ゲーミングPCレビュー「NEXTGEAR i650PA7-SP5」

NEXTGEAR i650PA7-SP5

「BF1」最高画質で楽々120fps越え! Pascal版Titan X搭載のハイエンドゲーミングPC

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • マウスコンピューター
開発元:
  • マウスコンピューター
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
329,800円(税別)~
発売日:
2016年10月18日

 マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」より、NVIDIAの最新ハイエンドGPU「NVIDIA TITAN X」を搭載したゲーミングPC「NEXTGEAR i650PA7-SP5」が発売された。

 「TITAN X」という名前は、前世代のMaxwellアーキテクチャ時代にも登場しているが、今回のものは最新のPascalアーキテクチャを採用した別物で、より高速な製品となる。正しい製品名としては、Pascal版が「NVIDIA TITAN X」、Maxwell版が「GeForce GTX TITAN X」なので、厳密には名前も違う。

 Pascalアーキテクチャを採用した製品は、「GeForce GTX 1000」シリーズとしてラインナップされている。中でも最上位となる「GeForce GTX 1080」は、Maxwell版「GeForce GTX TITAN X」よりも高速だとして注目を集めた。そして当然ながら、Pascal版「NVIDIA TITAN X」は、「GeForce GTX 1080」よりも高速であり、現時点では最速のGPUである。

 「NEXTGEAR」シリーズは、G-Tuneブランドの伝統とも言える西洋甲冑をイメージしたケースが特徴のミドルタワー型ゲーミングPC。ブランドラインナップの中では最もオーソドックスな製品である。ハイエンドGPUの「NVIDIA TITAN X」は当然高価ではあるが、ハイエンドPCをできるだけリーズナブルに求めたいという人には注目して欲しい1台だ。

ハイエンド構成を入れ込んだミドルタワーPC

 まずは「NEXTGEAR i650PA7-SP5」のスペックを見ていこう。

【スペック】

項目スペック
CPUCore i7-6700K
チップセットIntel Z170 Express
GPUNVIDIA TITAN X(12GB)
メモリ32GB DDR4-2133(8GB×4)
SSD480GB(SATA)
HDD3TB
光学ドライブDVDスーパーマルチ
電源700W(80PLUS BRONZE)
OSWindows 10 Home 64bit
価格329,800円(税抜/送料別)

 CPUはCore i7-6700K、メインメモリは32GB、ストレージは480GB SSD+3TB HDDと、こちらもハイエンドと言っていいスペックだ。自作ユーザーの中には、ハイエンド構成で電源が700Wで足りるのか不安な人もいるかもしれないが、マウスコンピューターがきちんと検証した上で出しているスペックなのでご安心を。

 またG-Tuneはパーツのカスタマイズに対応しているのも利点だ。本機の場合だと、より高速なM.2 NVMeタイプのSSDや、より大容量・高効率の電源への交換、メインメモリを64GBに倍増、CPUクーラーの水冷化など、様々なオプションが用意されている。

 本体サイズは190×543×450mm(幅×奥行×高さ)、重量は約11.3kg。ゲーミングPCとしては標準的だ。

最新ゲームもハイリフレッシュレートでプレイ可能

 続いて各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R15」、「SteamVR Performance Test」、「CrystalDiskMark 5.1.2」。

 テストの結果はさすがの一言だ。特に「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、4K(3,840×2,160ドット)の最高品質でも、最高評価の「非常に快適」を獲得している。これまでは難しかった4K/60fpsのゲームプレイも、ついに完璧な形で実現できそうだ。

 またVRのテストとなる「SteamVR Performance Test」も、フレームレートの低下は一切なく、満点の評価となっている。PascalアーキテクチャはVRにも最適としているが、その最上位だけあって安心の性能を発揮している。

【ベンチマークテスト結果】

【ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(DirectX 11)】

項目スコア
1,920×1,080ドット/最高品質20,116(非常に快適)
3,840×2,160ドット/最高品質8,557(非常に快適)

【ドラゴンクエストX ベンチマークソフト】

項目スコア
1,920×1,080ドット/最高品質20,874(すごく快適)

【ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク】

項目スコア
1,920×1,080ドット/最高品質13,057(とても快適)

【バイオハザード6 ベンチマーク】

項目スコア
1,920×1,080ドット25,507(S)

【ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4】

項目スコア
1,920×1,080ドット/簡易設定665,885

【CINEBENCH R15】

項目スコア
OpenGL144.98fps
CPU879cb
CPU(Single Core)180cb
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(3,840×2,160ドット/DirectX 11/最高品質)
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(1,920×1,080ドット/DirectX 11/最高品質)
「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」(1,920×1,080ドット/最高品質)
「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」(1,920×1,080ドット/最高品質)
「バイオハザード6 ベンチマーク」(1,920×1,080ドット)
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(1,920×1,080ドット/簡易設定6)
「CINEBENCH R15」
「SteamVR Performance Test」

