インタビュー
NHN PlayArt・加藤雅樹社長に話を聞く
会社設立、そして社名変更から100日とこれから
「イナズマイレブン オンライン」は日野さんと本気でやっている。そして世界展開へ
(2013/12/9 00:00)
今年4月にNHN Japan(現LINE株式会社)からゲーム部門が会社分割を実施し、ゲーム開発会社「NHN Japan株式会社」が設立された。PCプラットフォームでは好調なハンゲームを有し、スマートフォンではLINEプラットフォームで「LINE POP」が大ヒットを記録し、多くのユーザーを集めている同社のドラスティックな変革が加速している。
8月には社名をNHN PlayArt株式会社へと改め、時を同じくしてレベルファイブと「イナズマイレブン オンライン」を開発中であることを明らかにした。また「LINE」プラットフォームでは、「ディズニー」という強力なIPを使った新作「LINE:ディズニー ツムツム」、「LINE レヴァナントゲート」といった大型タイトルが控えている。最近では「ドドド!ドラゴン ~七つの秘宝~」、「LINE フィッシュアイランド」がリリースされた。
さらにはゲーム以外にも方向性を広げている。その大きな1歩が電子書籍事業「comico」。10月17日にWebサービスがオープンし、10月31日にスマートフォンアプリをリリース、17日で20万ダウンロードを記録している。
こうして事業を列挙していくだけでもそのイキオイを実感できる同社だが、これまでから活動を行なってきてるとはいえ、前述したとおり4月に分社、8月に社名変更を行なったばかりだ。このイキオイの源はどこにあるのだろうか? そして何を考え、どこに向かおうとしているのだろうか?
このたび同社の加藤雅樹代表取締役社長にお話を伺うことができた。オーナー社長の場合、ゲーム好きが高じてゲーム会社を作り、ディレクターやプロデューサーとして活躍する一方で社長業を兼務していく姿はよく見かける。個人的には、こう言ってはなんだが、加藤社長にそういったイメージを持っていなかった。しかし実際に話を聞いてみると、実はゲーム好きで、親にゲームを取り上げられるほどはまり、これまで1番はまったのが「トゥームレイダー」シリーズというゲーム好きな方だった。そしていま、「イナズマイレブン オンライン」をレベルファイブの日野氏と共に必死に作り上げんとしている最中だという。
そういった中、同社がゲーム制作会社としてどういった位置づけで、どこを目指しているのかお話を伺った。インタビュー後半では「イナズマイレブン オンライン」についても伺ったので、じっくりと読んでいただきたい。
FC「エキサイトバイク」を親に取り上げられた過去を持つ加藤社長
――まずは、加藤雅樹社長とゲームとの関わりを伺いたいと思います。記憶を探っていただき、どういったゲームからスタートされましたか?
加藤雅樹氏(以下加藤氏): 「ゼビウス(ナムコ [現バンダイナムコゲームス])」は大好きでした。あの頃のゲームは大体やってましたね。
――ゲームセンターなどへは割と行かれてたのですか?
加藤氏: いや、ファミリーコンピュータ(ファミコン)ですね。完全にファミコンばかりでした。最初にプレイしたのが、「エキサイトバイク(任天堂)」!。あれは、やり過ぎて親に取られたとかありました。
――お家にファミコンがあって、延々とプレイしている状態だったんですね。
加藤氏: そうですね、延々とプレイしていました。それで取り上げられて、(ゲーム人生の)スタートはそこですね。
弊社で開発しているタイトルは全部やっていますし、あと、他社さんのタイトルですと、レベルファイブさんの「ファンタジーライフ」やカプコンさんの「モンスターハンター4」でしょうか。
レベルファイブさんのタイトルは昔からけっこう好きで、家族も大好きで大体全部やっているんですよ。それもあって、今回お話が決まった「イナズマイレブン オンライン」には、期待しています。業務提携も含めて共同開発には力を入れていきます。
――いろいろな他社さんのIPと組んでゲームの制作を進めて行かれるのですか?
加藤氏: そうです。
――過去に1番ハマったゲームは?
