「東京おもちゃショー2012」レポート オススメおもちゃ編その1

インキの技術を活かしたおもちゃや職人技が光る「ナノブロック」など


6月14日~17日開催(一般公開日は16日、17日)

会場:東京ビッグサイト 西1~4ホール



 東京おもちゃショーは、多数のブースが、溢れんばかりにおもちゃを陳列している。最新技術を活用したもの、新しい取り組み、老舗メーカーの挑戦、ユニークな海外のおもちゃ……おもちゃは多彩な種類と、そのおもちゃならではの楽しさがある。

 そして、どのおもちゃにも出展者のこだわりと、ユーザーを楽しませよう熱意が込められている。そこで、筆者が会場で見ることができたおもちゃの中から、「オススメおもちゃ」としてピックアップしていきたい。6月16日、17日は一般公開日であり、誰でも無料で入場できる。本稿が、おもちゃショーを楽しむためのガイドブックになってくれれば幸いだ。



■ インテリアおもちゃから、ゲーム、楽器、バラエティ豊かなタカラトミーアーツ

現実の景色にモンスターが重なる「モンスターシューティングリアル」
焚き火気分が味わえる「FireWood」

 タカラトミーアーツはおもちゃショーの中でも「見て楽しい」ブース、ナンバー1である。とにかくユニークな試みのおもちゃが盛りだくさんで、その“実演”も面白い。「ロボフィッシュ」は水槽内を動き回るおもちゃ。熱帯魚飼育の雰囲気を味わえるが、内蔵電池の容量が多いときには下にいて、電池が減ってくると徐々に上に上がっていくのが面白い。7月に発売で、1個1,500円だが、ブースでは大量のロボフィッシュが水槽にいて、壮観だ。ちょっとリッチな雰囲気を味わえるだろう。

 「モンスターシューティングリアル」は、カメラと連動した光線銃で、周囲をスキャンし、モンスターを探し出し、モニターを通してしか見ることのできないモンスターと戦うという、“拡張現実”を活用したシューティングゲームである。また、一緒に展示されているドラゴンと“釣り竿型の剣”で戦う「ドラゴンハンティング リアル」にも注目だ。このコーナーは、それぞれのゲームのコンセプトに合わせた、カッコイイコスチュームに身を包んだコンパニオンがいるのも楽しい。

 この他にもパペット型の楽器「パクパク合唱団」はタイミングに合わせてボタンを押すだけでの演奏ができるだけでなく、本格的な電子楽器としても使える。年末発売予定だが、面白楽器として注目したい。また、“渋さ”を感じるおもちゃとして「FireWood」がある。こちらは、薪が火に燃えているような演出が楽しめるインテリア型おもちゃで、もちろん実際の火は使わない。コーナーが必要以上にアダルトな雰囲気を出しており、そのスタッフの遊び心が面白い。

熱帯魚型の「ロボフィッシュ」。たくさん魚を揃えた状態を見れる。連続稼働は2時間
「モンスターシューティングリアル」と、釣りアクションでドラゴンと戦う「ドラゴンハンティング リアル」
パペット型楽器、「パクパク合唱団」。練習すればきちんと演奏もできる




■ 女の子向けレゴが登場! 平泉の「中尊寺」もレゴで再現

女の子向けレゴが登場。“総選挙”も開催!?

 レゴブロックは、毎年凝ったレゴ作品を展示し、来場者を楽しませるブースだが、今年はひと味違う。なんと入口で迎えてくれるのは、巨大な女の子フィギュア(もちろんレゴ製)なのだ。彼女たちはレゴの女の子向けブランド、「レゴ フレンズ」のキャラクターだ。彼女たちの家や生活空間をレゴブロックで表現している商品が、日本でも人気を集めており、夏は積極的に展開していくという。

 面白いのが、「レゴ フレンズ」の商品内容のセットが、乗馬センターや、飛行機、モーターボートなど、妙に“セレブ”な雰囲気なところ。商品を組み合わせた巨大ジオラマを展示しているが、派手で豪華で、きらびやかなところに女の子の願望が垣間見える気がする。

 この他、「ロード オブ リング」や、「スター・ウォーズ」など定番のレゴ商品ももちろん展示されている。映画の名場面を再現しているところなどは、レゴならではのアレンジにニヤリとさせられる。また、商品だけでなく、ヨーダやダース・ベイダーの等身大レゴもあり、チェックするのが楽しいブースだ。そして、世界遺産となった平泉の「中尊寺」まで再現したレゴ作品も見ることができる。レゴのというブロックを使った表現の幅の広さを、改めて実感できるブースとなっているのだ。

