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「World of Tanks」短期集中連載「突撃!戦車道」【第2回】

いこうぜ「World of Tanks」! 車種を選んで広がる面白さを解説!!


【第2回】 車種毎の戦法とチームワーク


戦友諸君!新兵教育担当のアドルフ・エデルスハイム曹長である。戦車戦の基礎をなぞった前回に引き続き、今回は車種の違いに応じた戦い方を教えよう。重戦車、中戦車、軽戦車、駆逐戦車に自走砲。それぞれに固有の戦法を会得してこそ、戦場での勝利が約束されるのだ!

 本連載では、話題のタンクバトルゲーム「World of Tanks」を始めたばかりの皆さん、これから始める皆さんのために、厳しい戦場を華麗に立ちまわるためのセオリーをお届けしていく。

 第2回となる今回は、本作のプレイが大きく広がりはじめるティア4~ティア6をメインにお届けしよう。このティア帯では様々な車種が登場しはじめ、立ち回りにも一工夫が求められるようになる。得意の車種を見つけて、複数の車種が織りなす連携プレイを展開できるようにになれば、本作の面白さを100%楽しめること請け合いだ。

ティアが進めば様々な車種が戦場に登場する。それぞれの特徴を知ることでチームプレイがさらに楽しめるように!

車種その1:「重戦車」、それが居るところが前線だ!


分厚い装甲と強力な火力で前線を構築する重戦車は、まさに動く要塞だ!しかし慢心は禁物。正しい運用を知らぬ重戦車は射的の的と化す。車体の厚さと同じく、その扱いにも重厚な戦術が求められるのだ。

【重戦車】
略称:HT (Heavy Tank)

・重戦車の弱点:立ち回りの前提

 ティア5から登場しはじめる重戦車。分厚い装甲は格下の砲撃を寄せつけず、強力な砲をもって敵軍戦法を叩きのめす戦場の華。重厚長大さゆえに万能感溢れてしまうところだが、大きな弱点を持つことにも留意しよう。強みを活かすためには、まず弱さを知らねばならぬというわけだ。

1.目立つ!
 重戦車の巨大な車体は、本作の隠しパラメーターである“隠蔽率”の低下を招き、結果として非常に敵から発見されやすい。特に視界の狭いKV-1などは下手に単独行動をすればどこからともなく一方的に撃たれ、敵を見ぬまま爆散することもあるため、単騎での行動は避け、味方の視界範囲を意識した行動を心がけよう。

2.遅い!
 特に低ティア帯の重戦車はエンジンが非力なため速度が出ない。速度が出ないため、臨機応変な陣地転換が苦手だ。開けた場所で敵と出会ったらどちらかが死ぬまで撃ちあいになる覚悟が必要なので、常に遮蔽物を利用できる位置取りで動こう。

3.高い!
 巨大な車体、高いHPに長大な砲とくれば、修理費用や弾代がバカにならない。これは特に高ティア帯で顕著になるが、ティア7以降ではろくに活躍できず撃破されて終わればトータルで赤字になることもザラだ。それゆえスムーズにゲームを進めようと思えば、ひとまわり慎重な立ち回りが求められる。


・重戦車の戦法: “タンク”として前線を維持せよ!

固い装甲を活かし、重戦車が前線を構築する。

 重戦車の特徴は、まず装甲の厚み、そして高いHPだ。同格・格下が相手であれば何発か被弾したところで大した問題にならない。逆に言えば、同格・格下からの被弾で大問題になってしまう中戦車・軽戦車のために、進んでダメージを引き受けるべき存在でもあるのだ。つまり、重戦車はMMORPGにおけるタンク役なのである。戦車だけに。

 重戦車が前線を張り、敵のヘイトを引きつけて被弾することにはチームプレイ上、大きな価値がある。厚い装甲で敵弾を弾けば弾くほど、敵の射撃を無駄撃ちにさせることになる。その時間を利用して、味方が安全に敵を攻撃できるのだ。

 逆に、重戦車が引っ込んで中戦車・軽戦車に前線を張ることになれば、敵の砲弾はバンバン貫通し、味方の数はドンドン減っていき、最後に残ったドン亀のような重戦車は多勢に囲まれてなにもできずに爆散することになる。だからまず、重戦車は前線を張れ!


