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「WoT」、「WGL APAC-ASIA Season 2 2015-2016 FINALS」開幕!

日本で公式「強化合宿」が開催? EL Gamingは圧巻の強さで決勝へ

3月5日、6日 開催

場所:YongsaneSports Stadiumホール

 Wargaming.netは、「WGL APAC-ASIA Season 2 2015-2016 FINALS」を3月5日、6日の2日間にわたり開催している。場所は韓国のYongsaneSports Stadiumホール。

 「WGL APAC-ASIA Season 2 2015-2016」は、オンラインタンクバトル「World of Tanks」のアジア最強を決める決定戦。出場するのは全4チームで、韓国サーバーから1チーム、中国サーバーから1チーム、さらにアジアサーバーから2チームが選出される。本大会を勝つことで世界大会「WGL The Grand Finals 2016」への出場権も獲得できるということで、世界を目指す上でも重要な大会となっている。

出場チーム

・EL Gaming(アジアサーバー)
・Horsemen(アジアサーバー)
・RefornGaming(中国サーバー)
・GOLD BASS(韓国サーバー)

Watch live video from wargamingasia_japanese on www.twitch.tv

Caren Tigerは出場を逃す! Wargaming公式「強化合宿」開催も明言

「WGL APAC-ASIA Season 2 2015-2016」ファイナリストのチーム代表メンバー

 選出方法は「WoT」トップリーグである「ゴールドシリーズ」の中で、昨年11月から開始されたシリーズ戦を戦うというもの。シーズン終了時、上位チームで争うプレイオフを勝ち抜くことで、本戦への出場権を獲得できる。

 前回大会である「Season 1」では、アジアサーバー枠で日本からCaren Tigerが出場したのだが、今回は出場を逃している。シリーズ戦の成績だけで言えばトップ通過だったのだが、プレイオフで敗北を喫するという残念な結果に終わった。

 この敗因についてはCaren Tigerが自身のブログ記事にて振り返っているが、このブログによれば、何より準備期間が足りなかったことが大きく響いたのだという。今シーズンは使用戦車制限がTier 8からTier 10まで引き上げられ、ルール変更によって戦術の組み立てが大きく変わる状況だったのにも関わらず、万全の体制でプレイオフを迎えられなかったとしている。

 本人たちが満足できていない練習量だった、というのは非常に残念であるが、その一方で、この状況もアマチュアチームとしての限界であると見解が述べられている。

試合前のインタビューに応じてくれたWargaming.net Head of Customer Relatins AsiaのDeon Pek氏(中央)、Senior eSports Manager AsiaのJini Jeon氏(左)、eSports Manager AsiaのJustin Foo氏(右)

 大会前にはアジア地域のコミュニティ、e-Sports管理を行なっているWargaming.net Head of Customer Relatins AsiaのDeon Pek氏に話を聞く機会を得たのだが、Caren Tigerについてはメンバーは学業も就活もある不利な状況にも関わらず、前回大会では出場を決めたことそのものに感心していたそうで、それほど環境として不利であることがわかる。

 完全なプロチームであり「Season 1」の優勝者である中国のEL Gaming(今回はアジア枠代表)に比べれば当然練習量を上回れないわけで、現状のままでは日本にとっては厳しい戦いが続くなと思っていたのだが、Deon氏からは、Wargaming主催で「強化合宿」を日本で開催する予定がある、という面白い話も聞けた。

 この「強化合宿」は、e-Sportsを地域に根付かせるために、「WoT」プレーヤーを次のレベルへ引き上げることを目的として開催されるもの。これまではフィリピン、マレーシア、台湾で開催されていたが、今年は日本と台湾に注力するそうだ。内容の詳細は未定ながら、この強化合宿によって新たな日本チームが育つことも期待できる。

 Deon氏は、日本のチームは「面白い試合をしてくれる」という印象があり、次シーズンでの出場を期待しているという。Caren Tigerは今シーズンは残念だったが、次シーズンはぜひとも出場権を獲得してほしい。また他の日本勢の活躍も、大いに期待しておきたい。

