★PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
個性とセンスが咲き乱れる殺し屋アクション! イカれた殺し屋たちを殺りまくれ!! 「NO MORE HEROES 英雄たちの楽園」 |
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追加要素のひとつ「ベリースイートモード」。1部キャラクターの衣装が、よりセクシーな違いのわかる大人向けのものに変わる |
ぶっ飛んだセンスと独特な世界観、爽快感抜群のアクションで好評を博した「NO MORE HEROES」が、PS3とXbox 360の2機種に移植され「NO MORE HEROES 英雄たちの楽園(以下、『NMH』)」として発売された。
「NO MORE HEROES」はもともと2007年にWiiで発売されたゲームで、国内外から高く評価され数多くのゲーム系の賞を獲得した作品。元のWii版の開発は株式会社グラスホッパー・マニファクチュア、発売元は株式会社マーベラスエンターテイメント。PS3とXbox 360への移植版は株式会社フィールプラスが手がけている。
このレビューでは、「NMH」とはどんなゲームで、どんな面白さがあるのかというところを中心にお伝えしていこう。すでにWii版をプレイ済みという方には、移植に対して加えられた変更点、追加要素を先にまとめておく。
※なおプレイはXbox 360版で行なっており、操作ボタン名等の記述もXbox 360の表記にしている。
・PS3/Xbox 360版での変更点、追加要素- ・グラフィックスの解像度がアップ(D4)
・豪華な声優陣による日本語ボイスが追加(オプションで英語吹き替えと切替可能)
・一部女性キャラクターの衣装が変わる「ベリースイートモード」の追加
・自宅の機能に「アームチェア」が追加。ムービーのリプレイやランカーとの再戦が可能
・レーティングがPS3版はWii版と同じD、Xbox 360版はZに。残虐表現に違いあり
・サンタデストロイのマップが一部変更、町の北側には入れなくなった
■ 趣味人の殺し屋が「全米殺し屋ランキング」1位を目指す! バイオレンスで爽快なアクションが魅力
主人公のトラヴィス。ネットオークションで競り落としたビーム・カタナで戦う殺し屋。そして趣味人。日本の魔女っ子アニメとプロレスが大好き |
「NMH」は全米ランキング11位の殺し屋トラヴィスがランカーの殺し屋と戦い、ランキング1位を目指していく殺し屋アクションだ。
主人公のトラヴィスは、米国西海岸がモデルの寂れた町「サンタデストロイ」に住む青年。ネットオークションで落札した“ビーム・カタナ”で我流の剣術と体術を身につけた殺し屋であり、生粋の趣味人だ。日本のアニメ(いわゆるジャパニメーション)好きで、中でも魔女っ子アニメが大好き。自宅に貼ってあるポスターを前に「萌え~」とつぶやきニヤリとキメるほどの強者。さらに大のプロレス・格闘技マニアでもある。
謎の美女シルヴィアと知り合ったことをきっかけに、あれよあれよという間に全米殺し屋ランキングの11位に認定されたトラヴィスだが、彼が選べる選択肢は既になかった。ランキングを駆け上がるしか道はない。嫌だと言ったところでランキングの下から上がってくる挑戦者からは逃げられないし、なによりシルヴィアに持ちかけた約束が彼の1番の目標になっていたからだ。
殺しのアクションにはバイオレンスな描写が多いゲームではあるのだが、全体のノリとしてはおバカなコメディタッチがてんこ盛り。そして全体の雰囲気はスタイリッシュでクールという、とても味わい深い世界観になっている。登場するキャラクターも皆、シュールであったりクールであったりおバカであったりのいろんなセンスやインパクトに溢れていてバラエティ感もある。高く評価されるのも納得の魅惑的な世界だ。
「NMH」のゲーム中の流れは、ランキング戦で上位のランカーを倒してランキング1位になるシンプルなもの。ただし、ランキング戦をするには多額の準備金を振り込まねばならないということで、サンタデストロイの町でいろんな仕事をしてお金を稼がなければならない。
サンタデストロイの町はいわゆるオープンワールド(箱庭)的な作りで、バイクに乗って自由に移動できる。町にあるショップ等で買い物をしたり能力を高めたりしつつ、仕事でお金を稼いでランキング戦に挑む。ランカーを倒したらまた次のランキング戦に挑むためにお金を稼ぐ。基本はこの繰り返しで、ランキング戦のアクション場面と、町で活動するアドベンチャー場面が交互に展開される流れだ。