・重戦車の防御法:“昼飯”と“豚飯”をマスターする

 重戦車の強みである高い防御力を活かすため、“避弾経始(ひだんけいし)”という概念を理解しよう。理屈としては簡単。装甲に対して砲弾が垂直に当たれば装甲厚そのままの防御力しか発揮できないが、傾斜した角度で命中すれば、その角度のぶん着弾から貫通までに要する距離が増し、より高い防弾効果が現われる現象のことだ。最も効果的な角度では実装甲厚の1.5倍近くの防御効果が期待できる。

避弾経始の概念。2つの青い矩形は同じ厚さの装甲を示す。

 それを意図的に引き起こすための戦術のひとつが“昼飯の角度”。敵に対して車体を浅く傾けさせ、避弾経始の効果を増す方法だ。もうひとつは、日本のWOTコミュニティで“豚式昼飯”あるいは単に“豚飯”と呼ばれる戦術。これは障害物の角で使える戦法で、車体側面だけを浅い角度で晒し、敵弾を履帯で吸収、あるいは側面装甲で弾く効果を期待するものだ。

 どちらの戦法も、車両の種類によって最適な角度や効果のほどが異なる点に気をつけよう。たとえばドイツのTiger戦車で深い角度の昼飯・豚飯をすると、そもそも側面装甲が浅すぎてガンガンぶち抜かれる。またソ連のIS-3などは、車体前部の独特の形状により、昼飯の角度を取ると避弾経始効果がむしろ減衰するので注意が必要だ。

いわゆる昼飯の角度。硬い正面装甲をさらに硬く、薄めの側面は浅い角度で晒して敵弾を受け流す
こちらは豚飯と呼ばれる戦法。角から砲塔と車体側面のみを浅い角度で晒し、履帯吸収と避弾経始効果を狙う

車種その2:縦横無尽に駆け巡れ! 「中戦車」&「軽戦車」


軽快な機動力を備えた中・軽戦車は、戦場のいかなる場所にも臨機応変に展開できることが強みだ。中戦車は火力も高くバランス型、軽戦車は機動力偏重と特性は異なるが、どちらも部隊の“目”となることが期待される。ただし前線に出る際は気をつけろ、車体を守る装甲は無いも同然と思え。


【中戦車】
略称:MT (Medium Tank)

・中戦車の戦法:戦場をかき回せ!

中戦車は戦場の至る所に顔を出し、敵の手薄な部分を突くのが醍醐味

 中戦車は本作の中でも特に多彩なバリエーションが存在する車種だが、共通するのは高い機動力と高い火力を同時に備えていることだ。そのかわり装甲が一般的に薄く、格下からの砲撃にも手痛いダメージを受けることが多い。そのため役回りとしては機動力を活かした動きが求められる。

 中戦車をプレイする上で特に意識したいのは、“格上にも通用しうる火力を、戦場のどこにでも持っていけること”。まず重戦車と正面から撃ちあうようなアンバランスなマッチングに挑むのはやめよう。障害物を挟んでの飛び出し撃ち合戦になれば先に死ぬのは自分なので、できるだけ戦場を動きまわり、有利なポジションから撃つ。そして敵から見えない位置にすぐ移動だ。

 中戦車は優秀な索敵範囲を持つものも多いため、偵察役もこなせる。前線で重戦車が睨み合うような状況で一瞬前に出て視界を取るだけでも味方の役にたてる上、軽戦車とは違ってそこそこのHPがあるため場合によっては強行偵察も可能だ。その際も一撃離脱を心がけ、同じ場所からは2度顔を出さないようにすれば、生存率もぐっとアップするはず。そして敵の布陣に穴を見つけたら、すばやく裏取りに動こう。後背からチラチラと顔を出してやれば、敵集団は混乱すること間違いなしだ。


【軽戦車】
略称:LT (Light Tank)

・軽戦車の戦法: 敵情を明らかにせよ!

素早く前線に顔を出し、敵が見えたら隠れる!

 格上から砲撃を受ければ一撃で爆散することもある軽戦車。マッチングも特殊で、4つ上のティア帯が蠢く戦場に突っ込まれたりもする。明らかにこれは上級者向けの車種で、本作のシステムや、マップをどれだけ知っているかで活躍の度合いが大きくかわるのが特徴だ。

 その強みは何と言っても抜群の機動力。ドイツのPz1Cにいたっては最高時速70kmをマークし、ちょっとした段差で大ジャンプ、勝手に大破するというレベルだ。そのスピードを生かし、まずやることは偵察だ。開幕早々全速前進、戦線になりそうな地域をかすめるように疾走し、敵の配置を明らかにしよう。稜線などを利用し、敵が見えたらすぐ隠れ、位置を変える。そして、発見した敵を味方に撃たせる!それができる位置取りは、味方の展開にも依存するためよく考えて行動したい。

