E3 2011レポート

「BF3」は10月25日発売! EAプレスカンファレンスレポート
「Mass Effect 3」ほか、Electronic Artの最新タイトルをチェック!


6月7日~9日 開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 現地時間6月6日、E3 2011の開幕を翌日に控えたこの日、ロサンゼルス市内のOrpheum TheatreにてElectronic Arts(EA)のプレスカンファレンスが行なわれた。

 世界最大手のゲームパブリッシャーであるEAは、今後およそ1年間の間に順次発売される新作ゲームタイトルの中から10タイトルをデモンストレーション。中でも注目の「Battle Field 3」や「Mass Effect 3」といった大作タイトルでは長時間のデモプレイも行なわれ、シリーズの進化をしっかりと感じることができた。

 このほかシリーズの歴史で初めて“車を降りる”ことになる「Need for Speed: the RUN」や、EA Sportsブランドのスポーツゲーム各種、facebook版「Sims」など、EAが発表した新作タイトルについて本稿でご紹介していきたい。



■ 最新エンジンで戦場の緻密な描写を実現。FPSファン待望の「Battlefield 3」

戦場、兵器、マルチプレイ……「BF3」の進化点を紹介
Patrick Bach氏自ら「BF3」のプレイを実演
戦車部隊が広大な平地を突き進んでいく。映像の品質が凄い

 まず始めにご紹介するのは、FPSファンにとって今年最大の注目作となりそうな「Battlefield 3」。2005年に発売された「Battlefield 2」から足掛け6年で遂に登場する、シリーズ本家本流のナンバリングタイトルだ。EAが放つ今年最大の“弾”となるだけあって、カンファレンスの最後にたっぷりと時間をとりデモンストレーションされた。

 紹介を行なったのは本作のジェネラルマネージャー、EA DICEのKarl Magnus Troedsson氏。まず本作で採用されているゲームエンジン「Frostbite 2」の進化ポイントとして、先進のアニメーションシステム(EA Sports作品のノウハウが生かされている)、破壊システム、巨大なスケールを表現するマップシステム、DirectX 11専用として作りこまれたレンダリングシステム、HDRサウンドをさらに進化させたオーディオシステムがショートムービーで紹介された。

 その上でTroedsson氏は、本作のマルチプレーヤーオープンβテストを今年9月に開始することを発表。βテストはPC、PS3、Xbox 360のマルチプラットフォームで行なわれるようだ。

 続いて、本作プロデューサーを務めるPatrick Bach氏が登場して、大戦車戦のシーンを実演。湾岸戦争の「砂漠の嵐」作戦を思わせる砂漠での戦闘シーンで、米軍の戦車部隊の一員として敵基地に攻撃をかけるシーケンスが紹介された。

 このシーンで注目したいのは、はるか地平線までリアルスケールで描かれるマップの表現もさることながら、そのスケール感で描かれる、ディティールに到るまで緻密に描写された兵器の躍動感だ。土煙を挙げて進む戦車隊の中、プレーヤーが扮するのは車長のひとり。ハッチを閉じて車内にもぐりこむと、様々な電装が戦場の情報を映し出している。手法弾を交換する砲弾手の姿も、目前に生き生きと描写されている。

 かなりの距離をとって展開される敵戦車部隊との砲撃戦をクリアすると、戦車隊は敵基地を前にしたカバーポジションで停車し、画面は車内視点へ。戦術スクリーンのひとつにフォーカスが写り、友軍の偵察機が中継しているであろう、敵基地を上空から捉えた白黒映像に切り替わる。

 ここでターゲット指示を出すと、まもなくA-10攻撃機による機銃掃射が行なわれ、一帯が粉塵に覆われる。こだわりを感じるのは、ヴォォォン!という“イボイノシシの咆哮”が、数秒のラグを伴って聞こえてくることだ。戦場のスケール感がこんなところでもしっかりと再現されているわけである。

