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日本クラン、大いに躍進! 「SPECIAL EXHIBITION MATCH 2013 ASIA」レポート

日本、中国、韓国の最強決定戦。武器バランスの調整などアップデート情報も

12月21日開催

会場:平和島 Red&Blue TOKYO

入場料:無料

 NHN PlayArtは12月21日、Windows用オンラインFPS「スペシャルフォース2」のオフラインイベント、「SPECIAL EXHIBITION MATCH 2013」を開催した。

 このイベント日本、中国、韓国の強豪クランを招き、頂点を決めるエキシビションマッチ。日本からは「Hi-Speed Tournament -CLASSIC- 」の優勝クラン「STRIFE」、「Hi-Speed Tournament -NewGeneration-」の優勝クラン「AX-Fivestars」、「SUPER LEAGUE 2nd Season GRAND FINAL」優勝クランの「Rylaiz」と豪華なクランが揃った。

 中国からは中国のFPS界のトップを走り続け、他のFPSタイトルでも結果を残している「NEW4」、韓国からは元プロゲーマー達で構成された韓国最強チーム「Lunatic-hai」が招待された。

 まずは日本の3クランでトーナメント戦を行なった日本代表チームと、韓国 vs 中国の勝利チームが決勝戦でぶつかりアジア最強を決めることになる。ルールはBO3(3本勝負で先に2本先取した方が勝利)で、1試合で6ラウンド先取したチームが勝利になる。

 本レポートではまずアップデート情報をお伝えした後、日本代表を決定する試合と、決勝戦のレポートをお送りする。

【イベントの様子】
協賛メーカーのデバイス体験コーナーがあり、多くの観客が最新デバイスを体験していた

武器バランスを調整。「MG」や「SMG」などの性能が向上

「スペシャルフォース2」運営プロデューサーの佐野亘氏

 「スペシャルフォース2」運営プロデューサーの佐野亘氏からは今後のアップデート予定の情報が発表された。

 まずは「武器バランスの調整」だ。12月11日~12月18日に現役のプレーヤー向けに実施されたアンケートで「アサルトライフル以外の武器があまり使われていない」、「『SIG551』、『K2』ばかり使われている」といった意見が多く寄せられたという。

 この結果を踏まえて佐野氏はバランス改修として「今までの“対戦”に新しい刺激をプラスしたい」と話し、具体的には「スピードブーツ」の実装、武器バランスを改修すると発表した。

 「スピードブーツ」は文字通り移動速度が上昇するブーツ。このアイテムの実装により戦闘ポイントへの移動時間の短縮、サブマシンガンなどの軽い武器の優位性向上が図れるという。「スピードブーツ」は1月実装予定で、「SP(ゲーム内通貨)」で購入できるという。

 武器バランスの改修については、非主流武器の「MG(マシンガン)」、「SMG(サブマシンガン)」、「SG(ショットガン)」、「AK103」の性能の上方修正、「K2」、「SIG551」は下方修正される。

 先行して実装されている韓国では「MG」、「SMG」、「SG」使用によるキル数の向上、「K2」、「SIG551」の使用率減少、「AK103」の使用率向上といった効果が上がっているという。これらの調整事項については1月から2月に段階的に実装予定。

 もう1つの発表として、「新規追加予定マップ」が2マップ紹介された。1つがチームデスマッチ用のマップ「ゴーストタウン」だ。文字通り人のいなくなった炭鉱街の様なマップで、誰もいない民家や炭鉱らしきロケーションが確認できた。こちらは1月実装予定となっている。

 もう1つが爆破モード用のマップ「ブラックホークダウン(仮名)」だ。こちらは中東の紛争地帯を連想させるような、崩れたコンクリートの建物や瓦礫などが確認できた。こちらのマップは近日実装予定となっている。

【アップデート情報】
武器バランスの改修について、幅広いプレーヤー層から概ね賛成という声が寄せられたという
移動スピードが上昇する「スピードブーツ」が実装される予定
人気武器の性能の下方修正、不人気武器の性能の上方修正が行なわれる

連携や立ち回りで戦うクラン「STRIFE」、個人技とAIMでねじ伏せる「Rylaiz」の日本代表決定戦

解説のYamatoN氏
実況のOooDa氏
MCのハンゲ太郎さん

 決勝戦に進出する日本代表を決めるのは、1回戦の「AX-Fivestars」戦を2本連続で制し、日本代表決定戦に進出した「STRIFE」と、シードで出場した「Rylaiz」との試合。

 特に「STRIFE」は1回戦で勢いある試合を見せており、ニコニコ生放送の勝利予想でも優勝を予想しているユーザーが多かった。2チームのプレイスタイルは対照的で、連携や立ち回りで勝負する「STRIFE」と、それを個人技と高いAIM能力でねじ伏せる「Rylaiz」。

