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【夏休み特別企画】「World of Warcraft」を知れば「ハースストーン」がさらに楽しい!

この夏は、世界一のMMORPGで遊んでみない?

正式サービス中

利用料金:月額14.99ドルより

公式HPのキャラクター紹介には、「ハースストーン」でもおなじみのイラストが使われている

 ブリザード・エンターテイメントのWindows/Android/iOS用カードゲーム「ハースストーン」は、同社の長寿シリーズ「Warcraft」の世界観をベースにしていることをご存知だろうか? 8月11日に新カードセット「凍てつく王座の騎士団」が発売するが、もちろんこれも元ネタは「Warcraft」及び、そこから生まれたMMORPG「World of Warcraft(以下、WoW)」をモチーフにしている。

 「Warcraft」は1994年にPC向けのRTSとして登場して以来、今年で23年目という歴史を誇る同社の看板シリーズ。2004年にサービスを開始した「WoW」は、見下ろし型のゲームだった「Warcraft」の世界に降り立って自由に冒険できるという、ファンの願望を具現化した。「WoW」は最も多いときで1,200万人が遊ぶ「世界で最も多くの人が遊んでいるゲーム」というギネスレコードに輝き、その革新的なゲーム性は、後に続いた「ファイナルファンタジーXIV」や「タワーオブアイオン」など多くのゲームに影響を及ぼしている。

 神話も含めると1万年分以上に及ぶ長大な世界設定は、ゲームだけでなく、小説やアメコミ、映画など多くのメディアで語られている。アメリカ人にとっては、日本人にとっての「FF」や「ドラクエ」に匹敵する国民的ゲームと言っても過言ではない。

 しかし、不幸なことに、「WoW」には日本語版も、日本サービスもない。そのため、我々日本人が「WoW」を遊ぶためには、海外サーバーで遊ぶ必要があるだけでなく、そびえたつ英語の壁を越えなければならない。筆者も「WoW」をプレイしているが、この壁の高さを日夜感じている。「WoW」の膨大なテキストと、挿入されるカットシーンの英語ボイスが、レイドボスよりも強敵であることは疑いの余地がない。

 もちろん有志による日本語化Modや、日本語による設定の解説など、これまでの歴史で培われてきた積み重ねがあるため、少し調べればいくらでも楽しむ方法はある。それに「ハースストーン」で遊んでいる人なら、「あれ、このキャラ知ってる!」という発見もあるだろう。もし「ハースストーン」で遊んでいて「WoW」未経験なら、ぜひとも1度遊んでみて欲しい。とりあえず「WoW」がどんなゲームで、どこがそんなにすごいのかを紹介することで、その魅力の一端をお伝えできればと思う。

「WoW」はキャラクターメイキングが深い!

キャラクターはカートゥーン的な雰囲気だが、グラフィックスの高画質化によって、細部まで作りこまれている

 「WoW」はMMORPG。2つの勢力、12の種族、12のクラスから1つを選んで自分だけのキャラクターを作る。このキャラは戦闘クラスの他に2つの専門職(生産や採集クラス)と4つの二次職(調理、釣り、ファーストエイド、考古学)を覚えることができる。戦闘職は、例えば筆者が遊んでいるローグなら、「Assasination」、「Outlaw」、「subtlety」という3つのスぺシャライゼーションに分かれており、同じクラスでもスキルや動きが変わる。

 ほかにも捕まえたペットでポケモンバトル風の戦闘を楽しむ「Battle Pet」、5つめの拡張パック「Warlords of Draenor」で追加された街の建設コンテンツ「Garrison」など、様々な成長要素や収集要素がある。

 もちろん、広大なマップには大量のクエストがあり、インスタンスダンジョンと、レイドコンテンツ、対人コンテンツなどバトルコンテンツも遊びきれないほどに盛りだくさんだ。

 今年でサービス開始から13年が経過する「WoW」だが、3つ目の拡張パック「Cataclysm」では初期マップの大改修を行ない、「Warlords of Draenor」ではキャラクターグラフィックスの高画質化を行なうなど、最新の流行に合わせて常に進化し続けているため古さを感じさせないところがすごい。

【キャラクター作成】

【様々な成長&収集要素】
クラスごとに3種類あるスぺシャライゼーション
レベルに応じたおすすめコンテンツが紹介される
バトルペットセット画面。1度の戦闘で3体を使うことができる
普段はお気に入りのペットを連れ歩くこともできる

【Garrison作成】
自分のGarrisonに好きな建物を建てて、レベルを上げていくことで様々な恩恵を得られる
Garrisonの住人を任務に出して報酬を得る
Garrisonの風景や住人の人数は建物の種類やレベルで変わっていく。最初は何もないところからスタートする