加藤氏: 1番はまったゲームは、「トゥームレイダー(Core Design)」シリーズですね。もう会社に行かずにずっとやっていましたね(笑)。3作目くらいまでは、もうずっとプレイしていました。でも、4作目から僕がイメージしている動きとなんかちょっと違う動きになったので、離れてしまいましたが、「トゥームレイダー」は1番ハマったゲームシリーズですね。
特に1本目は驚きがありましたね。最初になにをしていいのか全くわからなかったのですが、石の壁みたいなところを探して、そこでようやく「引っかかる」ということがわかって、ゲームが進んでいく。たまらなかったなあ。
グラフィックスは今ほどリアリティはないですけど、そこにちゃんと世界があって、冒険している、探検しているという感じがありましたね。そういう意味でも「トゥームレイダー」シリーズが過去1番ハマったゲームですね。
――では、スタイルが変わっても、そんなゲームをこれからも作っていきたいとお考えでしょうか?
加藤氏: そうですね。
まずは基本的に、PCゲームとスマートフォンのゲームに分けさせていただきます。
PCゲームに関しては、海外、特に韓国、台湾等々のタイトルをパブリッシングしていきます。PCに関しては大手のメーカーさんと組んで共同で開発していくというのがひとつと、あとはチャネリングを実現するべくパブリッシャーさんと交渉して、ハンゲームに繋ぐということですね。
一方スマートフォンに関しては、自分たちの社内でガリガリと作っていきます。
――自社の得意分野を出していくということですね?
加藤氏: そうですね。我々はそもそもプラットフォーマーとしての位置づけでしたが、スマートフォンが出てきて、今回会社名も変わり、自分たちでスマートフォン用のゲームを作っていこうということで、ゲームの制作会社にきっちりなろうと考えています。
現在、面白いスマートフォン用ゲームを作るために積極的に開発者の募集をかけているところですね。
――そして会社が分離独立し、社名も「PlayArt」と命名されました。「PlayArt」の意味と、社名に込めた想いというのを聞かせて下さい。
加藤氏: まず4月に分割して、そのままNHN Japanという名前を引き継ぎました。韓国の親会社も分割することになり、親会社の名前がNHN Entertainmentと決まったときに、いつもだったら、NHN Entertainment Japanになるのが当然のことだと思うのですが、日本のゲームの産業自体、市場自体も規模も大きいということもあるし、我々が今後ゲームを作って、海外に出していきたいという思いもあり、「Japan」を外しましょうと話し合いました。その時、どういう名前がいいかと考えたのですが、その時まずは「ゲーム会社になる」と決めたのです。基本の軸は「エンターテイメント」に据えました。
我々はインターネットのビジネスに関してはプロがたくさんいるんです。ですからエンターテイメントを軸にしたときに、日常のちょっとした遊びを創造し、それをサービスにして提供していこうと考えました。その日常のちょっとした遊びというのを「Play」という言葉に置き換え、「Art」というのは「芸術」ではなく、「創造する」という思いを乗せてこの社名にしたというところです。
――そこにもゲームをつくるという決意が込められているということですね。
加藤氏: もちろんそうです。
会社設立からこれまでの100日……
――4月にゲームに特化した会社になり、「変わったこと」、「変えたかったこと」というのは、どういったものがありましたか?
加藤氏: 「変わったこと」は先ほど言ったように、プラットフォーマーだけではなく、「ゲーム制作会社になります」ということ。いまバリバリと制作ラインを作ってゲームを制作しているところです。
さっき言ったように弊社はアバターから始まっているので、社員のみんなもプラットフォーマーへの想いや、制作会社になろうと言ったときに戸惑った社員もいたと思いますが、今はみんなで「ゲームを作るんだ」、「面白くて高クオリティのコンテンツを世に出すんだ」と思っています。
――逆にゲームを作る会社になることを待ち望んでいた人たちもいたのではないでしょうか?
加藤氏: それは非常にありがたいですね(笑)。
――社内にはゲーム好きな方も多いでしょうし、そういった人たちはやはり制作したいと思われるのではないでしょうか?
加藤氏: そうですね。本当にゲーム好きな社員が多いですから、ゲームを作りたいという想いはみんなにありますね。
――ただ、ゲームが好きなのと、ゲームを作るというのはまた違うと思います。苦労したこととか、大変だった点は?
