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Logitech、米国ポートランドにてオーディオラボ見学ツアーを実施

「G633」、「G933」はどのような工程を経て誕生したのか!? インプレもお届け!

9月以降順次発売予定



価格:オープンプライス

ロジクールオンラインストア価格:20,130円(「G633」)

24,130円(「G933」)

 Logitech Internationalは米国時間の8月26日、米国オレゴン州ポートランドにおいて、オーディオラボ内の見学ツアーを開催した。同日お披露目されたゲーミングヘッドセット「G633」、「G933」の発表に合わせて行なわれたもので、新型ゲーミングヘッドセットの企画から誕生までの一連の工程を、現場スタッフの説明を聞きながら確認することができた。社内見学ツアーの締めくくりには、発売に先立ち、「G933」の初期ロットを体験することができたので、合わせて紹介したい。「G633」、「G933」の日本での発売は9月以降を予定し、価格はオープンプライス。ロジクールオンラインストア価格は、「G633」が20,130円、「G933」が24,130円。

【Logitechオーディオラボ】
オフィスは針葉樹林が生い茂る森の中にある
オフィス内部は新しくなった新ロゴで統一。入り口には各種Gシリーズが飾られていた

「PRO-Gオーディオドライバー」ありきでスタートした「G633」、「G933」の設計

 Logitechのオーディオラボは、オレゴン州ポートランドの北部を流れる、ワシントン州との州境となるコロンビア川を渡ったキャマスという小さな街の中にある。km単位の川幅を誇る大河を渡り、川岸のフリーウェイを通って、針葉樹林が続く細い道をしばらく走ると、やがて綺麗に整備されたラボが見えてくる。ここはかつてLogitechがオーディオ部門強化のために買収したLabTecが拠点を置いていたところで、現在はLogitechのオーディオ部門の拠点として、スピーカーやヘッドフォン、ヘッドセットなど、Gシリーズ、UEシリーズなど全ブランドのオーディオ関連製品の開発が行なわれている。

 ツアーバスがオフィスに到着するや否やLogitechのゲーミングブランド「Logitech G」シリーズを率いるUjesh Desai氏のウェルカムスピーチと、担当者による「G633」、「G933」の簡単な商品紹介がはじまり、それが終わると、さっそく複数のグループに分かれて終日掛けて社内見学が行なわれた。社内見学といってもいくつかの部屋だけだろうと思っていたら、主要な部屋にはすべて入ることができ、かつそれぞれの担当者から詳細な説明を聞くことができた。

【Ujesh Desai氏によるオリエンテーション】
Logitech GシリーズトップのUjesh Desai氏
Desai氏が手にしているのが「PRO-Gオーディオドライバー」
ウォームアップは音楽当てテスト。当たるとポートランド名物「Voodoo Donuts」が食べられる
そして初公開された「G633」、「G933」
「G633」
「G933」

 社内見学で特に印象的だったのは、「G633」、「G933」のデザインが行なわれた部屋と、「PRO-Gオーディオドライバー」が設計された音響ルーム、そして社内シアターLogitech Signature Studioだ。

 最初に訪れたデザインルームでは、中央の木製テーブルに、3Dプリンターで作られたモックをはじめ、各種素材やパーツ、全体のプロトタイプなどが所狭しと飾られていた。

 「G633」、「G933」は、40mm径のドライバーユニット「PRO-Gオーディオドライバー」の採用が最大の特徴となっているが、新しい筐体デザインの設計は、この「PRO-Gオーディオドライバー」を、日本未発売の現行モデル「G930」にはめ込むところからスタートしたという。

 そしてイヤーカップやアームヘッドなどヘッドセットを構成する各パーツを、3Dプリンターを使って微妙に角度やサイズの異なるものをいくつも作成してはモデルデザインを調整。基本デザインが完成したところで、実機に近い素材で作られたフィットモデルを使って、頭に直接接触するイヤーカップのパッド部分などの細部の設計に移っていく。

 ちなみにイヤーパッドは、「G930」の合皮から、「G430」、「G230」等で採用されているメッシュに変わっている。ただし、同じメッシュでも微妙に肌触りが異なり、より柔らかく、軽くなっている。テーブルには実際にテストに使われた合皮、メッシュ、布地など、様々な素材のパッドが置かれ、実に様々な選択肢の中から選ばれたことがわかる。

