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【EA Asia Showcase】EA/Crytek、「Crysis 3」プレビュー

濃密な草原地帯が広がる新エリア“Field”を初公開、Hunterモードも新マップで対戦!

12月11日、12日開催

会場:Luxe Hall

 欧米では、最高ランクのゲームを示す「AAA(トリプルエー)タイトル」という表現を好んでよく使う。メーカーが自称する場合は、単に掛ける予算がAAAというだけだったりもするが、一般的な定義として、FPSの分野ではゲームプレイ、ゲームエンジン、マルチプレイの3つがいずれも高水準に達していることが条件とされる。さしずめ、「Halo 4」や「バトルフィールド3」などはAAAタイトルのひとつに数えられるだろう。

 そして2013年、FPSの分野で名実共にAAAタイトルのひとつに数えられそうなのがCrytekの「Crysis 3」だ。前作「Crysis 2」でのコンソールゲーム開発経験と「CryEngine 3」実装ノウハウを活かし、最新バージョンの「CryEngine 3」のポテンシャルをフルに活かした作品となっている。

 奇しくも日本では「シムシティ」と同日の3月7日発売予定となっているが、「Crysis 3」もまた素晴らしい作品に仕上がっている。「EA Asia Showcase」ではシングルプレイキャンペーンとマルチプレイの両方をプレイすることができたのでその模様をレポートしたい。なお、「Crysis 3」プロデューサーMichael Eliot Read(Mike Read)氏へのインタビューも実施したので、こちらも後ほどお伝えしたい。

【Crysis 3】
「Crysis 3」では前作に引き続いてニューヨークが舞台になるが、前作から20数年の時間が経過し、ニューヨーク全域が森と化している

「CryEngine 3」の圧倒的な表現力を実感できる新エリア“Field”をプレイ!

シングルプレイキャンペーンはPC版が用意されていた
超美麗グラフィックスが60フレームでヌルヌル動作していた。GPUはGeForce GTX 680のSLI環境。PC版を快適に遊ぶためにはかなりのハイスペックPCが必要になることは覚悟しておいた方が良いだろう
このステージの終盤に登場したサイコ軍曹。なぜかナノスーツを着ておらず、なかなか危なっかしい存在だ

 PC版で実施したシングルプレイは、初公開となる新マップ“Field”をプレイすることができた。Fieldは、マンハッタン島の西に位置し、鉄道の整備場として、複数の車両が連結された列車がすっぽり入る巨大な整備工場と複数の車両、そして線路が引かれている。プレーヤーは地下エリアから工場に潜入し、CELLオペレーターやエイリアンの囲みを突破し、数少ない仲間であるサイコ軍曹と合流し、同地を突破しなければならない。

 このFieldで驚かされるのは、もはや“完璧”といっていいほどに作り込まれたレベルデザインだ。ステージ前半の舞台となる整備工場では、丸みを帯びた天井の崩落箇所から幾筋もの光が差し込み、構内のホコリでキラキラ輝いている。ステージの奥は空気が汚れているためか良く見渡せず、そのよどんだ空気感、廃屋の雰囲気の創出は、いまだかつてないものがある。

 地下から建物に侵入すると、すぐCELL部隊に遭遇することになる。軽々に銃撃戦に持ち込むと、すぐさま1対多の局面となり、不利な戦いを強いられるため、ナノスーツの基本スキルのひとつであるステルスで身を隠し、ダッシュで側面を移動するなどして、避けられる戦いは避けていくことが基本的な戦い方となる。チェックポイントが設定された2階には自動応戦型のタレットが2機配置されており、主人公プロフェットを見つけ次第、激しい銃撃を浴びせてくる。このタレットは銃撃や手榴弾などで倒すこともできるが、オススメなのは弓矢だ。ライトニング属性の矢で狙うことで、1発で撃破することができる。

 と、こう説明すると簡単なようだが、実際はこのステージは筆者自身を含め、多くの試遊者が苦戦していた。それはついつい「Call of Duty」のようなノーマルなFPSの感覚でシューティングテクニックだけで突破しようと考えてしまうからだ。「Crysis」シリーズは、バランシングがシビアで、敵のAIも優秀であるため、力業ではなかなか上手くいかない。プロフェットが装着するナノスーツやボウなど、与えられたスキルを上手く生かしながら難所を突破していくことが肝要となる。

 廃工場を突破すると、背丈ほどもある草が鬱蒼と生い茂った広々とした草原地帯となる。しかし、よくよく見ると、あたりのオブジェクトは廃棄された車両で、地面には線路が引かれ、草がないところは停車駅だったりする。このシーンは、まさに「CryEngine3」の面目躍如といった感じで、背丈ほどもある草は、近くまで寄っても精細に描かれたままで、中に入ると無数の草によって視界が遮られてしまうほどだ。こうしたシーンで高速で移動してくる獰猛なエイリアンが襲いかかってくるのだからたまらない。

 ここでは、またステルス&ダッシュで一気に突破するのもいいだろうし、列車の上に登って車両を飛び移っていきながら、草の間を疾風のように駆け巡るエイリアンを上から狙うのもいい。その後、サイコ軍曹と合流し、タレットによる防衛戦を乗り越えた後、稼働する列車を動かして2人で敵の囲みを突破することになる。

