PS3ゲームレビュー

多くのロボットアニメから機体や人物が登場!
作品の枠を超えたアクションシューティング

「Another Century's Episode:R」



登場タイトル数の多さだけでなく、スピーディーなバトルも本作の魅力の1つ

 8月19日、株式会社バンダイナムコゲームスから「Another Century's Episode:R」が発売された。本作はロボットアニメ作品の枠を超えて多数の機体やキャラクターが登場するアクションシューティング。シミュレーションゲーム「スーパーロボット大戦」のアクションシューティングバージョンと言えばわかりやすいだろうか。シリーズで初めてPS3でリリースされる本作の発売を待っていたファンであれば既にプレイしているだろうが、本稿ではまだプレイしていない方に向けてどんなゲームなのか紹介していきたい。

 開発はこれまでリリースされたシリーズ3作に引き続き株式会社フロム・ソフトウェアが担当。「ARMORED CORE」シリーズ、「天誅」シリーズなど、シューティングやアクションタイプのゲームに定評のある会社だ。

 ゲームを快適にプレイできるゲームデータのインストールに対応。空き領域は4,301MB以上必要だ。ゲームデータのインストールに対応しているPS3のゲームは多いが、インストール中はただ待つだけしかなく、購入後はまずインストールして放置ということになりがち。だが、本作ではインストール中にはチュートリアルがプレイできるようになっており、待ち時間を感じさせない。インストール終了まで操作方法を実戦形式で習得できるのだ。こういった配慮は誰もが歓迎するところだろう。多くのタイトルで採用されて欲しい仕様だ。

 では、本作の魅力を紹介していこう。



■ 各タイトルのエピソードが堪能できるキャンペーンモード

 本作には複数のゲームモードなどはなく、様々なタイトルを軸としたストーリーが楽しめるキャンペーンモードのみとなっている。NEW GAMEを選び、セーブデータ作成→難易度選択→タイトル選択が終われば、シナリオデモが再生され、本編開始となる。

 難易度はEASY・NORMAL・HARDの3種類があるが、キャンペーンモードの全ミッションをクリアするまで難易度は変更できないため、よほど自信がある人以外は、初回プレイではEASYやNORMALを選択することをオススメしたい。

 タイトルは下記11作品から選択する。機体のタイプなども影響しているだろうが、タイトルによって1stミッションの難易度はかなり違う印象を受けた。例えば、筆者は初回プレイで「オーバーマン キングゲイナー」を選択し、難なくクリアすることができたが、複数周プレイして操作に慣れた後であったが「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」では多少手こずったといった具合だ。

タイトル一覧
オーバーマン キングゲイナー
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
機動戦士クロスボーン・ガンダム
機動戦士Zガンダム
コードギアス 反逆のルルーシュ R2
創聖のアクエリオン
超時空世紀オーガス
フルメタル・パニック!
マクロスゼロ
マクロスF
スーパーロボット大戦OG

 ミッションをクリアするとリザルトが表示される。ここで注目したいのが「ACE POINTs」と「PILOT POINTs」。詳しくは後述とさせてもらうが、「ACE POINTs」は機体強化に、「PILOT POINTs」はパイロット強化に必要となるポイントだ。ミッションのプレイ内容によって得られる値は変化する。

タイトル選択後にチュートリアルがプレイできる。スキップしてもチュートリアルはいつでもプレイできるので安心だ11もの魅力的な作品が並ぶタイトルセレクト。どれからプレイするか迷うかもしれないが、全てプレイすればいいだけだ。さっさと選択してゲームを楽しもうリザルトでのランクはSSS~Dまでの7種類。Sはともかく、SSやSSSはそう簡単に獲得できない

 その後、シナリオエンドデモ→情報閲覧やオプション設定を行なえるインターミッションと続き、以後は、セレクトミッション→シナリオデモ→バトルセッティング(詳細は後述)→セレクトユニット→ミッション→リザルト→シナリオエンドデモ→インターミッション→セレクトミッション→……を繰り返していく。順を追って進めていくだけなので、ミッションをクリアできない場合以外で詰まることはない。