ランキング戦ではザコが襲い掛かってくるのを退け突き進んでいく。ステージの奥ではランカーが待ち受けている |
ランキング戦では「サンタデストロイ」にあるいろんな場所が戦いの場所に指定される。スタジアムや地下鉄、学校などがステージになっていて、ステージ中には刀や銃を持ったザコがたくさん待ち受けている。敵をなぎ倒してステージの奥にたどり着くとランカーとの戦いが待っている。
「NMH」のアクションは、ゲームのノリの典型的な1例といえる。トラヴィスが愛用する武器のビーム・カタナは、名前のとおり刀身の部分がビームになっている刀で、振るうとヴォンヴォンと音が鳴る。この特徴は某有名映画のパロディとすぐにわかるそれだ(「NMH」には映画のパロディ的な要素がたくさんある)。
ただのパロディである以上に、音の気持ち良さが加わっているところがポイント。アクション操作、ひいてはプレイの気持ちよさに音が効果的に使われているのも本作の特徴であり魅力になっている。
Xボタンが下段斬り、Yボタンが上段斬り、Bボタンが上段攻撃、Aボタンが下段攻撃となっている。攻撃に上下の打ち分けがあって敵も上下にガードをするが、実際のプレイはそこを強く意識するほどシビアではない。基本的にボタン連打でラッシュをかけていって、なんとなく「あーガードされてるなー」と思ったら上下を変えてみる、という程度でいい。面倒なところがないし、スピーディーで爽快感も抜群だ。ちなみにもともとのWii版にはWiiリモコンを振る操作があるのだが、そうした部分は全てアナログスティック操作に置き換えられている。
マップやステージ中の目印には8bit風のアイコン、各種の効果音にも8bit風な音がたくさん使われているのもポイント。独特な色彩を持つトゥーンシェードで描かれている世界に、8bit風の描写が組み合わさって、クールなテイストを演出している。
ランカーとの戦いの場所も様々。リッチな屋敷、スタジアムの地下駐車場、学校などなど。ワラワラと襲い掛かってくるザコもそれぞれに武器を持っている |
トドメの1撃はダイナミック! 敵を真っ二つにしたりとけっこうエグい描写もある。わざと過剰に演出してコメディタッチに見えるようにしている感もある |
コンボで敵の体力を減らしていくと、画面の動きがスローモーションになってスラッシュアイコンが表示される。スラッシュアイコンはとどめのチャンス。右アナログスティックを押し込んで発動、次に表示される矢印のとおりにスティックを倒すと、ビーム・カタナの強烈な1撃をド派手なエフェクトとともに喰らわせる。ズバー!っと斬って、バガーン!っという効果音とともに敵が破壊される様は爽快感抜群だ。
とどめのアクションはいずれも激しい残虐な表現になっているのだが、わざと演出がオーバー気味で、コメディテイストにも見える。敵が死に間際に発する声も、「痛くなーい!?」とか、「童貞なのに~!」みたいなユニークなものばかりだし、作品全体がコメディテイストなところも大きいだろう。バイオレンスコメディというような感じだ。
ただ、受け取り方はそれぞれでもゴア表現(エグい描写)には違いないので、そういうのが苦手な方は様子を見る、または表現が抑えられているPS3やWii版を選ぶのも良いかもしれない。ちなみにザコのトドメにはコメディ感があるが、ランカーのキャラとのやり取りはもっとシリアスで、そこには容赦のないゴア表現がある。けっこうヘビーな場面もあるので慎重に選んでもらいたい。
ビーム・カタナは動力は電力で、攻撃や防御で電力を消費する。電力が減ったら振って充電だ |
プロレス・格闘技マニアなトラヴィスならではのプロレス技。よろめいた敵に独学とは思えない豪快な技を決める |
ビーム・カタナは電力で動作している武器で、攻撃や防御のたびに電力が減っていく。電力を回復するには刀を振って発電させないといけない。その時の操作は「右アナログスティックを上下左右に動かし続ける」というものになっている。この動きは少々慣れが必要だった。
もうひとつ特徴的なアクションがプロレス技だ。打撃技でガードを崩したりコンボをたくさん決めると、敵の頭上に星が回って気絶状態になる。そのときにすかさずRトリガーを押してキャッチ。表示された2個の矢印のとおりに左右のスティックを入力してプロレス技を炸裂させる。敵をつかむ角度やよろめきの状態などによって、繰り出すプロレス技が変化する。種類も豊富で威力も抜群。ランカーのキャラには弱点とも言えるプロレス技があるので積極的に決めていきたい技だ。