 砲撃については、高ティア帯の特殊な軽戦車を除けば基本的に貧弱そのものである。格上はもちろん同格相手にも分が悪い。とはいえ、スキを見てチクチクと攻撃すれば嫌がらせ効果は高く、味方の役に立つ。戦闘の趨勢が決しそうな段階になったら、敵の警戒が薄いルートから裏とりに走り、死にかけの残党を狩りに行くのも良い考えだ。それまでは偵察に専念しつつ、生き延びることを考えよう。

視界外に居る敵は見えない
例えば前進して稜線から顔を出し、敵を発見
すぐに引っ込み、安全を確保する。一度発見した敵は、その後10秒間見え続けるので、顔出しは一瞬でOKだ。

機を見つけたらものすごい勢いで裏とり。前後から囲まれた敵は死ぬ。

車種その3:味方との連携で火力を活かせ! 「駆逐戦車」


他の車種に比べ強力な火力を持つ駆逐戦車だが、いわゆる戦車とは異なり、その役割は野戦砲に近い。正面に敵を据えれば、優秀な火力をもって敵を圧倒できるが、その構造上、機動しながら戦うすべがない。それゆえ他の戦車との連携があってはじめて生きる車種であり、独特の戦法が求められるのだ。


【駆逐戦車】
略称:TD (Tank Destroyer)

・駆逐戦車の特徴:高い火力とのトレードオフ

障害物に隠れ、味方の後ろから狙撃の体制を取る
狙撃に徹するうちは安定した戦果が期待できる

 駆逐戦車、別名は突撃砲。大半の車種は回転砲塔がなく、正面の狭い範囲内にしか射撃できない。そのかわり、同ティア帯の中では口径や速射力に優れた砲を持ち、格上重戦車と同等のダメージを叩き出せる車両も少なくない。MMORPGで言うところのDPS役のような立ち位置といえるだろう。

 最大の弱点はその斜角の狭さだ。車両により異なるが、たいていは車体正面のせいぜい30度ほどの範囲が射界である。その範囲外に射撃するためには車体そのものを動かす必要があり、そのため近距離を動き回る敵への対処がやっかいだ。さらに接近され、側面・背後に回られる状況になれば負けは確実。だからまずは前線からある程度の距離をとって戦うことが理想だ。

 もうひとつの弱点は、一般的に視界が狭いことだ。例えばドイツのティア4の突撃砲Hetzerは視界範囲が260mしかない。これは同ティア帯の軽戦車などに比べると100m以上狭く、ひとりで突出してみたらどこからともなく撃たれて終了、ということがよくある。前線に近づけないのに視界が狭いということは、味方の視界をアテにしなければならない、ということでもある。単独行動は避けよう。

 もちろん例外もある。アメリカのM18 HellcatやT28などは駆逐戦車でありながら回転砲塔を持ち、視界の広さも優秀という特殊な駆逐戦車だ。榴弾に滅法弱いところも含め、立ち回りとしては中戦車に近い。

一般的な駆逐戦車。砲塔が固定式だが火力が高い
回転砲塔を持つ駆逐戦車。これらは例外的に中戦車的な立ち回りで戦うことに

・駆逐戦車の戦法: 味方の視界で敵を撃て

側面を取られたら脆い

 大半の駆逐戦車は正面にしか撃てず、なおかつ視界も狭いという弱点があるため、まず1番に優先すべきは味方との連携だ。常に味方のサポートを受けられる状況で動き、敵を正面に据えて撃つ形を維持したい。具体的には、前線のやや後方に位置して、味方の視界を使いながら砲撃する戦い方が最も安定する。

 また、大半の駆逐戦車は正面装甲が硬いかわりに側面・背面の装甲が犠牲になっている車両が多いため、敵に発見された状況での移動は危険だ。特に横を向いた状況で履帯を切られては手も足も出せない。だから常に、敵に見られていると考えられる状況では正面を向け、離脱する際は完全に隠れるまで後退、その後素早く旋回して陣地転換を図ろう。

 これらの特色を踏まえた上で、駆逐戦車の特色が活きるのは守勢においてだ。高い隠蔽率を活かしてブッシュに隠れ、迫る敵を先に発見する。装甲の厚い正面を向け、射撃する。分の悪い撃ちあいに発展しそうなら後退して、仕切りなおす。さらに味方軽戦車・中戦車のサポートが受けられる状況なら、敵は非常に手を焼くはずだ。

