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「WoT」、ひたすら強いアジア王者「EL Gaming」の練習方針とは?
「WGL APAC Season 2 2015-2016 FINALS」決勝戦で見たEL貫禄の実力
(2016/3/7 14:05)
オンラインタンクバトル「World of Tanks」のアジアチャンピオンを決める「WGL APAC Season 2 2015-2016 FINALS」は、前回チャンピオンのEL Gaming(EL)がRefornGaming(RG)を7-4で下し、貫禄の優勝を飾った。
3月5日の準決勝戦を勝ち抜き、決勝戦に進出したELとRG。同じ中国同士の対戦となっていたが、やはりELの実力が上回った対戦だったと言える。
決勝戦のルールは、7/68の攻撃/防衛戦で、7勝先取の12ラウンド制。終わってみれば確かにELの圧勝だったのだが、その立ち上がりには2連敗しており、決して順調なスタートとは言えなかった。
RGは、マップ「Steppes」、防衛側で開幕した初戦から駆逐戦車「T95」を投入し、丘の上からELの頭上を押さえる作戦が成功。2戦目はELの隊列を裏から発見する、崖上に車輌を押し上げる「トレイン」実行中のところを発見する、ラッシュを仕掛けられる直前に居場所を発見するなど、先読みがすべて良い方向に出て、ELの攻撃機会を見事に潰していた。
ELが隊列を崩して慌てているところも珍しかったが、さらにはそのまま2連敗を喫することも珍しい。下馬評を覆すようなRGの活躍ぶりに、「もしかすると」と筆者を含めた観客、視聴者は少なからず思わされたはずだ。
しかし、続く3戦目でRGの読み違いのミスからELが勝利を上げると、ELはだんだんと本来の力を取り戻していく。RGの不用意な飛び出しを見逃さずに弾を撃ち込む、撃ち合いになれば取りこぼしをせずにきっちり刈り取っていくなど、練習で積み上げたELならではの底力が目立った。
RGはその後も調子自体は悪くなく、開幕直後にELのSTB-1に出会い頭の1発と自走砲の1発を刺して撃破寸前にするなど、優位な立場になるような冴えはところどころで見せていたのだが、その後の攻撃でELに上手く絡め取られる展開が多かった。この辺りはRGがミスしたというよりは、ELの本来の実力が出たという印象だ。
試合後のインタビューでELにこの辺りの心境とチーム内の状況を聞いたところ、ELとしてはあくまで「普段と変わらない。序盤はたまたまRGの調子が良かっただけ」とクールだったようで、慌てたという認識は微塵もなかったようだ。
では準決勝のGold Bass戦で、Maus4台でObject 416を囲まれた時に上手く対処したラウンドはどうだったかと聞くと、「過去に他のチームと練習した際に同じような状況はあったので驚きはしなかった」という。ただし「1度も経験がなかったら、相当焦ったと思う」とも話し、さすがのELと言えども奇襲攻撃は一定の効果がある様子だった。
ELはその高い連携力と個々の高い実力が特徴的だが、その練習方法を聞くと「メンバー全員が戦術を理解すること」に注力しているという。新しい戦術や技術を思いついた時に、作戦や連携の流れを含めてこれらを「理解」するため、コミュニケーションしながら毎日8時間練習するそうだ。
ちなみに作戦上最重要な「指示」の出し方のポイントについても聞いてみたのだが、大事なのは「マップ全体の状況を把握すること。その上で、戦闘中にどこかマップの大事なポイントに気がついたときに、近くの隊員にすぐに指示を出すこと」だとした。
さらに「誰が最も近くにいるかを把握しつつ、適切な選手に指示を出すのも大事。後は指示を出されたプレーヤーが、ベストの実力を出し切って行動すること」とも続けてくれた。毎日8時間練習するというのがまさにプロの話だが、「やるべきことをやる」という実直な姿勢を改めて知ることができた。
ELについては、世界大会「WGL The Grand Finals 2016」へぶっちぎりのアジアチャンピオンとして赴くこととなるが、これについても「優勝が目標ではなく、練習の成果を出すことが目標。その結果として、優勝に繋がると良い」とブレない。この冷静さをもって、ぜひ世界の頂点を獲得してもらいたい。