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「日本ゲーム大賞2017 フューチャー部門」発表! 受賞作と制作スタッフのコメント紹介

9月21日~24日 開催

会場:幕張メッセ

「日本ゲーム大賞2017 フューチャー部門」の受賞作は、いずれもゲームファンの大きな注目と期待を集めた作品ばかりだ

 東京ゲームショウ2017のステージでは24日、最終日恒例の「日本ゲーム大賞2017 フューチャー部門」の受賞作発表が行なわれた。今年は、例年以上のペースで試遊台の整理券がなくなった新作や、長蛇の列ができる新作が多かった。それだけ多くのファンが、今後発売されるゲームに期待しているということだ。

 そんな中、“期待のソフト”としてファンが投票した結果がダイレクトに反映される本部門。より多くのファンが注目した受賞作10作品を、ここに紹介していこう。

「Detroit Become Human」(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)

 人間と見間違うほどの高性能なアンドロイドが開発された未来。知性を備えたアンドロイドが人間に変わって複雑な作業をこなす社会において、人間とアンドロイドの相反する面を描いた作品。アクションはもちろん、至る所に存在するシナリオの分岐や、機械に対する人間の感情を生々しく描いたテーマ性が魅力である。

 なお、東京ゲームショウ2017の本作ブースでは、アンドロイド(を演じているモデル)が“展示”されるなど、会場を訪れた人々の大きな注目を集めた。

 エグゼクティブプロデューサーのGuillaume氏は、「受賞を光栄に思います。苦労して日本語版を開発した甲斐もあったと感じております。本当にありがとうございます」と感謝のコメントを述べ、本作の発表に至るまでの大きな苦労と受賞の実感が語られた。

――日本のファン、そして東京ゲームショウの印象は?

Guillaume氏「まず、本作のブースの完成度が非常に高いことに驚きました。印象的なブースを構成してくれたスタッフの皆様に感謝します。特に本作は“人の心に触れる”をコンセプトとしています。日本のファンはもちろん、世界中どんな国のファンも同じように驚いてくれたことに感謝しています。国や言語に関係なく、人には共通の感情が宿っていることを再認識するとともに、どんな国の人々とでも交流や友情を築けるのではないか、という希望を作品を通じて感じています」

――人間ではなく、アンドロイドを主人公にしたことについては?

Guillaume氏「アンドロイドが登場するSF作品は昔から人気がありますが、そのほとんどが人間の視点で描かれるものばかりでした。アンドロイドの視点で人間社会を見ることは面白さに繋がると思いました。プレイしていただければ、アンドロイドの視点から人間を見た方が、より“人間性”を理解できるという私たちの制作意図をご理解いただけるかと思います」

――本作はシナリオ分岐が多岐にわたります。過去制作したソフトと比べていかがですか?

Guillaume氏「過去作からのフィードバックとして、“自分で物語の行方を決定するような選択をたくさん行ないたい”というファンの要望を重く受け止めました。本作は私たちが制作してきたどんなソフトよりも1番分岐が多く、1番変化に富んだストーリー体験を提供できるのではないかと思っております。エンディングの分岐はもちろん、結末に至るまでのストーリーの分岐も多数用意しています。登場人物は約250人ほど存在しており、ストーリーによって生き残る者、死にゆく者が変化します。何度もプレイして、新たな発見を楽しむことができるでしょう」

――ちなみに、アンドロイド(※写真、向かって1番右の女性)のコメントは……?