こうしたアクションは全てリズムが速めで気持ちいい。バシバシバシっとコンボを決めてトドメの表示が出たらカチッと右アナログスティックを押し込み、すぐさま表示された矢印のとおりにスティックをトンと倒す。途中からプロレス技に派生してもいい。これら一連の動きがリズミカルに途絶えることなく連続してできるようになると、アクション特有の操作するおもしろさと気持ちよさが存分に味わえる。
トドメのアクションが決まる寸前にもう1度スティックを倒すと「2度振り」というより威力の高い攻撃になる。入力のタイミングはそんなにシビアではないので、表示された矢印に従ってトンと倒したあと、そのままトントントンとスティック入力をし続けるような感じで成功する。爽快感も増すので積極的に使いたい。
操作の流れとしては、バシバシバシ(ボタン連打のコンボで斬る)、カチッ(スラッシュアイコンが出たらスティックを押し込んで)、トン(アイコンの方向にスティックを倒す)、トントントン(スティックを倒した方向に何度か入力)、スローモーションでビーム・カタナが敵に迫っていき、ヒットの瞬間からスピードが元に戻って「ズガシャアァァ」という音とともに敵を破壊! スピーディーな動きとリズム、ダイナミックさ、効果音と、いずれもとても気持ちいい。
Wii版ではWiiリモコンを振る操作だったところは、アナログスティック入力になっている。スティックを押し込み、すぐさま上下左右に入力すれば、ズバーンと決まる。リズミカルに操作できるようになると気持ちいい | ||
こちらはプロレス技の操作。左右のアナログスティックを押し込みから方向入力して技を決める。プロレス技にはいろいろな種類があって、技によって入力が変化する |
敵にトドメをさすとスロットが回転し、絵柄が揃うとダークサイドモードがチャージされる |
ダークサイドモードは揃った絵柄によって5種類の効果があって、いずれも強力 |
敵にトドメをさすとスロットが回転! これで絵柄が揃うと「ダークサイドモード」が発動できるようになる。ダークサイドモードは揃った絵柄によって5種類あり、3つまでストックしておける。発動すると画面がモノクロームに変化し、絵柄によって周囲の敵を一瞬で全滅させたり、波動を放って遠距離攻撃できるようになったりと、いずれも強力。技の名称も、「ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ」だったり「クランベリー・チョコレート・サンデー」と、ケーキの名称になっているところもユニークだ。
上位のランカーをはじめとした強い敵や、多数の敵との混戦はコンボのごり押しだけでは厳しくなっていく。強い敵は攻撃のラッシュが激しいのでガード(Lトリガー)が重要だが、ガードは敵をLトリガーでロックオンしていれば自動的に行なってくれる。銃弾も華麗な剣さばきで弾くし、マシンガンの連射も全て高速に弾く。ただし、防御(特にマシンガンの連射弾き)は電力の消耗が激しいので、ロックオンしながら右アナログスティックを入れる「緊急回避」でかわすのが得策だ。
タイミングよくガードを成功させる「ジャストガード」で相手の攻撃をはじいてよろめかせたり、ガードした瞬間にスティックを左右に入れる「ガードスライド」で素早く回り込んだり、タメ斬りで一気にダメージを与えたり、特に互いの攻撃がぶつかった時には「ツバぜり合い」になって、スティックを回して押し合ったりと、アクションは様々。簡単に爽快感のあるアクションを楽しめる一方で、テクニカルな要素も取り入れてある。
アクションがとても良くできていて楽しいのだが、気になったところもある。カメラワークと、緊急回避の動きだ。カメラワークに関しては、たまにトラヴィスの向きが把握できないような急激な変化があったりしたのが気になった。緊急回避の動きは、例えば画面手前に回避しようと右アナログスティックを下に入れたら、急に視点が逆向きになって敵側に回避してしまったということがあったのが理由だ。これもカメラワークと原因が同一のものかもしれない。
基本的に簡単で直感的な操作で楽しめるアクションだが、ランカーをはじめとした強敵とは防御系のテクニックをうまく決めるのがポイントになる。音と演出、スピード感で爽快感を重視しているが、テクニカルな技もしっかりとある |
■ サンタデストロイの町をバイクで爆走!ランキング戦に必要な大金を稼げ!