 こうして陸・空の部隊が連動した統合作戦の格好をとってシーンが進行していき、最後は戦車隊が敵基地内に突入しての掃討戦へ。ほぼゼロ距離の砲撃戦あり、歩兵に対する直接照準の機銃掃射ありと「Battlefield」節が随所に炸裂。FPSファンの期待にそぐわぬ出来になっている。

 そして最後に、「Battlefield 3」の発売日が10月25日と発表された。対応プラットフォームはWindows Vista/7、プレイステーション 3、Xbox 360。マルチプレーヤーモードの同時参加人数はPC版が最大64人、PS3およびXbox 360版が24人となっている。


会場でのプレイデモでは、戦車部隊による戦闘シーケンスをひととおり見ることができた。長い距離を移動してからの砲撃戦に始まり、基地への航空支援、突入と、「Battlefield」らしいテンポで進む。スケール感溢れる戦場の雰囲気が見事だ

【Battlefield 3】
新エンジン「Frostbite 2」により、Windows版ではDirectX 11に最適化されるという本作。またWindows版では最大64人の対戦をサポートすることもあって、「Battlefield 2」以来のファンにはたまらない作品になりそうだ



■ 「Mass Effect 3」は来年3月6日発売。「Need for Speed」新作は車を降りてバトル?!

「Mass Effec 3」。人類も侵略の対象に?
デモプレイでは巨大ボスとの戦いを披露。さらにアクション性が高まった印象だ

 銀河社会に進出した人類と、その代表者であるシェパード少佐の活躍を描くアクションRPG「Mass Effect」シリーズ。その3部作の完結編となる「Mass Effect 3」は、発売日が2012年3月6日になることが発表された。会場で披露された各種のコンセプトアートでは、深宇宙からの侵略者である「リーパー」の軍勢が、銀河社会の居住区に直接襲いかかる様子が見て取れる。2007年の初代作以来、ここまで紡がれてきたシナリオが、いよいよ佳境に入るというわけだ。

 ゲーム内容面ではさらにアクション性を増したものになるようだ。プレイデモでは、シェパード少佐が巨大な昆虫型マシーンと戦闘を繰り広げる様子が披露された。このシーンでシェパード少佐は味方の操縦するビークルに乗り、後部に装備された銃座を操って巨大ボスと交戦。風景が激しく移り変わる中で、ライフバーもスキルボタンも存在しない、純粋なアクションが展開していく。

 映像で確認できた範囲では、前作で登場した仲間の多くが今作でも登場するほか、シェパード少佐の武器として、右腕の「オムニツール」が剣となって敵を突き刺す、新種の近接攻撃を確認。Xbox 360版ではKinectによる音声認識に完全対応することも確認されており、「Mass Effect 3」はアクションRPGファンにとって見逃せない、多くの新機軸を備える作品になりそうだ。


【Mass Effect 3】
スクリーンショットからは新武器の存在も確認できる。もちろん、最も気になるのは、この物語がどのように完結するのか……。発売が早くも待ち遠しい



「NFS: the RUN」を紹介した、作品プロデューサーのJason Delong氏
車を降りても走る! 走る!

 一方、新機軸というよりは伝統破壊をやってのけようとしているのが「Need for Speed」シリーズ。毎年新たな作品が発売され、リアル風、アーケード風と作風がコロコロ変わることで有名な本シリーズだが、今回の新作「Need for Speed: the RUN」では、なんとプレーヤーが車を降りる。

 レースゲームで車を降りるとはなんのことやらとビックリしてしまうが、本作のプロデューサーを務めるJason Delong氏は大真面目だ。「Need for Speed: the RUN」ではサンフランシスコからニューヨークまでの、大陸横断ルートがフィーチャーされる模様で、プレーヤーはライバルカーや警察車両からの“逃走”をプレイすることになる。

