Gamania、台湾台北市にて「2011 Gamania Game Show」を開催
“アジアの雄”が多彩多様な新規ゲームビジネスを披露!


9月8日、9日開催

会場:台北市台北華山藝文中心



 台湾Gamania Digital Entertainmentは9月8日、台湾台北市の台北華山藝文中心において、プライベートショウ「2011 Gamania Game Show」を開催した。会期は明日9月9日までで、終日2日間に渡って実施される。本校ではイベントの概要と先日行なわれた本社ツアーの模様をお伝えしたい。各新作タイトルの詳細については別稿にて詳しくお届けするつもりだ。

【台北華山藝文中心】
台北華山藝文中心は、老朽化した酒造工場を改装したイベントスペース。外壁も内装は雰囲気を残しつつ全面改装され、空調も完備。ネットワーク回線が細いというのが玉に瑕というところか

【オープニング】
コンパニオンのお出迎えを受けてスタートしたオープニングセレモニーは演舞から幕を開けた



■ Gamania初のプライベートショウ「2011 Gamania Game Show」

挨拶を行なうGamania CEO Albert Liu氏。Albert氏は挨拶の中で「ゲームはストーリー」というかつてからの持論を展開
オープニングトレーラーでは、「Core Blaze」の注目が一番高かったようだ
テレビ系メディアに取り囲まれるAlbert氏。実際、夜のニュース番組で本日のイベントの模様とゲームタイトルが紹介されていた

 「2011 Gamania Game Show(GGS)」は、同社初となるメディア向けの大規模なプライベートショウ。台湾メディアのみならず、同社がビジネスを展開している主要なエリアのメディア数十社以上を招待し、100名以上の国内外のメディアに向けて、20タイトル近くの新規タイトルを披露した。活発に活動しているリージョンのひとつである日本からも主要ゲームメディアを集めてメディアツアーが実施された。

 同社は昨年は東京ゲームショウに出展し、年頭の時点では今年も出展を検討していたものの、コスト的な問題や、ホストとして震災の影響に対する懸念などを勘案して、急遽お膝もとの台湾で実施することを決めたという。

 同社については、毎年2月に開催されるTaipei Game Showに合わせて実施しているGamania本社訪問取材を通じて定期的にレポートをお届けしてきているが、Gamaniaグループはここ数年うなぎ上りで業績を上げており、改めてその勢いとパワーを国内外のメディアに見てもらうという狙いもあるようだ。後述する本社訪問ツアーでもその勢いを十分に感じることができた。

 ちなみにGamaniaグループの昨年度の売り上げは58.58億台湾ドル(約158億円)。日本のゲームメーカーと比較すると、中規模の少し下ぐらいだが、オンラインゲーム専業というくくりで見るとトップグループに相当する。

 さて、GGS会場となった台北華山藝文中心は、もともと日本統治時代から存在していた酒造工場で、現在は主にアーティスト向けのイベントスペースとして開放されている。単一の建物ではなく、リノベーションされたレンガ造りの長屋が連なっており、その一区画を使用する形でイベントが実施された。タイトルごとに別の建物を用い、建物の内部はそれぞれのタイトルのイメージに合わせた趣向が凝らされ、開発担当者によるデモや質疑応答を交えながら、実際にゲームを体験することができた。

 初日のイベントは、メインステージを使ったオープニングセレモニーからスタート。ダイナミックな演舞、Gamania CEO Albert Liu氏による歓迎の挨拶、そして今回出展した4大オンラインゲームタイトル「Core Blaze」、「ラングリッサー シュヴァルツ」、「ティアラコンチェルト」、「ドリームドロップス」の最新映像の公開と続いた。内容的にはサプライズもなく、サービススケジュール等の発表もなくアッサリという感じだったが、セレモニー終了後には多くのテレビ系メディアがビデオカメラと共にAlbert氏を取り囲み、質問を重ねるなど、すこぶる高い注目を見せつけていた。

 今回発表された主要4タイトルについては後ほど詳しく試遊レポートをお届けするが、今回はこれら主要タイトル以外にも多くの出展があったのが印象的だった。Albert氏も挨拶の中で、新規タイトルの紹介はそこそこに、マルチプラットフォーム展開に注力していることを熱心にアピールしていた。ここ数年、同グループは、クライアント型のMMORPGの自社開発率の向上にこだわっていたが、また新たなフェイズへと突入したことになる。

 具体的な展開プラットフォームとしては、ソーシャル、モバイル、クラウドなどを挙げ、会場では、ガマニアジャパンが主導となって展開しているWEBゲーム(ブラウザゲーム)や、台湾でトップシェアを誇るSNS「Facebook」向けのゲームアプリ、そしてプロモーションの一環として提供しているiPhone/iPad向けのゲームアプリなどを見ることができた。

 意外なところでは、日本でも展開しているGamania独自の課金プラットフォーム「GASH(ぎゃっしゅ)」が「GASH+(ぎゃっしゅぷらす)」に進化し、GASH+という名前の子会社を香港に立ち上げ、汎用の課金決済ビジネスにも乗り出していたことだ。基本的なビジネス内容は、「GASH+」対応タイトルを増やし、「GASH+」のプリペイドカードをユーザーに販売し手数料を稼ぐというもの。