アンドロイドの女性「アリガトウゴザイマス」(※なお、この女性、本物のアンドロイドであると疑ってしまうほどに、インタビュー中も微動だにしなかった)

「ドラゴンボールファイターズ」(バンダイナムコエンターテインメント)

 人気漫画「ドラゴンボール」のキャラクターたちが、最新技術により今まで以上の爽快なバトルを繰り広げる2D格闘アクションゲーム。「GUILTY GEAR」シリーズでおなじみのアークシステムワークスとの共同開発であり、原作が好きなライトユーザーはもちろん、コアな格闘ゲームユーザーも注目している一作。

 格闘ゲームと聞くと“しきい”の高さに敬遠してしまいがちなユーザーもいるかと思うが、どんなユーザーにも楽しんでもらうべく、簡単な操作で爽快な技を繰り出せるシステムと、格闘ゲームの醍醐味である“駆け引きの重要性”を両立させる作品として、開発陣が現在も心血を注いで制作を続けている。もちろん、「ドラゴンボール」ならではの高速攻撃や宇宙を揺るがす光線技演出は本作でも健在だ。

 プロデューサーの広木氏は「受賞できたのは、ファンの皆様、アークシステムワークスの皆様、本作開発スタッフ陣、そして会場のファンの応援と、たくさんの皆様からの“元気”がもらえた証です。発売の瞬間、大きな“元気玉”を皆様にお届けできるように、これからも頑張って開発を進めて参ります。ありがとうございます」と、悟空の必殺技にたとえた粋なコメントを披露。

――開発が発表された際、海外でも非常に大きな話題となりましたが?

広木氏「最初の発表の際、海外のファンから大歓声を受けました。正直、“そこまで大きなリアクションをするほどのことなのか?”と感じてしまいましたが、あらためてドラゴンボールという作品が世界中で愛されていることを実感した瞬間でもありました」

――「キャラクターものの格闘ゲームに競技性があるかどうか不安」、あるいは「格闘ゲームというジャンル自体が難しいので上手くプレイできないかもしれない」という懸念の声もあがっています。不安に感じているファンにこそ見てほしいポイントは?

広木氏「初心者の方でも操作できる簡単な操作性はもちろん、今までの『ドラゴンボール』ゲームとはまた違ったキャラクターの個性もシステムに活かしています。たとえば“クリリンは他の戦士に比べて弱いのではないか?”と思われがちですが、3対3のバトルがメインである本作において、仙豆を使って仲間を回復できるスキルを持っているなど、戦術において重要なポジションになるキャラクターもいます。このように、バトルだけではないキャラクターの個性も楽しめます」

――ファンの皆様にメッセージをお願いします。

広木氏「世界中の皆様、『ドラゴンボール』が好きなあらゆる世代の皆様、どんな方でも楽しめる作品に仕上がっております。今回のゲームショウの試遊台でも非常に多くのファンの皆様から好評をいただきました。発売までお待ちいただければと思います。ありがとうございました」

「モンスターハンター:ワールド」(CAPCOM)

 プレーヤー同士が共闘する楽しさを多くのゲームファンに知らしめ、爆発的なセールスで一時代を築き上げたハンティングアクションゲームの金字塔「モンスターハンター」。そのモンハンが“もう1度、新しい世界を描きたい”というコンセプトの元、最新技術で再び1から作られたのだ。本作では遂にオープンワールドとなり、グラフィックはもちろんのこと、システムやアクションを一新。大自然に根付いたリアルな生態系、人智を超えた能力を持つモンスター、壮大な世界観、そんな世界に新たな気持ちで臨むハンター(プレーヤー)たち……何もかもが新しいモンハンとして、日本はもちろん、世界中のゲーマーから注目を集めている。

 受賞式にはプロデューサー辻本氏、ディレクター徳田氏、エグゼクティブディレクター兼アートディレクター藤岡氏が登壇。「東京ゲームショウ2017の試遊台に多くのファンにお越しいただきました。本当にありがとうございます。しかしながら“プレイができなかった”というお声もたくさんいただいております。今後、より多くの方々に制作中の本作をプレイしていただける場を検討しておりますので、お待ちいただければと思います」という辻本氏のファンへの配慮のコメントから、インタビューが開始された。

――発売日は2018年1月26日と、あと数カ月です。現在の開発状況とその手応えをお聞かせください。

徳田氏「発表からまだ間がない状況ですが、発表までの間にかなりの開発を進めており、現在も順調に開発は進んでおります。動作のチェック段階まで進んでおり、何事もなければ、お知らせの通り1月26日に発売いたします」

――1から世界を構成し直した本作ですが、特に注力した部分は?