加藤氏: 実は自分も2011年に、プロジェクトのディレクターとしてスマートフォン用のゲームタイトルを、実際に制作したんですね。その時は外部の開発会社さんに業務委託して制作したのですが、PCゲームの制作とも全然違いますし、ものすごく大変でしたがよい経験になりましたね。
当時ちょうど、スマートフォンのゲームに色々な規制がかかり始めた時期で、そこで(ゲームシステムの一部を)削るとお客さんにとっては面白くないだろうなとか、そういう部分もあり、(ゲームとしてまとめるのに)なかなか大変な思いをした記憶があります。
――そのゲーム制作時の苦労が社長になられて生かされているということですね。
加藤氏: そうですね。
あとはやはりどれだけ作っても、面白い部分と面白くない部分、われわれ自身が納得いくものと、いかない部分があるじゃないですか。そこで、納期が延びていくとか、そういった難しさもありますね。
NHN PlayArtではどうやってゲーム作りを進めているのか?
――NHN PlayArtでは、ゲームの企画が上がってきたとき、最終的にプレイをされてリリースするかどうかの判断は加藤社長が下されるのですか?
加藤氏: ゲームの制作を続けるかどうかといったことを判断する委員会のような組織が会社内にあって、その中で判断が割れた場合は、最終的に僕が判断します。
あとは、その判断する委員会のメンバーにある程度は任せてはいます。会社を横断する組織を作り、そこで全部を判断してやっていこうという感じです。それは企画から始まり、α版、β版のそれぞれのタイミングで、制作を進めるかどうかの判断をやっています。
――そのなかで、加藤社長がゴーサインを出せば制作を進めていくわけですね。
加藤氏: そうですね。まあ、みんながOKを出せば全く問題ないのですが。単純に、僕1人の判断ですべて決めてしまって良いのか悪いのかというのは、自分自身思うところがありますね。
弊社はやっぱりいろんなゲームがあって、PCでもスマートフォンでもそうだし、いろんな多種多様なタイプがあるので、それを自分だけですべて判断してしまい、間違っていたら何とも言えない状況になってしまいます。ですから、みんなが楽しいと思えるものの線を引けるかっていうところをいつも考えてはいますね。こういったシステムが良いのか悪いのかはわかりませんが、いまはこの方法を採用しています。
――加藤社長として意見は言っても、尊重はするということですね。
加藤氏: そうですね。意見は言っても、みんなの決定を尊重します。
――エンターテイメント産業なので、正解があるかといえば、100%の正解っていうのは無いですから、そういった意味では難しい部分もありますね。
加藤氏: ゲームは、ヒット作をだすのが大変難しい業界だと思っていて、そこはもう「チャレンジしていきます」としか言えない感じですね。どんなものが当たるかわかっていたらいいんですけどね(笑)。
――法則があるとかいろいろ言われていますが、自分たちの想いを信じて制作にチャレンジしていくという各社のカラーがあるからこそ、ゲーム会社さんそれぞれの面白さがあるというところですよね。
加藤氏: そうです。少なくとも、我々にはハンゲームというプラットフォームがあって、そこは昔からお客さんに楽しんでもらっていて、もう13年くらいになるんですね。実績とノウハウがあり、そのPCのゲームの業績も、安定しています。だからこそ、スマートフォンという新しい舞台にチャレンジすることができるかなと思うんです。
実はPCの出荷台数などが減ってきている現状の中で、PCゲームの分野ではお客さんが全然減っていないんです。ですから、PCゲームの分野は今まで以上に力を入れ、トップのシェアを維持し、きちんと確立した上で、新しいものに挑戦していきたいと思います。
――NHN PlayArtさんとして得意としているところ、逆にウィークポイントだなって思っているところはありますか?
加藤氏: 得意としているところは、やはりゲームの運営のノウハウですね。運営のノウハウはこれまでポータルサイトをやってきて、やはりゲームの運営は得意だと思っています。
お客さんの動向を見ながらゲームを改善していくのは得意なんです。開発の部分になると、ゲームの開発者の体制作りがようやく形になってきたという感じですから、ゲーム制作でもトップを目指していきたいですね。
――そういう意味でもゲームの制作体制強化のために、絶賛スタッフを募集中といったところでしょうか?
