山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第5回

戦いを挑み続ける“最後の夢”の話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

「ファイナルファンタジー」という名前を日本語訳するなら。
僕は“最後の夢”、もしくは“最後の希望”と呼んでいます。

これは昔、「ファイナルファンタジー」初代作品の制作当時、
スクウェア(当時)にとって社運のかかった作品であり、
そこから“最後の夢”、“ファイナルファンタジー”と名付けた。

という説があったためです。
後にこの説は否定されることもあり、
でもそんな気持ちもあったかも、という話もあったり。
そうして、あくまで“諸説の中のひとつ”というものになったのですが。

僕は「美しいエピソードだから、それでいいや」と、
本当かどうかはさておいて、そう呼ぶことにしたわけです。

というわけで、今回はそんな“最後の夢”、「ファイナルファンタジー」の話。

15番目の“最後の夢”

いつの時代も「『ファイナルファンタジー』シリーズで1番好きなのはどれ?」という話題は、ゲーム好きにとって盛り上がり確実のトーク。

30歳代~40歳代の人なら、「1~6」のいわゆるドット画時代の作品が、20歳代~30歳代未満の人だと、「7~10」あたりの作品を挙げる人が多いでしょう。より若い世代の人だと、「12」や「13」が初めて遊んだ「FF」だという人もいるでしょう。

もちろん、「11」や「14」といったMMORPGの「FF」をどっぷり楽しんで、他のシリーズとはまたひと味違う思い入れを持っている人もいるでしょう。

これが、あと10年、20年後になると、またガラリと変わる。そのときには、「15」が初めて遊んだ「FF」だという人もおそらく、たくさんいます。

その未来に、1番好きな作品として「15」が最も選ばれる作品になるのかは……今はまだ、誰にもわからない。

でも、そうなって欲しいし、「自分の好きなもの」として誰かに話したくなる作品が増えるのを、ネガティブな感情に飲まれることなく。いつでも楽しみにしていたいものです。

(ちなみに僕が1番好きな「FF」は「6」です。この記事へのリンクをつけたTwitterで、みなさんの好きなナンバリング作品をつぶやいて頂けたらと思います。)

さてさて、「ファイナルファンジーXV」について、
たくさんの情報とこれからの展開が明かされた

「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」

ですが、

みなさんは配信等、ご覧になりましたか?

イベント冒頭に「FF」の生みの親と言える坂口博信氏が登壇し、今作のディレクターである田畑端氏と、「本来のチャレンジャーの姿に立ち返らせる。『ファイナルファンタジー』は、今の居場所に安穏として居続けるのではなく、戦いを挑み続ける存在」と話したというエピソードには、かなりグッとくるものがありました。

坂口博信氏から語られた、「ファイナルファンタジー」は戦いを挑み続ける存在という言葉。それにチャレンジする、原点に立ち返るという田端ディレクターの言葉。世界中のファンがこの言葉に心を輝かせたはず

ちなみに僕も、当日から配信が開始された
「FFXV」の体験版「プラチナデモ」のレビューをすぐさま書きましたが、

レビュー記事へのTwitterの反応に、
「最後の画像にあるような戦い方できるの?」
というものチラホラありました。

そういう人は、
鉄巨人をすぐ倒さず、じっくり、長く戦ってみてください。

「プラチナデモ」プレイ中の1シーンより。実は高いところにも行けます

「ファイナルファンタジーXV」のテーマ曲が「Stand by Me」であることも、大きな話題を呼びました。

カバーするのは、ロンドンで結成されたインディ・ロック・バンド「フローレンス・アンド・ザ・マシーン」です。

なにしろ「Stand by Me」と言えば、誰もが耳にしたことのある古典とも言える有名曲。驚きと同時に戸惑いもありますが、田端ディレクターへのインタビューでは、

「Stand by Me」の歌詞をしっかりと理解すると、「ああ、なるほど。ノクトと重ねたイメージなんだな」というのがわかる

という回答がありました。
「ラブソングでは無く、祈りとかメッセージ」ということです。

そこで「Stand by Me」の歌詞の和訳をみてみましょう。
とは言っても、歌詞を丸ごと全部というわけにはいかないので、
ギュッと要約しますが、

恐怖に震えることはない
涙を流すことなんてない

君がそばにいてくれれば、それだけでいい

そばにいてほしい

そばにいて支えていたい、君のそばで生きていたい

と、このような歌詞です。

確かにラブソングではありますが、本当に大切な人への強い想い、願い、祈りに満ちた歌詞でもあります。想う対象やシチュエーション次第で、いろいろな捉え方のできる曲です。

実際に「FFXV」をプレイしたら、どんな気持ちでこの歌詞を聴くことになるのか。そのとき、今の驚きや戸惑いが、どんな色に変わるのか。楽しみですね。

なお、「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」後に配信されたアクティブタイムレポートでは、「他にも曲はあります」と、やはり田端ディレクターが話されていたので、そちらも楽しみにしたいところ。

楽曲の話でいうと、「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」中に上映されたムービーに、「FF」を代表する曲「プレリュード」のコーラスアレンジVer.を使っているものもありました(ゲーム本編で使われるものなのかは不明ですが)。

「World of Wonder:Environment Footage」
という、“FFXVの世界を紹介する”映像です。

こちら、曲も映像のクオリティもどちらも圧倒的。1度観たという人も、ぜひじっくり見なおしてみてください。

そんなわけで。前々回に、PlayStation VRを買うために10月までにお金を貯めていかないと的なお話を書きましたが、「FF XV」の9月30日発売に向けて、もう少し必要っぽいです。

嬉しい悲鳴が止まらない。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。

Amazonで購入

(山村智美)