「WoW」はマップがめちゃくちゃ広い

「WoW」のワールドマップ。現在はAzeroth、Draenor、Outlandという3つの世界が存在する

 「WoW」のすごさを語る時、もう1つ絶対に外せないがのそのマップの広大さだ。13年も拡張や追加を繰り返していたら、マップは広くて当然とも言えるが、「WoW」はあまりにも規格外だ。

 エリアはほぼすべてフライング(飛行)可能で、川や海、湖沼など泳いだり潜ったりできる場所も無数にある。1つの大陸内はすべてシームレスにつながっており、1つの場所から別の場所に移動するには、まっすぐ飛んでも何分もかかる。さらに大陸は1つではないのだ。

 人間やドワーフ、ナイトエルフなどが所属するAllianceの本拠地Eastern Kingdomsや、対抗する軍勢Hordeの本拠地Kalimdor、Pandarenが暮らすPandaria、リッチキングが支配するNorthrend、世界の破滅を企むBurning Legionの本拠地Broken Isles、OrcとDraeneiの本拠地Draenorと、別世界にあるOutlandなどがある。

 現在の「WoW」のカンストレベルは110だが、100まではレベリングが緩和されてレベルが上がりやすいので、全部回りきる前に最新コンテンツに追いついてしまう。おかげで、ボスらしいボスを何も倒していないのに、英雄扱いされてしまい、とても背中がむずがゆい感じだ。

 そんな広大なマップには、たくさんのNPCやモンスターが住んでいる。たいていは何か困っているので、プレーヤーはクエストを引き受けて、あちこちでお助けマンとして活躍する。筆者もこれまで、池に落ちた指輪を探したり、汚染された検体を集めたり、焼き討ちにあっている村の火を消して回ったり、バルーンからミサイル攻撃をしたり、洞窟の最奥にいるボスを倒したり、鍋に調理材料を放り込んだりしてきた。

 だが、どこで何をやったのかは、あまりにもマップが広すぎてよく覚えていない。崖から飛び降りて死にかけたあの村にもう1度行きたいなと思っても、正直な所それがマップのどこにあるかわからない。それくらいマップが広いのだ。一瞬で移動できるポータルや、登録した場所に瞬間移動する“ハースストーン”というアイテムがあってなお、行ったことのない場所が無数にあるほどに広いのだ。

 ちなみにマップの中には、カードゲーム「ハースストーン」の最新のカードセット「凍てつく王座の騎士団」の舞台であるIcecrown Citadelや、「ワン・ナイト・イン・カラザン」の元ネタであるレイドダンジョンKarazhan、「大魔境ウンゴロ」の舞台Un'Goro Crater。「仁義なきガジェッツァン」のGadgetzanなど、すべて「WoW」のゲーム内に実在している。「ハースストーン」プレーヤーなら、それら聖地巡りを目標にしてプレイし始めるのもおもしろいだろう。

【Icecrown Citadel】
リッチキングの居城。10体のボスが待ち受ける、パーティ向けの高難易度レイドダンジョン

【Karazhan】
首都Stormwindの近くにある不気味な廃墟Karazhan

【広大なエリア】
魔法都市Dalaran
Humanの首都Stormwind
シームレスなマップはフライングでどこまでも進んでいける

「WoW」は設定の作りこみが半端ない

酒場で見つけたジョッキを持ったままうたたねしている兵士
親を先頭にフィールドを横切っていくマンモスの群れ

 MMORPGのクエストというと、「○○を10個持ってこい」とか「○○に話を聞いてこい」といういわゆるお使いクエストと呼ばれるものが一般的だ。もちろん「WoW」のクエストでも圧倒的にお使いは多いのだが、他のMMOでは真似ができない部分がある。1つは、あまりにもマップが広いので、何回も何回も同じものを倒してこいと言われることがない。これだけのマップを1回で使い捨てなのか? と驚愕するほどに惜しみなくどんどん狩場が移っていく。インスタンスではないダンジョンも無数にある。

 さらに、単に倒すだけ、話すだけではないクエストもたくさんある。フライングマウントに乗って、空中から逃げ回る人を救出するクエスト、空から大量の敵を爆撃するクエスト、爆弾を投げつけてマンモスを粉砕するクエスト、敵に化けて拠点を偵察するクエストなどなど、他のゲームではあまり体験できないような凝ったクエストがたくさん用意されている。中にはギャグもあれば、悲劇もあり、ほっこりする話もある。NPCが一緒に戦ってくれるものも少なからずある。プレーヤーが飽きないように、手を変え品を変え、場所を変えて連続していくクエストをこなしているうちに、気が付くとレベルが上がる。

 メインストーリーに関わるクエストや、序盤の種族別クエストは、豪華なカットシーンや、マップのオブジェクトを動かすような大掛かりな演出のクエストが楽しめる。最新の拡張パック「Legion」の序盤など、無数の敵味方のNPCに囲まれ映画のように迫力のあるシーンの連続だった。

