したバトルコインは消費アイテム、アクセサリー、カスタマイズパーツなどと交換できる。

ギルドの掲示板ではミッションがチェックできる。新たなチャプターに進んだら、まずギルド立ち寄って掲示板をチェックするといいブティックではコスチュームチェンジ用の衣装が購入できる。お金を注ぎ込みすぎて、後で困ることのないように……闘技場はお金や熟練度が稼げるだけでなく、バトルに関するチュートリアルも受けられるありがたい施設だ


■ 最後に

 セガ×トライエースにより実現した新作RPGである本作は、意欲的なシステムを多く搭載し、やり応え抜群のタイトルに仕上がっている。クリア後に楽しめる要素も十分で、特定の条件を満たすことで入れるようになるダンジョン名にはニヤリとさせられるだろう。

 特筆すべきは、やはり多くのこだわりを感じさせるバトルシステムだろう。理解すればするほど楽しみが広がってくる。

 筆者は、とあるバトルに数時間リトライしつづけ、バトルの手段を変えて試行錯誤することで無事勝利できたという場面があったほど、バトルでやれることは多い。特に味方と敵の位置関係、地上と空中の攻撃、遮蔽物、特殊な性能を持つ投擲武器によって、全く歯が立たないと思われる敵に勝ててしまうこともあった。また、I.S.ゲージが尽き、どうにもならないと思われる状況に陥ったボス戦でも、遮蔽物と移動を利用することで、その後一切ダメージを受けずに時間をかけてノーマル・アタックだけで倒せることもあった。懐の深いバトルシステムである。

 続編ものが多くリリースされ、新作の売り上げが厳しい昨今、これほど内容の新作をリリースしてくれたことも評価したい。

 本作はストーリーにおまけのようなバトルがついているRPGとは違う。やり応えのあるRPG、新しいタイプのRPGをプレイしたいと思っている人にオススメしたい。なかなかお目にかかれない秀逸な新作RPGといえるだろう。買いである。

(C)SEGA
Developed by tri-Ace Inc.

(2010年2月8日)

[Reported by 木原卓 ]