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【EA Asia Showcase】EA/Insomniacの新型TPS「Fuse」プレビュー

「Overstrike」がリニューアル、FS要素満載の4人CO-OPアクション

12月11日、12日開催

会場:Luxe Hall

 「EA Asia Showcase」最後のレポートとなる「Fuse」は、2011年のE3で「Overstrike」というタイトルで発表され、今年改めてタイトルを変更したFPSだ。開発元は、「ラチェット&クランク」、「RESISTANCE」シリーズなど、PlayStationプラットフォームのセカンドパーティーとして数々の大型タイトルを手がけてきたInsomniac Games。今回、Electronic Artsと初のタッグを組み、いわば“ホーム”のPS3のみならず、Xbox 360にも展開していく。ちなみに、EAはPC向けオンライン配信プラットフォーム「Origin」へのシフトを急速に進めつつあるが、「Fuse」に関してはコンソールのみの展開となる。

【「Fuse」Announce Trailer】

4人のチームプレイが求められる新感覚のSFTPS

取材に協力してくれた「Fuse」クリエイティブディレクターのBrian Allgeier氏

 「Fuse」は、“Fuse”と呼ばれる地球外からやってきたオーバーテクノロジーが存在する近未来を舞台にしたSFTPS。Ravenと呼ばれる準軍事組織が、政府が秘匿するFuseを盗み出し、この圧倒的な力を軍事利用することを企む。この危機に対し、CIAは「Overstrike 9」と呼ばれる組織にコンタクトを取り、この脅威を取り除いてくれることを依頼する。この「Overstrike 9」こそが、主人公4人が所属する組織の名前であり、プレーヤーは、この4人を操作し、パキスタンの軍事拠点を舞台に、“Fuse”を悪用しようと企む組織を壊滅に追い込んでいくことになる。

 このゲームの特徴はなんといっても、ゲームタイトルにも使用されている“Fuse”の力を宿した武器の存在だ。これを「Xenotech Weapon」と呼んでおり、主人公たちのみならず、敵も積極的に使ってくる。「Fuse」では“Fuse”の存在により、現代的な銃器に留まらない、大小様々なエネルギーウェポンが登場し、派手なレーザービームとエフェクトでゲームを賑わせてくれる。

 4人のキャラクターは、それぞれタイプの異なるプライマリーウェポンを所持しており、これがFuseの力を宿したXenotech Weaponとなっている。各人が所持しているXenotech Weaponは、それぞれ近距離用、遠距離用、盾タイプ、弓タイプなどと分かれており、このXenotech Weaponの特性をすべて把握した上で、適宜、操作するキャラクターを切り替えながら、プレイするのが基本的なスタイルとなる。もちろん、特定のキャラクターだけ操作し、他の3人はAIに任せきることも可能だ。

 Xenotech Weaponは、通常の武器と比較して集弾率も高く、威力も高めで使い勝手に優れており、さらに特殊効果を備えている。具体的には前方に透明のシールドを張ったり、トラップを生み出したり、一定範囲内にヒールの効果をもたらしたり、連続ヒットさせることで敵を氷結させたり、異次元に吹き飛ばしたりできる。それぞれ特殊なエフェクトによる演出が用意されており、派手なエフェクトに彩られたバトルはSF感たっぷりだ。

 さらに、Xenotech Weaponは使い続けることによってゲージが貯まり、これが最大まで貯まると“Fusion”を発動できるようになる。このモードでは、Fuseのパワーが増幅され、通常攻撃が強化されるだけでなく、特殊能力もさらに強力になる。このFusionをいつ繰り出すかが、ゲームのキーポイントとなる。

 このXenotech Weaponによる銃撃や特殊効果は、Xenotech Weaponで敵を倒すことで得られる“Fuseポイント”と呼ばれるポイントシステムを利用することで強化でき、好みの特殊能力を伸ばしていくことができる。このアップグレード効果は、後述するマルチプレイ「Echelon」にも適用され、シングルプレイキャンペーンとマルチプレイはまったく別のモードでありながら、キャラクターデータは引き継げるというところがこのゲームの特徴となっている。

【メンバーたち】
主人公格のナイスガイDalton Brooks(左)。Xenotech Weaponは「MAGSHIELD」。自分の前面に、メンバー全員をカバーできるシールドを張ることができる。うまいプレーヤーが彼を使えば、かなりゲームを楽に進められそうだ
Jacob Kimble(中央)。彼が所持するXenotech Weapon「ARCSHOT」は、クロスボウタイプとなっており、威力に優れたボルトを遠距離の敵に対して撃ち込むことができる。スナイパー除去に能力を発揮するキャラクターだ
Naya Deveraux(手前)。彼女のXenotech Weapon「Warp Rifle」は、敵を異次元に飛ばしてしまう兵器で、セカンダリーとして、姿を消すクローク能力を使うことができる。Fusion中は、周囲の敵をまとめて異次元に送り込み、大活躍していた
Isabelle Sinclair(左)。敵をクリスタル化するXenotech Weapon「Shattergun」を持つ。セカンダリーとして一定範囲内の味方のHPを回復するヒールを使える。通常武器としてスナイパーライフルも所持しており、後方支援タイプのキャラクターと言えそうだ

実際にキャンペーンをプレイ! 1人でキャラ切り替えバトルも楽しいが、4人ではもっと楽しい

Fuseの力で戦局を打開する。画面のエフェクトはNaya Deverauxの「Warp Rifle」。周囲を巻き込む形で敵を異次元に送り込む強力な兵器だ
Jacob Kimbleの「ARCSHOT」。Fuseの力で敵を燃やし尽くす
グレネードもかなり有効