 だが、「WoW」の作りこみはクエストだけではない。クエストの途中で立ち寄る小さな村や町の生き生きとした作りこみ、森や沼地、海の中の説得力ある自然の造形こそが、本作最大の魅力だと言ってもいい。

 旅館の厨房で、巨大な肉片を相手に包丁を振るっているシェフや、酒場でジョッキを握りしめたままうたたねしている兵士。なぜか1人で踊っているモンスター、子供を襲うと突進してくる親モンスターなど、「WoW」の風景には実に人間臭い遊び心がそこかしこに盛り込まれている。風景の中に「おっ」とほほ笑んでしまうような風景を見つける瞬間は、このゲームで最も楽しい時間だ。

【メインストーリー】
「Warlord of Draenor」の冒頭シーン。巨大なポータルからDraenorに侵入する緊迫した展開が一連のクエストで進行する
「Legion」の冒頭シーン。チャプター式のクエストになっており、達成条件をクリアすることで、ストーリーが進んでいく。どちらも周囲にいるのはすべてNPC

「WoW」は親切設計でソロでもどんどん遊べる

 ここまで読んで少しは「WoW」に興味をもっていただけただろうか? 「でも英語がなあ」という人には、本当のところ、英語はわからなくても何とかなるとお伝えしたい。もちろん読めたほうがいいし、他のユーザーとコミュニケーションが取れた方がいいのだが、マップ上に灯るクエストアイコンを追っていくだけで話は進んでいくし、「ダンジョンファインダー」を使えば適正レベルのダンジョンに勝手にマッチングしてくれる。何をすればいいのかわからなくなったら、おすすめコンテンツから次のクエストをスタートさせることもできる。

 そのエリアにあるクエストをすべてこなさないと落ち着かないという人にはつらい話だが、クエストが多すぎてレベルが上がるスピードが早いので、とくに序盤はあっという間に適正レベルから外れてしまう。「WoW」は低いレベルのクエストはマップに表示されなくなるので、そのエリアでの冒険は打ち切って次のエリアに行った方がいい。インスタンスダンジョンを使うとさらにレベルアップが早いので、メインストーリー半ばで次の拡張のストーリーが始まってしまう。

 装備品はクエストとフィールドドロップ、ダンジョンのドロップでどんどん更新していける。回復アイテムなども、序盤はいつの間にか貯まっているので、お金はフライングマウントスキルの解放のために全部貯金しておける。

 勢力や種族、クラスは好きなものを選べばいいが、唯一タンクだけはダンジョンのルートを知っていなければならないので、初心者向きではないかもしれない。初心者がうろうろしていると、頻繁にギルドの勧誘が来るので、適当なギルドに入ってそこで教えてもらうのもいいかもしれない。

【Worgenの序盤クエスト】
人狼になる呪いをかけられた市民たちのパニックが描かれる。英語がわからなくても迫力満点のクエストは楽しめる!

今年はいよいよ次の拡張パック情報も出るらしい

 「WoW」は、フリートライアルでレベル20まで無料で遊ぶことができる。また、14.99ドルの月額料金は必要になるものの、19.99USDでレベル100まで遊べるスターターパッケージも用意されているので、まずはこのパックで初めてみて、続けられそうなら最新拡張の購入を考えてみるのがいいだろう。

 現在は「Legion」のパッチ7.2.5が実装されたところで、次回のパッチ7.3がこの拡張パックでの最後の大規模アップデートになる。そして、8月のGamescomか、11月にあるBlizzCon 2017で次回の拡張パックが発表されるのではないかという噂が流れている。8月5日にはBlizzCon 2017のキービジュアルとして、「ハースストーン」のヒーローの1人であるジェイナ・プラウドムーアのイラストが公開された。現在は、ファンのコミュニティでイラストの意味をあれこれ深読みした次回拡張論議が盛り上がっている最中だ。

 ジェイナは、「凍てつく王座の騎士団」にも深い関わりのあるキャラクターだ。「WoW」には、ジェイナやパラディンのヒーロー、ウーサー・ライトブリンガー、そしてのちにリッチキングとなるアーサス王子らとともに、悲劇の発端にもなった「ストラトホルムの悲劇」を体験できるインスタンスコンテンツが用意されている。

 そして「凍てつく王座の騎士団」には、「Wrath of the Lich King」のレイド「Icecrown Citadel」を思わせるソロプレイ用のコンテンツが入る。このレイドで登場したピュートリサイド教授やブラッドクイーン・ラナセル、そしてもちろんリッチキングが対戦相手として登場する。

 この夏休み、「凍てつく王座の騎士団」と「WoW」を一緒に遊んで、広大で深淵な「Warcraft」ワールドをたっぷり満喫してみてはどうだろう。

【ストラトホルムの悲劇】
「Warcraft III」の名シーンとして知られる、アーサス王子がリッチキングと化すことになる最初の事件を「WoW」の中で追体験できる