 イヤーパッドは取り外して丸洗いできるが、このイヤーパッドを取り外すと中央に「PRO-Gドライバーユニット」が搭載されたイヤーカップの内側が丸見えになる。このイヤーカップ部分にも一工夫があり、実はイヤーカップの内側は、フラットでは無く、耳の形に合わせてややえぐれるようにへこんでおり、これにより耳との直接的な接触を回避し、快適な付け心地を実現している。完成一歩手前のパイロットビルドには、フラットタイプから様々なえぐれ方をしているものがあり、こちらもまた試行錯誤の様子が窺える。

【デザインルーム】

 次に訪れた音響ルームでは、いわゆる無響室をはじめ、ヘッドセットやスピーカーの音響特性を計測できる機材が取りそろえられ、音に対するこだわりをこれでもかとばかりに見せつけられた。

 目玉はやはり「PRO-Gドライバーユニット」だ。直径40mmの「PRO-Gオーディオドライバー」は、従来とサイズそのものは変わっていないが、素材が大きく変化していることが紹介された。これまでのオーディオドライバーの素材は、透明塩化ビニールのような透明な素材が採用され、通常の周波数帯では問題ないものの、特定の周波数帯を超えると微細な振動に耐えられず、歪みや音割れとなって影響が出てしまう。

 これに対し、「PRO-Gオーディオドライバー」は厚みのあるカーボン紙のような素材を採用し、これまで問題が出ていた周波数帯でもしっかり耐え、ノイズの少ない綺麗な音が出せるようになっている。また、内蔵マイクも披露されたが、よりコンパクトにしながら、指向性が上がり、ノイズを拾いにくくなるなど、基本性能も向上させたという。その分、コストもかなり高くなってしまったようだ。

【音響ルーム(PRO-Gオーディオドライバー)】
オーディオデバイスの心臓部であるPRO-Gオーディオドライバーの設計現場も見ることができた

 無響室では、中央に「G933」を装着した洋服を着た人形が置かれていた。入り口を閉めると、残響音がシャットアウトされ、直線的にしか声が届かない。ここではマイクの性能がチェックされている。人形は口の場所にスピーカーが配置され、そこから音が出るようになっている。無響室でチェックすることで、人形が放つ声が、ボディの反射を含めてどのようにマイクに到達しているのかを厳密にチェックし、もっとも綺麗に音が聞こえるように調整を行なっていく。

 てっきり無響室では、ヘッドセットのイヤーカップから漏れるサウンドノイズを計測し、防音性能向上に役立てているのかと思っていたが、そちらにはあまり注意が払われておらず、重視していない印象だった。このあたりはやはりゲーミング仕様というべきだろうか。

【音響ルーム(無響室)】
無響室で収録された様々なデータを分析し、製品作りに役立てていく

LGSにその名を冠した「Logitech Signature Studio」。その驚きのデモとは?

Logitech Signature Studio
「G633」、「G933」向けのLGSも一足先に見ることができた

 サプライズの連続だったのがLogitech Signature Studioだ。主にスピーカーのサウンドテストを行なうための試聴室だが、ここでは「G633」、「G933」で初搭載されたヘッドフォン向けサラウンドシステム「DTS Headphone X」の実力を体験することができた。

 なぜ「G633」、「G933」のデモをわざわざ試聴室で行なうのか。それはデモの途中で判明した。最初のデモは、室内に置かれた7chスピーカーの各位置から1つずつ音を鳴らしていくスピーカーテスト。まずは何も付けずそのままの状態で聞く。完璧にチューニングされた試聴室だけに、モニターに映し出された位置と、聞こえる位置が完全に一致する。

 続いて傍らに置かれた「G933」を装着して再度テストする。ここで不思議なことが起こった。先ほどのテストとまったく同じように聞こえるのだ。実は「G933」が無効化され、先ほどと同じように外部スピーカーから音が出ているのかと思って「G933」をこっそり外してみると、音は「G933」からしか出ていない。声質、位置、ボリュームがまったく同じで、違いがわからない。これは凄い!