 セレクトミッションでは次のミッションだけでなく、クリア済みのミッションが選択できる。2nd以降のミッションがクリアできずに困ってしまった場合でも、クリア済みミッションをプレイして「ACE POINTs」や「PILOT POINTs」を稼げば、機体やパイロットを強化できるので安心だ。また、クリア済みミッションに限り、好きな難易度でプレイできる。

 ミッションは1st、2ndが選択したタイトル固有、3rd以降は複数タイトル共通となっている。つまり、3rd以降で出撃可能な機体やパイロットが、1周目で強化した機体やパイロットであれば、選択したタイトルと違っていても使えるわけだ。逆にルート次第では、選択したタイトルのユニットが使用不可なミッションが発生することもある。また、特別な条件を満たすことでプレイできる特別なミッションも存在する。



■ ハイスピードかつ3D空間ならではバトル

 本作では空中や宇宙でのバトルが多く、前後・左右・上下と3D空間ならではバトルが楽しめる。3D空間でのバトルをスムーズに進めるには、操作の習得やオプションの設定が重要。各キーにアサインされているアクションが多いことや機体のタイプにより操作が異なるので自在に操作するには慣れも必要だ。実際にどのような操作になっているのか、移動とロックオンから紹介していこう。

■ 移動とロックオンの操作

移動とロックオン
キー非ロックオン時ロックオン時
左スティック移動ロック対象を基準に移動
×ボタン長押しハイパーブースト(×ボタンを離すと解除)
変形状態などによりハイパーブースト不可の場合有り
L2ボタンロックロック対象切替 / 長押しでロック解除
R1ボタンユニットの上昇
ウォーカー / ローラータイプはジャンプ
R2ボタンユニットの下降
左スティック+
×ボタン
入力方向に回避ロック対象に対し、入力方向に回避
上昇回避
バーニア / フロートタイプのみ有効
R2ボタン+×ボタン下降回避
バーニア / フロートタイプのみ有効
L2ボタン+
右スティック
手動ロックオン切り替え
右スティックでカメラ操作中に敵が視界に入っていた場合

 表にある通り、ロックオンしているか否かで移動操作が多少異なり、機体のタイプによっても差異がある。まず、機体のタイプについて説明しておきたい。

 Zガンダムなどのバーニアタイプ、ソーラーアクエリオンなどのフロートタイプ、アーバレストなどのウォーカータイプ、紅蓮弐式などのローラータイプ、オーガス(タンク)などのタンクタイプ、VF-25F(ファイター)などのフライトタイプと、機体のタイプは6種類。地上戦ではフロートとフライトタイプ以外はジャンプや上昇を行なわない限り、地面を移動する。なお、フライトタイプは上記の操作とは異なる独自の操作形態で、オプションによって2種類の操作が選択できる。

 移動系操作で最も特長的なのがXボタン長押しのハイパーブースト。ハイパーブーストは高速移動するアクションで、左スティックを入力すれば軌道調整可能。使用中は攻撃が行なえないデメリットはあるものの、単なる移動手段だけに止まらず、使いかたによっては回避にも使える。ハイパーブーストを使いこなせるようになるとバトルがより楽しくなることは間違いないだろう。その圧倒的なスピードは体感する価値アリだ。

 回避手段として便利なのが、左スティック+×ボタンやR1ボタン or R2ボタン+×ボタンでの回避行動。素早く短い距離を移動するため、反撃に転じやすい。前後や上下からなら左スティック+×ボタン、左右からならR1ボタン or R2ボタン+×ボタンなど、敵の攻撃方向によって使い分けるといいだろう。なお、連続使用回数はパイロットの能力により異なる。

 変形機構のある機体は右スティックで変形可能。変形することで攻撃や機体性能に変化が生じる。変形の種類は機体に依存しており、中には4種の形態に変形できる機体も存在する。