 ストレージは、SSDにADATA製「ASP550SS7-480GM」、HDDにSeagate製「ST3000DM001」が使われていた。SSD、HDDとも、標準構成ではメーカー・製品指定がないため、別の製品に変更になる可能性がある。「CrystalDiskMark 5.1.2」の結果は下の画像のとおり。

【CrystalDiskMark 5.1.2】
SSD(ADATA ASP550SS7-480GM)
HDD(Seagate ST3000DM001)

 おまけでもう1つ、先日発売されたばかりのシリーズ最新作「Battlefield 1」を使ってプレイした結果も紹介したい。本作はDirectX 12にも対応しており、3Dゲームの最新作とあって処理も相当重いはずだ。

 フルHD環境で画質設定を最高、DirectX 12をオンにし、キャンペーンモードの最初のステージを試してみたところ、フレームレートは概ね140fps付近を示していた。シーンごとに若干の変動は見られたものの、ほぼ120fps以上を維持している。ハイリフレッシュレートのモニターでも、これなら完璧なビジュアルでプレイが可能だ。

 また4Kでのプレイも現実的だろう。最高画質で60fpsを維持できるところまでは行かないかもしれないが、最高画質でも快適にプレイ可能なフレームレートは出せそうな印象だ。今回は4Kモニターでテストできなかったが、最新タイトルでも4Kゲーミングが現実的というのは驚異的な性能だ。

【Battlefield 1】
左はDirectX 12オン、右はオフの画像(DirectX 12ではフレームレートのオンスクリーン撮影が難しいため)。オフにすると僅かにフレームレートが向上するが、オンでも十分すぎる性能を発揮している

シンプルな設計ながら、高負荷時も騒音が気になりにくい

G-Tuneの象徴と呼ぶべき西洋甲冑風のフロントパネル

 実際の使用感だが、騒音はファンの回転音がアイドル時にもそこそこ聞こえてくる。ホワイトノイズのような落ち着いた音で気になる音質ではないが、電源が入っているのは確実にわかる程度の騒音はある。足元に置いた状態だと、ゲームや映像の音が出てしまえば気にならなくなる程度だ。最近のゲーミングPCはとにかく静かなので、一昔前のゲーミングPCを思い出して安心する(笑)。

 ではベンチマークテストなどで高負荷になると相当な騒音になる……のかと思いきや、意外なことに劇的な変化はなかった。急にファンが高回転して甲高い音がするということは全くなく、アイドル時と同じようなホワイトノイズの音量がちょっと増す程度で済んでいる。思わず「これって水冷だったかな?」と中を覗いてしまったほどだ(まぎれもなく空冷である)。

 PC単体の騒音として見れば静かとは言い難いが、ゲームプレイを前提にしているなら全く気にならないレベルに収まっている。特にヘッドフォンをしていると、音の変化は全くわからない。長年様々なゲーミングPCを見てきた筆者としては、「ハイエンドPCでもこの程度で済むのだなあ」と感慨深さを覚えるほどだ。

 では内部で何か対策をしているのかと思ってサイドパネルを開けてみると、面白いものは何もない、ごく普通のPCだった。CPUファンこそCoolerMaster製のものだが、大型というほどのものでもない。

 ビデオカードの「NVIDIA TITAN X」も特に対策を施した様子もなく、素直に取り付けられている。ハイエンドビデオカードだけあってかなりの長さがあるが、巨大なビデオカードの取り付けにも対応したNEXTGEARシリーズケースなので余裕がある。ファンはブロワーファンで外排気。

 ケース内部は実に素直な配置で、空間はかなり広く取られている。CPUとビデオカードのエアフローも綺麗に分かれている。「NVIDIA TITAN X」を積んでも、小手先の技が要らないというのは、NEXTGEARケースの完成度の高さを示すものであろう。これなら将来的な拡張にも余裕を持って対応できる。

 求められるパーツを適切に組み込み、余裕のある形で届けてくれる。まさに質実剛健、ゲーミングPCのスタンダードはこうあるべきという姿だ。これだけ余裕があるなら、次の一歩はぜひGPUの水冷化を期待したい。本機の騒音がさらに低減されれば、もはや死角なし。同社にはCPUとGPUのダブル水冷マシンのラインナップがあり、既に「GeForce GTX 1080」のダブル水冷マシンも発売中だ。「NVIDIA TITAN X」のダブル水冷モデルもぜひ期待したい。

正面のパネルを開けるとDVDスーパーマルチドライブにアクセスできる
左側面。中央付近にメッシュがある
右側面は1枚板でメッシュはない
背面。電源が下にある以外は一般的なミドルタワーPCのレイアウト
天面に電源や各種端子などが揃っている
左側面パネルを開けたところ。ブラックで統一されていて美しい。スペースも余裕がある
CPUクーラーはCoolerMaster製ファンを採用。メモリは4スロットが使用済み
「NVIDIA TITAN X」。ハイエンドだけあってかなり長く、存在感がある
トレイ式のストレージホルダーで拡張にも便利
電源もブラックで統一。裏面配線はないが綺麗にまとまっている