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偽物のエースから本物のエースへ。「ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE」インプレッション

ドッグファイトの楽しさやハードボイルドなドラマはそのままに、新システムにより遊びの幅が広がる

【ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE】
10月2日 発売予定
価格:
9,790円(通常版)
15,730円(コレクターズBOX)
39,600(ACE of ACES BOX)

 偽物のエースから本物のエースへ——。そんな物語が描かれるプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Steam用ドラマティックフライトシューティングゲーム「ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE(エースコンバット8 ウイングス・オブ・シーヴ)」のメディア向け体験会に参加する機会を得た。

 前作「ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN(エースコンバット7 スカイズ・アンノウン)」から実に7年ぶりのナンバリング最新作となる本作。特殊兵装を2種類同時に搭載できるようになるなど、新しい体験を提供する新システムと、シリーズを通して受け継がれてきたドッグファイトとドラマの魅力を掛け合わせた、まさにシリーズ30年の蓄積を注ぎ込んだ一作だ。新システムと受け継いできた要素の継承、その絶妙なバランス感がシリーズファンを安心させ、さらにワクワクさせてくれる。

 本稿では、先行して本作の序盤部分と、一部ミッションをプレイできたので、その内容をお届けする。

【ACE COMBAT 8 アナウンスメントトレーラー「偽物の翼」】

基本はそのままに、モダナイズされたドッグファイト

 コントローラを握ってまず安心したのは、シリーズ作品で一貫して磨き上げられてきたドッグファイトの手触りが健在であることだ。旋回、加減速、ロックオン、そしてミサイルを発射し、敵機の撃墜という一連の流れ。これはシリーズ作品で遊んできたエースたち(プレーヤー)の本能に刻み込まれている感覚そのままだ。

ドッグファイトの楽しさはもちろん健在だ

 しかし、システム面は大きく変化している。もっとも大きな変化は、特殊兵装を2種類同時に搭載できるようになった点だ。

 特殊兵装は用途毎にいくつか存在し、ドッグファイトで活躍する4AAMといった一気に複数ターゲットをロックできるミサイルや、高威力で対地攻撃で活躍する無誘導の爆弾、ほかにも巨大な艦船に強い効果を発揮する対艦ミサイルもある。通常の兵装でも戦えるが、上手く使うことでより効率的に戦闘を進められる。それが特殊兵装という存在だ。

 これまでのシリーズでは特殊兵装は1種類のみだったので、大きな転換になる。そのため、ミッションの内容に応じて対空+対地、対空+対艦といった柔軟な兵装選択が可能になる。

 だが、2種類の特殊兵装を搭載すると、それぞれの搭載量が減ってしまう。そういった理由から、あえて1種類のみで出撃するという選択肢もある。

 対空が得意な機体、対地が得意な機体など、どの機体を選んで出撃するかでミッションの難易度が大きく変化するのはこれまでのシリーズ作品と同様だが、どの特殊兵装を組み合わせるかによっても、難易度は大きく左右される。

特殊兵装の使い方でミッションの難易度は大きく変化する。ここの自由度が上がったのは大きな進化だ

敵機の残骸が連鎖的な破壊を生み出す

 また、もう1つの大きな新要素として、被弾した機体の残骸が衝突判定を持ち、飛散する破片に敵機を巻き込むと連鎖的にダメージを与えられる「連鎖破壊」システムが導入されている。ミサイルで撃墜した場合はほとんど残骸が残らないが、機銃を使った場合は残りやすい。

 ただ、狙って連鎖させるのは正直言うと非常に難しい。これは、敵機を積極的に連鎖させていき多数の撃墜を狙うシステムというよりは、リアルな空戦を表現する手法だと感じた。

ミサイルで撃墜すると残骸は残らないが、機銃で撃墜すると残骸が残る

 また、ボス級の巨大な兵器に大きく影響する要素として、これまでは四角で強調表示されていた部位にのみダメージ判定があったが、今作では周辺のオブジェクトにもダメージ判定がある。ミサイルはロックオンで攻撃するのであまり関係ないが、ターゲットせずに機銃を撃ち込んでもダメージを与えられるようになった。

 しかも、こういった巨大な機体を破壊すると大きな翼の残骸が空に残ることが多い。これが、前述した残骸が敵機に当たるシステムとも重なり、リアルでダイナミックな空戦を表現しているのだ。