加藤氏: はい、絶賛募集中です!(笑)。
アート系、グラフィッカーも多くのスタッフが必要ですが、ほかの開発スタッフも同じく必要です。ゲームを作りたい! モノを作りたい! という方を絶賛募集中ですね。
軌道に乗り、これからどんなゲームをリリースしていくのか?
――社名も変わり、会社として軌道に乗ってきたなと感じるところはどういったところでしょうか?
加藤氏: 軌道に乗ってきたというか、外部の会社さんとの交わりが多くなったと思います。そのひとつがレベルファイブさんですね。今後もオンラインゲームやスマートフォン用ゲームで、まだゲームになっていないものを弊社のハンゲーム上で提供するという話は増えてくるかなと思っています。そこは、こうご期待といったところです(笑)。
――様々なIPや他社さんがコンシューマーでリリースしたものを、PCやスマートフォン用タイトルとして、他社さんと協力し新たにサービスしていくということですね?
加藤氏: そうですね。そういった新規プロジェクトがうまく回り始めたところでしょうか。
――それは、スタートラインに立ったという意味ですね。
加藤氏: そうですね。半年経ってようやくスタートラインに立てたかなという気がします。
――ゲーム作りで大切にしているところは、どういったところですか?
加藤氏: 作っている側のコンテンツに対する愛じゃないでしょうか? 1つのゲームを10人、20人、30人で作っている中で、そのスタッフたちは本当に自分たちが面白いと思って作っているのか、いないのかというところが1番重要なところかなと思います。作る側も楽しいと思って作ってないと、絶対無理ですよね。ただ、制作する中で、実際辛いこともあるじゃないですか。ただ、もうそこは頑張れとしか言いようがないです(笑)。
――労働としては辛くても、仕事としては楽しくないといけないということですよね(笑)。
加藤氏: そうです。そこは非常に重要だと考えていますね。誰かが、「このゲームつまらないよ」と言っても、「いや、絶対おもしろいよ!」と言い切れるようなスタッフ達でありなさい、という感じです。
――まさに、信念をもって、愛をもってゲームの制作をやっていく。それを会社としても大切にしているということですね。
加藤氏: 極力社内の雰囲気を含め、スタッフが常に笑っている環境を作らなきゃいけないと考えています。社内環境からそうした雰囲気に持っていかなければと心がけてはいます。
――現在、色々なプラットフォームがあり、ライトユーザーに向けては「LINE GAME」でゲームをリリースしPCプラットフォームがあり、スマートフォンではネイティブアプリを提供してらっしゃいます。それぞれのプラットフォームの強みがある中で、それぞれどのようなゲームを投入していこうと考えていらっしゃいますか?
加藤氏: PCに関しては「ハンゲーム」があります。既存サービスはもちろん、今後他社さんと共同で大型タイトルを提供していきたいですね。スマートフォンに関しては、LINEと通常のマーケットですね。
11月にリリースしたNHN PlayArtがdangoさんと共同開発した「ドドド!ドラゴン ~七つの秘宝~」やLINEに提供している「LINE フィッシュアイランド」ですね。割合でいくと、3分の2がLINEかな。やはりLINEの集客力は半端ではないので、強化していきたいと考えています。我々はそこで売上を上げるノウハウはもっているので、そこは最重要パートナー様として、プラットフォーム様として、お付き合いしていきたいなと思います。
――最近はスマートフォンに向けたネイティブアプリがはやっています。たとえばDeNAさんやGREEさんのようなプラットフォームでの展開も重要ですが、結局はコンテンツを持っているところが強いということだと思うのですが、そういった部分の強化についてはどのようにお考えでしょうか?
加藤氏: ゲーム制作会社になろうという目標は、そこにあるんです。もうプラットフォームという概念がないじゃないですか。
弊社では定番ゲームをずっと作っていて、麻雀やダーツなどいろいろあるのですが、定番モノというのは素晴らしいコンテンツなんです。その経験からゲームを作る能力は高いと思います。そのなかできちんと収益が出るものを世の中に出していける制作体制がようやく整備されてきたかなと思います。
ネイティブアプリに関しては、本当に大きく売り上げを上げられるタイトルを出し、そこから始まると思います。
――一方で、LINE GAMEでゲームにはまったライトなユーザーを育てて行き、いろいろなゲームを遊ぶユーザーに育てていくというチャレンジは考えていらっしゃいますか?