 機体によっては、ワイヤーを飛ばしてワイヤーが突き刺さった場所に移動するワイヤー移動や壁やビルなどを走る壁走りといったアクションも可能だ。

圧倒的なスピードで移動するXボタン長押しのハイパーブースト。広いフィールドでもこれさえあれば快適に移動できる回避手段として主力になるのが左スティック+×ボタンやR1ボタン or R2ボタン+×ボタンでの回避行動。攻撃方向を見極めて使い分けたい変形機構を持つ機体なら右アナログスティックで他形態に変形できる。変形するとその形態独自のアクションが楽しめる

 射撃にしろ、近接攻撃にしろ、本作ではロックオンしてからの攻撃が基本となるため、ロックオン操作の習得は必須。L2ボタンでのロック対象の切り替えもそうだが、L2ボタン長押しでのロック解除は自在に移動するためにも重要だ。ロック中はロック対象を基準に自機が動くので、ロック解除ができないと思うように移動することができない。例えば、近くの敵を自動でロックオンする設定になっている場合、遠くの敵に近寄りたくても、近場の敵をロックオンしてしまい、自機はロックオン対象を基準に動いてしまうし、ロック対象を切り替えても近くの別の敵をロックしてしまい、思うように動けなくなる。思うように動けなければ、ミッション遂行に支障をきたすし、ストレスを感じてしまうだろう。これらは慣れれば問題なくなるだろうが、オプションでロックオン設定を自分好みに変更することでより確実に問題を解消できる。

 ロックオンに関するオプションは、オートロックとターゲットの2つ。オートロックでは自動でロックオンをするかどうかをON/OFFできる。ターゲットでは「ユニットの正面にいる対象を優先」、「ユニットから近い距離にいる対象を優先」、「カメラ内にいる対象を優先」の3つから優先ロックオン対象を選択できる。

 筆者の場合、ロックオンは1ボタンで行なえることもあるので、移動しやすいようオートロックはOFFにしている。ターゲットは「ユニットの正面にいる対象を優先」や「カメラ内にいる対象を優先」にすると、ハイパーブーストなどで敵を通り過ぎた場合などに不便なため、「ユニットから近い距離にいる対象を優先」にしている。これは目的の近くまでロックオンなしで移動し、近づいたらロックオンするという方法がプレイしやすかったが故の結果。この設定だとカメラ内にいるターゲットにロックオンしたくても、近くに別の敵がいた場合には、そのターゲットをロックオンしてしまうので、それを嫌うプレーヤーもいるだろう。自分に合った設定を探して、最適な環境でプレイしよう。

ロックサイトはイエローなら遠距離攻撃可能、オレンジなら近距離攻撃可能と色で見分けられる。表示される対象との距離のデータとあわせて活用するといいだろう他にも画面内には敵機や自機以外にも僚機のHPやレーダーなど、見逃せない情報も表示されている

■ 攻撃の操作

 攻撃方法は移動やロックオンと比べるとシンプルでわかりやすい。とはいえ、下記の表では何のことかよくわからないだろう。本作では1ウェポンパネルにつき、最大で□・△・○ボタンの3種類の攻撃があり、ウェポンパネルを切り替えながら、ボタンで攻撃を選択する。

攻撃
キー攻撃アクション
□ボタンウェポンパネル左の武器を使用
△ボタンウェポンパネル上の武器を使用
○ボタンウェポンパネル右の武器を使用
L1ボタンウェポンパネルの切り替え

 ウェポンパネル1ページ目で□ボタンを入力すればメイン射撃が出る。最も使う攻撃の1つと言えるだろう。通常の敵はともかく、巨大なボス相手では近接攻撃をヒットがさせにく場合があり、接攻撃はダメージを受けやすいことや機体によっては得手、不得手があるので、射撃攻撃はキッチリ使えるようにしておきたい。メイン射撃は機体により、ボタンを押すごとに1発ずつ発射する単発射撃、ボタンを押し続けることで連射する連射射撃、単発で発射されるがタイミングよく入力することで連射できるタイミング射撃の3タイプが存在する。

 単発射撃は次弾発射までに多少の時間が必要だが1発の威力の高いものが多い。また、単発射撃の中には散弾銃タイプの武器が存在し、このタイプは弾丸が拡散するため、ヒットさせやすい。

