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ウォーゲーミング、「World of Tanks」バージョン9.4で実装された新ゲームモードの魅力
初心者~中級者のクラン活動を推進する「拠点モード」詳説。WGL試合ルールも一新!
(2014/12/12 22:14)
オンラインタンクバトルゲーム「World of Tanks」を運営するウォーゲーミングジャパンは、去る11月5日のアップデートで実装されたクラン向け新モード「拠点モード」と、公式大会Wargaming.net League Season 3(以下『WGL Season 3』)から導入された試合ルール「攻撃/防衛戦モード」について、それぞれの内容とアジアサーバーへの導入効果を紹介するため、メディア向け説明会を行なった。
それぞれのモードは「World of Tanks」バージョン9.4の目玉として追加・更新された機能で、いずれも新しい形のクラン戦を提案するものになっている点が共通だ。異なるのは、「拠点モード」は初心者~中級者のクラン活動への参加を推進するための新コンテンツであり、「攻撃/防衛戦モード」は頂点を極めるための公式大会におけるレギュレーションの刷新である点だ。
それぞれについて、ベラルーシのWargaming.net開発チームスタッフによるコメントも得ることができたので、それぞれのポイントと魅力を本稿でご紹介しよう。
初心者~中級者にもチャンス! クラン戦の遊びの幅を大きく広げる「拠点モード」
以前まで「WoT」のクラン戦といえば、WGL公式大会を頂点とする7対7のレギュレーションに従った試合か、もしくは地図上の領域を奪い合いながら戦う「クランウォーズ」という2つのコンテンツが主要な遊びとして提供されていた。これらのコンテンツはいずれも上級者向けで、このため中級者以下のプレーヤーがクラン活動に参加しづらい傾向があったというのはWargaming.netも認めていたところだ。
そこで、中級者でも気軽にクラン活動を楽しめるゲームモードとして11月のバージョン9.4アップデートで導入されたのが「拠点モード」。このモードは24時間進行形の戦略パートと柔軟なレギュレーションの試合内容を組み合わせたもので、“クランに加入するだけで様々な恩恵が受けられる”というのが最大の特徴だ。
「拠点モード」は20名以上のクランであれば、クランマスターがいつでも開設可能だ。開設を完了するとクランが所有する基地画面にアクセスできるようになり、試合を通じて基地の各施設をアップグレードしたり、各拠点で製作する「リザーブ」(クラン単位の消費アイテム)を使って、クランメンバー全員が様々な恩恵を受けることができる。
最も基本的な試合形式は、対戦相手を選ばないランダムマッチ形式となる「前衛戦」。ここではTier 6戦車までの「ミディアム部門」、Tier 8戦車までの「チャンプ部門」、完全無制限の「無制限部門」という3系統の試合形式が選べ、各クランメンバーの進行度に合わせて自由に即席チーム「分遣隊」を組み、他のクランと試合をすることができる。
試合リワードは「資源」だ。資源は、基地の各施設をアップグレードしたり、各施設から獲得できるリザーブを準備するためのポイントだ。リザーブは施設毎に効果が異なるものが獲得できる。
例えば「戦車性能試験場」では、ランダム戦も含むあらゆる戦闘でクランメンバーが獲得する戦闘経験値を向上させる「戦術訓練」というリザーブを得られる。費用として必要な資源を投入すると、数時間後にそのリザーブの使用準備ができるという仕組みだ。使用したリザーブの効果は数時間持続し、試合に参加していないクランメンバーにも効果がある。
また、各施設をアップグレードすることでリザーブの効果をより強力にしていくこともできる。例えば経験値アップのリザーブは、施設レベルが4の場合は+5%の効果だが、レベル10では+50%にも増えるという。大手クランはこれを目当てにリザーブの準備を切らさないよう、常に試合をがんばっているそうだ。
本モードのポイントは、上級者でなくてもクランに貢献でき、また恩恵を受けられるというところだ。例えばクランメンバーならだれでも同時並行的に開始できる「前衛戦」では、勝てばたくさん資源がもらえるし、負けても少しはもらえるから、とにかくたくさん試合をすれば資源の蓄積やリザーブの準備に貢献できる。その結果、獲得経験値・クレジット等の向上効果を誰でも得られるというわけである。
ちなみに、施設レベルが5を超えると、特定のクランの施設に対して直接攻撃を仕掛ける(試合を組む)ことが可能になる。こちらは勝利して得られるリワードが「前衛戦」よりも大きいかわりに、攻撃を受けて敗北すれば施設に被害を受ける可能性があるため、上級者メンバーが責任をもって対応することになるだろう。各メンバーの腕前に合わせて持ちつ持たれつである。
Wargaming.netでクラン戦機能のプロダクトマネージャーを務めるNatallia Pershyts氏はビデオインタビューに応え、11月に導入されたこの「拠点モード」について、既に全クランのうち50%あまりが参加していることを明かした。全ユーザーのうちクランに参加するユーザーの割合も顕著に増えており、現在、「WoT」人口のうち30~40%がクラン活動に参加中であるという。
