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デル、eスポーツトーナメント「ALIENWARE CUP」決勝戦を開催
国内トップチーム同士の一戦。円熟した試合運びでCarenTigerが優勝
2017年9月24日 00:39
ゲーミングブランドALIENWAREを展開するデルは、東京ゲームショウ一般公開日初日の9月23日、同社主催のeスポーツ大会「ALIENWARE CUP」の決勝大会をデルブースにおいて開催した。
「ALIENWARE CUP」は、ALIENWAREとウォーゲーミングの「World of Tanks」とのコラボレーションによるeスポーツ大会。7月29日にオンラインでの予選大会が開催され、決勝戦は、東京ゲームショウデルブースに設けられた特設ステージという檜舞台が用意された。優勝賞金は35万円、準優勝には15万円がそれぞれ贈られるほか、副賞として優勝チームには7名のメンバー全員に5,000ゴールド+Type 59、準優勝チームには5000ゴールドがメンバー全員に贈られる。
第1回大会にエントリーしたのは国内の18チームで、トーナメントを勝ち抜き、決勝まで進んだのはWargaming.net League(WGL)のトップリーグであるゴールドリーグで活躍するプロチームCarenTigerと、そのCarenTigerが強さを認める新進気鋭のNaughty Kidsの2チーム。
ちなみに先週行なわれたサードウェーブデジノスが主催の「GALLERIA GAMEMASTER CUP」で、CarenTigerと決勝を戦ったTyphoonは、CarenTigerと同じゴールドリーグに所属するプロチームB-Gamingに敗れ、そのB-Gamingは、Naughty Kidsに0:2で敗れている。
Naughty Kidsは、シルバーリーグ所属のアマチュアチームで、まだオフライン大会の出場経験がなく、今回が初ということだが、リーダーのKid選手とLF選手は、WGLや「WoT」の大会で解説を務めており、CarenTigerやB-Gamingの戦術を知り尽くしている。
元B-Gaming所属で、本大会解説のsamo氏も、「“戦技”という点では2チームともほとんど変わらない。リーダーのKid選手は“緊張しい”だが、それさえ克服できればワンチャンあるかも」と語り、接戦を予想。
筆者は、先週行なわれたサードウェーブデジノスが主催の「GALLERIA GAMEMASTER CUP」や、昨日のPCメーカー対抗戦で、CarenTigerの試合を見ているが、WGLにおける動きとはほど遠く、特にリーダーでエースのAki選手の調子が良くない印象を受けた。特にスポンサー契約を受け、最初の貢献機会となる昨日のイベントで負けてしまったショックは大きいはずで、プロとして連敗は許されない。まさにプロとしてのポテンシャルが試される機会となった。
決勝のルールは、予選と同じで、BO3からBO5に変わっただけとなる。「GALLERIA GAMEMASTER CUP」同様、Tier VIIIで、WGLでTier Xしか使用しないCarenTigerには不利なルールとなる。
1戦目は「鉱山」。CarenTigerの攻め。Aki選手によれば、「GALLERIA GAMEMASTER CUP」決勝では、サンドリバーで速攻を仕掛けて、その作戦を読まれてゲームを落としてしまったため、とにかく慎重にいくことにしたという。一方、Naughty Kidsは、CarenTigerの作戦を読み、万全の布陣で待ち構えていた。すべての侵攻ルートに戦車を配置し、スポット後そのまま射撃に移れるような配置だ。
ところがCarenTigerが慎重に攻めたため、開始数分にわたって戦闘が発生しないという膠着状態に。このままではゲームを落としてしまうCarenTigerは、ようやく3輌でのCAPに入ったものの、その動きも読まれ、絶えずCAPを切られ続け、削られ続け、相手のオートローダーLorraine 40 tにも自由な行動を許し、1輌ずつ削られて万事休すとなった。負けはしたものの、包囲されながらの粘りはさすがCarenTigerというべき内容で、見応えがあった。
しかし、やはり明らかにCarenTigerには王者の余裕がない。これはNaughty Kidsが予想より強いのか、CarenTigerのTier VIII帯の練習不足が露呈しているのか、あるいはその両方か。WGL定番マップの鉱山で2戦落とすことになればほぼ負けは確定と言って良い。
果たして2試合目。今度はNaughty Kidsが攻撃。CarenTigerは重めの編成に切り替え、相手の攻撃に対してがっぷり四つで受ける。中央を押さえたのはNaughty Kidsだが、序盤の撃ち合いを制したのはCarenTiger。そのままじりじり相手の攻勢を押し返し、途中、相手のLorraine 40 tの連打を食らってしまったりもしたが、中央を押さえていたKid選手が、なぜか崖から降りる(落ちる)という痛恨のミスを犯してしまい、そのままCarenTigerが攻めきった。Object 252Uを使っていたAki選手はこのゲームで2600ダメージを記録しており、完全に吹っ切れた様子だった。
3試合目は、マップが変わりゴーストタウン。CarenTigerの攻め。このゲームは、CarenTigerらしい速攻、隙のないCAPコントロール、一糸乱れぬ連携が冴え渡り、7:0の完勝となった。中央をCAPに入り、CAPを切りに入る敵を様々なところから狙い、CAPを切らせない、攻めあぐねるNaughty Kidsに対して、全車両がCAPから出て全滅させるという動きも見事で、この数週間で久々にCarenTigerらしい試合を見た気がした。
こうなると勢いは完全にCarenTigerで、4戦目もそのまま勝ちきり、3:1でCarenTigerの優勝となった。
Kid選手は、緊張して何をしたか覚えていないということで、2戦目大事な局面で落ちてしまったことも記憶にないという。やはりオフライン大会では場慣れしているかどうか、場数を踏んでいるかどうかは大事になる、という印象だ。対してCarenTigerは声もよく出ており、平常心で戦えたことが勝利に繋がったと言えるだろう。
大会委員長のデル マーケティング部長の柳澤真吾氏は、「自分も『World of Tanks』はプレイしているが、まったく違った内容で、CarenTigerが怒声に近い声を張り上げながら試合をしていて、まさに手に汗を握る試合だった」と興奮気味に語っていた。
柳澤氏は、「ALIENWARE CUP」を、「日本の主要なeスポーツイベントのひとつとして大事に育てていきたい」とし、今後「World of Tanks」を継続するかどうかはまだわからないとしながらも、「もっと気軽に、1人からでも大会に参加できるような仕組みを考え、より多くの人に参加して貰いたい」と来年の抱負を語ってくれた。
東京ゲームショウでオフライン決勝を行なうというスタイルは、参加者にとっても、試合を応援したいファン、それから主催するメーカーにとっても最良の形で、絶えず無数のユーザーが観戦してくれていたのが印象的だった。「ALIENWARE CUP」が今後も引き続き継続していくことを期待すると共に、国内の「World of Tanks」がより活性化することを期待したいところだ。