 PCトラブルがあったため少し試合のスタートは遅れたが、リラックスして試合開始を待つ「STRIFE」と、空いた時間をウォーミングアップに当てる「Rylaiz」という、これもまた対照的な時間の過ごし方をしていたのが印象的だった。

 第1試合のマップは「デザートキャンプ」(ルールは爆破)。攻めが有利なマップと言われており、攻めの時に何ラウンド取得できるかが勝負の鍵を握る。

 前半2ラウンド目、「STRIFE」が1人、「Rylaiz」が2人生き残っているという状況。こういう状況の場合ツーマンセルで動いてお互いにカバーをしあうというのがFPSの定石だ。しかし「Rylaiz」は2人が離れて行動していた。これはセオリーに反する戦い方だが、“1:1の状況なら必ず撃ち勝てる”という自信があるからの動き方だろう。実際「Rylaiz」は1人倒されたものの、残った1人がキッチリと倒しきり「Rylaiz」がラウンドを取得した。

 前半終了時点のラウンド取得数は2 - 3と、「Rylaiz」が有利な展開だったが、味方同士のカバーや連携で戦っていく「STRIFE」も食いついている。

 続く後半戦も「Rylaiz」の個人技が爆発。6ラウンド目ではC4を設置中の「Rylaiz」に対し、後ろを取る「STRIFE」。「STRIFE」側が有利なシチュエーションだが、「Rylaiz」は冷静にC4設置を中断、振り向きざまにアサルトライフルで遠方の「STRIFE」メンバーの頭を撃ち抜き逆転するというスーパープレイも飛び出し会場を大いに盛り上げた。

 しかし一方の「STRIFE」も負けておらず、チーム内の連携と立ち回りで個人技の差をひっくり返していく。2 - 5と追い込まれた状況から、7、8、9ラウンドと連続で取得、5 - 5の状況で迎えた最終ラウンド、「Rylaiz」は一気にBの爆弾設置ポイントに雪崩れ込み、個人技で勝負を決めようとしたが、「STRIFE」がそれを上回る連携で固い守りを展開し「Rylaiz」を撃退する。そのまま最後までカバーができる配置で動き、「STRIFE」がラウンド勝利。4ラウンド連続勝利の6 - 5で1試合目は「STRIFE」が勝利を決めた。

 続く第2試合は「Rylaiz」が「バイオ研究所」(ルールは奪取)を選択。次に進むためには落とせないこの試合、「Rylaiz」が自信を持つマップだという。「絶対拾おうな!」と気合を入れて試合をスタート。こちらの試合も最終ラウンドまでもつれ込む接戦になった。

 前半、2 - 2で迎えた5ラウンド目。両チーム最後の1人が残り1 on 1になった状況で、敵を先に見つけた「STRIFE」。銃撃戦は先に見つけた「STRIFE」が制する……と思いきや、「Rylaiz」が冷静に振り返り個人技のAIM能力で勝利した。

 折り返して後半戦、2 - 4で迎えた7ラウンド目、出会い頭の撃ち合いでは「Rylaiz」が強かったが、「STRIFE」は2人、3人がお互いをカバーできるように動いていく。無理して突っ込まず、冷静に引いてツーマンセルで対応するという丁寧な連携プレーを展開。「STRIFE」がラウンドを制した。その後1ラウンド落としたものの、残る3ラウンドを制し、「STRIFE」が勝利。日本クランの代表として決勝戦進出を決めた。

【「STRIFE」 vs 「Rylaiz」】
クラン「STRIFE」のメンバー(左)とクラン「Rylaiz」のメンバー(右)
連携と立ち回りで戦う「STRIFE」と、個人技と高いAIM能力でねじ伏せる「Rylaiz」の試合

韓国最強の絶対王者「Lunatic-hai」の牙城を「STRIFE」が突き崩す!

韓国「Lunatic-hai」のメンバー
この1年で日本クランのレベルが大きく上がり、韓国のクランにも対等以上で立ち回れるようになった

 国を越えて「スペシャルフォース2」最強を決める決勝戦は「STRIFE」と、韓国「Lunatic-hai」の試合。

 「Lunatic-hai」は韓国のプロリーグで活躍したメンバーから構成されたクランで、昨年開催された「SPECIAL EXHIBITION MATCH 2012」に出場し、日本クラン圧倒的な実力差を見せつけた出場メンバーも在籍している、韓国、そしてアジア最強と言っても良いほどの強豪クランだ。

 その実力は解説のYamatoN氏が思わず“ラスボス”と表現してしまうほど圧倒的で、この試合の前に行なわれた中国「NEW4」との試合では1ラウンドも落とすことなくストレート勝利し、観客に格の違いを見せつけた。

 第1試合は「Lunatic-hai」が「バイオ研究所」を選択した。「バイオ研究所」は韓国のプロリーグでも使用されていたマップなので、熟練度がかなり高いマップだ。

 今回も韓国のトップチームとの圧倒的な実力差を見せつけられる……と思ったが、良い意味で期待を裏切られ、日本クランのレベルの高さを逆に見せつけるような試合展開になった。