加藤氏: まさに「ハンゲーム」が、その方法論で成功したポータルだと思っています。カジュアルゲームとアバターから入ってらしたユーザーが、大型のゲームもプレイするようになってきたので「ハンゲーム」の今の隆盛があるんです。
LINEに関しては、ユーザーさんのゲームに関する知識、楽しみ方を含め確実に上がっていっているんですよ。
「LINE POP」は、自分のテクニックと偶然性がうまく融合することで、ユーザーが気持ちよく遊んでいただけることを考えて作りました。「LINE」でリリースされるゲームは、今までと違う概念のゲームだと思っています。なぜならば、これまでのゲームはバーチャルな世界でしたが、「LINE」でリリースされるゲームは、リアルライフを使ったゲームなので、ここが決定的に違うと思ってます。しかも限りなくアーケードゲームのビジネスモデルに近い「コンティニュー課金」のイメージですね。
いままでは、ソーシャルゲームをプレイしていたときは、お金で時間を買って、時間のある人に追いつけ追い越せという概念だったと思うんですけど、今は追加でチャンスを買うという形になってきていると思っています。「LINE POP」でハートを買うというのが、まさに「チャンスを買う」行為です。あれは時間を買っているのではなくて、「チャンスを買う」イメージだと思っています。
これは僕の私見ですが、今人気の「LINE ポコパン」では「LINE POP」にプラス成長要素をつけて、それが段々融合してきているように感じます。そうなると、その次に来るものはやはりこれまでのタイトルを超えるものではないと、ユーザーさんには満足していただけないと思います。同じような体系のゲームはいくつか出るとは思いますが、限りなく本当のゲームに近づいていくのではないかと思っています。ですから、「LINE フィッシュアイランド」という釣りゲームを11月にリリースし、来年は「LINE レヴァナントゲート」というアクションRPGをリリースします。そこからが本当の勝負ですね。
ですから次は、「時間を買う」というシステムと「チャンスを買う」というシステムが融合していくんだと思います。「ポコパン」が融合してきて、成長要素が含まれてきて、成長するためにお金を使いたい……成長すればもっと点数がとれる……というシステムなので、そこは普通にプレイして時間をかければいけるんです。ただ、その成長を待つことができないので、そこに資本を投下して成長させていくんです。これは時間の概念だと思うんです。ですから、そういった部分が融合してきたなという感覚を感じてますね。
「『イナズマイレブン オンライン』は本気です! できる限りのことをやっている」
――また、話題作として控えているタイトルでは「イナズマイレブン オンライン」があります。
加藤氏: すでに好評を頂いております(笑)。レベルファイブさんの発表会で発表させていただき、その反響が驚くほど良かったのです。ですから、待っていただいているユーザーを、絶対に裏切れないなと感じています。
――レベルファイブさんと一緒に「イナズマイレブン オンライン」を手掛けることになった経緯というのは、どういったものだったのでしょうか?
加藤氏: もともとレベルファイブさん……特に日野さんの方がPCのゲームが好きな方で、「やりたい」という思いがあったんですね。それを我々も知っていて、プロトタイプとまではいかないですが作ったものがあったり、これまでにレベルファイブさんとはいろいろとやっていたこともあった経緯から、「オンライン」をやりたいという話を聞き、それでは一緒にやりましょうということで、日野さんと握手したという感じですね。
――NHN PlayArtとして、「イナズマイレブン オンライン」にかける意気込みや「想い」などをお聞かせねがえますか?
