インタビュー
コーエーテクモゲームス鈴木亮浩氏、森中隆氏合同インタビュー
「真・三國無双」と「討鬼伝」のツートップで中国展開をスタート! その狙いを聞く
(2014/12/13 02:22)
最後のインタビューは、スクウェア・エニックスと共に、日本の大手メーカーとして「真・三國無双7 猛将伝 完全版」と「討鬼伝 極」の中国展開を正式発表したコーエーテクモゲームスの鈴木亮浩氏と、森中隆氏の合同インタビューの模様をお届けしたい。
森中氏「プレイステーションありきのところに、『討鬼伝』もありきでいこう」
――今回のコーエーテクモゲームスさんは「真・三國無双7 猛将伝 完全版」と「討鬼伝 極」の2本の中国展開を発表しましたが、発表の感想から聞かせてください。
鈴木氏: そうですね。やはり三国志の発祥の地というか、中国での発表ということで非常に楽しみにしていたのですが、ファンの皆様が非常に盛り上げてくださって、非常に嬉しかったです。そこが一番良かったです。
森中氏: 私は発表で感じたのは、クリエイターが新しく増えてくれるのがすごく嬉しいと思いました。特に中国本土でプレイステーションというコンソールが発表されることでそれに対してゲームを作っていく。なので、よりゲームを生む世界が広がってくるなと言うのを私は強く感じました。
――今回中国市場に参入しようと思ったきっかけやそもそもの経緯を教えて下さい。
鈴木氏: やっぱり中国市場は大きいというのが一番魅力的な点ではあると思うのですが、それと同時に、まあネガティブな事を言うと、コピーされやすいというところも昔からあってコンテンツの展開が難しかったのですが、プレイステーションフォーマットの場合、特にコピーという点ではセキュリティが高いということもありまして、そういうのも1つ後押しになった理由ではあります。ただ中国市場への展開という意味では弊社としては全世界、地域への展開を目標としていますので、もともと中国市場はターゲットには入っていました。このプレイステーションが中国市場で正式に発売されるということがいいきっかけになりましたので、本格参入という形になりました。
森中氏: 「討鬼伝」の方はSCEさんとタッグで進めて花開いたタイトルなので、PS Vitaもぜひこちらで展開したいというお話を聞いたときに、これは一緒に歩調を合わせて開発するしかないという、もう当然のような気持ちで(笑)。プレイステーションありきのところに、「討鬼伝」もありきでいこうというところの歩みで決定しました。
――「真・三國無双」は三国志がモチーフで、「討鬼伝」はオリジナルで日本風のテイストですが、その辺りのテーマが受け入れられるかどうかという点では、どのような感触を受けましたか?
森中氏: 正直、日本の感覚で歴史の物語というものの受け入れは難しいのではないかというのはあるのですが、単純にアクションゲームとストーリーを進めていくということだけでシッカリ楽しめていけるゲームだと思うで、その上で、色々な日本の歴史上の人物が出てくるので、それをきっかけに日本のことを知ってくれたら嬉しいなというのがあります。よく「三國志」シリーズでも、昔担当していた色々な歴史ゲームでも、やはり色々なイベントに行くと中国のファンの方も来たりするのですよ。戦国系のゲームをきっかけに歴史が好きになって日本語を勉強したとか、そういうのがあるので。仮にやったときには知らなくてもそこから広がる世界とういのはすごくあるので、そういう意味ではリリースできてよかったなと思っています。まだリリースではないですね(笑)。これからでした。
――発売日についてはまだ内部的にもまだ決まっていないのですか?
森中氏: そうですね。開発自体はほぼ終わっていますが、発売日については色々な事情で。
――中国語版の発売に際して、何らかのカルチャライズは施すのですか?
森中氏: 「討鬼伝」に登場するモンスターのデザインの中で少しセクシャルな鬼がいるのですよ。ああいうものに関しては、多少それの度合いが落ちるような加工をしています。そういうものでないとちゃんとした認可が難しい部分があって、そういうような対応をしていますね。ゲーム自体のものに関して、ゲーム性が変わるということはやっていないです。
――あるモードがなくなるというようなことはない?
森中氏: はい。ありません。
――そのセンサーシップに向けた処理自体は終わっているわけですか?
森中氏: これはどうなんでしょうか(笑)。SCEさん次第っていう。
鈴木氏: 一緒にやっているところなので、まだもう少しかかるかもしれません。
――発売日はいつくらいに? やはり1月11日のローンチですか?
森中氏: そうですね。あくまでも目標はそこです。ただ、どうなるかはわかりません。
――2タイトルの発売後も、タイトルを拡充していく方針ですか?
鈴木氏: これで終わらないとは思います。基本的にはユーザーさんがいる限り、我々のタイトルは出していきたいと思います。
――コーエーテクモさんは、台湾では様々なタイトルを中文繁体字ローカライズで展開されていますが、台湾に出しているタイトルは、今後中国にも出すという考えですか?
