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「キャンディークラッシュ」の姉妹作も開発中! King CMOインタビュー

多様化するゲーム市場での戦略を日本オフィストップの枝廣氏にも聞く

9月18日~21日 開催(一般公開日 20日~21日)

会場:幕張メッセ1~9ホール

入場料:
前売り 1,000円
当日 1,200円
小学生以下無料

 iOS/Android/Facebook用のカジュアルパズル「キャンディークラッシュ」などで知られるKingは、東京ゲームショウ 2014へのブース出展はしていないものの、基調講演にCMOのAlex Dale氏が登壇し、また日本オフィスとなるKing Japan代表取締役の枝廣憲氏が会場イベントのパネルディスカッションに登壇するなど、ゲームメーカーとしての存在感を示している。

 9月18日には日本向けタイトル第5弾となる「ペットレスキュー」を基調講演の場で発表し、今後もますます活躍が期待される企業の1つだ。

 今回はTGS2014の会期中に、Dale氏と枝廣氏にそれぞれインタビューする機会を得た。インタビューではDale氏には海外から見た日本市場について、枝廣氏には今後の日本での戦略などを伺っていった。

「キャンディークラッシュ」のユーザーは50%が女性。姉妹作も制作中!

King CMOのAlex Dale氏。「ペットレスキュー」が1番のお気に入り
日本の女性にも人気の「キャンディークラッシュ」。日本で4番目にDAUが多いそう

――東京ゲームショウはいかがですか?

Alex Dale氏: 色々なアニメ的なイラストもたくさん見て楽しんでいますよ。

――初来日ということですが、印象はどうですか?

Dale氏: また48時間しか経っていませんから、わかりません(笑)! ただ食べ物は美味しいですね。

――ゲーム市場としての日本はいかがでしょう?

Dale氏: 日本のゲームの歴史は長いですし、Kingのスタッフもマリオやソニックなどから色々とインスパイアされていますよ。

――スタッフもやはりゲーム好きなんですね。

Dale氏: スタッフは「マジック・ザ・ギャザリング」や「モノポリー」といったカードゲーム、ボーボゲームから、デジタルのRPG、オンラインゲームなど様々なゲームが好きです。

 ロンドンは毎週木曜の夜に開催するゲームクラブがあって、そこで私も含めて何時間も遊んでいますよ。

――Kingのゲームは非常にかわいいものが多いですよね。

Dale氏: カジュアルゲームにおいては、かわいい要素と長く楽しめる要素が必要です。私も色々なゲームを見てきましたが、ルーブル美術館では古代エジプトのカバの形をしたゲームボートがありました。これもカジュアルなゲームでしたが、かわいいものでしたよ。

――日本のプレーヤーの特徴や海外との違いは何かありますか?

Dale氏: 「キャンディークラッシュ」は、App Apeの情報によれば日本で4番目にデイリーアクティブユーザーが多いようです。そのうち50%以上が25歳以上の女性で、8%が50歳以上の女性となっています。

 西洋では、25歳以上の女性は1つのターゲット層として認識されています。「キャンディークラッシュ」は日本でも同じ傾向があるので、海外と日本でのプレーヤーであまり大きな違いはないと言えますね。

Dale氏: プレイの状況としては、海外も日本も通勤時間や夜が活発です。USでは、カップルが寝る前に最後にプレイするという面白い傾向もあるんですよ。

――9月18日に配信されたばかりの「ペットレスキュー」ですが、こちらの見どころを教えて下さい。

Dale氏: 「ペットレスキュー」は、他のKingタイトルと比べてもパズル性が高いものになっています。「ファームヒーロー」や「キャンディークラッシュ」とも違った考え方が必要ですし、Kingタイトルの中でも最も戦略性が試されるゲームになっていると思います。

――最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Dale氏: 実は今、「キャンディークラッシュ」の続編に近い姉妹作を作っています。楽しみにしていて下さい!

――ありがとうございました。

あくまで「カジュアルが主戦場」。多様化するマーケットと共に成長を目指す

King Japan代表取締役の枝廣憲氏
9月18日に配信されたばかりの「ペットレスキュー」。「キャンディークラッシュ」と比べると戦略性が問われるものとなっている

――Kingさんの日本法人が正式にスタートしてから約5カ月が経ちましたが、いかがでしょうか?

