ニュース
「ファイナルファンタジーXV」お披露目の現場を米国からレポート
田畑 端ディレクター、坂口博信氏、天野喜孝氏の追加コメントも
(2016/3/31 19:03)
スクウェア・エニックスは、「ファイナルファンタジーXV」のプライベートイベント「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」をロサンゼルスのShrine Auditoriumで開催し、発売日を公開すると共に、新情報を公開した。発売は9月30日で、特別パッケージの「DELUXE EDITION」、「ULTIMATE COLLECTOR'S EDITION」の発売も同時に発表された。
9月30日という発売日を含む数々の新情報は、弊誌でも速報でお伝えしたとおり。ここでは現地発表会場の温度感や盛り上がり、生配信後に行なわれた現地ファンコミュニティに向けたコメント、アフターパーティでのコメントなどを織り交ぜてお届けする。
前日までは夕方に雨が降るなど不安定な天候だったロサンゼルスのダウンタウンも、この日は朝から天気が良く、祝福するかのように晴れ渡っていた。会場には16時頃からファンが集まりはじめ、17時にはチェックインのためにかなりの行列が出来上がった。一足先に会場に現われたシリーズブランドマネージャーの橋本真司氏もファンに応えて握手するなどコミュニケーションを取っていた。また、会場にはソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアの盛田 厚プレジデント、MicrosoftでXboxを統括するフィル・スペンサー氏なども見かけられ、まさに、プレミアムなイベントとなった。
会場となったShrine AuditoriumはE3などでプレスカンファレンスが行なわれるなど、かなり大きな会場で、日本で言えば東京国際フォーラムのホールA並み。ここにほぼぎっしりに埋まるほどの来場者が訪れた。開始15分前の会場アナウンスが流れると歓声が上がり、すでにヒートアップ。来場者は年齢層も千差万別だが、いずれも「ファイナルファンタジーXV」の登場を心待ちにしている人たちだ。会場の反応を見ていると、アニメなど日本のコンテンツを好きな人が多い印象だった。
発表会の冒頭で坂口博信氏が登場すると客席からは「坂口さーん」という歓声が巻き起こるほど。その坂口氏が「『ファイナルファンタジー』の父ですが、父というのは子供が正しい道を歩んでいるかと心配になるものです」と語ると会場からは笑い声が起こったが、それに続き「しかし田畑さんと話したとき、『ファイナルファンタジー』の原点であるチャレンジに立ち返るという話を聞いて、本当に嬉しかった」と坂口氏が語ると会場から這われんばかりの拍手と歓声に変わった。坂口氏は「戦い挑み続ける本来の姿を取り戻した『ファイナルファンタジー』を(今回)見ることができる」と語り挨拶を締めくくった。
この後、最新の映像が流されたが、やはり歓声が上がり大きく盛り上がったのはチョコボの登場シーンとモンスターの登場シーンだ。特にチョコボが登場したシーンは大きく盛り上がり、チョコボに乗って走り、ほんの少し飛び上がるシーンなどでは歓声をあげて、来場者同士で話す人などもいた。
一方で米国ならではだなと感じたのはテーマ曲が流れた瞬間だ。今回発表されたテーマ曲は「Stand By Me」。この曲が劇中に流れ始めると、「えっ?」といった雰囲気で一瞬ざわめいていた。オールディーズとして日本でも有名な同曲だが、おそらくは米国のオーディエンスにとっては日本人とは少し違った思い入れがこの曲にあるのだろう。ただ個人的には「ファイナルファンタジーXV」のテーマが父と子の物語をベースに置いた旅立ちと成長の物語のようなので、そういった意味ではぴったりなのではないかと思わされた。このあたりは後日予定されているインタビューなどでも触れてみたい。
またこのほかにも盛り上がったのは天野喜孝氏のアートが上演されたときのこと。やはりレジェンドの1人なだけに、天野氏のアートが3Dに変換された映像が流れると、その美しさに会場からは息を呑むようなため息が漏れた。同時に、実は会場に来ているということで挨拶をすると会場は大きな拍手に包まれていた。
ちなみにイベント後に会場の隅で囲み取材が行なわれたのだが、海外のファンが詰めかけ、インタビューそっちのけで簡易サイン会になってしまうほど、天野氏の海外での人気は高い。
イベントは進行し、キャラクター紹介の時にいきなり日本のアニメーション分に変換され映像が上映された。「BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV」だ。このキャラクター紹介時の会場の反応が面白かった。あまりにグラフィックスが変わったため、米国ではもっと笑い声が起こるかなと思っていたが、やはり日本のコンテンツに理解がある来場者が多いからなのか、それほど否定的な声は聞こえてこず、むしろ盛り上がっていた印象だ。
ちなみにガッチリした感じのグラディオラスが映し出されると一気に歓声が上がったので、「やはり米国ではこういったキャラクターが人気なのか」と思っていると、プロンプトが映し出されるとそれを上回る女性の歓声が! 「EPISODE DUSCAE」をプレイした来場者も多いだろう事から、プレイしてすでにファンの人も多いのかもしれない。
また、「ファイナルファンタジーXV」の中に登場するゲームをそのままAndroid/iOS/Windows 10用ゲームとして作り上げた「JUSTICE MONSTERS FIVE」も2016年にリリースされる。ピンボール風でありながらしっかりと戦いが描かれており、なかなか面白そうだ。
