インタビュー
【特別企画】「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」開発者インタビュー
力強い体型を再現、拡張性を視野に入れたパーツ分割にも注目!
2016年4月1日 00:00
バンダイコレクターズ事業部は、アクションフィギュア「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」を8月に発売する。「鋼鉄ジーグ」は1975年に連載されたロボット漫画の主人公ロボットだ。バンダイはこのロボットを、最新技術で立体化する。
本商品の担当者は、2015年6月に「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」を語ったオレスカ・ジュリアン氏。ロボットに憧れアメリカから日本に来てバンダイに入社、こだわりを活かし様々なキャラクターの立体化を行なっている。
今回のジーグのポイントは“力強いプロポーション”にあるという。「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」は肩のライン、太もものラインががっしりした、迫力ある体型となっている。どのようなこだわりを込めたのか、今回は試作品を前に注目ポイントを聞くことができた。
マッシブなスタイルを再現! 多彩なポーズが可能な幅広い可動域
「鋼鉄ジーグ」は、原作に永井豪氏、作画を安田達矢氏が務めた、1975年のロボット漫画だ。主人公・司馬宙が“サイボーグ”と呼ばれる戦闘形態からジーグの頭部そのものに“変身”し、戦闘機ビッグシューターから射出される体のパーツを磁石の力で“ビルドアップ(合体)”する。
当時発売された玩具も大きな人気を得た。タカラ(現タカラトミー)から発売された「マグネロボット マグネモシリーズ 鋼鉄ジーグ」は劇中同様磁石で手足や頭が分離合体でき、プロポーションも良く大ヒットとなった。1998年には復刻販売も行なわれている。筆者も子供の頃に買って貰った記憶があり、思い出深い。
製作に当たり、オレスカ氏は「鋼鉄ジーグ」を当時の資料も見て研究し、開発チームと“マッシブなジーグ像”を作り上げた。「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」は、上半身が大きく、太ももが太く、頭部が小さめで力強さを感じさせる。写真だと伝わりにくい部分もあるかもしれないが、やはり腿の大きさが衝撃的だ。
劇中では全身を躍動させて走るジーグが描かれる。また磁力で敵を引きつけ敵の胴体を抱きしめて粉砕する「ジーグブリーカー」などパワフルなイメージがある。オレスカ氏達開発チームはジーグのパワフルさを強調する方向でのデザインを打ち出した。
オレスカ氏のお気に入りのギミックが、両手を組み合わせ、手首から先を発射する「ナックルボンバー」のポーズ。背中の肩胛骨部分に引き出し関節が仕込まれており、この可動で背中が大きく広がり腕を内側に曲げる。この他スピンストームのポーズもきっちり決まる。これは肩の付け根に引き出し関節があり、自然なポーズをとらせることができる。
ジーグは各関節が“銀の玉”になっている。これは「磁石を使った玩具」として企画時から設計されていたためだが、「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」はあえて磁石は組み込まず、可動に力を入れている。
肩や腕だけでなく、足の可動もかなり驚かせられるもので、腿部分は素立ちの状態では銀の部分がほとんど見えないが、引き出すことで深く折り曲げることができる。一見可動域が狭そうな下半身だが、引き出していくことで大きく曲がり、膝立ちも可能になる。膝部分は二重関節になっていて、正座をするかのような角度まで曲げられる。
今回写真を撮っていて、つくづく感心させられたのがジーグのデザインの面白さだ。マジンガーZやゲッターロボは円柱を組み合わせたようなデザインだが、ジーグは胸部分が強調され、ふくらはぎがあって、かなり人体のシルエットに近くなっている。特に足部分のラインは強い印象を残す。ロボットのデザインとしてかなり異質な印象を受けるのだが、それが独特の力強さ、格好良さを生み出しているとも感じた。
マジンガーZのヒットから火がついていたロボットアニメブームの中で、ロボットは様々なデザインが描かれた。ジーグはこれまでのロボット像から大きく離れたデザインを提示しようという“気合い”が感じられるデザインなのだと、今回改めて実感した。
オレスカ氏は「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」では、Gストーンそのものになったかのようなアレンジを行ない、「スーパーロボット超合金 マジンガーZ~鉄(くろがね)仕上げ~」は鋼鉄の雰囲気を塗装で再現した。「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」はあえて金属風ではなく、色味がはっきりした塗装にしている。これにより不思議な質感を持った独特の味を持たせている。