 連射射撃は一定射撃数以上続けると命中率が下がるものの、ボタンを押しっぱなしにすればよいため、左スティック+×ボタンでの回避などのアクションと同時に使いやすい。連続で射撃するため、移動する敵にも当てやすいというメリットもある。

 タイミング射撃は連続射撃できるかどうかで戦力に圧倒的な違いがある。タイミングは、連打でOKであったり、一定のタイミングでのみ可能など、機体により異なるようだ。もし使用機体がタイミング射撃であれば、タイミングを体に覚えさせておきたい。

1発ずつ射撃する単発射撃。画像のように散弾銃タイプの武器も存在する押しっぱなしで攻撃できる便利な連射射撃だが、一定時間を超えると命中が下がってしまう右下に表示されているのがウェポンパネル。小さな長方形はページ数を示している

 ウェポンパネル1ページ目で△ボタンを入力すればメイン格闘が行なえる。ロックオンサイトが近距離攻撃可能を示す赤になったら狙い目だ。ロック対象に自動追尾して近接攻撃を繰り出してくれる。近接攻撃はコマンド入力によりコンボが可能。コマンドは↓△・↑△や↓↑+△・↓↑+△・↓↑△・連打などがあるが、大抵の場合△→△などの簡単なものが用意されており、これらは△ボタンを連打するだけでよいため使いやすい。近距離に複数の敵機が存在する場合、コンボ中にロック対象を切り替えることで、複数の敵に連続して攻撃することも可能。近距離に多くの敵機がいる場合に有効だ。

 さらに使用機体の形態が人型であれば、左スティック↑+○ボタンでロック対象を掴む。掴んだ後は投げたり、掴んだ敵を盾にしてガードすることができる。掴みガード中はテンション(後述)を消費しないというメリットがある。ただし、全ての敵が掴めるわけではない。

近距離攻撃を決めるには近寄らなければならない。ハイパーブーストなどを駆使しようコマンド入力によりコンボが繰り出せる。コンボリストはミッション中に確認できる小さい敵なら掴むことができ、その後、投げたり、盾として利用できる

 ウェポンパネル1ページ目で○ボタンを入力すればガードする。ガードすればダメージを軽減できるが、ガード中はテンションゲージが消費されてしまう。また、ガードに成功するとガードHPが減少し、0になるとガードできなくなってしまう。ガードウェポンは物理攻撃防御タイプやビーム攻撃防御タイプがあり、相手の攻撃によっては満足な効果を発揮できないケースがある。なお、ガードできない機体も存在する。ダメージを受けず、テンションを消費しないので可能な限り攻撃は回避したいが、やられてしまっては元も子もない。回避しきれないと判断したなら、迷わずガードを選ぶべきだ。

 ウェポンパネルには数字が記載されているものがある。これはテンションを消費するテンション攻撃での消費テンション数を示している。テンションはテンションゲージが最大値まで溜まると1ブロックストックされる。ストック数はパイロットを強化することで増やすことが可能。また、テンションが増加する条件は、撃破するとテンションが増加する撃破増加タイプや時間経過によりテンションが増加する時間増加タイプなどの4種類があり、パイロットによって異なる。

 選択中のウェポンパネルがテンション攻撃で、必要テンションに満たない場合にはボタンを押しても攻撃できない。初期設定の場合、ウェポンパネルは完全なマニュアル切り替えなので、テンション攻撃後に1ページ目に戻す癖をつけておかないと、攻撃できなかったり、予期せぬテンション攻撃が出てしまう。筆者はこの状態に陥りがちだったため、オプションで2ページ目以降のウェポンを使用した場合には1ページ目に自動で戻る設定でプレイしている。ロックオンの設定と同様に好みに合わせて変更するといいだろう。

○ボタンでのガード。シンプルながらも効果は高い。無駄な被ダメージを減らすことはミッションクリアにつながるテンションが溜まったら、L1ボタンでページを切り替え、通常時と同様にボタンで使用武器を決める強力な威力のテンション攻撃。テンションには限りがあるので状況を見極めて適したものをチョイスしたい