藤岡氏「『モンハン』はシリーズを通じて架空の世界を楽しんでもらおうと、生き物の質感や動きなどの表現を作り込んできましたが、現行機のマシンスペックは非常に高いですので、その生き物の表現が“どこまでやれるのか”というチャレンジの連続でした。これまでのシリーズの作中ムービーでは様々な演出を描いてきましたが、過去のムービーに出てきたようなモンスターの表現をそのままリアルタイムにゲームに再現することが大きな目標で、生き物同士が干渉するリアルな世界を最初に一気に構成しました。開発陣は自信を持ってお届けする部分ですし、ユーザーの皆様にもそれを感じてもらえれば幸いです」

――本作の試遊を求めて、多くのファンが詰めかけました。発売を待つハンターたちに向けて、メッセージをお願いします。

辻本氏「会場には本当に多くの方々にご来場いただきましたが、他にも各方面からも多くの反応をいただいています。発売に向けて、もっとクオリティを上げるために今後もスタッフ一同頑張ってまいりますので、必ず皆様の期待にお応えする作品をお届けしたいと思います。ありがとうございました」

「ラブプラス EVERY」(KONAMI)

 3人の美少女と画面の中で交際できる――2009年にニンテンドーDSに登場し、“カノジョ”ムーブメントを築き上げた恋愛シミュレーションゲーム。タッチパネルでの触れ合いや、現実の季節や時間と連動したイベントの発生など、当時、非常に斬新なシステムで、よりリアルな恋愛を楽しめるソフトとして話題を集めた。その後もシリーズは継続し、最新作となる本作では、遂に“モバイルVR”という携帯の画面上でVRを楽しめるシステムに進化を遂げて、3人のカノジョが再びカレシ(プレーヤー)の元へと帰ってきた。

 VRは、まさに「ラブプラス」シリーズが求めていた、限りなく現実に近い仮想空間。時代が「ラブプラス」に追いついたわけだが、本作プロデューサーの高清水氏は「フューチャー部門の受賞ができたのも、会場にお越しいただいた皆様の声援があったからこそです。皆様の応援に感謝するとともに、スタッフのモチベーションにも繋がります」と、まずは感謝の言葉を述べた。

 また、携帯があればどこでも体験できるモバイルVRについては「今回の会場試遊台でモバイルVRを皆様に体験していただきましたが、まだ体験できていないファンのために、今後、別な形で本作体験の場を設けたいと考えております」と、その内容よりも、もっと多くの人々にモバイルVRを体験してもらえる場を模索中であることを明かした。

――KONAMIブース内に“十羽野高校”を再現しました。本作への強いこだわりや意気込みを感じましたが?

高清水氏「VRで“カノジョ”と交流する作品ですので、“カレシ(プレーヤー)”の皆様にもカノジョたちと同じ世界を楽しんでもらうため、今回のブースは“現実をVRに近づける”というコンセプトで、学校の教室のセットをご用意しました」

――“カレシ”の皆様の反応はいかがでしたか?

高清水氏「皆様の声にならない感動をたくさん拝見しました。申し訳ありませんが、皆様がVRを体験している間は、スタッフは外側から皆様の姿が見ておりますので……(笑)。皆様の口元がおもわず緩む姿を見た時、制作側としては嬉しさを感じましたね」

――これまでのシリーズには、ゲーム外のコラボ展開もたくさんありました。本作もコラボや外出先でのイベント等を検討していますか?

高清水氏「はい。これまで一緒にお仕事をさせていただいた各社様はもちろん、今後も引き続き3人のカノジョのお披露目の場を検討してまいります。リリースについては“冬”とだけお伝えしておりますが、できるだけ早く“カレシ”の皆様の元に本作を届けられるよう、制作を進めてまいります。ありがとうございました」

「巨影都市」(バンダイナムコエンターテインメント)

 人類の前に現われる、巨大な脅威――それは未知の生物なのか、宇宙人なのか、あるいはロボットなのか……。非現実的な脅威にさらされた人間は、成す術なく逃げ惑うしかない。破壊しつくされる街の中で、ひとりの人間となったプレーヤーは、生き延びることができるのか?