加藤氏: 弊社としては、今までレベルファイブさんで出されていた「イナズマイレブン」シリーズと同等なものを提供したいと思っています。そうでなければ、「イナズマイレブン」のファンであるお客さんたちにも失礼だなと。ですから、できる限りのことはしようと思っています。そのために、「イナズマイレブン」シリーズでは恒例の主題歌を作ったりですとか、OPアニメもいつもレベルファイブさんがお願いしているところに作ってもらうとか。限りなく、本当にレベルファイブさんが出すものと同じ感覚でプレイできるようにしたいと思っています。
あとは当然、弊社のお客さん……ハンゲームのお客さんで好きな人もいらっしゃいますし、今までパッケージで販売されていた「イナズマイレブン」が、フリートゥープレイでどういった遊びに変わるのか気になっている方もいっぱいいると思います。その方々を残念な気持ちにさせる訳にはいかないので、ここは絶対に「つまらない」と思われるものは作れないと思っています。
そこはもうレベルファイブさんと一緒に、ものすごい勢いで制作を進めています。基本的にコンテンツはレベルファイブさんが作って、弊社は自信を持っているオンラインのサーバーの技術とフリートゥープレイの設計を担当しています。それらを融合させるという感じで進めています。
――その制作に関しては喧々諤々、レベルファイブさんが作っている部分に対しても「こうした方がいい!」といった意見を伝えたりしながら、作り上げていくということですね。
加藤氏: ええ、もちろんそうです。一緒の場所で作っています。最初は別々に制作を進めていたのですが、「もうこれはダメ!」ということで、「一緒にやりましょう」と話しました。一緒にやらなければ、制作の進行もそうですし、ディスカッションのスピードも含めて遅くなってしまいます。もう、本気ですよ、本気!
そして、できれば、弊社は本社が韓国にありますから、きちんと海外にも展開していきたいと思っています。
――どんどん広げて行きたいということですね。ちなみに、韓国では「イナズマイレブン」シリーズは人気があるのですか?
加藤氏: アニメは放送されています。「イナズマイレブン」のアニメは世界中どこでも人気がありますね。
そこにはレベルファイブさんも、「イナズマイレブン」というIPはすごく人気があるので、アジアでもっと展開させていきたいという想いがあるんですね。
――なるほど、両社にとって、熱い想いが一致したと言うことですね。
加藤氏: そうです。
――グローバル展開についてはどのように考えておいででしょうか? ワンリソースを世界にそのまま展開するおつもりでしょうか? それとも海外拠点からそれぞれ違った展開を行なうおつもりなのでしょうか?
加藤氏: 基本は関連会社があるところで展開していくつもりです。今でいうと、韓国、中国、シンガポール、アメリカの4拠点です。そこに関しては、我々の親会社と連携しながら各国の拠点の文化やテイストにあったサービスを提供していきたいですね。。
――NHN PlayArtとしては、とにかくコンテンツを作り、親会社主導かもしれないけど展開していければ展開していくということですね。
加藤氏: 多分、現地の関連会社と我々で進めることになる思います。グループ会社なので各国の現地法人と直接やりとりした方が早いと思うので。たとえば、「イナズマイレブン」などはヨーロッパでは絶大な人気ですから、どうするのかとかは検討していかなければと思います。
――なるほど、フランスとかイタリアとか、サッカーも日本のコンテンツも好きですし、乗り出していくかもしれないということですね。
加藤氏: 弊社でパブリッシャーさんを探して進めていくかもしれませんし。
――南米もサッカーが盛んですし、もう世界中に展開できますね。
加藤氏: そうなんです。先は明るいんですよ(笑)。ただ、面白くなければならない。だから、すごく責任が重いんですよ。全て責任重大ではありますが、特に「イナズマイレブン」はレベルファイブさんの顔であるタイトルのひとつなので、ここはもう絶対に成功させたいですね。でも、すごく夢がありますよね。
――もう1つ。LINE GAMEですが、ディズニーさんともがっちりと組んでいらっしゃいます。「LINE:ディズニー ツムツム」の制作を手がけていらっしゃいますが、ディズニーさんと一緒に、どういった楽しさを提供していきたいと考えていらっしゃいますか?