 EA Asia Showcaseでは、雪に閉ざされた敵の拠点を襲撃するシナリオをプレイすることができた。CO-OPにするかどうかはあまり意識する必要が無く、オープンゲームで1人で始めて、遊びながら参加者を待つのもいいし、友人や第三者のゲームに参加しても良い。途中参加、離脱は自由で、この辺りは、CO-OPシューターの金字塔「Borderlands」シリーズと変わらない。

 まずは1人でプレイしてみた。カバーリングアクションが基本のTPSで、基本的なプレイスタイルは「Gears of War」シリーズを想像して貰えるとわかりやすい。ただ、敵を倒すには大量の銃撃が必要で、次から次にやってくる絶え間ない敵の増援部隊、頭を上げるゆとりを与えない嫌らしいほどに正確で優秀な敵スナイパーなどなど、プレイフィールはまさに「RESISTANCE」シリーズだ。とりわけ敵の攻撃は熾烈で、ダウンした仲間をほいほい救出しにいこうとすると、もろともやられてしまう。この点は、良い意味でも悪い意味でも覚悟しておく必要がある。

 仲間のAIは、しっかりカバーアクションを使い、身の安全を守りながら、適切な攻撃を加えてくれるし、ダウンしても速やかに助けてくれるが、その一方で、突破力という点ではほとんど期待できないため、まずはスナイパー系のXenotech Weaponを持つキャラクターで、施設の上から狙っているスナイパーを1人ずつ片付け、ついでアサルトライフル系のキャラクターに切り替え、前線を押し上げていく感じになる。

 他のシューティングアクションと比較すると、かなり時間が掛かるゲームになっている印象があるが、これが「Fuse」独自の味わいと言えるだろう。「Fusion」を適切なタイミングで使うと、固まっている敵を1度にまとめて倒せたり、膠着した戦局を一気に変えられてかなりおもしろい。Aiming命というタイプのシューターではなく、作戦や機転が重視されるシューターと言えそうだ。

 同じステージを4人によるCO-OPプレイも試してみた。この場合は、キャラクターは固定となるが、欠員が出て、AIが操作を担った場合は切り替え可能という仕様。もともとが4人キャラクターのゲームなので、4人CO-OPになったからといって難易度が変わった印象はないが、このゲームは、4人のうち誰か1人でも死ぬと即ゲームオーバーとなるため、なかなか気が抜けない。1人が突出して進み、その上でダウンしたりすると、ゲームオーバーはほぼ確定という味付けであるため、4人による手堅いプレイ、息の合ったチームワークが求められる。近年、多人数CO-OPでここまでキッチリチームプレイを要求するタイトルは少ないように思うので、この点もこのゲームの特徴と言えるだろう。

 4人CO-OPでは、1人プレイの時はどうしても倒せなかったロボットタイプのステージボス2体を、みんなで協力して倒すことができた。みんなでヒール効果を受けながら防戦したり、透明のシールドに守られながらみんなで攻撃したりなど、AIとではなかなか難しい、効率の良いバトルができたのが勝因だった。4人フレンドを集めるのは大変だが、ぜひ4人CO-OPでプレイしたいゲームだと思った。

マルチプレイモード「Echelon」は、何度も繰り返し楽しめるランダム要素を備えた4人による協力プレイ

Echelonは大量の敵を相手にすることになるので、効率的にまとめて排除することが重要となる

 「Fuse」にはキャンペーンとは別に、独自のマルチプレイモード「Echelon」を用意している。対戦モードではなく、4人の仲間が再び顔を合わせる協力プレイモードで、様々な軍事拠点を舞台に、キャンペーンとは反対に、侵攻してくる敵を4人で撃退するという拠点防衛モードとなる。今回は、潜水艦基地のマップをプレイする事ができた。

 こちらは4人で、敵は大量にウェーブ単位で襲いかかってくる、倒した敵からは報酬がドロップされる、と、ここまではオーソドックスなルールだが、「Echelon」のユニークな点は、ウェーブの内容がランダムなところだ。いわゆるザコ敵が出てそれを倒すだけのシンプルなウェーブから、ステージの特定箇所を敵の攻撃から守り抜くウェーブ、ボスクラスのモンスターが出現するウェーブなど、ウェーブにはかなりのバリエーションを用意し、毎回ランダムになるようだ。

 敵を倒すと、経験値が獲得できるほか、銃器や弾薬、お金など様々なアイテムが得られる。お金は、人の大きさほどのある“ドル袋”や“金の延べ棒”といったユニークな形で表現され、これを貯めることで武器購入やアップグレードに使用することができる。

 ウェーブのラストには大ボスが登場し、これを倒すとステージクリアとなる。この大ボスには2度プレイして1度だけ挑戦することができたが、まったく叶わなかった。エネルギー縄みたいな攻撃を繰り出してこちらを捕縛し、近づいてきて持ち上げ粉砕するという怪獣映画のような攻撃でやられてしまった。この攻撃に捕まってしまったらダウンと同等の状態として、速やかに仲間が助ける必要があるようだ。

 この「Echelon」は、複数のマップが用意され、敵の出現パターンがランダムで設定されているため、何度も繰り返し楽しむことができる。ここで稼いだお金や獲得したスキル、アイテムはキャンペーンに持っていくこともできるという。バランスの面で若干心配ではあるが、「Gears of War」タイプとも、「Halo」タイプとも、はたまた「Borderlands」タイプとも異なる新しいタイプのCO-OPシューターの誕生だ。

(中村聖司)