 会場がざわつき始めたのは、前半第1ラウンドが始まってから。「STRIFE」がトマホークで颯爽と1st killを決め、更に「STRIFE」のスナイパーが2連続キルと好プレーを連発。そのままラウンドを制した。試合前は笑みが漏れるなど、余裕の表情を感じさせた「Lunatic-hai」も第1ラウンド終了時にはその余裕も消え失せ、一気に眼光が鋭くなった。

 そのまま取って取られてのシーソゲームが続き、試合は後半戦5 - 5で最終ラウンドを迎えた。流石に最終ラウンドということでお互い慎重な立ち回りになっていく。攻め側の「STRIFE」がターゲットのあるガラス張りの部屋をジリジリと包囲していき、一斉に中に飛び込んだ。激しい銃撃戦になったが、それを制したのは「STRIFE」、1セット目は「STRIFE」が制した。

 相手が選んだ得意マップで勝利できたのはかなり有利な展開で、勝利が決まった瞬間「STRIFE」のメンバーは絶叫するほどの喜び様だった。

 続く2セット目も「Lunatic-hai」にマップ選択権があり、選ばれたのは「工事現場」(ルールは脱出)。こちらもプロリーグで使用されていたマップで、「Lunatic-hai」の得意マップだ。かなり不利な状況に見えるが、「STRIFE」は全く引けを取らなかった。

 例えば2 - 3のラウンド状況で迎えた後半戦、第6ラウンド。脱出用のヘリを呼び出し、一斉にゴール地点に走って行く「STRIFE」。当然「Lunatic-hai」はそれを予想し厚い守りを展開しており、バタバタと倒されていく。しかしそこで動揺せずサイドの守りが薄いことを察知し咄嗟に横から回り込んだ。そのまま敵に撃たれながらもゴール地点まで走りきり「STRIFE」が勝利するという劇的な勝利を決めた。

 最終的に「STRIFE」は4 - 6でこのセットは落としてしまうのだが、ゴール地点直前まで到達したり、銃撃戦でギリギリの勝負まで持ち込んだりと、もう少し運とチャンスがあればひっくり返せるような結果だった。

 そして優勝をかけた最終セット。マップ選択権は「STRIFE」にあり、「デザートキャンプ」を選択した。このマップは韓国のプロリーグで途中から使用されなくなったマップなので、前2つのマップに比べると幾分か日本に有利なマップだという。

 「STRIFE」にとっては昨年のリベンジがかかったセット、「Lunatic-hai」も最強のプライドがかかった重要なセットで、両者ともに極限の精神状態で試合に挑んだ。特に「Lunatic-hai」の気合の入り方は凄く、試合前の気合入れの大きな掛け声を聞いた時は圧倒されそうなほどだった。

 このマップでは「Lunatic-hai」が得意とするスピードを生かした戦い方と、「STRIFE」が得意とする連携を生かした戦い方のぶつかり合いといった様相だった。

 第1ラウンドではC4設置ポイントを「Lunatic-hai」が急襲、そのままエリアを制圧しC4設置、守り切るというスピードを最大限に生かした攻めを展開し、「Lunatic-hai」がラウンドを制した。

 一方の「STRIFE」は得意のカバーをメインに使った戦法で反撃、1 - 3のラウンド取得状況で迎えた5ラウンド目、「STIRFE」のスナイパーの1st killで人数有利の状況を作り、カバーにカバーを重ねて着実に「Lunatic-hai」のメンバーを削っていき、「STRIFE」がラウンドを制す。

 このカバーを生かした戦法で戦闘を有利に運び、続く6、7、8、9ラウンドと連続でラウンドを取得。こうして「STRIFE」は悲願の優勝を達成した。

 試合終了後「STRIFE」のリーダー、StanSmith選手は試合を振り返り「韓国とは仕様が違う今回の大会でここまでの成績を残した『Lunatic-hai』には驚きました。来年から選手として活動できなくなるのですが、最後に良い戦績を残せて良かったです」と感慨深く話していた。

 イベント終了後「STRIFE」のリーダーStanSmith選手と、「Rylaiz」のリーダーKusaruN選手に話を伺ったところ「1番強く印象に残ったのは韓国『Lunatic-hai』の試合です」と話してくれた。参考になる要素が多かったのだという。次回があれば「STRIFE」には2連覇を、また「Lunatic-hai」、「Rylaiz」のメンバーには次回リベンジして欲しかったのだが、各クランとも事情があり同じメンバーで出場するのは難しいという。今回は熱いギリギリの試合が繰り広げられていたので、次回も同様かそれ以上の試合になることを期待している。

【表彰式】
優勝したクラン「STRIFE」。なぜか米俵が贈られた
準優勝の「Lunatic-hai」(左)と、3位の「Rylaiz」(右)

(八橋亜機)