 これら以外にも、1体に複数回ロックオンしたり、複数体にロックオンして攻撃できるマルチロック、溜めることで攻撃の出力を上げられるチャージ攻撃、強力なコンボ攻撃を発動するリミットブレイクなど、ユニット固有の攻撃が存在する。また、一定時間ミサイルの誘導機能を無効化するジャミングや機体性能を飛躍的に向上させるSEEDといった特殊能力を持つ機体も存在する。

 本作では最大3機で出撃する。僚機が生存し、サポート攻撃を持つパイロットの場合、僚機のHPを消費してサポート攻撃が可能。使用するには他の攻撃と同様にウェポンパネルのページをサポート攻撃のページに切り替えて該当ボタンで発動させる。サポート攻撃には単体射撃攻撃、マルチショットといった直接攻撃だけでなく、フィン・ファンネルやハイファミリアなどの攻撃補助効果を持つものもある。中でも特殊なのが経験値の倍率が上昇する幸運とHPを回復してくれるHP回復。スーパーロボット大戦でもお馴染みの幸運は経験値稼ぎでミッションに挑むなら最低1人は出撃部隊に組み込みたい。HP回復はミッション攻略に役立つ強力なもの。クリアできないミッションがあれば、必ず連れていこう。ちなみにプレーヤーのパイロットがHP回復を使った場合は僚機のHPが回復し、自分のHPが減る。

サポート攻撃のページを表示してボタンを押せばサポートスキルが発動する僚機をサポートスキルで選ぶのもいいだろう幸運など補助効果のあるサポートスキルの効果中は、自機の周囲に効果名が記された半透明の帯が表示される

 操作の習得やシステムの把握はミッションクリアや本作を楽しむためには欠かせない。また、機体性能、コンボなども把握しておけばより本作が楽しめるだろう。



■ 真の性能を引き出すために欠かせない機体とパイロットの強化

 前述の通り、ミッションをクリアすると機体やパイロットを強化できる「ACE POINTs」と「PILOT POINTs」が得られる。強化する項目ごとに必要ポイントは異なり、強化レベルが高くなるほど、必要ポイントが増えていく。

 「ACE POINTs」は機体強化に必要なポイント。ミッションをクリアすることで蓄積されていく。出撃機体に関係なく、共通のポイントなので、強化した機体でポイントを稼いで他の機体を強化することが可能。また、強化を取り下げることで消費したポイントを払い戻すこともできる。ただし、払い戻されるポイントは強化に消費したポイントと等価ではない。

 強化できる項目は、HIT POINTs・DEFENSE・BOOSTER・ATTACK・COMBOの5つ。HIT POINTsを強化すれば機体のHPが増加し、DEFENSEを強化すればダメージを減少させられる。HPが0になるとミッションが失敗となってしまうため、これら防御面の強化は欠かせない。特にDEFENSEの効果は大きく、HPと比べて必要ポイントが少ないこともあり、ミッションがクリアできない場合には優先して強化するといいだろう。BOOSTERはハイパーブースターの回復速度を上昇させるもの。強化の優先度は、プレイスタイルに大きく依存するだろう。ATTACKを強化すれば射撃攻撃の攻撃力が、COMBOを強化すれば近接攻撃の攻撃力がアップする。攻撃力が上がれば、敵を早く倒せるため、被ダメージが抑えられる。攻撃は最大の防御である。ATTACKとCOMBOどちらを優先するかは、使用頻度や機体の特徴を考えて決めるといいだろう。初期状態と強化後では驚くほどの違いがあり、強化度合いは難易度にも大きく影響する。次周回プレイで選択するタイトルが決まっているなら、出撃する機体を強化しておけば楽に進められる。

ミッションクリアで得られた「ACE POINTs」で機体を強化。強化するとしないとでは雲泥の差だ。限られたポイントで何から強化するかよく考えてポイントを割り振ろう