 災害や自然の脅威とはまた違う、人智を超えた巨大な脅威に抗う人間の極限状態を描く本作には、特撮やアニメに登場する有名キャラクターが多数登場する。だが、プレーヤーが操作するのは、あくまでひとりの人間。巨大な脅威たちが巻き起こす戦闘に参加はできない。突然の恐怖に晒されつつも、どう生き、どう逃げるのか。選択肢や行動によって生死が分かれるシステムは、共同開発のグランゼーラが蓄積したサバイバルアクションゲームのノウハウがあってこそだ。

 プロデューサー塚中氏は「率直なところ、今回の受賞に非常に驚いております」と、受賞の実感が湧かないことを明かしたが、多くのスタッフの力添えや様々な作品とのコラボで実現した本作であるからこそ「この場をお借りしまして、開発にご協力いただいた関係各社、各キャラクターの登場作品版権元の会社様、開発を担当していただいているグランゼーラ様と九条一馬様、本作のプロジェクトに携わっていただいた全てのスタッフの皆様、主題歌を担当する飯田舞様、作曲を担当したHeart's Cry様、そして何より本作にご期待いただき本作に投票してくれた全てのファンの皆様に御礼申し上げます」と、関係者全員に対する感謝の意を続けた。

――様々な作品から有名キャラクターが登場し、プレーヤーはそうした巨大な脅威に干渉もできず、操作もできず、逃げる立場です。今までにない作品ですが、本作が生まれた経緯は?

塚中氏「普通であれば、他社様からキャラクターをお借りするのですから、プレーヤーにそのキャラクターを操作してもらったり原作のシチュエーションを追体験してもらったりするというのがオーソドックスな発想ですし、本来、ゲームユーザーが求めることだと思います。ですが、切り口を変えれば“巨大な脅威から逃げる”というシチュエーションも映像作品でよく表現されてきています。その中のひとりになれたら……という発想から本作が生まれました」

――選択肢が驚くほど存在しています。これについてはいかがでしょうか?

塚中氏「巨大な脅威から逃げている最中ですから真面目な選択肢を選ぶのは当たり前です。が、ゲームですので“こんな場面ではありえない”という意外な選択肢も用意し、おもわずその選択肢を選んでしまうような奇抜な行動をしてもらうことで、プレーヤーの皆様に楽しんでもらうのも本作の面白さのひとつかな、と考えております。ご期待ください」

「真・三國無双8」(コーエーテクモゲームス)

 次々と現われる兵士たちを一騎当千の英傑が槍のひと凪ぎで蹴散らしていく。群がる雑魚敵をたったひとりの人物が圧倒的な力で制圧する様を、世間ではよく“無双状態”と称するが、その言葉の元となったのがゲーム「真・三國無双」シリーズである。さらには、ゲーム業界、特にアクションゲームの分野において、一騎当千の状態がシステムに組み込まれた作品は“無双系アクション”と分類されるケースも多い。

 ……というように、業界の内外で広く認知される「真・三國無双」シリーズであるが、PS4で発売する最新作「真・三國無双8」では、遂に中国全土をひとつのフィールドとして表現するオープンワールドとなる。アクションや操作方法も一新したが、簡単操作で爽快に無数の敵を蹴散らすド派手なアクションは継承。見晴らしのいい大平原や高低差のある山林地帯、屋根の上に乗って奇襲ができる街中など、地形を活かした自由な移動や戦闘が楽しめるようになった。敵国に挑む際には、どの方角から、どんな戦術で攻撃を行うか……など、プレーヤーごとの楽しみ方や新しい発見の喜びがありそうだ。

 業界歴の長い本作プロデューサーの鈴木氏は「様々な作品に携わってきたが、フューチャー部門を受賞するのは初めてです」と、積み重ねた実績を裏付けた今回の受賞に、素直な喜びを感じていた。

――シリーズ初のオープンワールドになったことに関する手応えは?

