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ポーカーとカードゲームがドッキング! シンプルルールで戦略の限りを尽くそう 「Sword & Poker」 |
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TCG(タクティカルカードゲーム)というと、面白さの本質は変化するフィールドの上で与えられた手札をいかに使って勝利するかという“戦略性”を競うところにある。今回紹介する「Sword & Poker(以下「S&P」)」はそんなTCGの根源的な面白さを、TCGに慣れていない初心者でもわかるようにポーカーという誰もが知っているルールを加え、シンプルなゲームシステムのもとで純粋に楽しめるよう仕上げた1本だ。
■ 52枚+ジョーカーというシンプルなカードを組み合わせ、戦略を考え抜こう
これが基本フィールド。ゲームスタート時の中央9枚の配置と手札の引きがかなり重要になってくる |
「S&P」で使用されるカードはトランプで使われるハート、スペード、キング、クラブそれぞれ13枚の計52枚とジョーカー複数枚だ。通常のTCGなら、カードの属性や陣営、手札をフィールドに出すのに必要なマナや、特殊カードを使用する際の代償、フィールドに影響を与えるカード特有の能力といった細かいルールをマスターする必要があるが、「S&P」では、誰でも知っているトランプのカードを使うため、プレーヤーが覚えなくてはならない情報は特に無い。
基本的なゲームのルールもシンプルだ。プレイフィールドは、5マス×5マスの25マスで構成されており、ゲームスタート時にフィールド中央9マスへカードが9枚配置され、プレーヤーと相手にカードが2枚ずつ配られる。そして自分のターン時にさらに2枚配られ、プレーヤーはフィールド中央の9枚と、手札を使ってポーカーの役を作る。役によってダメージ値が決まり、相手のHPからそのダメージ値が引かれてプレーヤーのターンは終了、相手のターンに移る。これを交互に行ない、外周のマスがすべて埋まるか、10ターンが過ぎれば1ラウンドは終了。中央9マスを含むカードはすべて山に戻され、シャッフルされて2ラウンド目に移る。これが基本ルールのすべてだ。
既存のTCGに比べ、「S&P」ではカードとルールをシンプルにしたおかげで、プレーヤーは純粋に“手持ちのカードをどのような順番で出すか”という戦略を純粋に競いあえる。ルールが1番シンプルであるほど、例えばシンプルなルールの極致ともいえるババ抜きでは、ババを手札のどこの位置に入れるのか、相手はどこにババを入れているのか、引くときにどういうトークをして相手の手をババへ誘導するかなど、複雑な心理の読み合いや引っ掛けが楽しめる。対戦という部分に限定すれば、シンプルなルールのもと、会話や取引といった人間がルール範囲外で関わる部分を、多くすればするほど対戦型のゲームは楽しくなる。そういった意味で「S&P」はTCGというゲーム形態の根源的な部分を的確に捉えたタイトルだ。
相手モンスターのキャラクターデザインはなかなかカワイイ。しかし、その戦略はなかなかエゲツないモノがある(左)。ちゃんとチュートリアルも用意されている。複雑なルールではないので、しっかり覚えて戦略を考えたい(右) |
■ 狙うはコンボ。相手の役を封じる位置取りを心がけて大ダメージを与えよう
やはりポーカーだけにやすやすと高い役は揃えることはできない。ワンペアでもいいのでまずは毎ターンダメージを与えることを考えよう |
外周を役として使えるコンボは大ダメージのチャンス。コンボに繋げられるようにカードを置いていきたいが、敵にコンボを喰らう可能性も考えよう |
「S&P」の基本ルールは、中央の9マスから3枚と手札から2枚の計5枚でポーカーの役を作って相手にダメージを与えると言うのは先程書いた通りだ。限られたターンで効率良く相手にダメージを与えるためにはストレートやフラッシュなど高い役を狙いたいところだが、そうそう簡単に役が作れないのもまたポーカーの道理。基本はワンペアやツーペアなどの端役で稼ぎ、スリーカードでダメージを積み上げていくのが基本だ。