森中氏: それはありますよね。
鈴木氏: そうしたいなあということです。
森中氏: ぜひそのためには中国の市場でプレイステーションプラットフォームが大きく広がってくれることを祈りたいと思います。
鈴木氏「中国の三國志ファンに向けてしっかりケアしていきたい」
――ローカライズについて音声は日本語のままですか?
鈴木氏: 音声はアジア圏だと特になのですが、日本の声優さんの人気が高くて逆にそちらの方がいいというお客様も今は多いので。
――吹き替えないということですか?
鈴木氏: そうです。仮に吹き替えたとしても、日本語は入れてくれと言うご意見が多いので、今の所は日本語のみです。
森中氏: どこの国に比べても日本の声優さんのレベルが高い。
鈴木氏: 非常に演技が上手いですね。
――ダウンロードコンテンツについては?
鈴木氏: 一応グローバルと同じようにできるように準備はしています。
――価格はどのぐらいを考えていますか? グローバルと同水準なのか、ちょっと安くしようとしているのか。方針があれば。
鈴木氏: 価格はまだ発表できる段階にはないですね。
――先ほどカルチャライズの話がでましたが、「真・三國無双7 猛将伝」は完全版ということになっていますが、その辺は何かがプラスされたりするのですか?
鈴木氏: 特にないです。同じです。もう台湾の方に先行して発売していて、台湾で出たものを香港では発売していますので、それとの違いをあまり出すというのは今回はしていないので、基本的に製品版は同じです。ただまだ準備段階で確定したことはまだ言えないのですが、オンラインキャンペーンというものを今発売中の地域はやっているのですが、その辺りは中国でもオンラインキャンペーンができれば中国市場に向けて中国市場のユーザーのみなさんに合った形のオンラインキャンペーンをオリジナルでやろうと考えています。
――中国のユーザーに向けたキャンペーンを実施していく考えはありますか?
鈴木氏: そうですね、特に「三國無双」の場合は本当にファンの方が非常に多くて、しかもすごい好きな人が多いです。そこはきちんとケアしていきたいと思っています。
――中文ローカライズは簡体字と繁体字が選べるのですか?
鈴木氏: 簡体字のみです。
――モードとか機能に関してはなにかマスクされるということは基本的にはないと考えていいのでしょうか?
鈴木氏: そうですね。
森中氏: 1つだけありました。あの、「討鬼伝 極」は前作を引き継げるという機能があって、その部分は前作がないのでそこだけはないですね。
――並行輸入の日本語版で遊んでいる人は引き継げたりするのですか?
森中氏: それはないです。なのですべての方が1からプレイしていただく形になります。
――今後のアジア展開では、中国も含めて、日本とタイムラグがない形でゲームを出していくつもりですか?
鈴木氏: そこはまだ確実なことは言えないのですが、少なくとも今台湾地域では例えば日本版が出てから簡体字かされた物が、1カ月後とかに発売したりしているので、そういうタイムラグくらいでは出せる可能性があります。
――ズバリ目標本数は?
鈴木氏: それはまだ(笑)
森中氏: 本数というよりも、高い装着率を目指したいですね。さすがに。台数がまだ分からないところなので。
鈴木氏: 50%。目指すところは!
――今回本体同梱版は出ないのですか?
鈴木氏: 今回は予定はしていないです。
――予約特典とか何かあるのですか?
森中氏: そこはまだ。ちょっと発売日が発表できない状態なので、詳しくは。
――中国の開発とか、開発会社さんとかと組んでゲームを作ったりすることは考えられていますか?
鈴木氏: 正式なものが発表できる段階というか、まだ何も言えないのですが、その可能性はありますね。
森中氏: あとは弊社、中国天津にのグループ会社があるので、もしかしたらそちらでの広がりで中国が花開くということになると政策を増やして行こうという話になる可能性もあります。本当に状況次第という所ですね。
――中国市場に対して今後の展望を聞かせて下さい。
森中氏: 先ほどもお話させてもらった通り、本当にプレイステーションが中国市場で成功して欲しいと願ってます。本当に広がったら爆発するような国だと思うので、そこで市場として1つ成熟するところができれば、本当にゲーム業界でこういうコンソール向けのゲームというものがまた勢いが出てくると思うので、ぜひ成功して欲しいし、その成功に貢献したいという気持ちがあります。
鈴木氏: 私も同じで、いまゲームハードは、日本では今ひとつ勢いがなくて、欧米では逆にかなり勢いがあって、ちょっと一昔前のゲーム市場がもうちょっと海外に移ってしまっている感じがあって、日本の市場は元気がないです。アジア市場ってまだまだ欧米よりも更に若い市場で、これからすごく伸びていく所だと思います。中国市場を含めてそうなのですが、最近スマホの市場が時代とか関係無しに全世界で同時に増えてきてはいるので、そこに負けないでもらいたいですね。スマホのゲーム市場はそれはそれであっていいと思うのですが、やはりコンソール機でやるゲームというのはひと味違いますし、そういう意味でそこに中心に私どもコーエーテクモはゲームを提供していますので、そこの市場でなんとしてもやはり1番期待できる中国市場で成功してもらいたいです。
――ありがとうございました。