鈴木氏「中国大陸全土をオープンワールド化するにあたり、衛星データを元にフィールド制作を行ないました。風景も綺麗に仕上げることができましたので、移動するだけでも楽しめる作品になっているかと思います。また、自由度を上げることができたことも大きいです。これまでは一本道の展開だけでしたが、本作からは、プレイヤーごとに攻略方法を探りながらゲームを進めていくことを実感できるのではないかと思っております」

――以前、別の場で「このままでは“無双”シリーズは終わってしまう」とコメントしていましたが、内容を一新したことについては?

鈴木氏「本作の制作を開始するにあたり、ファンの皆様からは“マンネリを感じる”というご意見が多数寄せられ、正直なところ、制作スタッフである我々も同じ感情を抱いてしまっていました。とにかく本作は全てを一新しないといけないと考えていましたが、“オープンワールドに挑戦しよう”と社内で打ち明けた際には、不安の声も挙がりました。ですが、こうして完成を間近に控え、頑張って懸命に新しい取り組みを採用した甲斐があったと感じております」

――発売日についてはいかがでしょうか?

鈴木氏「現在の開発状況は85%程です。オープンワールドですので調整にお時間をいただいておりますが、なるべく“寒いうち”、2018年の初頭に皆様にお届けできるように、引き続き頑張ります」

「英雄伝説 閃の軌跡III」(日本ファルコム)

 1981年に創業したファンタジーの老舗、日本ファルコムが誇る人気シリーズ「英雄伝説」より派生した物語のひとつで、「閃の軌跡」の第3作となる本作。2004年からリリースを開始した「軌跡」シリーズは今年で13年目。シリーズ1作目から張り巡らされた数々の伏線や謎が、いよいよ本作で明らかになるという。

 また、世界の時系列は継続しており、登場人物はメインキャラクターから街人に至るまで、本作の世界に生きる全てのキャラクターが等しく歳を重ねている。主人公が学校の教官になっていたり、過去作の登場人物が新キャラの活躍を支えたりと、シリーズのファンはもちろん、王道展開のRPGを好むファン層の注目も集めている一作だ。

 登壇したのは日本ファルコム広報担当の稲垣氏。「2013年の“閃の軌跡”、2014年の“閃の軌跡II”でも受賞しておりまして、本作でも受賞いただきましたことで、未だ、シリーズ全てがフューチャー部門の受賞を継続しております。これもひとえに、今までシリーズを支えてくれたファンの皆様、会場で本作に投票してくれた皆様があってのことだと思います。ありがとうございます」と、シリーズの積み重ねで得たファンの信頼や絆に感謝した。

――長年に渡りシリーズが愛される理由を、どう感じていますか?

稲垣氏「シリーズの舞台となっている世界は同じですから、登場人物もそれだけ歳を重ねています。村人ひとりひとりにも名があり、性格があり、家族があります。それらのキャラクター背景は作品を重ねるごとに細かく描いていて、ファンが歳を重ねるのと同じようにゲーム内のキャラクターの成長も一緒に楽しめる点が、ご支持をいただいている理由と感じております」

――本作の発売を9月28日に控え、現在の心境をお聞かせください。

稲垣氏「PS4初の『軌跡』シリーズとなりますが、過去の作品から再登場する人物やサブキャラクターを含めると、ストーリーに関わるキャラクターが100名を超えます。とにかく膨大な情報量で、それをなんとかPS4というプラットフォームに詰め込んでいく作業がこそがスタッフが一番苦労した点でもあったので、無事発売を4日後に迎えられたことに安堵しております。皆様もその点を是非ご覧いただければと思っております」

「ファイアーエムブレム無双」(コーエーテクモゲームス)

