2017年5月16日 00:00
ついに「Gears of War」が帰ってくる! 最新作「Gears of War 4」は北米では2016年10月11日に発売されていたが、表現問題などで日本での発売が見送られていた。一方で北米版に日本語字幕が挿入されており、弊誌ではコアな日本ユーザーに向けに、“【特別企画】「Gears of War 4」を快適に遊びたい人のための徹底購入ガイド”で北米版の購入方法を紹介したりもした。
その「Gears of War 4」の日本での発売が決定したのだ! 5月25日、Xbox OneとWindows 10向けに発売される。残念ながら日本語吹き替え音声はないものの、表現に関しては北米版同様である。これまでは工夫しなくては入手できなかった「Gears of War 4」を簡単にプレイできるようになったことを、まずは祝いたい。
今回は発売に先がけて本作をプレイできたので、その感触を語りたい。立ちふさがる敵は誰であろうとチェンソーで真っ二つ、無茶も無謀も蹴り上げて、不可能を可能にしていく「ギアーズ」ならではの爽快感は今作でも健在である。脳みそまで筋肉のようなパワフルな“味わい”が楽しめる作品だ。なお本レビューではストーリーに関して触れるため、ネタバレ注意である。
「俺の行く手は誰にも阻めない!」、シリーズならではのタフさは今作でも健在!
「Gears of War 4」の物語は前作から25年後となる。「Gears of War」シリーズは「惑星セラ」に移住した人類と、地底から現われた「ローカスト」の戦いを描いている。ローカストと、彼らに寄生していた新たな敵ランペストは、25年前に一掃されたかに見えた。その後人類は平和な時を過ごしていた……表面上は。
本作はローカストとの戦争終結25周年を祝う華やかな式典と、これまでの戦いを振り返るステージから始まる。人類同士のエネルギーを奪いあう戦い、そしてローカストが現われた「エマージェンスデー」。そしてローカストとの17年にも及ぶ戦い。人類がローカストに蹂躙されようとするとき、マーカス・フェニックスたちの活躍でローカストは滅ぼされた。「Gears of War 4」ではプロローグとして、断片的だがこれまでの戦いを振り返ることができる。
そして新たな物語が始まるのだ。COG(Coalition of Ordered Governments:統一連合政府)の居留地を襲おうという若者達。人類はローカスト大戦で疲弊してから復興を急務としていたが、人類のために戦ったCOGは今や圧政の象徴となってしまっていた。マーカスの息子である主人公JD フェニックスとその相棒デル ウォーカー、そしてCOGから離れて生活しようとするアウトサイダーのケイト ディアスは無人で建設を始めている居留地を襲撃、何でも生み出すことができるマシン「ファブリケーター」を奪おうとしていた。
しかしその行動がCOGを本気にさせてしまう。COGはロボット兵器を使ってアウトサイダーの街を襲撃、JD達はデュプリケイターで兵器を生み出し対抗する。そしてCOGの襲撃部隊を撃退するが……そこからが本当の始まりだった。街に謎の“怪物”が襲いかかってきたのだ。怪物達の襲撃に虐殺されていく人々。そしてケイトの母であるリーダーを含めたアウトサイダーは怪物達に連れ去られてしまう。
JDはさらわれた人々を助けるために父の助力を請おうとするが、COGの追っ手が彼らに追いすがってくる。怪物達は消えたはずのローカストなのだろうか、人類に再び危機が訪れる中、それに全く気づかないCOG。JD達の運命はどうなってしまうのだろうか?
