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PS Vita「フリーダムウォーズ」体験会を開催。開発者との質疑応答も実施

発売はこの夏を予定。そして期間限定体験版の配布も決定

1月26日 開催

会場:ソニー・コンピュータエンタテインメント SSJ 品川ビル

独特な世界観も魅力の1つ
吉澤氏のギャグも挟みながら和やかに進行したトークショウ

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアは1月26日、現在開発中のPlayStation Vita用“奪還”マルチプレイアクション「フリーダムウォーズ」のイベント「『フリーダムウォーズ』×『プレコミュ』」緊急!レッツ開発会議!」を東京で開催した。2月1日には大阪会場でも開催される。

 タイトルに「開発会議」とあるとおり、ユーザーが体験し開発者と意見交換する場として開催された。イベントにはソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンスタジオの吉澤純一プロデューサーとシフトの保井俊之ディレクターらが参加。ユーザーと様々な意見交換を行なった。

 イベントではまずは吉澤氏と保井氏によるトークが展開。吉澤氏は「PS Vitaでブームを作りたい」と熱い想いをアピール。そのための最強の布陣としてゲームデザインに「ゴッドイーター」を手がけた保井俊之氏、開発に「ストリートファイター4」シリーズを手がけたDimpsの塚本高史ディレクター、そして「パタポン」シリーズを手がけたSCEの吉澤純一氏が手を組んだ。

 「フリーダムウォーズ」のキーワードは、「懲役100万年」、「奪還のマルチプレイアクション」、「都市国家対戦」となっている。まず「懲役100万年」だが、生まれ生きるだけで懲役が科せられるというような絶望的な都市国家「パノプティコン」を舞台に、市民を助け、貢献することで重犯罪者“咎人(トガビト)”となったプレーヤーは懲役を減らしていくことになる。この国家ではPT法と呼ばれる法律により、常に監視されている。監視しているのは人型をした監視者“アクセサリ”。

 そして「奪還マルチプレイアクション」に関しては、実機プレイを披露しながら説明された。多くのゲームが基本的に敵の殲滅を目的とすることが多いが、このゲームでは“奪還”が目的になるという。この日用意されたバージョンでは、巨大な敵・アブダクターに捕らわれた市民を奪還することが目的となる。この時、かならずアブダクターを倒す必要はない。アブダクターから奪還した市民は保護しなければならず、安全な場所まで連れて行く必要がある。安全な場所まで連れ帰って初めて目標を達成で、逆に言えばアブダクターを殲滅しても、保護した市民を目的地まで連れ帰る時間がなければミッションはミスとなる。

 アブダクターを攻撃し市民を取り返すと、このアブダクターは市民を抱えたプレーヤーを追ってくる。このことにより、アブダクターを攻撃する人や、逃げるのを補助する人など役割を分担する必要性が生じるようになっている。

 ゲームの流れ的にはこのようになるが、アクションそのものの特徴としては、Rボタンによる“荊ダイブ”が挙げられる。すでに公開されているプロモーションビデオ後半でも登場するが、カメラを移動させたときカーソルが青くなるときがある。このとき、荊のようなフックを射出することができ、これを引っかけ引き寄せることで高速で移動できたり、アタック攻撃(荊ダイブ攻撃)を繰り出すことができる。このアクションを体得すると非常にスピーディなアクションを実現でき、実際にプレイしたが、爽快なゲームとなる。Lボタンで敵をロックオンしRボタンで敵に取り付き△ボタンでアタック、そこからはこれを繰り返すことで地面に接することなく敵にダメージを与えられるといった、“魅せるプレイ”も実現できる。巨大な敵アブダクターに荊ダイブで取り付き、部位破壊を行なうことも可能。また今回は敵の心臓部に市民が捕らわれており、荊ダイブでこの部分に取り付き市民を助け出すといったステージとなっていた。。

 アブダクターの部位破壊を行ない持ち返るとそれを武器の素材にすることもできたり、クリアタイムによってより高価な報償や減刑が行なわれたりするようだ。

 そしてもう1つのキーワードが「都市国家対戦」。これはプレーヤーがネットに接続したときに47都道府県の都市を設定。他のプレーヤーと共にゲームをプレイし貢献することで、都市を盛り上げていく。どの都市が最も栄えているかランキング形式で表示される。