 26年間続く任天堂の人気シミュレーションゲーム「ファイアーエムブレム」。このシリーズに登場する多くのキャラクターたちが、それぞれの得意技で“無双アクション”を披露する作品だ。Nitendo Switchと3DSの2機種で発売となる本作は、シリーズのうち「暗黒竜と光の剣」「覚醒」「if」の3作品の登場人物たちが共演し、世界を救うオリジナルストーリーが描かれる。

 シリーズの垣根を超えて英雄たちが紡ぐ新たな物語は全編がフルボイス。特に想い入れの強いファンが集う「ファイアーエムブレム」シリーズだが、多くの人々が夢見たシーンがいよいよ本作で実現する。

 このことについて、早矢仕氏も「ファイアーエムブレムは、ファンの皆様から“無双化してほしいシリーズ”として以前から名前の挙がっていたタイトルです。今回タイミングよくインテリジェントシステムズ様(※「ファイアーエムブレム」開発企業)にお声掛けいただきましたことで、本作が実現しました。ファンのご要望や期待に応えるべく、スタッフ一同悩みながらここまで制作を続けてまいりましたが、今回の受賞を経て、少しでも皆様の期待にお応えできたことを実感しております。発売も9月28日に控え、受賞もし、スタッフ全員にお疲れ様と伝えたいです」と、ファンの期待を裏切らないように試行錯誤をこらしたことを冒頭で語った。

――他のシリーズ作品の“無双化”と比べ、苦労した点は?

早矢仕氏「原作はシミュレーションゲームですので、ボタンを押してコマンドを選択した時にはじめてキャラクターが動作します。ところがアクションゲームは常にキャラクターを動かす必要があるジャンルですから、真逆のジャンルをどうアクションゲーム化していくかに苦労しました。また、原作ファンはシミュレーションゲームが好きな層ですから、アクションゲームが得意じゃない方にも楽しんでいただくため、戦略によって自軍の仲間が一緒に活躍してくれるようなシステムも入れ込みました」

――キャラクターの作り込みについては、いかがでしょうか?

早矢仕氏「本作は全面的にインテリジェントシステムズ様に監修いただいております。設定を解釈しつつ、キャラクター同士の会話やアクションの魅せ方など、今までにない部分も全て監修のうえで成り立っています。ですので、「ファイアーエムブレム」シリーズのファンに納得いただける内容に仕上がっているのではないかと思います。長くシリーズを遊んでいるファンの方ほど、原作に出てきたシーンとシーンが融合する、新たな演出を楽しめるのではないでしょうか」

――もう発売日まで期間はありませんが、今、告知できることは?

早矢仕氏「プレイアブルキャラクターですが、発表されているキャラ以外にもいるかもしれません! どういった形でお届けするか、いつごろ詳細を発表するかは、まだ言えませんが……今しばらくお待ちください!」

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(DMM GAMES、BLUEHOLE INC.)

 2017年3月にリリースされて以来、全世界で1,300万本のセールス、同時アクセス数134万件を達成した新作ガンシューティング。「PUBG」の略称で、現在も世界的な注目を集めている。

 セールスやアクセス規模の大きさだけでなく、バトルの内容も“最大100人が参加できるバトルロイヤル”という、既存のガンシューティングタイトルを圧倒する参加人数を誇り、視点もFPSとTPSを切り替えられる仕様で、あらゆるガンシューターに好まれている。

 日本でのリリースを担当したDMM GAMESのプロデューサー稲垣氏は、「本作に関わったスタッフの皆様、全てのPUBGユーザーの皆様、まことにありがとうございます。本来であれば、開発元のBLUEHOLE様にもお越しいただきたかったのですが、今回は私が関係者を代表して御礼申し上げます」と、世界を巻き込むムーブメントの指揮に携われたことを感謝していた。

――日本での「PUBG」の展望について、お聞かせください。

稲垣氏「私たちDMMは日本のパートナーとしてBLUEHOLE様と協力し、どんどんPUBGの輪を広げていこうと考えております。まずは、築いたコミニュティを大事にしていくことを重視しております。詳しくはDMMブースで行なわれるステージで発表(※24日16時のステージ。既に終了)しますので、そちらの情報をご確認ください。皆様のご支援、本当にありがとうございます」