「ああ、『ギアーズ』が帰ってきたなあ」。プレイ初めて感じたのはこの気持ちである。重量感のある操作感、カバーシステムをフルに使った銃撃戦、そして爽快な肉弾戦。シリーズならではの独特の駆け引きは今作でも濃密に受け継がれている。プレーヤー達は常にチームで活動しており、倒れても仲間が助けてくれる。筆者は本作をソロプレイで楽しんでいるが、友達やコミュニティで協力プレイで進むのも楽しい作品だ。
お気に入りの武器にこだわるもよし、敵から入手できる様々な武器をとっかえひっかえ扱っても良い。ガンガン進み、倒し、ド派手な戦いを繰り広げていく。もちろん慎重さが大事な場面もあるが、基本的には並み居る敵をなぎ倒し、ランサーのチェインソーで、ショットガンの散弾で、サブマシンガンの嵐のような連射で敵を打ち倒していくのが本作の基本だ。ぐいぐい敵を押し破っていく楽しさ、自分がタフな戦士になったかのような感触に酔えるのが「Gears of War 4」の戦いだ。
「プランBは?」、「そんなものねえよ!」というのは本シリーズを代表するやりとりだが、絶望的な状況でもへこたれず、むき出しの闘志と筋肉で全ての困難を“何とかしてしまう”というストーリー展開も楽しいところだ。吹き替え音声の声優達の渋く想い声が聞けないのは残念だが、字幕もノリノリである。
しかも今作では“第2世代”だからか、何となくやりとりが軽いのだ。軽口や冗談を言いながら、タフな活躍をする3人が楽しい。そしてもちろんマーカスも無茶なのに、すごく頼れる。シリーズのファンはもちろん、今作が初めてという人にも、本作の“ノリ”はオススメである。この独特の“力強さ”はぜひ触れて欲しい。最初のうちは、主人公達の行動の無茶苦茶さに「おいおいそれはないだろう」と苦笑いを浮かべてツッコミを入れていても、いつしか夢中になり主人公達と一体化、「何が来ようと、俺がやっつけてやる!」と、トリガーを引いている自分を発見するだろう。
現われる新たな敵。どんな奴らもブチ飛ばしてみせるぜ!
「Gears of War 4」でもこれまでのシリーズ同様ユニークな敵との戦いが大きな楽しみである。前半はCOGのロボット兵達が敵となる。ボール状の敵「トラッカー」は近づいてきたら蹴り飛ばしてしまうことも可能だ。人型ロボットの「シェパード」は単体では弱いが集団で襲ってこられるとやっかいだし、強力な「DR-1」を引き連れてくる場合は連係攻撃がかなりウザイ。
DR-1は頭部にかなりの弾をたたき込まなくては倒せないが、奴が持つショットガン「オーバーキル」はかなり強力で、奪って使えれば重宝する。今作では基本的な武器は弾薬箱で補充できるが、オーバーキルやブームショットといった敵の武器は他の敵が持っている者からしか補充できない。他にもシールドを張り巡らす「ガーディアン」もかなりの弾数をたたき込まないと勝てない。「ギアーズ」シリーズはリロードに独特の癖があるため、うまくリロードして集中的に攻撃を当てないと手こずる敵も多い。
そして新たな敵「スワーム」だ。彼らはローカストか、そうでないのかは物語の大きな鍵を握っている。スワームは巨大な“繭”から生まれる。最初は集団で飛びかかってきて、牙や爪で攻撃してくる「ジュビー」だ。彼らは武器を持っていないが身軽に動き回り弾が当てにくい。そして彼らは武器を操り強力な外皮を持つ「ドローン」へと進化するのだ。様々な武器を操るドローンは強敵で、特に重い火器を扱うドローンは耐久力も高い。
面白いのは彼らとの戦場は“繭”があるところが多いところ。繭は破ると中からジュビーが出てくる。しかし繭の状態では敵の攻撃をかわすバリケードにもなり得る。繭をいかに活用するか、うまく隠れて敵の攻撃をかわすこともできるし、敵が隠れている繭ごと破壊してしまうのもいい。この駆け引きは今作ならではだ。
スワームはさらに強力な怪物がいる。強力な装甲ととげを発射する尾を持つ「パウンサー」は離れていてもとげが痛いし、近づくとのしかかってくる強力な敵だ。かなり耐久力がある敵で、こいつが複数襲いかかってきたり、ドローンやジュビーと連携してきたりするのだ。
さらにやっかいな敵に「スナッチャー」がいる。かなりの精度があるとげでこちらを一発で瀕死にする上、こちらを飲み込んでしまう。飲み込まれて一定時間が経過するとスナッチャーは逃げだしゲームオーバーとなってしまう。スナッチャーに捕らわれているときは仲間に助けて貰うのを祈るしかない。
これらの敵と戦う新たな武器も追加されている。円盤を発射する「バズキル」、小型のドリルミサイルを発射するドロップショットなどクセは強いがうまく活用すると戦いを有利に進められる。そしてこれらのテクニックはキャンペーンのみならず、マルチプレイでも活用されていくのである。
世界全体が鳴動する嵐、連携を求められるシチュエーション、変化に富んだステージ
