インタビュー
「ファイナルファンタジー」シリーズブランドマネージャー橋本真司氏インタビュー
PS4版「FFX」、「FFX-2」は、旧ハードからPS4への「FF」リマスター計画の一環
(2014/12/13 02:21)
続いてのインタビューは、SCESHプレイステーションカンファレンスで、「ファイナルファンタジーX」、「ファイナルファンタジーX-2」のHDリマスター版を、PS Vitaと、そして初公開となるPS4で中国展開することを発表したスクウェア・エニックス「ファイナルファンタジー」シリーズブランドマネージャーの橋本真司氏の合同インタビューの模様をお届けしたい。
PS4版「FFX」、「FFX-2」は、旧ハードからPS4への「FF」リマスター計画の一環
――中国市場参入発表の感想から聞かせてください
橋本氏: 5年くらい前からSCE Asiaの皆様とどうやったら中国本土も含めてタイトルが展開できるかというお話をしていた中で、今回やっと実現したなと感慨を持っています。
――今回「FFX」と「FFX-2」の発表となりましたが、この2タイトルを選んだ理由は?
橋本氏: 正直PS3も中国で発売されるのかなと思っていたのですが、PS4だけということになりまして、自分たちが持っているタイトルの中で最速でいけるものということで選択した次第です。
――台湾や香港では「FFXIII」シリーズもすでにリリースされていますが、「FFXIII」をPS4に持ってくるのはさすがにまだちょっと早いかなと言う判断ですか?
橋本氏: そこまではまだ考えていなかったのですが、仮に「FFXIII」シリーズを例えばPS4に持ってくるとなると開発チームが必要になりますが、元々のチームはチームは縮小しまして今は「FFXV」と「FFXIV」に分散しています。なのでいま我々としては今できる資産、それは社内のクリエイターと社外のクリエイターを合わせてなのですが、できる資産で言うと「FFX」、「FFX-2」が一番確実かなと。
――中国ではShandaさんを通じてPC版「FFXIV」がサービスされていますが、「FFXIV」のPS4版という期待はないのでしょうか?
橋本氏: 今の所はまだ確定したものはないです。
――今回はPS4版の「FFX」、「FFX-2」が発表されたのはサプライズでしたね。
橋本氏: まずSCEさんのプラットフォーム戦略で、実はPS4が初めて下位互換がなかったのです。いままでPS1、2、3と全部下位互換があって、私どもはPS4の発表まではそのままのバージョンで遊べるかなと思っていたぐらいです。
今回は、おそらく色んな諸事情があったのだろうと推察はできるのですが、下位互換がないということで、そうするとご存じのように我々がSCEさんにご用意したものが、クラウドという形ではできるのですが、そのハードにあった最適化というのはなかなか難しい。そうすると過去作はどうするんだとなったときに、やはりPS3が日本はまだ堅調なんだけれど、欧米含めて、中国はPS3自体がないという中で、過去の「FF」シリーズをやっぱり順番にPS4で遊べる環境を我々もちゃんとコンテンツホルダーとして丁寧にやらなきゃいけない。クラウドはクラウドでありだと思うのですが、ハードにおける最適化はまた別の問題ですから。なので我々としてはユーザーの皆様の思い出にちゃんと残るように遊べるタイトルを我々もユーザーに近づけていかないといけないということで、PS4版をご用意した次第です。
――念のためですが、「FFX」、「FFX-2」のPS4版は、中国だけではなくグローバルでも展開するのですよね?
橋本氏: 中国独占にすると世界のお客様に怒られるので、世界で出します(笑)。ただ今回は、せっかくの派手な発表なので、そこに合わせてご用意させていただきました。それと我々としても簡体字に対応するのは初めてになりますので、そのセレモニーを合わせてご用意することによって、我々もPS4に対して応援させていただけるんだったらちょうど良かったなと。
――PS4版「FFX」、「FFX-2」というのは、現在発売されているPS Vitaのものと基本的に同じ仕様なのですか?
橋本氏: 基本的には同じでございますが、PS4に合わせてもちろんチューンナップはしています。
――グラフィックス面での違いは?
橋本氏: 基本は一緒です。
――発売日はいつくらいを考えていますか?
橋本氏: そこはまだ調整中でございまして、改めてまたFIX次第ご案内します。
――質問を変えますが、PS4版についてグローバル向けの発売はいつくらいを考えていますか?
橋本氏: そこについては、まずは中国の戦略が決まってから調整したいと思っています。
――それは中国先行発売ということですか?
橋本氏: そういうことではなくて、発売日を鑑みてこれからどうするかを考えたいと思います。
――なるほど、中国市場だけ投入時期が遅くなりすぎても良くないからという考え方ですか?
橋本氏: そうですね。色々と諸事情で調整していきます。まあ我々の希望としては、限りなく同時に近い状態にしたいですね。公平にやりたいと思っています。
――現在センサーシップはどういう状況なのでしょうか?