どこまでも冷静なEL Gaming、韓国GOLD BASSを圧倒

冷静で強いEL Gaming
不利な状況も簡単に攻略させず、そこからの逆転も何回か見られた

 さて、3月5日に開催された大会初日の準決勝戦であるが、前評判通りEL Gamingが強さを見せた。

 前述通り、EL Gamingは「WoT」に最大限の練習量を捧げられるプロチームである。試合前のインタビューでは、他のチームは新たに考えた戦術を見てほしい、車両の選択が大事といった新ルールに対する言及が多かったのに対し、EL Gamingは「制限がTier 8からTier 10に変わっても基本は変わらない。ベストなパフォーマンスをお届けしたい」と冷静にコメントしていた。

 この冷静さは、やはり確かな練習量に裏打ちされた自信の表われだろう。プロアマ混合で開催される本大会では有利な反面、「アマチュアに負けるわけにはいかない」というプレッシャーもあるわけだが、この日改めて確認できたのは、どんな状況でも崩れないEL Gamingの強さである。

 準決勝戦での相手は、韓国GOLD BASS。観覧席は当然地元のGOLD BASS(KONGDOOの改名チーム)を応援するわけだが、その冷静な判断と連携力でGOLD BASSを圧倒していった。

 象徴的だったのは、EL Gaming4勝、GOLD BASS1勝で迎えたマップ「Cliff」の第6ラウンド。GOLD BASSが開幕直後にEL GamingのT49、Bat.-Chatillon 25 tの2車輌の撃破に成功し、断然有利に立つ展開となる。

 EL Gamingの残り車輌はTVP T 50/51が3両、STB-1、そしてBat.-Chatillon 25 t。Bat.-Chatillon 25 tとSTB-1が丘の上を陣取り、TVP T 50/51は連携して近くの岩陰にいる状況だったが、ここを好機と見たGOLD BASSが丘上の2両を狙ってラッシュをかける。

 EL Gamingはそのまま潰されるのかと思いきや、丘上のBat.-Chatillon 25 tが頭上から砲火を浴びせ、続いてTVP T 50/51が挟みこむようにGOLD BASS陣営を攻撃する。

 GOLD BASSにも攻撃力の高いBat.-Chatillon 25 t、TVP T 50/51がいたものの、地理的な優位と正確な弾数管理によって逆にGOLD BASS側のダメージが膨らんでいった。最終的に残り2台同士までもつれ込むものの、丘上にいたままノーダメージだったEL Gaming側のBat.-Chatillon 25 tが残りの車輌を刈り取っていき、見事な逆転劇を決めた。慌てる様子もなくGOLD BASSの攻めを捌く様子は、正に圧巻だった。

Maus4両が連なって走る様子。珍しくも面白い狙いが隠されていた

 またこの対戦では、GOLD BASSがRuinbergでMausを4両使うという思い切った作戦を見られたことも良かった。試合前の車輌選択画面でMausが4つ並んだ時は会場からどよめきが起こったのだが、狙いとしては占領エリア内で体の小さい車輌(今回はObject 416)をMausで囲み、どの位置からもObject 416が撃たれない状況にして、そのまま占領達成を目指すというものだ。

 壁役のMausは撃破されてもその残骸が壁として残るため、完璧に決まれば防御側は手も足も出ないという興味深い作戦である。実際の試合ではMausでObject 416を囲むところまで成功し、あとは残り時間が過ぎ去るのみとなった。

 これがこのまま成功すれば面白かったのだが、EL Gaming側は残骸となったMausを複数の車輌で押して隙間をこじ開ける作戦に出た。Mausの1両の位置がじわじわとずれていって、ついに隙間が空くと、中にいるObject 416へ集中砲火して防衛に成功。GOLD BASSの奇策に対し、やはり慌てずに対処するEL Gamingの冷静さが光ったラウンドだった。

 準決勝戦で勝ち残ったのは、このEL Gamingと中国チームのRefornGaming。RefornGamingはRazerがスポンサーとなっているプロチームであり、決勝戦はこの2チームの対決となる。中国同士の試合となっているのも注目だが、RefornGamingがEL Gamingにどこまで迫れるかも注目だろう。決勝戦は、3月6日19時からの開催予定となっている。

Mausでガッチガチに囲まれるObject 416(左)。完成までもう少しだったが、EL Gamingに射線をこじ開けられてしまった

(安田俊亮)