枝廣憲氏: 私は1月当時からジョインしているのですが、その頃は「Sweet Disaster」と呼ばれているくらい翻訳がひどく、これを改善するところから始まりました。その後4月末から5月にかけては「キャンディークラッシュ」のテレビCMと「ファームヒーロー」の配信、6月には「パパピンボール」、8月には「バブルウィッチ2」と連続してリリースできました。

 「バブルウィッチ2」については評判が良く、テレビCMを打ってもいいのではというくらいの反応をいただいています。

――そして9月18日には「ペットレスキュー」が配信となりました。

枝廣憲氏: そうです。なので立ち上げからタイトル数だけなら5倍です(笑)。「ペットレスキュー」は、Kingにとって「キャンディークラッシュ」に次ぐナンバー2と言ってもいいくらいの大事なコンテンツなので、配信もタイミングを考えました。

――続々と配信が決まっていますが、日本語の言語ローカライズの注意点などはありますか?

枝廣憲氏: ゲームの中で、違和感のない表現にするのを注意しています。最近では電車の中でもKingタイトルをプレイしている方が増えてきて、個人的に単純に嬉しいですね。

 それと世界での展開とできるだけ時差なしにコンテンツを提供することを心がけています。また日本のマーケティング手法は特殊でもありますので、日本人に親しみのあるメディアに露出することで「日本のコンテンツは日本人が作っている」というイメージを持ってもらう狙いもありました。

――Kingと言えばカジュアルなゲームのイメージですが、それは今後も継続していきますか?

枝廣氏: 実はカジュアルゲームのコンテンツというのは、2013年7月と2014年7月とくらべても2~3倍くらいに市場が大きくなってきています。今後主流となってくるカジュアルゲームのマーケットの中で、安心感のあるコンテンツを提供していけたらと思います。

――東京ゲームショウでは様々なゲームが出展されていますが、Kingタイトルはその中でどのような位置づけにあると思いますか?

枝廣氏: カジュアルゲームということで、ゲームを始めるときのエントリーとしてはいいと思いますね。日本のスマートフォン普及率は50%ほどですが、これは4、5年で70%になると言われています(CyberZ調べ)。

 スマートフォンは我々にとってはゲームデバイスなので、今までゲーム機に触れていなかった層がゲームに触れられるようになります。スマートフォンの普及が70%まで拡大した時に、新しい遊びを提供できますね。

――グリーのゲームなどを見ていると、スマートフォン用のゲームもハードコアに向かっていっているようにも思えます。その辺りはどう捉えていますか?

枝廣氏: そこはカジュアルゲームの普遍性で勝負ですね。色々とゲームはありますが、ハードコアなユーザーが今初代「テトリス」をやっても、やっぱり面白いと思います。ゴリゴリのハードなゲームが好きな方でも、「キャンディークラッシュ」をさっと楽しむという状況は十分に考えられます。

 私達の主戦場はカジュアルゲームです。スマートフォンが普及していくと、ゲームコンテンツも多様化していって、カジュアルゲームもハードなゲームも両方が大きくなっていくような気がします。あまり他社のタイトルのことは言うなと言われているのですが、ゲームロフトの「アスファルト8:Airborne」はリアルな3Dのレーシングゲームで、音もすごい。

 ハードコアのゲームはここまで求められていくのかと思いますが、我々は普遍的な理念である「Bite Size Brilliance」(Kingの合言葉。一口大の輝きの意)に現われているように、ユーザーフレンドリーで、ちょっとした時間に遊んで楽しいものを提供し続けることで、マーケット成長とともに僕らも成長できるのではと思います。

――個別のタイトルについて伺いたいのですが、最新作の「ペットレスキュー」について見どころを教えて下さい。

枝廣氏: ふとした瞬間にやって面白いというのはこれまでも共通です。ただ自分も苦労しているくらいにちょっと難しくなっていて、難しい分達成感があるようなものになっています。

――「ペットレスキュー」をプレイしていて1つ気になったのですが、このイヌやネコといった動物たちのビジュアルが日本的なかわいさとはちょっと違っていて、面白いゲームな分もったいないなと思ったのですが、ここは変わりませんか?

枝廣氏: ゲームのクオリティには自信があるのですが、ビジュアル面では仰るとおりです。ワールドワイドで同じものを提供しているので、今の内容を変えてしまうというのは現状難しいです。

 ただ我々もトライしていて、これから出てくるタイトルで制作中のコンテンツであれば、開発者と相談しながら好ましいイラストレーションにしていくというのは考えています。

――では最後に読者にメッセージをお願いします。

枝廣氏: これから先も良いコンテンツを出し続けていきます。それぞれのタイトルは色々な人に紹介してほしいくらい自信があります。スマートフォンを新しく持った友人がいたら、ぜひ勧めてください。

――ありがとうございました。

(安田俊亮)