 「PILOT POINTs」は、パイロットに蓄積されるポイントで、出撃したパイロットのみが獲得できる。プレーヤー機体だけでなく、僚機のパイロットも多少ながら獲得できる。「機動戦士Zガンダム」と「機動戦士クロスボーン・ガンダム」のように、タイトルが異なっても共通して搭乗できる場合には、強化済みの機体にパイロットを搭乗させれば育成しやすい。

 強化できる項目は、ACTIONs、STEP OUT、TENSION、TENSION RATE、SUPPORTの5項目。ACTIONsを強化するとユニットのアクションが追加される。何が追加されるかは実行するまでわからないが、何が追加されるか楽しみな項目だ。STEP OUTを強化すればユニットが連続で回避できる回数を増やせる。回避は被ダメージを減らす手段として利用価値が高く、優先して振ることをオススメする。TENSIONはストックできるテンション数が、TENSION RATEはテンションのチャージ量が増やせる。テンション攻撃を多用するなら強化しておきたい。SUPPORTを強化すればサポート攻撃の効果を増加させられる。サポートとして多用するパイロットがいれば優先して強化するといいだろう。なお、消費したポイントを払い戻すことはできない。

乗り換え可能であれば、強化した機体1つで効率良くパイロットが育成できる機体だけでなく、パイロットの強化も戦力に大きく影響する。獲得したポイントは他のパイロットには渡せないので、使えるだけ使ってしまおう僚機として参加することの多いパイロットであればSUPPORTは伸ばしておきたい


■ 特徴的な機体の数々

 多くのタイトルから特徴的なプレイアブル機体が多数登場する本作。一部ではあるが紹介する。

■ キングゲイナー ― オーバーマン キングゲイナー

 「オーバーマン キングゲイナー」から、「ゲイナー・サンガ」が搭乗する髪の毛を生やしたようなシルエットが印象的な「キングゲイナー」。メイン射撃、メイン格闘ともにチェンガンを使用し、テンション攻撃に敵機を一定時間行動不能にするオーバーフリーズバレットなどを備える。射撃でのチェンガンはタイミング射撃なので多少の慣れが必要か。射撃より近接攻撃が多少強いが、バランスの取れた扱いやすい機体。機体タイプはフロート。変形などはなく、ミッションに関係なく同様の操作感のフロートで使い勝手がいい。テンションタイプはHP撃破増加タイプ、サポート攻撃は1体の敵を集中射撃する単体射撃攻撃。


■ デスティニーガンダム ― 機動戦士ガンダムSEED DESTINY

 「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の主人公シン・アスカが搭乗する「デスティニーガンダム」。メイン射撃に高エネルギービームライフル、メイン格闘にフラッシュエッジ2を使用し、テンション攻撃に機体性能を向上させるSEEDなどを備える。射撃より近接攻撃が多少強いが、遠近共に戦えるバランスの良さが魅力。キングゲイナーと同様に機体タイプはフロートで、変形機構もなく、使いやすい。テンションタイプは時間増加タイプ、サポート攻撃は周囲の敵を一斉射撃するマルチショット攻撃。


■ クロスボーン・ガンダムX3 ― 機動戦士クロスボーン・ガンダム

 「機動戦士ガンダムF91」の続編である「機動戦士クロスボーン・ガンダム」から、「トビア・アロナクス」が搭乗する「クロスボーン・ガンダムX3」。メイン射撃、メイン格闘に共にムラマサ・ブラスターを使用し、テンション攻撃にシザー・アンカーなどを備える。近接攻撃の強い機体のため、近接攻撃を軸に使うことで真価を発揮するだろう。こちらも機体タイプはフロートで、変形機構もなく、使いやすい。搭乗パイロット、トビアのテンションタイプは時間増加タイプ、サポート攻撃は1体の敵を集中射撃する単体射撃攻撃。


■ Zガンダム ― 機動戦士Zガンダム

 初代である「機動戦士ガンダム」のキャラクターも登場する「機動戦士Zガンダム」から、「カミーユ・ビダン」が搭乗する「Zガンダム」。モビルスーツ形態のメイン射撃にビーム・ライフル、メイン格闘にビーム・サーベルを使用し、テンション攻撃にグレネード・ランチャーやハイパー・メガ・ランチャーなどを備えた遠近共に活躍できる良機。