 会場で披露された映像では、まず車両でレース中のプレーヤーが、横から一般車両に激突されて大破。車を抜けだすと今度は銃撃を浴びそうになるので走って逃げる。続いてヘリから銃撃を受けるなど物々しい雰囲気の中、パルクールよろしくビルの屋上をジャンプしながら駆け抜けていく。やがて警察車両に鉢合わせすると、ボタンの早押しゲームの要領で格闘戦。2人の警官を倒して、今度は車を奪ってまた逃走だ。

 最後のシーンでは道路から転げ落ちて大破した車両の中、もがきながら脱出しようとするとそこは線路の上という状況。カンカンカンという踏切の警告音を耳にしながらようやく車内を脱すると、目の前には電車が猛スピードで迫ってきて……。非常に、アドベンチャーゲーム色の濃い作品になっていることは間違いない。

 昨年の「Need for Speed: Hot Pursuit」で導入された、オンラインでレース体験を共有する「Autolog」システムもさらに進化して搭載されるという。このようにレースゲームを基調としつつも、シリーズ初の「ノンジャンル」なゲームになりそうな「Need for Speed: the RUN」。果たしてどんな世界を見せてくれるのか、続報をご期待いただきたい。



【Need for Speed: the RUN】
カーレースあり、パルクールライクな逃走術あり、そして格闘シーンや脱出アクションもありと、もはやレースゲームの概念を超えた存在になっている「NFS: the RUN」。もう何が何やらという感じだ


【FIFA 12】
ピーター・ムーア氏も登場したEA Sports作品の紹介。そのトップバッターは「FIFA 12」だ。前作「FIFA 11」は全プラットフォームで総計4,200万人がプレイしたという。今作のキーワードは“Impact Engine”。選手同士の体のぶつかりあいをさらに精密に再現し、球際の競り合いや怪我といった要素がさらにリアルに。そして緻密に操作できるドリブルシステム“Precision Dribbling”で一瞬のファンタジーを演出する


【SSX】
スピード感溢れるスノーボードアクションに、雪崩からの逃走や崖下へのダイブ、ヘリへ飛び移るといった非現実的なスタントがたっぷりのスノーボードゲーム。キャラクター要素やアドベンチャー要素を強調する作風はEA Sportsの新機軸か?


【The Sims social】
facebook上で楽しめる「Sims」が登場。上映された動画では、リアルの異性を「Sims」の中に登場させて素敵な毎日を送る様子が。facebook上でその毎日を報告する発言がリアルのものとしか思えず、うらやましがる友人も。そこで出たセリフが「彼氏を見つけられなければ、創れば(Build)いいじゃない!」


【Madden NFL 12】
アメフトゲーム「Madden NFL 12」の紹介では、リアルのチャンピオンチームの選手達が登場するという気合の入りよう。筆者は門外漢なのでよくわからなかったが会場の歓声はものすごいもので、さすがアメフトの本場であるなと圧倒された次第


【OverStrike】
昨年新たにEAとパートナーシップを結んだInsomniac Games(代表作は「RESISTANCE」シリーズなど)は、スーパーヒーロー系アクションゲーム「OverStrike」を発表。個性的な能力を持つ4人のヒーロー達が、悪っぽい何かと壮絶バトルを繰り広げる作品になるようだ。どことなく戦隊モノの空気が漂う。対象プラットフォームはPS3、Xbox 360


【Kingdom of Amalur: Reckoning】
Big Huge Gamesおよびその傘下の38 Studiosが開発するアクションRPG「Kingdoms of Amalur」は動画を中心に世界観とゲーム要素が紹介された。剣と魔法、モンスターの跋扈する壮大な中世ファンタジー世界を舞台とするRPGとなっている


【StarWars Old Republic】
Biowareの協同創業者兼ゼネラルマネージャーのGreg Zeschuk氏が開発の指揮をとるMMORPG「StarWars Old Republic」は、昨年に引き続きムービーのみの紹介。いくつか新しいあカットを見ることができたが、リリース日など具体的な情報には触れられず。続報に期待したいところ

(2011年 6月 7日)

[Reported by 佐藤カフジ]