「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」(スクウェア・エニックス)

 日本産RPGを代表するタイトル「ファイナルファンタジー」。本作は、その登場人物たちが一堂に会し、激しい戦いを展開する対戦型アクションゲームの新シリーズとなる。「ファイナルファンタジー」シリーズの登場人物同士が織り成すオリジナルストーリーの魅力、原作にも登場した技や魔法の再現がファンの心を刺激する。

 また、これまでの「DISSIDIA」シリーズに登場したキャラクターに加え、シリーズの最新作「15」からノクティスが参戦することが既に報じられており、彼のアクションに早くも期待が寄せられている。さらには、バトルシステムも調整され、3対3のバトルが楽しめる作品へと進化した。

 プロデューサーの間氏は「DISSIDIAシリーズは過去2作ともフューチャー部門を受賞しておりましたので、正直、今回受賞できなかったらどうしよう……と不安に思っておりました。こうして今回も受賞できたことは光栄ですし、皆様の投票で決まる本賞の受賞は皆様の評価の結果であるとも受け止めておりますので、何よりこの事実が励みになります。2018年1月11日発売に向け、必ず良い作品に仕上げますので、引き続き応援の程、よろしくお願いいたします」と、発売を間近に控えた本作の最終調整に向け、身を引き締めた。

――ファイナルファンタジーは今年で30周年です。このことについては?

 間氏「ファイナルファンタジーは30年の歴史がありますが、シリーズ毎に世界観やキャラクターのイメージやデザインが違いますので、絵柄などが統一して表現される場があまりありません。そのため、シリーズ全てのキャラクターが統一のデザインで登場しているDISSIDIAは、30周年記念展やUSJのイベント等、各所の展示物に共通する資料として使用されております。シリーズの30周年に、DISSIDIAはそうした形でも関わっております」

――間さんオススメのキャラクターは?

 間氏「自分がよく使用しているのは『FF14』から参戦しているヤ・シュトラです。シューターと呼ばれる特殊なタイプのキャラクターですが、DISSIDIAで使用する技の内容を『FF14』の制作チームに相談して作り込んだキャラクターです。そういう意味ではチームとしても思い入れがあります。私は既にアーケード版を8,000戦遊んでいます。自分が携わったゲームを8,000回遊ぶ人はなかなかいないと思いますが(笑)、そのくらい楽しめる自信作です。これからもよろしくお願いします」

浜村弘一氏による講評

 最後に、日本ゲーム大賞選考委員を代表して、浜村弘一氏が講評を述べた。

 浜村氏「超が付くほどの対策もあれば、良い所に目をつけたアイデア勝負の作品もあり、両作がたくさん選出されたと思っております。ハードの牽引もあって、今、ゲームの市場規模は数年ぶりに拡大しています。ひとつはPS4、ひとつはNintendo Switch。両ハードから多くの作品が選出される結果となりました。注目点はもうひとつあり、受賞作10作品のうちの4つが対戦、集団戦、協力プレイをメインにした作品です。世界で注目されている“e-Sports(電子競技)”を意識した競技性のある作品が増えたことも面白い点だと思います。“e-Sports”の大会は今回のゲームショウの大きなウリでもありましたが、アジア競技会やオリンピックの種目に“e-Sports”が競技として選ばれるかもしれないという話も挙がる時代です。2017年のフューチャー部門は、そんなゲームの未来を見据えた作品が選ばれる結果になったのではないかと感じております。投票してくれた皆様、本当にありがとうございました」

日本から世界へ、現在から未来へと進化し続けるゲーム

 今や、海外にも大きく需要が拡大しているビデオゲーム。今回のフューチャー部門は多数の日本国産作品が受賞しており、筆者は再び世界に胸を張って提供できる日本産作品が出揃ったことを示しているようにも感じた。今後も、これまで以上に国内外のゲームファンの期待に応える作品が続々と生まれてくることを願ってやまない。