ボス級の巨大な機体と戦うときは、特に連鎖破壊が起こりやすい

「5」以来の僚機指示が復活。チームで戦う感覚が蘇る

 もう1つ特筆すべきは、「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」以来となる僚機への指示システムの復活だ。

 指示は4つあり、十字キーで選択できる。プレーヤーがターゲットしている敵を攻撃目標にする「前方攻撃」、バラバラに動き各機がそれぞれの敵を攻撃する「分散攻撃」、特殊兵装の使用を許可する「特殊兵装使用許可」、プレーヤーの後方に位置し、プレーヤーを狙う敵を優先的に攻撃する「援護」だ。

仲間と連携をとって戦える

 上手く使えば、より効率よくミッションをクリアできるだろうし、ゲームとしても面白くなるだろう。だが、今回プレイした難易度であれば、僚機への指示は必須ではないという印象も受けた。

 マメに指示を切り替えなくても、とりあえず「前方攻撃」や「分散攻撃」などの指示を出しておけば上手く戦ってくれる。ドッグファイトに夢中になりすぎて指示を出すのがおろそかになっても大きな問題にはならない。

 上位の難易度になるとどうなるかわからないが、今回プレイしたベテラン相当の難易度(シリーズ経験者向けの難易度)では、僚機への指示に意識を割きすぎる必要はないように感じた。

エースコンバットらしい戦場のドラマは健在

 続いて、本作のストーリーにも言及したい。舞台は2029年。中央ユージア連邦がソトア共和国の侵攻を受けて壊滅状態に陥る。主人公は旧式空母「エンデュランス」に拾われ、希望の象徴として語られる伝説のエース「シーヴの翼」を偽り、また空へ上がるというストーリーだ。

 この設定が本作のドラマを盛り上げるキモとなる要素だ。今回は序盤の数ミッションをプレイしたのだが、ネタバレを防ぐために詳細な内容はここでは取り上げることができない。

 ただ、1人のゲームライターとして自信を持って伝えられるのは、映画のようにスタイリッシュで、ワクワクさせてくれるハードボイルドさは今作でも健在ということだ。この世界へ入り込むような感覚を提供し、プレーヤーのテンションを上げる多くの要素が盛り込まれている。

 確かに、過去のシリーズ作品においても、プレーヤーを引き込むストーリーは大きな魅力の1つだった。もちろん本作でも、過去のシリーズ作品同様にドラマ部分には力が入っている。シリーズに共通するカッコよさ、ハードボイルドさ、クールさ——そういった要素が多く盛り込まれている。それは、我々プレーヤーの心の中にある“エースになる気持ち”を遠慮なく刺激してくるだろう。

主人公と関わるキャラクターたち。彼らとの様々な交流がドラマを魅力的にする

 さらに今作では、ムービーシーンのところどころでボタン入力が求められるインタラクティブな要素も挟まれていた。ただ眺めるだけではなく、プレーヤーが能動的にアクションを取る。この新要素もまた、我々プレーヤーを世界に引き込んでくれる工夫の1つである。

 ドラマで魅力的なのはそれだけではない。無線のやりとりについても言及する必要があるだろう。この点も安心してほしい。

 共に戦っている僚機の心強い台詞、敵機の皮肉な台詞回し、そういったドラマチックなやりとりが、空戦のテンション、ゲーム全体の没入感を引き上げてくれる。

 もちろん、ドッグファイトの楽しさが大前提だ。その楽しさをプレーヤーに提供した上で、ムービーシーンと無線がもたらすドラマが魅力をさらに引き出してくれるのだ。

新要素でゲームシステムは現代の水準に進化。もちろん、ハードボイルドなドラマは健在

 本作は、シリーズ作品で大切にしてきたドッグファイトの面白さを守りながら、新要素を盛り込み新しい体験をプレーヤーに提供する。その一方で、ハードボイルドでドラマティックなやりとりがプレーヤーの心を動かす。

 本作は、歴代作品にはなかった挑戦と、育ててきた魅力を融合させている。そこから生まれたエース体験は、シリーズ最新作としてバンダイナムコと開発チームが自信を持って送り出すことだろう。

 機銃で敵機を落とした残骸が連鎖を生み、主人公を囲むキャラクターとの会話があり、僚機の無線が響いた。この、短い時間ながらに凝縮された体験。それは数日経った今も、まだ頭から離れない。

 この空で本物のエースとして活躍できる日。その日が来るのが楽しみでならない。