サンタデストロイの町をバイクに乗って自由に探索。ランキング戦に挑むためのお金を稼ぐ |
トラヴィスの自宅。巨大ロボのフィギュアが置かれ、棚にもアニメフィギュアがずらり。後ろのほうには異様にマニアックなゲーム機風なシルエットも見える |
トラヴィスの数少ない友人ビショップ。ビデオショップ「ビーフヘッド」で働いている |
ランキング戦の合間には、サンタデストロイの町でのお金稼ぎが待っている。この町は、アメリカ西海岸のテイストそのままな町並みで、照りつけるような日差し、海岸、適度に整備されていてスタジアムなどもあるし、町の一角にはチャイナタウン的な場所もある。
トラヴィスの活動拠点となるモーテル「NO MORE HEROES」の自宅は、トラヴィスの趣味が全開に発揮された場所だ。日本の魔女っ子アニメ「ビザールジェリー」のポスターが貼られ、同アニメに登場するという巨大ロボットのフィギュアが置かれ、棚にも日本アニメのフィギュアがずらりと並ぶ。いずれもトラヴィスの宝物で、一見クールなルックスの彼の趣味がそうしたヘビーなものであり、かつ、スタイリッシュに決める殺し屋なのだから、もう何が何だかよくわからないがクレイジーで面白い。
自宅では、トラヴィスの着替え(ジャケット、Tシャツ、サングラス、ジーンズ、ベルトと細かく変えられる)、ビーム・カタナの種類の変更、冷蔵庫の物を食べて体力回復、テレビで購入したビデオを見たり、愛猫のジーンとたわむれたり、トイレでセーブができる(ちなみに本作のセーブポイントは全部トイレ)。また、新たに追加されたアームチェアでは、1度見たムービーシーンを鑑賞したり、1度戦ったランカーと再戦ができる。
自宅から出発するとサンタデストロイの町が広がる。いわゆる箱庭的な作りで広いマップだが、トラヴィスは愛車のバイク「シュペルタイガー」に乗ってスピーディーに移動できる。ちなみに移動中に町中で戦闘になったりすることはない。
サンタデストロイの町にはへんな場所がたくさんで、そこにいる人物たちも個性がありすぎるぐらいの変わったキャラクターが揃っている。
ビデオショップ「ビーフヘッド」ではトラヴィスの唯一とも言える友人のビショップが働いていて、ここではプロレスのビデオが買える。モーテルにある自宅のテレビでそれを再生すると、新たなプロレス技が学べる。
飲み屋が並ぶ「ゴールド街」では、赤いジャージ姿のロシア人の親父がいつも飲んだくれている。親父がどういう人物なのかは謎だが、町中に散らばっているロビィコフボールを持っていくと、特殊なアクションを教えてくれる。学べる技には、探索時にダッシュができるようになったり、飛び込み斬りのような戦闘アクションもある。
服のセレクトショップ「エリア51」で服を購入したり、トラヴィスの師匠元プロレスラーのサンダー龍の事務所で体を鍛えて能力を高めたり、美人だが性格のきついナオミ博士の研究所では新開発のビーム・カタナや性能を高めるオプションパーツを購入できる。
サンタデストロイの町には謎の多いちょっと変わった人たちがたくさんいる。ビーム・カタナを開発しているナオミ博士、元プロレスラーの日本人ヤクザ「サンダー龍」、いつも飲んだくれている「ロビィコフ」などなど。彼らからは武器を購入したりトレーニングで能力を高めたりと、ランキング戦に向けた強化ができる |
「職業不安定所」が紹介してくれる三流のアルバイト。画像は芝刈りで制限時間内にできるかぎり広い範囲を刈り取る。アルバイトはミニゲーム的なものが多い |
三流のバイトを満足にこなせたら、「K-ENTERTAINMENT」が一流の殺し屋の仕事を紹介してくれる。ランキング戦ともちょっと違う特殊な戦いが多い |
仕事の依頼を受けられるのは2カ所。表の仕事であり三流のアルバイトを紹介してくれる「職業不安定所」と、裏の仕事であり一流の殺しの仕事を紹介してくれる「K-ENTERTAINMENT」だ。一流の仕事は三流の仕事をしっかりこなせるようになってからというわけで、職業不安定所の仕事で高い評価を得るとK-ENTERTAINMENTでの仕事を紹介してもらえる。
「職業不安定所」のアルバイトはユニークなものばかり。町の落書きを消したり、逃げた猫を捕まえたり、ガソリンスタンドで次々に給油に来る車に大雑把にガソリンを入れたり。いずれもミニゲームテイストなものだ。