 ビーム・ライフルはタイミング射撃でありながら、連打でもOKと使いやすい。変形機構があり、機体タイプは、モビルスーツ形態ならバーニア、ウェイブライダー形態ならフライトとなる。地上戦においてバーニアは自由落下することやフライトは他の操作形態と異なるため、自在に扱うには慣れが必要かもしれない。搭乗パイロット、カミーユのテンションタイプは撃破増加タイプ、サポート攻撃は周囲の敵を一斉射撃するマルチショット攻撃。本機の話ではないが、初回封入特典には「Zガンダム3号機」が使用できるプロダクトコードが同根されている。


■ 紅蓮可翔式 ― コードギアス 反逆のルルーシュ R2

 植民地となった日本が舞台という変わった設定で物語が展開する「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」で黒の騎士団の一員である「紅月カレン」が搭乗する「紅蓮可翔式」。メイン射撃に左腕マシンキャノン、メイン格闘に呂号乙型特斬刀を使用し、テンション攻撃にゲフィオンネットや輻射波動機構などを備える。近接攻撃寄りの機体なので、高ダメージを狙うなら近接攻撃を使うといいだろう。機体タイプはフロートで、変形機構はない。近距離攻撃を得意とする機体といえるだろう。テンションタイプはHP撃破増加タイプ、サポート攻撃はマルチショットが使用可能。


■ アクエリオンルナ ― 創聖のアクエリオン

 アクエリオンの機体のみ、他の機体とは異なるアクエリオンシステムが採用されている。出撃機3体を「ベクターソル」・「ベクターマーズ」・「ベクタールナ」にすることで、「ソーラーアクエリオン」・「アクエリオンマーズ」・「アクエリオンルナ」が使用可能で、ベクターマシンのパイロットを乗せ換えることでアクエリオンの使用攻撃が変化し、アクエリオンの各形態は独自にHPを持っている。HPが少なくなったら、他の形態にするといった運用も可能なわけだ。また、パイロット能力はそのパイロットがヘッドの場合のみアクエリオンに反映される。「ソーラーアクエリオン」なら「ベクターソル」、「アクエリオンルナ」なら「ベクタールナ」といった具合だ。

 そんな「創聖のアクエリオン」からは「シルヴィア・ド・アリシア」搭乗の「アクエリオンルナ」を紹介する。メイン射撃にビーム砲、メイン格闘に手刀を使用し、テンション攻撃に矢を放つルナティアックアーチェリーなどを備える。ビーム砲は連射射撃タイプなので、ボタン押しっぱなしで攻撃できる。圧倒的に射撃寄りの機体なので射撃をメインに使うのがオススメ。近接攻撃は他のアクエリオンに任せるのが得策だろう。機体タイプはフロートで、他の2種のアクエリオンへの切り替えとベクターマシン3機への分離が可能。3タイプのアクエリオンの中でも最も射撃を得意とする機体といえるだろう。テンションタイプは撃破増加タイプ、サポート攻撃は周囲の敵を一斉射撃するマルチショット攻撃。


■ オーガス ― 超時空世紀オーガス

 「超時空世紀オーガス」からは「桂木桂」が搭乗し、4種類もの変形形態のある「オーガス」。オーガロイド形態のメイン射撃にミサイルガン、メイン格闘に格闘を使用し、テンション攻撃に一斉射撃などを備えた万能機体。変形機構があり、機体タイプは、オーガロイド形態とガウォーク形態ならフロート、フライヤー形態ならフライト、タンク形態ならタンクと変形の状態により3種類に変化する。多数の形態を無理に使い分けようとすると難しいかもしれないが、使い分けずともオーガロイド形態などは汎用性が高く、どんな場面でも十分に活躍できる。テンションタイプは撃破増加タイプ、サポート攻撃は周囲の敵を一斉射撃するマルチショット。


■ ARX-7 アーバレスト ― フルメタル・パニック!