【出席者】
SCEのプロデューサーを務める吉澤純一氏
シフトの保井俊之氏
司会を担当したSCEJAプロモーション部の林慶太氏

【キーワード】
保井氏は「絶望的なデストピアを描きたかった」と説明

PS Vitaでブームを作ると宣言した吉澤純一氏
豪華な制作陣がそろった
キーワードは「懲役100万年」、「奪還のマルチプレイアクション」、「都市国家対戦」
「奪還のマルチプレイアクション」の項目では実機デモを披露。吉澤氏は魅せるプレイをするために「ものすごく練習した」とか
プレーヤーで都市国家を盛り上げることで、他の都市国家と競い合う。インターネットを通じてランク形式でどれだけ盛り上がっているか表示されるという
試遊風景。来場者3人に対してインストラクターさんがPS Vita TVで参戦。インストラクターさんが説明したり積極的に声を掛けたり質問に答えながらゲームをうまく進めていた

【スクリーンショット】

【キャラクター】
咎人(男性)
咎人(女性)
アリエス
ウーヴェ

アクセサリ(女性)
アクセサリ(男性)

「開発者会議」には、シフトでゲームデザインを担当する倉田誠氏、と征矢健太郎氏、SCEのクオリティディレクター・菅野有造氏も加わり意見を述べた
意見については3つの観点から話し合われた

 試遊が終了すると参加者はアンケートを記入。後半はこれをチェックした開発陣と来場者との意見交換が行なわれた。

 やはり肝となるアクション部分に意見が多く寄せられていたようだ。たとえば荊ダイブに関してだが、現状は荊を射出し高速移動し1度ジャンプをして視点を移動させて他の場所に荊を再度射出し次の移動地点に向かう……というアクションとなっているが、視点を移動させる手間がかかるため、背面タッチパネルをタップすることで手間を省き、より高速な移動を実現できないかといった意見が出された。この意見には、開発側も「本職の方(ゲーム開発者)ですか?」と舌を巻いた。

 また、荊の射出距離が短いのではないか? といった意見もあったが、開発陣によれば「長くなればより加速度が増してしまい、勢いが付いてステージの外に飛び出す現象が発生する」とコメント。このとき吉澤氏は「短いと感じることは適切なステージの構成になっているか見直す必要がある」とコメント。意見に対して直接的に効果を見直すのではなく、開発者側の意図した遊びを提供できるステージ構成になっているかを考え直すといった見解を示した。

 また、ロックオンが思った部位に当たらないといった意見も散見された。腕にロックオンして部位破壊を狙ったのに、足に当たってしまったといったことがあったという。この意見に対しては、アブダクターが激しく動くなどの理由もあるが、そもそもロックオンがどこにかかっているかわかりづらいなど他の要因もあることなどにも来場者との会話から判明。来場者へのアンケートや意見の吸い上げによって、どのように調節していくかの参考になったようだ。

 また難易度については、「簡単」と感じている人が多いようだった。敵・アブダクターの強さは適正だが、部位破壊が簡単に感じるなど様々な意見も寄せられた。実は開発陣が1人プレイをすると制限時間ぎりぎりに終わるかどうかといった難易度だというが、マルチプレイするとまた違ってくる。これらについても何度もプレイすることで難易度の感じ方が変わることも含めて様々な意見交換が行なわれた。

 今回の開発会議を聞いていると開発側は、意見に対して直接的に応えるわけではなく、意見の裏を探り、「なぜそのように感じるのか?」を知ることで、どのように仕様に反映させるのが正しいのかを探っているのが面白かった。

 そして最後には開発陣からのお礼として新情報が3つ発表となった。1つはポータルサイトのオープン。すでに特設サイトはできているが、2月に開設されるというポータルサイトはでは、開発者ブログや情報発信が行なわれるほか、ファンの意見を吸い上げることができるようなシステムを作り上げ、ファンと交流を図ることが目的となるようだ。

 2つめは発売時期について。これまで2014年としてきたが、今回の発表では2014年夏となった。今回の開発者会議での意見を反映させ、開発も佳境にさしかかることになる。

 そして3つめが期間限定体験版の配信決定である。配信時期は未定。期間限定とすることについては、明言はされなかったが、吉澤氏は「期間限定とすることで、できることがある」とコメント。何か特別なイベント的なものも期待できそうだ。

 保井氏は最後に「今日いただいた意見は必ず検討することをお約束します。よりよいタイトルにします」と挨拶。吉澤氏も「今日はお話ができて本当に楽しかった」と語り、「盛り上げて、5年、10年、50年と続くタイトルにしたい」と熱く語りイベントは幕を閉じた。

イベントラストに3つの発表が行なわれた。ポータルサイトのオープン、発売時期がこの夏に決定したこと、そして期間限定体験版の提供だ

司会(?)で会場を盛り上げたプロパくん
会場にはキャラクターや世界観を表すデコレーションが施され、イベントを盛り上げていた

(船津稔)