なお以前から存在する「クランウォーズ」もまだ現役で、そちらは以前まで全クランのうち25%が参加していたところ、「拠点モード」の実装でクラン数やアクティビティが向上した結果、30%まで参加率が向上したとのこと。また「拠点モード」は同時並行的にいくつでも試合をして資源を稼げるという仕様上、クランメンバーが多いほうが有利という側面があり、より多くのメンバーを誘おうとしているクランが非常に増えているともいう。もはや「WoT」クランは少数精鋭の一本槍というわけではないというわけだ。
「拠点モード」は現在も拡張中で、WGL新ルールとして導入された「攻撃・防衛戦モード」(詳細後述)が本モードの試合形式として使えるようになる予定であるほか、Tier 8限定戦、Tier10限定戦といった特別ルールも準備したいという。また戦略パートと試合パートをつなげるものとして「空爆支援」、「地雷原敷設」といったフィーチャーも追加し、クラン単位での遊びを活性化する「拠点モード」の試合を、さらに特別なものにしていきたい考えだ。
公式リーグ戦の試合ルールが刷新!よりハイテンポな試合を見られる「攻撃・防衛戦モード」
「WoT」の公式リーグであるWargaming.net Leagueの試合ルールが、11月21日から進行中のSeason 3から全く新しいものになっている。それがバージョン9.4で正式導入された「攻撃・防衛戦モード」だ。
従来の公式ルールでは通常の「ランダム戦」と同じく、マップ中に2カ所配置されたそれぞれの陣地を互いに攻め合うという、攻防一体の対称形ルールだった。それぞれの攻め・守りの立ち位置が明確でなかったため、ラウンド前半が地味な様子見で進むことが多かったり、制限時間までに勝負が決まらずドローになるラウンドが多いという問題があった。
5分間も全く戦闘が起きず最後の1分でドローになるような試合は、そこに高度なかけひきがあったとしても、見ている側としては何度も繰り返されるのは退屈でたまらない。今回採用された新ルールは、そういった“試合を観戦する側”が感じていた問題の解決を狙ったものだ。
「攻撃・防衛戦モード」は、その名の通り対決2チームが攻撃側と防衛側に分かれて戦う、「Counter-Strike」的な非対称のチーム戦ルール。占領可能な拠点は防衛側にだけ2つあり、いずれかの占領達成か、攻撃側の全滅か、タイムアップによって必ずラウンドの勝敗が決まる。攻撃側は勝つために攻めるしかなく、しかも試合結果としてドローがないというのが最大のポイントである。
このようなルールのラウンドを、各チームが攻撃・防衛を交代しながら進めていき、先に5ラウンド勝利したほうが試合に勝つというのが公式マッチのレギュレーションだ。
なお各チームで使える車両の合計Tierポイントもこれに合わせて42ポイントから54ポイントに増加されており、従来はTier8戦車5両+Tier1戦車2両という編成が標準であったところ、Season 3からはTier8戦車5両+Tier7戦車2両もしくはTier8戦車7両+Tier6戦車1両という編成が可能になる。
Tier1戦車でTier8戦車には全く歯が立たないが、Tier6、7の戦車なら立ち回り次第で十分にTier8戦車の脅威となれる。レギュレーションの更新により7人のメンバー全員の火力が生きるようになり、よりアグレッシブな戦い方や、あるいは自走砲などこれまでにない車種を使った作戦が実施可能となるわけだ。
新ルールの効果については、Wargaming.netのeSportsディレクターを務めるMohamed Fadl氏が質問に答えてくれた。そこでFadl氏は、現在進行中のWGL Season 3において、試合のテンポが顕著に高まっていることを明かしている。レギュレーションでは1ラウンド7分の制限時間となっているところ、実際には3~4分で勝負が決まる事が多いとのことだ。
試合展開も従来とは全く違っており、これまでTier1戦車で偵察や指示に専念していたチームリーダーも、Tier 6~7の戦車で主力と一緒に攻撃に参加することが多いという。中でも面白いのは、防衛側のチームが全員攻撃的な車両編成を行ない、防衛すべき陣地を捨てて攻撃側チームに対して強襲を仕掛け、勝利するという試合もあったという。
新しいルールとレギュレーションは取れる戦術の幅を大きく広げており、いままで培ってきた経験が生かせない側面もある。このため従来の強豪チームが低迷したり、これまで見たことのないチームがリーグ戦上位に上がってきているケースも見られるという。下克上のチャンスである。Fadl氏としては、WGLグランドファイナルに向けてのここ2~3カ月でまた新しい戦術が生まれてくることをとても楽しみにしているようだ。
特にWGL APACが開催されているアジアおよび韓国サーバーにFadl氏は注目中。アジア圏のユーザーは様々な戦術を積極的に試していく傾向があり、新しいモードへの適応や研究が早いという見方だ。今後のグランドファイナルで今までにない好成績を期待している。
ちなみ、ウォーゲーミングジャパン広報によると、WGL APAC Season 2のグランドファイナルに参戦し、Season 3の結果次第で世界大会への参加可能性を残している日本の強豪クラン“Charlotte Tiger”もしっかり参戦しているとのこと。知将タイプのリーダーを擁するクランであるだけに、「WoT」日本ファンの皆さんに面白いものを見せてくれるかもしれない。