 「フルメタル・パニック!」から、「肯定だ。」のセリフが印象的な「相良宗介」が搭乗し、ラムダ・ドライバを搭載した「ARX-7 アーバレスト」。メイン射撃に57mm散弾砲ボクサー、メイン格闘にGRAW-2単分子カッターを使用し、テンション攻撃にワイヤーガンやECSなどを備えた遠近のバランスの取れた機体。57mm散弾砲ボクサーは単発射撃タイプながら散弾のため、ヒットさせやすく、近距離でヒットさせれば大ダメージを与えられる利点がある。変形機構はなく、機体タイプはウォーカー。地上でのミッションで空中戦を挑まざるを得ない場面ではジャンプで飛び回ることになる。テンションタイプは撃破増加タイプ、サポート攻撃は周囲の敵を一斉射撃するマルチショット。


■ VF-0A ― マクロスゼロ

 「マクロスゼロ」からは「工藤シン」が搭乗し、3種類の変形形態のある「VF-0A」。バトロイド形態のメイン射撃に35mmガトリングガンポッド、メイン格闘に格闘を使用し、テンション攻撃にマイクロミサイルランチャーなどを備える。射撃特化機体なので距離を取っての射撃が強力。変形機構があり、機体タイプは、バトロイド形態ならウォーカー、ファイター形態ならフライト、ガウォーク形態ならフロートと変形の状態により3種類に変化する。人型であるバトロイド形態がウォーカーであるため、オーガスと比べると多少使い難いかもしれない。テンションタイプはHP撃破増加タイプ、サポート攻撃は実弾攻撃をブロックするミサイル迎撃とディフェンシブなものになっている。機体性能とは関係ないが、工藤シンとマクロスFの登場人物との会話はファンなら必見だ。


■ VF-25F ― マクロスF

 8月15日にはパシフィコ横浜で単独イベントを開催し、2011年には劇場版後編上映が予定されるなど、ファンを魅了し続ける「マクロスF」から、「早乙女アルト」が搭乗する「VF-25F」。バトロイド形態のメイン射撃に新型ガンポッド58mm、メイン格闘にアサルトナイフ:PBを使用し、テンション攻撃に12.7mmビーム機銃などを備えた射撃特化機体。また、変形機構や機体タイプもVF-0Aと全く同じ。テンションタイプは撃破増加タイプ、サポート攻撃は1体の敵を集中射撃する単体射撃攻撃。


■ ART-1 ― スーパーロボット大戦OG

 「スーパーロボット大戦」シリーズを手がけるSRプロデュースチームが関わっているだけあって「スーパーロボット大戦OG」の機体も登場する。紹介するのは「リュウセイ・ダテ」が搭乗する「ART-1」。ART-1形態のメイン射撃にHG・リボルヴァー、メイン格闘にコールドメタルブレードを使用し、テンション攻撃にT-LINKクラッシュソードなどを備えた、遠近どちらでも活躍できる良バランス機。変形機構があり、機体タイプはART-1がバーニア、ART-ウィングがフライト。テンションタイプは撃破増加タイプ、サポート攻撃は1体の敵を集中射撃する単体射撃攻撃。



■ 最後に

 冒頭でも述べたがゲームデータインストール中にプレイアブルのチュートリアルがあるのが嬉しい。ゲーム本編では、これだけのタイトル数を収録し、それぞれ異なる世界に存在する登場人物たちが織り成す会話、驚きの演出など見所は多い。また、3D空間を感じさせるバトルも本作の魅力と言えるだろう。

 タイトル毎に用意されたミッション、機体収集、機体とパイロットの強化など、何周も遊べるように作られており、やり込み要素は十分。だが、何周もプレイするにあたり、一部イベントデモがスキップできない点は少し残念。全てスキップできればより快適にやり込みプレイを満喫できるのではないかと感じた。

 筆者は本作をプレイしたことで登場タイトルに興味を持ち、アニメーションを鑑賞して楽しむこともできた。ゲームだけで終わらないのは本作ならではだろう。登場タイトルに好きなものがある方、特に「マクロスF」のファンの方はプレイしてみてはいかがだろうか。



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(2010年9月3日)

[Reported by 木原卓 ]