これを踏まえたうえで重要になってくるのがラウンド終盤で発生するコンボの存在。「S&P」では、手札の2枚と内側の3枚と組み合わせて役を成立させるので、外周フィールドにカードが3枚あっても、手札を2枚置いて外周1列で役を成立させることはできない。しかし、外周のフィールドの5枠一列に4枚のカードがすでに置かれ、その4枚があと1枚カードを追加すれば役が成立するという場合のみ、通常の内周がらみの役を成立させた上で、外周の5枠一列も役としてカウントされダメージを追加できるコンボシステムがあるのだ。
例えば外周の左縦列フィールドのうち4枚が埋まっている状況で、左縦列の残り空きフィールドを埋めるようにカードを置いて内側3枚を使って役を発生させた場合、外周左縦列の5枚のカードも役としてカウントされる。これによって最初の5枚と左縦列の5枚で二連コンボが発生する。文章だとうまく説明しづらいので、下記の連続写真を見てもらいたい。これをうまく使えば、ラウンドの終盤でフィールドの対角線上で役を成立させることで、最高五連コンボを相手に叩き込むことができる。1ターンで2~5ターン分のダメージを一気に与えられるこのコンボを使わない手はない。
「S&P」のAIはルールが単純な分、思考アルゴリズムがしっかりしており、上記のコンボを狙って、プレーヤー側にコンボの下準備をさせるようにカードを置いてくる。プレーヤー側としてはこの手に乗っては大ダメージを喰らってしまう。プレーヤー側がコンボを喰らわないように取れる手段としては、コンボが成立しないようにバラバラのカードを外周に置くか、あえてパスをしてターンを飛ばして相手にカードを置かせてしまうかのどちらかだ。
「S&P」では1フロアで複数のモンスターと戦う一方で、HP回復の手段は1フロアに1~3回と限られている。そのため、プレーヤー側はいかにダメージを喰らわず、相手にコンボでダメージを与えていくかが重要となる。そして、ゲーム中ではプレーヤーと相手、双方とも手札が公開されているので、プレーヤーは相手の手札とフィールドのカードを見比べ、いかに相手ターンで役やコンボを成立させないようしつつ、自分のターンで大ダメージを与えて行くかの戦略をゴリゴリ練っていくことになる。
■ 強力な武器や魔法を駆使し、ジョーカーを呼びだして大ダメージを狙え!
「S&P」においてプレーヤーは、ダンジョンに潜むモンスターと戦う冒険者としてゲームを進めていくことになる。ダンジョンの奥へ潜れば潜るほどモンスターは強力になっていくが、本作ではプレーヤーの能力値を強化するレベルアップの概念はなく、プレーヤーは、モンスターを倒したり、フロアをクリアして所持金を増やしてショップで装備品を購入し、深層のモンスターたちに対抗していくことになる。HPに当たるCoin Pouch、攻撃力の向上と特殊効果を生む武器、ダメージや特殊効果からプレーヤーを守る盾の3種類だ。
特に武器の存在は重要だ。武器はダメージ増加は当然として、各種の特殊効果が役によって付与されている。武器によって違うが、スリーカードなら与えたダメージの半分を吸収するアブゾーブ、ストレートなら敵の魔法を封じるサイレンス、フラッシュなら敵を1ターン行動不能にするパラライズと言った具合なのだが、特にパラライズは2ターン分のダメージが確定し、1ターンで2倍のダメージを確実に与えられる。ターン制で交互に殴り合うゲームシステムの本作では、少ないターンで大きなダメージを確実に与えられる特殊効果の存在は大きい。連続でパラライズを与えられる状況を作り出せれば一方的にモンスターを殴り続けられるというのは魅力的だ。
「S&P」ではコンボに限らず毎ターン連続して役を成立させていくことでワイルドカードゲージが溜まり、ゲージが溜まるとプレーヤーが好きなタイミングで手札を1枚ランダムにジョーカーへと変えることができる。パラライズで相手のターンを飛ばせるということはその分、連続でダメージを与えられ、ジョーカーを早く引けるわけだ。ジョーカーはワイルドカードとしてどんなカードにもなるので、フラッシュやストレートといった高い役ができる確率が高まる。ジョーカーは手札にも配られることがあるが、意図したタイミングでワイルドカードを使える意義は大きい。
■ 嫌がらせから、大ダメージの布石まで、魔法を使って一発逆転を狙え!