加藤氏: LINEは今ではみんな使ってますが、以前は女性のユーザーさんがすごく多かったんです。ですから、ディズニーさんとの企画が始まったころには、やはり女性のお客さんが多いよねということで、ゲームの企画がスタートしたんです。
――やはり「LINE:ディズニー ツムツム」のターゲットは、女性からスタートしているんですね。
加藤氏: 基本的には可愛いらしいディズニーのたくさんのキャラクターが前面に出ています。もちろん、誰でも遊べるゲームで、みなさんに楽しんで頂きたいですね。
――ディズニーとなると、ターゲットとなる層が広いと思うので、NHN PlayArtさんが持っている「幅広い層に向け楽しませる」というノウハウは生かせるわけですね。
加藤氏: そうです。先ほども言ったように、ハンゲームの始まりはアバターであったりカジュアルなゲームだったので、カジュアルなゲームを作るのには非常に長けています。パズルゲームやそういったゲームを作るのに長けている会社であり、優秀なスタッフがいるので、今回の「LINE:ディズニー ツムツム」もカジュアル系のゲームに仕立てています。
――今後もディズニーさんとは様々なコンテンツをリリースしていきたいというところはあるのでしようか?
加藤氏: そうですね。
「comico」でIPを創出する企業に。新規IPでゲームを展開していきたい
――話は変わりますが、電子書籍事業「comico」の展開についてお話しいただけますか? ゲーム会社になるというお話ですが、「comico」というコンテンツをどのようにゲームと繋げていこうと考えていらっしゃりますか?
加藤氏: 「comico」はオリジナルコミックを集めて無料で提供するWebコミックサービスです。「comico」で読者のみなさまに新しい作家さんと触れる機会をつくり、またその作家さんたちが自分たちの作品を披露できる場所を提供するのが「comico」です。実力のある作家さんがその力を発揮する場所を作りたいと思っています。その後メジャーになった作品のIP展開も魅力ですね。
IPを活用してゲームを作っていくというのはゲーム会社として、必要なことだと思っていて、最終的には「自分たちでIPを作っていきたいよね」といったときに、ハンゲームのお客さんとマンガがすごくマッチするものなんです。ですから、我々が「comico」のサービスを始め、作家さんをメジャーにし、そこでIP化を目指し、それをゲームにしようというところですね。
――自社を起点にコンテンツを展開するために、IPを創出するということですね。
加藤氏: そういうことです。IPを獲得するのは非常に難しいですから。
昔から展開されているゲーム会社さんは、本当にすごいじゃないですか。そういった会社と戦っていくには、我々らしさ、我々独自のサービスを提供していかなければいけないんですよね。
「comico」のサービスを利用する人がものすごく増えてきたら、コミックがメジャーになりゲームとの親和性が高いと思うので、そのままゲームになっていけばいいなと期待しています。
今の「comico」では、純粋にマンガを楽しんでもらって、読者のみなさんから応援を頂いて、その後有名になったり人気のあるものが出てきて、それがIPに成長してゲームになれば、作家さんも我々もハッピーかなと。
マンガは週刊、月刊、単行本、あとアニメ、映画と展開していって、ゲームが最後なんですよね。それを弊社がやれば、マンガがゲームから展開していく道筋を作れれば、作家さんにとっても1番幸せなことかなと思うんです。ただそういったシステム作りは、2年も3年もかかると思いますけどもね(笑)。本当に作家さんと一緒に育てていくイメージですね。
最後に一言。「『イナズマイレブン』は日野さんも僕もばんばん動いている」
――最後に、NHN PlayArtとしてゲームユーザーへのアピールをお願いします。
加藤氏: スマートフォンもそうですけど、多分これから大きな取組みがどんどん出てきます。ゲームを遊ぶお客様にとって、驚きと衝撃を与えられるような物を提供できると思いますので、こうご期待下さいというところですね。
――それは、「イナズマイレブン オンライン」のような他社との大きな取り組みもあると言うことですか?
加藤氏: そうです。「イナズマイレブン オンライン」のような衝撃が走るタイトルが出てくるんじゃないかと(笑)。用意はしていますので、がんばります。
――ちなみに、スケジュール感はどのような感じでしょう?
加藤氏: それはもう来年ですよね。
――来年は1年あって、長いですけど(笑)。
加藤氏: 弊社はまだ始まったばっかりですから。とはいえ、いろいろと動いてはいます。本当にご期待していただきたいです。とりあえず「イナズマイレブン オンライン」のプロジェクトでは、日野さんも僕もバンバン動いてるので! そこらから期待していてください!
――期待しています。ありがとうございました!
【LINE:ディズニー ツムツム】
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【イナズマイレブン オンライン】
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