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「グランツーリスモSPORT」プロデューサー山内一典氏Q&Aセッションレポート

「GT SPORT」≒「GT7」だった! シアトル、エルキャピタンなど名コースは?

5月19日、20日開催



会場:The Copper Box(英国ロンドン)

 「グランツーリスモSPORT」アンヴェイルイベント会期2日目は、ユーザーイベントとして会場を一般開放し、FIAのお膝元であるUKのゲームファンに「GT SPORT」の試遊機会が提供された。通常のシングルプレイの試遊に加えて、ステージ上でのマルチプレイや、世界中から招かれた招待選手を交えた即席の対戦イベントも行なわれ、熱気に満ちた1日となった。

 本稿では、その締めくくりとして実施された「グランツーリスモSPORT」プロデューサー山内一典氏による来場者とのQ&Aセッションの模様をお届けしたい。山内氏はQ&Aセッションを参加するにあたり、今回スタッフとしてイベントに参加していたポリフォニーデジタルの開発陣20名以上を壇上に上げ、ポリフォニーデジタルとしてQ&Aセッションに臨んだ。スタッフとの一体感を重視する山内氏らしい計らいであり、開発スタッフたちは晴れがましい表情で壇上に上がっていたのが印象的だった。

 Q&Aセッションの内容は、コアな「GT」ファンによるディープな質問が相次ぎ、メディアインタビューで質問できなかった部分の穴を埋めるものになっており、ぜひ合わせて参照いただきたい。

【「グランツーリスモSPORT」アンヴェイルイベント】
イベントでは幸運な数百名が快適な環境で「GT SPORT」を体験することができた

【Q&Aセッション】
山内氏はQ&Aセッションを開始するにあたり、イベントに参加したポリフォニーデジタルの開発スタッフ全員をステージに上げてユーザーに紹介した

なぜ「GT7」ではなく「GT SPORT」なのか、その謎が明らかにされる!

Q&Aセッションに臨む山内一典氏
イベントのオープニングで挨拶する山内氏
山内氏は、Q&Aセッションに先立ちプレスカンファレンス
会場に参考出展されていたThrustmasterの新型ステアリングホイール。山内氏によれば、PS3世代のホイールはドライバがないため使えないようだ
ポルシェは「GT SPORT」でも残念ながら登場しななさそうだ(スクリーンショットは「Forza Horizon 2」より)

――PSVR対応について、多くのデベロッパーがPSVRへの開発はチャレンジングだと話していたが、「グランツーリスモ」として新しい世代のコンソールとVRの両方に対応するという体験はどういうものですか?

山内氏:「GT6」はOculusに対応していたのでまったく経験がないわけではありません。ただ、対応しているということと、最適化するということは別なのでそこはチャレンジが必要だと思います。

――PS3用のステアリングホイール「G27」は「GT SPORT」に対応しますか?

山内氏:僕が聞いている話では、もし仮に「G27」に対応するとしたら、「G27」用のPS4ドライバーを我々が作らないといけないらしいんですね。我々はハードメーカーではないのでドライバーを作るのは大変ですね。

――「GT SPORT」にTVRの車は入らないのですか?

山内氏:TVRに関する問題は凄くシンプルで、TVRというブランドの権利を誰が持っているかよくわからないということです。(場内笑い)

――「GT SPORT」に入れるにあたって難しかった機能は何でしたか?

山内氏:PS4で「GT」を作るにあたって、一番大変だったのは、一番最初に絵が出てくるところまでですよね。ビデオゲーム業界にあって、珍しい自社製のゲームエンジン、自社製のレンダリングエンジンを開発して作っているタイトルですが、絵がでてくるまでが凄く遅かったものですから、それを待っているのが凄く大変だったかなと思いますね。その辺の苦労は壇上に上がったスタッフたちが一番よくわかっていると思いますが(笑)、絵が出てきてからは一気に開発が進みました。

――今回の「GT SPORT」は理想の形の「GT」ですか?

山内氏:今僕らは、「GT SPORT」のクオリティが1段ずつ階段が上がっていく幸せな時間を過ごしています。こういう制作というのは「GT1」以来で、凄く良いモノができるのではないかという予感がありますね。

――初代「GT」からずっとやってきているが、ポルシェはやっぱりライセンスの問題があって入らないのでしょうか?

山内氏:僕らはいつでもポルシェはウェルカムなんですけどね(笑)。(会場笑い)

――今日は招待してくれてありがとう、ポリフォニーの皆さんにも感謝です。「GT SPORT」のダメージモデルは入りますか? 今後の「GT」にダメージを入れる予定はあるか?

山内氏:ダメージモデルは入ります。そんなことさらに宣伝するようなことでもないかなと(笑)

――FIAとのパートナーシップでは、取得できるFIAライセンス、たとえばWRCなども今後増えていくのですか?

山内氏:いまこの瞬間にお約束することはできませんが、可能性としてはあると思います。

――「GT SPORT」ではダウンロードコンテンツは用意されるのか? それとも無料アップデートだけで完結するのか?

山内氏:まだ具体的なプランは決まっていませんが、DLC、無料アップデート、どちらもあるのではないかと考えています。

――僕も昔からの「GT」ファンです。山内さんUKまで来てくれてありがとう。「GT7」 では、シアトルやエルキャピタンなど、僕らが大好きな過去の「GT」シリーズに収録されていたコースが復活することはないのですか? 「GT SPORT」はないかなと思ってあえて「GT7」と言ったのですが(笑)

山内氏:まず「GT7」か「GT SPORT」かということについてお話ししておくと、SPORTモードにフォーカスしてFIAの皆さんと一緒にやるということで「GT SPORT」というタイトルにしたんですけど、今振り返ってフィーチャーリストを見ると、内容はほぼ「GT7」なんですよね。実は「GT7」、「GT SPORT」かというのはあまり意味がなくて、「GT7」に名前を変えても良いのかなと思ったりもしています。その上で、シアトル、エルキャピタンのような過去の名コースについては、僕も復活させたいと思っているんですけども、ちょっと時間は掛かると思います。

――今回コメンテーターの機会を下さってありがとうございました、今後、以前の「ツーリストトロフィー」みたいにバイクをカバーするタイトル、あるいは「GT SPORT」にオートバイが入る可能性はないのですか?

山内氏:素晴らしい実況でした。(場内拍手)。同じ質問を何度も受けている気がするんですが、バイクをどう収録するのかについてはいつも聞かれるのですが、否定はしません。可能性はいつもあります。ただ、それが具体的にいつかということについてはお話しできません。

(中村聖司)