数フロアに1回、魔法を持つボスとの戦闘がある。ボスの魔法の使い方がなかなか絶妙なのでよく覚えておきたい |
ある階層にはボスモンスターが存在し、倒すことによって彼らの持つ魔法を奪うことができる。手札のハートの数によって体力を大幅に回復することのできる「ヒール」や、相手の手札から任意の札を奪ってフィールドに自札としておける「ロブ」、ワンペアのダメージをすべて無効にする「ガード」など、その種類は様々だ。魔法は1ラウンドに1回しか使えないという制限があるが、その分その効果は大きい。
特に使い勝手のいいのはロブだ。比較的早い段階で手に入るわりには最後まで使うことができる。相手の手札から札を奪うので、自分の手札では役の成立に足りない時に使うのも良いし、相手の役成立を妨害するために使うのも良しだ。「S&P」では手札がともに公開されているため、相手の手札も自札として計算できるロブは、フラッシュやストレートといった高い役成立のための布石として必要不可欠な存在だ。また、ワンペアを無効にできるガードも魅力的な魔法だ。「S&P」のシステム上、ポーカーの役で相手にダメージを与えるため、ワンペアが自然と多くなる。うまくいけば相手のほとんどの攻撃をノーダメージで過ごせるわけだ。連戦の続く「S&P」では大きな味方となってくれる魔法に違いない。
そして、終盤にはワイルドカードをフィールドに発生させる強力な魔法も登場する。これを使えば、ファイブカードやロイヤルストレートフラッシュといった最強の役を出現させ、一発逆転を狙うことも可能だ。プレーヤーの戦略次第で有効な魔法は変わってくるとは思うが、相手によって使う魔法とタイミングを間違いさえしなければピンチを逆転チャンスに変えることができる。ぜひ入手した魔法の効果を良く理解して使ってみて欲しい。
ロブを使って相手の2枚を奪い、フラッシュを成立させる。次の敵のターンでは敵は手札が2枚しかなくなるので、パスを誘発させる可能性も高くなる |
「S&P」において、モンスター1匹を倒すまでのプレイ時間は、格別に体力が高いモンスターなど一部の例外を除いて、大抵が数分で終了する。もともと休み時間や移動時間で遊べるぐらい短く、しかもゲーム状況は毎回ターンごとに自動セーブされるため、止めたくても止められないということも無い。iPhone/iPod Touchに入れておけばいつでもどこでも場所を選ばず遊ぶことができる優れものだ。
ゲームに関しても基本ルールがシンプルな分、いかにダメージを相手に与えていくかという駆け引きだけを純粋に楽しめるのが良い。常に数ターン先を読む事になるわけだが、休憩時間などで遊んでいると、休憩時間が終わっても「次のターンで魔法を使ってストレートの準備をして、ジョーカーを出せば終わりだな」という具合に、常に頭の隅で戦略をねっている自分に気づく。こうやって練りに練った戦略がハマったときは相当に楽しいのだ。購入前はルールがシンプルな分、飽きも早いかなと思っていたが、まったく飽きずに現在に至っている。これが450円ならまさにオトクだ。本レビューを読んで興味を持った方はぜひ購入し、戦略を練り上げていく楽しさに身を委ねてもらいたい。
【スクリーンショット】 | ||
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□「Sword & Poker」のページ
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(2010年 2月 2日)