一般的な駆逐戦車の立ち位置。前方で戦う味方のやや後方に位置して、無線で共有される敵位置の情報を元に狙撃を加える。もちろん、前面装甲の厚い駆逐戦車ならある程度前線に出てもいい

車種その4:戦場の流れを読み取れ! 「自走砲」


ものによっては戦場全体を射程内に収めることのできる自走砲は、一種の戦略兵器だ。1発の砲弾を撃つのに数十秒掛かる。しかしその1発が敵車両に手痛い損害を与える。味方の視界を使って戦う車両であるだけに、戦場の流れを読み、最も的確なターゲットを絞り込むことが勝利へのカギだ。


【自走砲】
略称:SPG (Self-Propelled Gun)

・自走砲の役割:純粋なる火力支援

神の視点で攻撃だ。
1発撃つと次の射撃までかなりの時間がかかるので、狙いは慎重に。

 自走砲の弾道は特殊だ。山なりの軌道を描いて、途中にある障害物を飛び越えて目標地点に着弾する。いわゆる間接射撃で火力支援を行なう車種である。主に前線の味方が観測した敵を、自陣奥深くから狙い撃つ格好となるため、活躍するもしないも味方の動き次第、という面が強い。

 少なくとも優秀な自走砲は、ターゲットの選択がとても上手だ。特に前線で敵重戦車VS味方中戦車といった、アンイーブンなマッチングが発生している箇所を優先的に支援してくれる自走砲は、チームメイトにとってありがたい存在となる。自走砲の火力によって厄介な敵を排除できれば、チームの損害が減り、勝率アップに繋がるからだ。“ここを叩けば戦況が傾く”という、戦場の分水嶺を見極め、砲を放とう。

 その意味で、自走砲が真っ先に狙うべき対象は敵の重戦車や駆逐戦車、特にトップティアの敵だ。特に重戦車は動きがのろいし、前線を張るために一箇所に留まることが多いので命中させやすい。逆に、動きの早い軽戦車を狙っても照準の収束が間に合わないことが多いうえ、自走砲にやられるような軽戦車は味方が簡単に狩れるので基本的には無視。その時間を敵重戦車撃破のために使い、敵の戦線を崩壊させることを考えよう。

自走砲の砲弾は放物線を描き、間の障害物を乗り越えて着弾できる。射程の短い砲ほど弾道は山なりとなり、山などの背後の敵を狙いやすい。射程が長い砲は弾道が低くなるため意外と使いづらいことも多いので注意。

・自走砲の戦法: マップを知り、陣地転換を怠るな

射撃に夢中の自走砲は、接近すれば軽戦車のいいエサだ。こまめな陣地転換で身を守ろう
敵の集まる地点を狙える射撃地点を知っていれば、効率的に戦える

 自走砲の火力は強力だ。戦車砲ではありえないほどの大口径砲から放り出される榴弾は、格上であっても大ダメージを与えることができる。同格か格下の戦車に榴弾を直撃させることができれば一撃爆散も珍しくない。そのかわり、射撃間隔が長く、照準が収束する時間も長い。敵がたむろしそうな位置をあらかじめ予測して照準を合わせておこう。そのために、マップのどこが戦線になりやすいかをよく把握しよう。

 自走砲の火力を活かす上で意外と重要なのが陣地転換だ。山あり谷ありの戦場では、障害物に遮られて敵に弾が届かないことも多い。しかし角度を変えれば射線が通る状況はとても多いため、戦線が膠着しそうになったら敵の大半を的確に狙える位置に素早く移動したい。弾が届く位置に敵が移動するのを待つより、自分が移動するほうがずっと早いのだ。

 また、陣地転換は自分の身を守ることにもつながる。1箇所に留まって撃ち続けていると、いつのまにか戦線のどこかを突破した敵の先鋒の視界に捉えられ、あっというまに撃破されてしまうことが多いからだ。戦線の動きをしっかり把握しつつ、被発見を避けられる位置に常に移動するようにすれば、勝負が決する最後の時点までその火力を活かすことができるはずだ。


新兵諸君、車種別の基本は把握できたかな?最も大事なことは、これらの個性的な車種の中から自分に合ったものを見つけることだ。戦車戦の立ち回りには各々の性格が出やすい。それだけに適正のある車種を使えば、戦場でより多くの友軍を助けられることになるだろう。次回は、その特徴をさらに伸ばし、ひとつ上の戦車兵となるためのノウハウについて教練を行なう。それまで実戦を重ね、実力を高めておくように!

(佐藤カフジ)