 このビジネスをわざわざ子会社化してまで拡大させようとしている理由は、Facebook市場が爆発的に成長していることが挙げられる。「GASH+」はFacebook Creditsに対応し、台湾や香港のユーザーは、クレジットカードを利用しなくてもFacebookに現金をチャージすることができるというわけだ。Facebookタイトルについては3タイトルが出展されていたが、こちらも別稿で詳しくお伝えするつもりだ。


【Gamania Openingムービー】

【会場の様子】
タイトルごとに別の建物を使用し、渡り廊下でつなぐという独特の構造になっていた。中に入るとタイトルイメージに合わせて趣向をこらした飾り付けでメディアを出迎えてくれた

【Core Blaze】
Gamaniaの開発子会社REDGATEがUnreal Engine 3.0を使って開発しているオンラインアクションRPG。サービス開始時期は依然として不明だが、発表から2年近くが経過し、かなり完成度も高まってきたようだ

【ラングリッサー シュヴァルツ】
日本のIPを使った日本企画、中国開発のオンラインアクションゲーム。多彩なクラスシステムと、独特のすくみ制度があり、PvEもPVPも頭脳プレイが要求されるゲームとなっている。サービス開始時期は未定

【ティアラコンチェルト】
音楽と魔法という明快なテーマが特徴的なMMORPG。日本市場を強く意識しており、日本人受けする要素がふんだんに盛り込まれている。サービス開始時期は未定

【ドリームドロップス】
音楽と魔法という明快なテーマが特徴的なMMORPG。日本市場を強く意識しており、日本人受けする要素がふんだんに盛り込まれている。サービス開始時期は未定



■ 本社訪問ツアーでGamaniaビジネスの多様性を再確認

毎度おなじみのGamania本社受付
Gamania本社ツアーの概要
18階のブランドセンターでは、Gamaniaのブランディングに対する取り組みを紹介してくれた

 イベント前日の9月7日は海外メディアを対象に本社訪問ツアーが実施された。弊誌では毎年本社取材を敢行しているため、あまり新しい情報はないだろうと高をくくっていたところ、2月の時点ではなかったような初見の施設が目立ち、今年に入ってまた全社的に大きくビジネスを拡大していることを感じさせた。

 今回は18階から1階まで9つのエリアを視察することができた。今回出展された「Core Blaze」を手がけるREDGATEや、台湾エリアのサーバーを管理するデータセンター、アニメーションを制作しているクリエイティブセンターなど、撮影禁止のエリアも多かったものの、リフレッシュルームや社員食堂など、社員限定のエリアを見て回ることができ、同社の充実した設備や取り組み、社員に対するホスピタリティの高さ、あるいは社員の活気、モチベーションの高さなどを実感することができた。

 中でもおもしろかったのは、「User Experience Lab」。日本ではあまり見られなくなったミラールームにユーザーを招待し、ミラーの内側から肉眼でユーザーの遊び方をチェックしたり、専用のソフトウェアでマウスの動き、目線の動き、キーボードやクリックを押した回数などを計測し、ゲーム開発に役立てるという。今年の2月にルームが完成し、実際に使用するのはこれからだという。

 また、Gamaniaが抱えているプロゲーマーチームGamabearsの部屋も初めて覗くことができた。活動を開始してから4年になるという同チームだが、一般のゲームファンから選び抜かれた13名が、Gamania専属のプロゲーマーとして、台湾のプロリーグに参戦している。

 ルームには13人全員が、「カートライダー」、「Special Force」、「Starcraft II」の3つのチームにわかれて監督とコーチの指導の下、練習が行なわれていた。側面にはスケジュール表や選手ごとに用意されたロッカー、そしてファンからいただいたというプレゼントなどが飾られ、Gamaniaの社内とは思えないような空間だった。

 ちなみに、現在台湾では、Gamania以外に、Wayi、サーマルティク、eSports協会の4つのプロチームがあり、ゲーム内外の様々なメーカーからスポンサーを集め、各種リーグが展開されている。設立当初はなかなかスポンサーがつかず大変だったと言うが、現在は認知度や人気も向上し、プロゲーマーが活躍できる環境が整いつつあるという。

 本社訪問では、Gamaniaのビジネスの多様性とユニークさを見せつけられたが、ゲームファンにとって大事なのはゲームコンテンツの中身だ。今回GGSで発表されたタイトルの詳細については追ってご紹介していくのでお楽しみに。


【User Experience Lab】
User Experience Labにはミラールームが2つあり、ミラーの内側の部屋からユーザーの動向を観察できる。PCには専用の計測器が取り付けられており、目線の動きやマウスの軌跡などを記録することができる。台湾のユーザーに対するリサーチは、日本以上に細かい

【Gamabears】
Gamaniaの社内でありながら、ここだけ合宿所のような不思議な雰囲気が漂うGamabearsの専用ルーム。彼らプロゲーマーたちは出社して帰社するまで1日10時間以上、担当のゲームを練習し続けるという。周囲の壁にはトロフィーやオリジナルグッズ、ファンからの贈り物などが飾られており、モチベーションを維持するのに役立ってるようだ

【Gamaisland】
社員食堂と打ち合わせスペースを兼ねるGamaislandは一階に移動していた。ドアは外部に面しているが利用できるのは社員だけだという。リフレッシュルームも2階に移動し、規模を拡大していた

(C) 2011 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.

 

 

(2011年 9月 9日)

[Reported by 中村聖司]