 防衛戦は、ミリタリーFPSの定番である主人公がタレットに取り付くと、それをトリガーに前方から敵が襲いかかってくるというもの。草原の海原から、サメのようなスピード感で襲いかかってくるエイリアンを、その都度タレットの砲弾をぶち当てて撃ち倒していく。砲弾を撃ち込むと、その度に草が大きく揺れ、木に命中させるとバキッと折れる。ドカドカ破壊できる感覚は実に気分爽快だ。

 Fieldエリアのラストシーンとなる列車のシーンは、敵が潜むトンネルを高速で抜けていくことになる。敵を2人で撃破しながら進んでいくとカットシーンへと繋がり、デモは終了となる。今回はクリア優先で、難易度を落としてプレイしたが、また難易度を変えて再チャレンジしてみたいシーンだ。

【Field屋内】
左はイメージイラスト、右はスクリーンショット。実機ではこのイメージイラストと殆ど変わらないクオリティで再現されていた

【Field屋外】
草の表現が素晴らしい。必見の出来映えだ

HunterとCell Operatorとの緊張感のある戦いが楽しい「Hunterモード」を新マップで体験!

イベントの中盤までトラブルで動作せず冷やっとさせられたが、無事動作してくれた
Hunterモードはルールがわかりやすいため、ライトユーザーも巻き込んで人気が出そうだと感じた

 マルチプレイは、「Crysis 3」で新たに搭載されるマルチプレイモードのひとつ「Hunterモード」で、“Airport”と呼ばれる廃港を舞台にした12人対戦を楽しむことができた。ちなみにプレイしたのはXbox 360版で、PC版なら最大16人まで拡張され、専用サーバーも利用可能となる。

 このAirportも今回初公開のマップで、Natham Goldと呼ばれる「Crysis」シリーズの登場人物にちなんだ名前が付けられた架空の空港が舞台となっている。上に登れば格好のハンティングポイントとなる廃棄された旅客機と、草木が生い茂った屋外エリア、細かく入り組んだ荒廃した建物、そして隠れるのに最適な土管などがある川エリアなど、複数のエリアで構成されている。

 Hunterモードは、シングルプレイの主人公プロフェットと同じ性能を備えた“Hunter”と、Hunterを狩るために派遣されたCell Operatorに分かれて戦う対戦モードで、1ゲーム2分の5ゲームでスコアを競うという非常にわかりやすいモードだ。

 Hunterは常に2人からスタートし、残りはすべてCell Operatorとなる。HunterがCell Operatorを倒すと、Cell OperatorはHunterとして生き返り、残りのCell Operatorを他のHunterと共に狩っていくことになる。

 5ゲーム中Hunterになるのは1回で、ほかはすべてCell Operatorとしてプレイすることになる。Hunterモードのポイントは、Hunterになったゲームで、Cell Operatorを狩りまくることではなく、Cell Operatorの際にいかにHunterの攻撃から身を守り、生存し続けられるかとなる。というのも、Hunterは、常時ステルス能力が使え、身を隠しながら敵を攻撃できるだけでなく、一撃必殺の弓矢攻撃を備え、さらに移動速度も最速設定になっているなど、非常に有利だからだ。

 Cell Operatorでプレイしていると120秒のプレイ時間の間、20秒おきにポイントが加算され、Cell Operatorの生き残りが3人以下になってくると、ポイントにボーナスが付与される。最後の1人の段階で、長時間生き残り続けるとがっぽりポイントが獲得できる仕組みで、他のユーザー全員がHunterとして自分を狩るために捜索を続けているというドキドキ感がたまらない。

 一方、Hunterは、常時ステルス、高速移動、一撃必殺の弓矢攻撃という圧倒的なアドバンテージを備えてはいるものの、実際にプレイしてみると、性能が高すぎて、それらのスキルを活かして効果的に戦うのは意外と難しい感じで、自分の移動スピードが速すぎてうまく射撃タイミングが取れなかったり、矢をつがえるのにもたもたしてるうちにあっさりCell Operatorにやられてしまうことがあった。

 Cell Operatorの際に、小ずるくハイディングポイントに隠れてポイントを稼いでおきたくなるところだが、あらかじめ仲間の場所を把握していたプレーヤーがHunterになった際にまっさきに殺されてしまうなど、いわゆるスナイモ(安全地帯で芋虫のように動かないスナイパー。マルチプレイでは忌避されるプレイスタイルのひとつとされる)を許さないバランシングになっているのが好印象だ。スピード感があり、決められた時間でキッチリ終わる点もいい。「Crysis 3」の定番となりそうなマルチプレイモードだ。

 最後に「Crysis 3」のマルチプレイモードについてわかっている範囲内でまとめておくと、最大プレイ人数はPC版が16人、コンソール版は12人、PC版のみ専用サーバーを立てることができる。発売時のマップ数は12枚で、今後有料のマップパック等で増えていく見込み。対戦モードは8つあり、現時点で判明しているのは今回紹介したHunterモードと、前作「Crysis 2」からの再収録となるClash Siteが実装されることが判明している。Mike Read氏の話によれば、ほかにもデスマッチやチームデスマッチなど定番のモードももちろん入っているということで、まだ未発表の新モードも用意されているようだ。

【クライシス 3:The 7 Wonders ティーザー映像】

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(中村聖司)