 この完璧にチューニングされた音響効果は、LGS(Logitech Gaming Software)のサラウンドサウンドミキサーの「DTS Headphone X」で実際に選ぶことができる。つまり、「DTS Headphone X」の音響効果「Logitech Signature Studio」を一足先に体験したというわけだ。

 Logitech Signature Studioでは、そのほかにも「Call of Duty Modern Warfare III」のスタートシーンや、「TITANFALL」のマルチプレイシーン、そして2匹のカエルのムービークリップを通じて、「DTS Headphone X」のサラウンド効果を体験することができた。

 いずれもヘッドセットを通して、音が発生している位置がぴたりとわかる。視点を回すと音がぐるぐる回り、空間的な広がりをビジュアルに加えて音響でも確認することができる。これはいい。「G633」、「G933」のウリはズバリ「DTS Headphone X」の対応だ。そう言い切れるぐらいこの効果は絶大だ。このツアーは、このシアターのデモを見せるために行なわれたのではないかと思えるぐらい、インパクトのあるデモだった。

【LGSデモ】
DTSの設定項目。この中に「Logitech Signature Studio」がある
プロファイルが用意されているゲームもある
イコライザー
RGBイルミネーション設定
RGBイルミネーションは、マウス、キーボード、ヘッドセットで光らせ方を同期させることができるだけでなく、「Counter-Strike: Global Offensive」では、キーボードにHPバーを表示させたり、倒されるとヘッドセットが真っ赤に染まるなど、独自の使い方ができるタイトルもある

【無線機能をチェックするルーム】
「G933」の無線通信機能は、「G930」より強化しており、センサーが2つになり、50%の性能向上を実現。実用可能距離は約20メートルだという

【電波をチェックするルーム】
こちらは電波をチェックするルーム。各国ごとの電波法の規制を満たす仕様になっているかどうか、外部からの電波の干渉を受けないかどうかなどがチェックされている

【静電気に対する耐久性をチェックするルーム】
こちらは静電気の影響を調べるルーム。静電気を上回る15kboltの電気を、接続部や端子部分に当てて故障しないかどうかをチェックするルーム

「G933」ファーストインプレッション

試遊会の様子
自らも体験するロジクールGブランドアンバサダーのStanSmith氏

 社内見学ツアーが一通り終わると、様々なバリエーションで実機を体験することができた。

 まずはオーソドックスに、DolbyとDTSが体験できるデモでは、「Battlefield 4」と「ALIEN: ISOLATION」を「DTS Headphone X」環境で体験することができた。「Battlefield 4」は、屋外のオープンフィールドならではの空間的な広がりを感じさせる自然な環境音が素晴らしい。基本性能の高さに加えて、ぴたりとハマるマルチチャンネルサウンドが耳に心地よい。

 続いてAlt+TabでLGSを適宜呼び出して、サラウンドサウンドミキサーの項目で、DTSとDolbyを切り替えてプレイしてみたが、音に位置情報が加わるマルチチャンネル対応という点ではどちらも同じだが、音の広がりがまるで違っていた。Dolbyが、室内のマルチスピーカーから音を出しているような狭っ苦しい音なのに対し、DTSでは空間的な広がりも自然に表現されている。LogitechがDTSの採用にこだわったのも頷ける話だ。

 そのほかのデモでは、「G933」限定機能として「The Wireless USB mix Adapter」のRCA
Audio Outポートを使って、レコードプレーヤーをワイヤレスで聴いたり、PCとXbox Oneの両方に接続してPCとXbox Oneを同時に使う、つまり両方の音がヘッドセットから聞こえてくる状態で使ったりなど、多彩な使い方を体験することができた。

 ちなみに有線モデルの「G633」には、USBドングル「The Wireless USB mix Adapter」が付いていないため、上記のような使い方はできない。USB接続でPCで7.1chで使うか、3.5mmジャック接続で、ゲームコンソールやスマートフォンなどで2chで使うかの2択となる。

 日常的にゲームはヘッドフォンでプレイするという人には、多様な使い回しができる「G933」がオススメだし、少しでもコストを抑えつつ「PRO-G」クオリティとDTSサラウンドサウンドを味わいたいなら「G633」がオススメできる。音にこだわる人も、そうでない人も、すべてのゲームファンにオススメしたいゲーミングヘッドセットだ。

【G933独自機能】
「The Wireless USB mix Adapter」。いわゆるUSBドングル
このUSBドングルと、モバイルバッテリーは、いずれもイヤーカップ内に収納する形になる

【G933の多彩な使い方】
PCのみ
PCとモバイル
コンソール
モバイル
ホームシアター
PCとコンソールとモバイル

(中村聖司)