一方、「K-ENTERTAINMENT」で請け負うのは殺しの仕事。大手ピザチェーンのCEOを殺害したり、フーリガンをプロレス技だけで倒したり、ベースボールの弾を撃ち返して殺害したりと、こちらもユニークなものが多い。アルバイトよりもランキング戦のようなアクションが中心のものが多く、報酬も高い。
ほかにも、一定の条件で町中に出現する「フリーファイトミッション」もある。残りライフ1の状態からスタートして敵を全滅させるというものだ。
ミッションで気になったのは、ミッションに失敗してリプレイする時にミッション開始の前のローディング手前まで戻ってしまうこと。ミッションが始まる直前から始まってくれればすぐに再チャレンジできるのだが、読み込みの前まで戻るためリズムが悪く感じられる。
町中にはお金が埋まっていたり、ゴミ箱からTシャツが発見できたり、ロビィコフボールが隠されていたりと、探索のポイントもたくさん用意されている。
サンタデストロイは箱庭的な世界を自由に楽しめるのがポイントだが、いかんせん町で起こる出来事が特に何もないというのが残念なところ。仕事のミッションであったりショップでのやり取りはあるが、それ以外には特別なことがない(一応、お金やロビィコフボール、ゴミ箱の探索はあるが)。
結果、広いマップが目的地に向かって進むだけのものになってしまっていて、その場所を楽しむというような面白みは感じられなかった。雰囲気の良さやバイクに乗って爆走する気持ちよさはあるので、ありきたりかもしれないがマップ全体を使ったような仕組みや、敵との戦闘などがあったらより良かったように思う。登場するキャラクターの魅力や個性は群を抜いていいので、彼らとの関わりをもっと町で楽しめたらというのも思う。
あと、バイクの挙動がけっこう荒削りで、建物にひっかかることもある。バイクから少し離れたところでXボタンを押すとビショップがバイクを運んできてくれるという機能があるのでそこからリスタートできるが、もう少しスムーズなものになってくれたらと思う。
■ ローディングに入るタイミングの多さと、ローディング時間には難あり
ロードの多さと長さは気になる |
紹介してきたように「NMH」はWii版が登場してから2年と半年ほどが経とうとしているにもかかわらず、今プレイしてもとても新鮮で良くできたアクションだ。だが、このXbox 360版では、残念ながら、ローディング関連に大きな問題を感じた。
これは、ローディングが多すぎることと、平均的に長い、ということ。自宅から町へ、町から店内へ、といったようになにかしらが切り替わる度に必ずローディング画面に切り替わる作りになっている。セーブポイントに入るとき、ボスとの戦闘中からトドメのムービーに入るときにも、ローディングが発生し、かつ、場面によって違いはあるが平均的に長い。
■ 爽快感あふれるアクションと独特のセンスは抜群!
「NMH」はその世界観、キャラクターのユニークさとインパクト、爽快感を重視していていい感じに仕上がっているアクション、オリジナル版の生みの親である須田剛一氏ならではのセンスといずれも新鮮で、ハマれる人にとってたまらないものがある作品だ。“他にない味を持っている”というのが最大の魅力と言っていい。
このHD移植版では、グラフィックスがしっかりと高解像度に対応できるよう手が入れられていて、そのほかにも、豪華な声優陣による日本語ボイスの追加、一部キャラクターの衣装が変わる「ベリースイートモード」の追加、自宅のアームチェアによるムービーリプレイやランカーとの再戦など、嬉しい追加要素も入っている。
なお、公式サイトにて、4月28日にPS3版、Xbox 360版ともに「動作安定性の向上を目的としたパッチの配信を5月中旬頃実施予定」と告知されている。詳しい配信日は追って明らかにされるという。このパッチの出来には期待したいところだ。
独特の世界観、個性的なキャラクター、他にないセンスがたまらない。グロ描写のバイオレンス面は人を選ぶかもしれないが、アクションのデキも良い作品だ |
(C)2010 Marvelous Entertainment Inc.
http://www.mmv.co.jp/game/
□「NO MORE HEROES 英雄たちの楽園」のホームページ
http://www.mmv.co.jp/special/game/nomoreheroes/
(2010年4月30日)