「Gears of War 4」のキャンペーンでは様々なシチュエーションも魅力だ。今作で大きな存在感を示すのが「ウィンドフレア」だ。雷を伴う嵐で、ステージのオブジェクトがダイナミックに動く。巻き上がるオブジェクトに敵が当たれば一発で粉々になるが、こちらも巻き込まれないように注意しなくてはならない。グレネードなどは風の影響をもろに受け当てるのが非常に難しくなる。独特の駆け引きを求められる場面だ。
COGとの戦いではヘリと対決することもある。大ダメージを与えてくるバルカンやミサイルをかいくぐり弱点である排気口付近に攻撃を集中させる必要がある。またCOGとはバイクで戦うシーンもある。「ギアーズ」シリーズは様々なシチュエーションで戦う要素が盛り込まれており、今作でもそれは健在だ。
また「分断」される場面もある。キャンペーンでは4人で活動する状況が多く、時には2人ずつのチームでわかれる場合がある。片方を遠距離攻撃でカバーしたり、進む道を確保したりと連携の楽しさを考えたデザインとなっている。こういったところは協力プレイで楽しみたいところだ。敵の波状攻撃や、1人を取り込み逃げ去ってしまうスナッチャーなど、キャンペーンも協力プレイを前提としてデザインされている、友人とプレイすると一層楽しくなるゲームだと感じた。
「Gears of War 4」をプレイすることであらためてシリーズが積み上げてきた要素に感心させられた。カバーリングが盛り込まれたマップデザイン、メイン武器が2つしか持てないからこその連携が活きてくるゲーム性、タフでパワフルなノリ、ぶっ飛んだ演出……「ギアーズ」シリーズは再び活動を開始した。この魅力的なシリーズの再スタートをまずは応援したいところだ。
エキサイティングなマルチプレイ。やりこむことでさらに楽しく
そして本作のもう1つのメインとも言えるオンラインマルチプレイにも触れておこう。本作はグローバルマッチングで世界中のプレーヤーと戦う事ができる。ゲームモードとしては、対戦とウェーブを突破していく「HORDE 3.0」と、「対戦プレイ」が用意されている。「HORDE 3.0」は難易度が選べ、カジュアルなら初心者でも超えていくことができる。ファブリケーターを活用し砲台や敵を防ぐバリアを設置し、敵の攻撃をしのいでいく。ウェーブは50まで、1時間を越える長丁場の戦いを繰り広げていくこととなる。
「HORDE 3.0」では“クラス”が設定されており、事前にプレーヤーは役割を選んでおく必要がある。標準的な「ソルジャー」、敵をマークできる「スナイパー」、銃火器が強い「ヘビー」、施設を修理する「エンジニア」といったクラスがありそれぞれの経験値が設定されている。クラスにはそれぞれスキルがあり、スキルを入手していくと、より活躍が出来るようになる。
今回は一番簡単なレベルでプレイしたが、高レベルプレーヤーに助けられ何とか50ウェーブをコンプリートできた。10ウェーブごとにボスキャラクターが登場しかなりきつい戦いをしいられる。10ウェーブを越えていくごとに敵が強くなり、自分たちは被ダメージが増えるなど不利になっていく。
設置物なども全部他のメンバーにお任せで進めたが、突っ込んでいく先輩プレーヤーを援護したり、エンジニアとしてこまめに施設を修理したりとそれなりにがんばるのは楽しかった。難易度を上げるとさらにきつい戦いが待っているようだ。そのためにはキャラクターのスキルをもう少し充実させたいところだ。
対戦プレイもいくつか遊んだが、特に楽しかったのが「Dodgeball」というルール。こちらが1人倒すと1人復活できるという対戦ルールで粘れば逆転もある。ショットガンでの接近戦が対戦の鍵だが激しく戦う人をマシンガンで援護するといった戦い方も可能で、「ギアーズ」野戦いのセオリーがわかっていれば、初心者でも戦えるところが楽しかった。
「Gears of War 4」のマルチプレイでは、キャラクターの細かいカスタマイズが可能だ。カードパックを購入することでキャラクターや武器のスキン、「HORDE 3.0」のスキルなども入手できる。いらないカードを破棄してポイントを溜めることでカードをアクティブにすることができるようで、槍混むことで個性的なプレイヤー増を確立できそうだ。
「Gears of War 4」はやはりその独特でパワフルな“ノリ”が楽しい。絶望的な状況を力とへこたれない精神で突破していく屈強なキャラクターがいい。本作はXbox OneだけでなくWindows 10マシンでも楽しめる。オンラインコミュニティなどゲームをプレイする“仲間”がいる人にとっては特に楽しい作品だ。シリーズ初挑戦という方も、ぜひ本作に触れて欲しい。
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