橋本氏: 私はコメントができないのです。また結果が出次第お伝えしますが、なかなか初めての経験ですので、そういう承認をお待ちするのは初めてなのですよ。そこがちょっと色々。
――中国市場では「FFXIV」がリリースされていますし、スマホのアプリに関しても各社さんから出てますが、今後コンシューマタイトルに関しては積極的に中国でも展開していきたいと思っていますか?
橋本氏: せっかく扉がやっと開きましたので、今回、「FFX」、「FFX-2」という話ですけど、「FFXV」もマルチで動いてますし、PS4で作っているものに関しては念頭に入れて戦略を考えていきたいです。
――そういう意味では、台湾、香港では初めて「ドラクエ」が出ますが、中国ではいかがでしょうか?
橋本氏: まだ何も決まってはいないです。
――橋本さん的にはやりたい?
橋本氏: 実は「FF」も「ドラクエ」も人気です。「ドラクエ」はどちらかというと日本が圧倒的なのですが、アジア圏でもすごい人気なのですよ。反応を見ながら僕なりには積極的に応援したいなと思っています。1人でいつも営業しているのは大変なので。「ドラクエ」も売れて、「キングダムハーツ」も売れていくといいなとは思っています。
――「ファイナルファンタジー」の人気はやはり中国でもすごかったですね。歓声も上がってましたね。
橋本氏: そうですね。そういう意味で言うと我々のクラシックの名作ではあるのですが、ユーザーの方は今まで並行輸入で遊んでいた方は結構多いのですね。ちゃんとしたご自身の簡体字で遊べるのは初めてなので、そこは幸せですよね。今後、最新作を通じて打ちのクリエイターにとっては勇気づけられる、やはり名作はいつの時代にもちゃんと受け入れられるなと言うのは自信にはなっていくと。こないだアワードでも表彰されていた北瀬などは一番喜んでいると思うのです。
――発売に向けてカルチャライズはされるのですか?
橋本氏: そこは特にはないです。日本語版と同じです。
――ローカライズは今どのくらい終わっているのでしょうか?
橋本氏: もうほぼ終わってますよ。センサーシップ次第です。
――ムービーの音声は中国でも日本語のまま?
橋本氏: 日本語のままです。
――今日のカンファレンスの印象を。
橋本氏: 初めて中国のクリエイターの会社の方が若い企業の方から結構大きな企業までたくさんいらっしゃっていて、日本人が作る発想と結構違ったりしていたので、ちょっと面白かったですね。ただ剣で戦うものが多いなという印象はしました。
――いわゆるMOBA系の。
橋本氏: そうですね。日本は「League of Legends」もまだ弱いところですが、海外はMOBAが強いですね。
――橋本さん登壇したとき、最後にPS4に力を入れたいと言ってましたが。
橋本氏: 中国はPS4しかないのですよ(笑)。後は先週もラスベガスに行ってきましたが、欧米は急速にPS4にシフトしています。日本は素晴らしいことにPS3がまだかちっとあるのですが、日本以外はシフトが早いのですよね。せっかく自分たちが大切にしていた名作が、遊べないんですよね。遊べる環境がなくなってきていることには危機感は覚えています。ただ、かといってPS4にもっていくのが短期間にできるものでもなくて、非常に困っています。
――つまり、中国展開を視野に入れた形で、過去のPS3タイトルを順次PS4にリマスターしていくつもりですか?
橋本氏: 当然中国だけではないですが、過去のPS3タイトルをPS4に持っていかないと出口がないのですよね。当然Xboxさんとのマルチも、360との下位互換はないので、事実上我々はXbox OneなりPS4なり次の世代のを用意しないと市場を自分で狭めてしまうのですね。ただ、ご存じのようにものすごいボリュームのストーリー、言語がありますので、さくっというふうにはいかないので、正直かっこよくいかないですよ。
ただ10年経っても皆様に今日も愛されていることがよく分かったので、そこは根気よく地道な仕事にはなりますけれど、いろんなクリエイターを巻き込んでやっていきたいなと思います。その間に自分の定年退職が近づいちゃうのですが(笑)。自分がいる間はこつこつやっていきたいなと思っています。結構地味なんです移植って。社内の内部の精鋭部隊はご存じのように「FFXV」であり「FFXIV」や「ドラクエX」や「キングダムハーツ」をやってもらっているので、外の力も借りながら、移植版を作っていきたいです。
――今回は「FFX」、「FFX-2」が終わったら、XVも含めてどんなものを中心に出していこうと思っていますか?
橋本氏: それは当然先ほどもいいましたように単独ではなかなか難しいので、プラットフォーマーさんと連携しながら、さすがにビジネスなので、できる範囲内でやっていきたいです。
――今後中国市場に向けて抱負を聞かせて下さい。
橋本氏: ご存じのように10年前のタイトルでいまだに応援していただけるファンの方が多いので、我々としては資産がPS3までの資産ばかりなので、どうやってPS4に順番にやっていけるかというのを考えながら、新作と過去の名作を上手く中国の皆さんにお届けしたいなと思っています。それにはどうしてもSCEさんの力が必要ではありますので、今後も連携してやっていきたいです。
――ありがとうございました。