セレブな雰囲気が面白い「レゴ フレンズ」
「ロード オブ リング」や、「スター・ウォーズ」、他にも様々なレゴ商品が展示されている
ヨーダや、ダースベーダー、さらには平泉の「中尊寺」も




■ 色が変わる、色が浮き出る。最新技術を玩具に投入するパイロットインキ

お風呂で頭を洗うと髪の色が変わる「メルちゃん」シリーズ

 パイロットインキは、筆記具、文具のメーカーだが、おもちゃも積極的に取り組んでいる。面白いのは、パイロットインキならではのインキの技術をおもちゃに投入しているところだ。頭をお湯で洗うと髪の色が変わる人形「メルちゃん」シリーズは、実はパイロットインキの製品なのだ。

 この他にも、シートに線路を書くと、その通りに列車が走る「きかんしゃトーマス」のおもちゃ「はしるトーマス&パーシーセット」もTVCMでおなじみだが、最新作は“ボディチェンジ”ができるようになり、これまで、線路を書くパーシーと、走るトーマスという役割を交換できるようになったとのこと。このシートに自由に絵が描ける「すいすいお絵かき」シリーズは、実はシート側に秘密があり、水で濡らしたところのインキが浮き出る仕組みで、水が乾くとインキが薄れ、何度でもお絵かきができ、色写りはしないというものなのだ。

 この他にもてるてる坊主の王冠が、紫外線で色を変える「てるてるん」、冷たい水の入ったトンネルをくぐると車体がすすだらけで黒くなり、お湯に入ると元に戻る「おふろDEミニカー トーマス」など、実演の楽しいおもちゃが目白押しである。インキメーカーの面白い挑戦が楽しめるブースだ。


「はしるトーマス&パーシーセット」、「おふろDEミニカー トーマス」。インキ技術を活用
左は対戦型水鉄砲、中央が「てるてるん」、右は“トレース台”のおもちゃ「なかよしコレクション」だ




■ 職人技の光るダイヤブロックのKawadaなど、注目アイテムはまだまだたくさん

Kawadaのナノブロック。小さなブロック玩具だ
手元に帰ってくる「ブーメランヒコーキ」

 ここからは、さらに商品にフォーカスした紹介をしていきたい。日本製ブロック玩具として有名な「ダイヤブロック」を販売するKawadaでは、小さなブロックを組み合わせた「ナノブロック」とい商品を大きくアピールしていた。マイメロディやキティちゃんといったキャラクターを必要最小限のブロックで再現するセンスは、“ドット絵”を思わせ、とても感心させられる。

 スカイツリーや、オリンピックの各競技といった今年ならではのテーマや、逆にナノブロックで巨大なパンダを作ってみたりもしている。筆者が特に面白かったのがエジプトのジオラマ。少ないスペース、少ないパーツで、スフインクスとピラミッド、オアシスを再現していて、雰囲気がすごくいいのだ。ブロックの「職人技」に触れられる場所だ。

 ずっとスタッフが飛行機を飛ばしているコーナーがある。飛行機は投げられると1メーターほどの円を描き、スタッフの手元に帰ってくる。あおぞらというメーカーの「ブーメランヒコーキ」という商品だ。尾翼の角度や機体のバランスに工夫があり、素材も耐久性の高いものを使用している。おもちゃ屋はもちろんだが、博物館、科学館での売り上げが好調とのことだ。

 メガハウスは、ブルドッグを刺激させずにえさ箱から骨を取る「もっと番犬 ガオガオ」がおもちゃショーでも“共遊玩具部門”で大賞を受賞したが、皆で遊べる玩具の最新作「ドキドキトレジャー 大海賊の秘宝」が面白かった。

 巨大なドクロの口の中に溝が引かれたプレートがあって、プレーヤーはその線に沿って、宝物をゴールまで運んでいく。宝物は溝を通して運ぶしかないのだが、大きく動かすと海賊を目ざめさせてしまう。小さな物音を立てただけでもガイコツが震え、さらに大きな音をさせるとガイコツの顎が閉じ、かみつかれてしまう。緊張感のあるゲームだ。

ナノブロックの作品集。アレンジの仕方に感心させられる
「ブーメランヒコーキ」にも様々な技術が活かされている
「ドキドキトレジャー 大海賊の秘宝」は、刺激が大きいとガイコツにかみつかれてしまう。右は「もっと番犬 ガオガオ」。ブルドッグの動きは大きくて、思わず驚かされてしまう

(2012年 6月 15日)

[Reported by 勝田哲也]