「劇中では磁石でパーツはくっつくんですが、『マジンガー』のように金属の設定はないし、アニメでの強調もされているように感じませんでした。そこであえてちょっと不思議な“謎のマテリアル”という感じを出しています。また、当時の雰囲気も感じてもらえるかなと思っています」とオレスカ氏は語った。
ちなみに試作品は使用されていないが、足部分、腹のスピンストームの発射口、胸の一部のパーツに金属が使用される予定。「超合金としてのきちんとした重さを感じてもらえると思います」とのことだ。ちなみに関節部の銀の玉の部分はpomではあるが、金属の質感を持たせた塗装になっている。
拡張性を視野に入れたパーツ分割。様々な強化パーツも企画進行中
ジーグの大きな特徴の1つが全身のパーツがばらばらになる“分離合体”だが、「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」はアクションフィギュアとしての面白さを追求しているため劇中のよう細かいパーツ分解は再現していない。しかし肘から先、股の付け根、腹部は外すことができる。ジーグの雰囲気を活かしていることと、“拡張性”を視野に入れてのギミックだとオレスカ氏は語った。
「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」には巨大なドリル武器「マッハドリル」が同梱されている。このパーツは肘部分を取り外し、劇中同様に合体させることができる。マッハドリルは劇中で活躍した武器である。
ジーグは“オプションパーツ”が多いロボットだ。大砲の「ジーグバズーカ」、巨大な車輪型武器「ジーグバックラー」、さらにアースパーツ、マリンパーツ、スカイパーツと地形に特化したパーツまで用意されている。体の各部を交換することで様々な機能を発揮するロボットなのだ。
そして究極の強化パーツが「パーンサロイド」だ。馬型のロボットで、ジーグはこれと合体することでケンタウロス型のロボットになれるのである。アニメ放映当時はパーンサロイドも商品化され、実際に合体もできた。
「魂ネイション2015」では試作品としてパーンサロイドも展示されていた。今後の商品化を目指して企画は進行中だという。オレスカ氏はできればこのジーグの優れた拡張性を「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」で実現したいという。ジーグの体の分割もこれらのパーツの装着を考えてのものだ。
また、「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」の背中には“クロスオーバージョイント”が仕込まれている。これは他の「スーパーロボット超合金」シリーズと共有のもので、「スーパーロボット超合金 マジンガーZ」のジェットスクランダーなどを取り付けることも可能とのこと。しかもまだ明かせない拡張性も企画中だという。
オレスカ氏は、「スーパーロボット超合金」シリーズを手がける担当者としてファンからも注目を集めている。「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」以降の作品の話も聞いてみた。
5月に発売される「スーパーロボット超合金 ジャイアントロボ THE ANIMATION VERSION」はかなりこだわりを込めたという。ロケットバズーカーの砲身ギミックや、内部メカに金属パーツを使用している。金属パーツはロケットバズーカを支えるアーム、ロボの手首の周りの赤い部分などにも使用しており、重量感を重視した商品となっている。
「スーパーロボット超合金 マジンガーZ アイアンカッターEDITION」は、これまで商品化していなかったスーパーロボット超合金でのアイアンカッター、ジェットパイルダーに注目して欲しいとのことだ。また「HI-METAL R HWR-00-MKII デストロイド・モンスター」もオレスカ氏は関わっており、本体の重量を足で支えるバランスなど様々な工夫を盛り込んでいるという。今後の仕事にも注目して欲しいと語った。
最後にオレスカ氏は「『スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ』はアクションに注力したフィギュアとなっています。色々なポーズをとらせて下さい。ジーグはダイナミックな印象の強いロボットです。是非ダイナミックなポーズを、自分の手で再現して下さい」と語った。
「スーパーロボット超合金 鋼鉄ジーグ」はやはりそのデザインが面白い。縦縞のラインと球体が作り出す独特なマッシッブなラインと、幅広い可動範囲によるポーズでたっぷり楽しめそうだ。そしてシリーズの中では異色と言える分離機構を使った拡張要素も気になるところ。楽しみな超合金だ。
(C)ダイナミック企画