CG映像となる「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」では数多くのボイスアクターが登場しキャラクターを掘り下げていった。
ちなみに同作のディレクターを担当したのは野末武志氏。「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」を担当したチームが今作の製作を手がけているという。野末氏はゲームとの違いについて「ドラマを磨き上げるために、1から技術の見直しを行なっている」と映像作品の制作ということで新たな技術の集積を行なっているようだ。このため、キャラクターのグラフィックスについても修正をかけているといい、同じタイトルでありながらキチンとCGアニメーションの映像作品として作り上げられているようだ。野末氏は「『アドベントチルドレン』を手がけたチームなので、アクションシーンを楽しみにして欲しい」と語っていた。
発表会ではさらに「PLATINUM DEMO」を発表。それもすぐにダウンロード可能となるとあって、会場は大きく盛り上がりを見せた。バトルシーンではピコピコハンマーで敵を攻撃するシーンでは笑い声なども巻き起こった。
そしてラストにちょっとしたトラブルが起こりながらも無事発売日が発表され、最後に流れたムービーで大きな歓声が巻き起こった。すでにご存じの方も多いかと思うが、車が空を飛ぶのである。イベントの冒頭に流れたムービーでは幌をしまうだけだったが、ここでは同様のシーンと見せかけ、羽が生えて飛行するシーンへと移行し、会場では拍手喝采となった。
意外な裏側が披露されたコミュニティインタビュー。囲み取材では坂口氏が「FFXV」を絶賛
イベント終了後に短いながら日本メディア向けに囲み取材が行なわれた。
まず坂口氏に「ファイナルファンタジーXV」の印象を伺ったところ、「まず最初に映像に驚いて。自分も『ファイナルファンタジーVII』のころから(映像とゲーム性の融合を)目指していたものですから、よくここまで昇華されたなと、ここまでの領域に達したなと思いました」と絶賛。
天野氏にはグラフィックスが3D化されたことを伺うと、「ああいうのは初めてで、エキサイティングでした。僕の絵がああいう形で3Dになったのは初めてなので。今日、(3D化された)最終的に完成したのをはじめて見たのです、びっくりしました」と驚いた様子。「絵を描くとき、頭の中ではけっこう立体なんです。それを平面に描くのですが、それが実際に立体的になって動いているのを見ると、もちろんゲームの世界なのですが、ファンタジーというかアートの世界が広がった感じを受けます」と感想を語った。
スクウェア・エニックスの松田洋祐代表取締役社長にワールドワイドで発表会を開催したことについて手応えを聞くと、「これまで最先端への挑戦を続けてきて、今日改めてこの場に来てみて、この『ファイナルファンタジーXV』でいよいよ世界を獲りにいけるということを確信しました。このタイトルはスクウェア・エニックスの技術の結晶ですから、この発表会で、その片鱗をわかっていただけたとおもいます。今までやれることはすべてやってきましたので、日本初のゲームとして世界に挑戦してトップを獲れるゲームになっていると思います」と力強く言い切った。
開発も終盤を迎えた田畑ディレクターも「裏から会場を見ていたのですが、盛り上がってましたね。最後の(発売日の発表の)場面は本当はボタンがあるはずだったのですが届かなくって、それでも「出て!」と言われて(ステージに)出たのですが、僕がグダグダにしちゃったのかなと申し訳なかったです」と笑いを取りながらも、「見ている人の熱気が絶えることなく伝わってきて、その熱気をエネルギーとしてもらえたなと感じました。手越えを感じて、マスターまでがんばることができると思いました」と嬉しそうに語っていた。
イベント終了後には、同会場でファンコミュニティ向けのトークショーが行なわれた。田畑ディレクターは開口一番「最高の気分です!」と挨拶。
坂口氏は「ファイナルファンタジー」シリーズがここまで成長してきたことについて聞かれ、「大きくなりすぎでしょ?」と答え、「『ファイナルファンタジーXV』については、CGもアニメもすごく、コンテンツのボリュームもある。そしてそれぞれがクオリティが高い。手抜きの無い隙の無い作品に仕上がっていると思う」と絶賛。さらに坂口氏は「(これだけのボリュームのものを作るためには)すごく長い時間努力し続けなければならない。田畑さんは情熱的でじっくりやる人」と続けた。
一方で、今ここにいることを問われた天野氏は「ここで坂口さんと並んでいることが不思議。当時は坂口さんが20歳台で僕が30歳台。坂口さんは『いろいろなメディアを巻き込んで大きくなっていく』と言っていたが、今回の発表会を見ていると、遂に実現したなと感じた」と感慨深げ。そして実は「ファイナルファンタジーXV」のロゴを天野氏が制作したのはなんと10年前なのだとか。壮大な設定を聞かされ、4つ~5つの案を提出し「いつ出るんだろう?」と思っていたということだが、今回やっと日の目を見たと言うことだ。
プロデューサーの大藤昭夫氏は「『ファイナルファンタジーXV』には膨大な数の設定がある。それをみんなに届けるために手を抜きたくなかった。何でもしたかった。それぞれの物語のエピソードをみなに届けたくて、それが『BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV』になった」と熱く語った。
最後に田畑氏は「今日の発表会の反応を見て、このまま『ファイナルファンタジーXV』は本気で走り続けていいと思った。(制作に)すべてを出し切りたい」と語り、締めくくった。
© SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA